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2009年02月04日 11:50 更新
http://www.data-max.co.jp/2009/02/1_118.html
前回、「かんぽの宿」1万円売却問題を取り上げたが、旧郵政公社時代の売却はとんでもない発想にもとづいている。
いわゆるバルクセールでの売却である。日本でのバルクセールとは、銀行が不良債権のオフバランス化をはかるため用いられた手法である。例えば100億円の不良債権化した貸付金(不動産担保が設定してある貸付金もある)を5億円ほどで売却して、差額95億円(引当済分)をオフバランス化する。根本的に異なるのは、相手が破綻している会社や返済が滞っている貸付先の債権の処分であること。購入者(ハゲタカファンドが多い)は債権回収を目的に購入し、銀行から債権譲渡を受けたものである。
ところが、「かんぽの宿」など郵政関係の施設は、関係事業団で直営されており、担保設定はない。事もあろうにそうした資産を郵政公社はバルクセールで売却したのである。その結果、鳥取県の「かんぽの宿」は、4,000坪の敷地に改修された大きな建物が付き、総額1万円で売却されたのである。土地だけを見ても1万円ということは絶対ない。
オリックス関係者が資産評価
現在日本郵政によるオリックスへの一括売却凍結が取り沙汰されているが、売却物件の資産評価委員にオリックス関係者が就任していたことが明らかになっている。問題の評価委員は奥田かつ枝氏で、緒方不動産鑑定事務所の取締役。
オリックスとの関係は、緒方不動産鑑定事務所とケイアイ不動産鑑定(株)など3社で設立した不動産鑑定業等の(株)アースアプレイザルがあり、同社が07年8月第3社割当増資により資本金を2億5,450万円にした際、引受先の1社がオリックス・キャピタルであった。
そのことから、郵政民営化承継財産評価委員会委員の奥田かつ枝氏 ⇒緒方不動産鑑定事務所取締役 ⇒アースアプレイザル取締役 ⇒オリックス・キャピタルとオリックスに関係する人物が資産評価していたのである。(一部新聞で報道されている)
不動産ミニバブルも崩壊してしまったが、今回バルクセールでまとめて売却予定の「ラフレさいたま」は、それだけでも一時200億円の価値があるとされていた。
ミニバブルは崩壊しても売却の仕方が一括とはいかがなものかと思われる。また事業継続を前提としているようだが、鳥取の「かんぽの宿」のように、購入先が半年もせず、第3者の老健施設に売却している現状から、事業継続は精神条項と思われる。
田舎の「かんぽの宿」などは地元住民に利用されている。地元の同業者に存続を前提として1万円で売却した方が、国民も納得するのではないだろうか。
都心部の資産価値のある物件は個別に一般入札すべきである。一括売却となれば、事務手続きは簡単であるが、その資金(百億円単位)を持つのは金融関係やファンドの類であり、事業継続の保証がないのは言うまでもない。
特別資産評価の疑いあり
今回の資産評価は、通常の資産評価ではなく、破綻企業の不動産を処分するため、緊急に資産評価する際に用いられる特別資産評価にて評価したものと思われる。当然通常の資産評価とは大きな違いが生ずる。
都心部の資産は、今回物件評価に用いられたと思われる収益還元方式の査定ではなく、金融庁が作成する路線価などにより土地評価を行うべきである。また建物も準じて評価すべきであろう。
鳩山総務相が発言しているとおり、小泉政権下での郵政解体最優先を引きずり、売却ありきは許されない。
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