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2009年2月 3日 (火)
日本テレビ「NEWS ZERO」の「かんぽの宿」偏向報道
2月2日の参議院本会議での代表質問では国民新党の自見庄三郎議員に続いて社民党の福島瑞穂議員も「かんぽの宿疑惑」について質問した。「日本郵政」は株式上場を2009年度以降のできるだけ早い時期に実現したいとしている。株式が民間に売却されてしまえば、制度変更は極めて難しくなる。
「郵政民営化」の装いをまとった「郵政利権化」を推進してきた勢力は、「利権の実現」まで、あと一息のところにたどり着いている。ここで、ストップをかけられては元も子もないのだ。
麻生首相に対するマスメディアの攻撃が急激に強まったのは11月中旬からである。11月12日に麻生首相の母校である学習院大学で日中交流行事の挨拶で「頻繁」を「はんざつ」、「未曾有」を「みぞうゆう」と読み間違えたことが大きく伝えられた。
11月28日には国会で民主党の小沢一郎代表との初めての党首討論が実施された。麻生首相は補正予算案の国会提出を2009年に先送りする方針を示した。小沢代表は総選挙を実施せず、景気対策が優先されると言うなら、補正予算を臨時国会に提出すべきだと迫った。
この党首討論後の世論調査から麻生内閣の支持率が暴落していった。このなかで、ひとつの重要な発言があった。11月19日に麻生首相が郵政株式の上場を凍結する考えを表明したのだ。麻生首相はその後、「必ずしも凍結ではない」と発言を修正したが、この発言を契機にマスメディアの麻生首相批判が一気に強まったと判断できる。
昨日付記事「「かんぽの宿疑惑」報道を封殺する巨大な闇の力」に記述したが、「郵政民営化」を具体的に法制化する過程で、米国は細かに制度設計に介入してきた。その背景には、米国資本が「郵政民営化」によって巨大な利権を獲得しようとする、「綿密に計算されたシナリオ」が存在すると考えられる。
このシナリオにおいて、「日本郵政」の上場、子会社の「ゆうちょ銀行」、「かんぽ生命」の上場実現は、最重要イベントとして位置付けられていると考えられる。
「かんぽの宿疑惑」は今後の論議の行方によっては、「郵政株式上場」に重大な影響を与えかねず、ひいては「郵政民営化」そのものの見直しにつながりかねない起爆力を有する事項である。「かんぽの宿疑惑」を鎮圧することが、当面の最重要事項と捉えられている可能性が高い。
日本国憲法第41条が定めるように「国会は国権の最高機関」である。報道においては、各種ニュースを伝えることも大事だが、国会論戦を伝えることは最重要事項である。
昨日の代表質問で国民新党の自見庄三郎議員は「かんぽの宿」疑惑に絞って質問した。社民党の福島瑞穂議員も「かんぽの宿」疑惑を報道した。国民固有の貴重な資産が「郵政民営化」のプロセスのなかで、極めて不透明に売却され、国民に巨大な損失を与えている可能性が浮上しているのである。最重要のニュースのひとつと言って間違いない。
ところが、昨日のテレビ朝日「報道ステーション」は「かんぽの宿疑惑」を完全に封殺した。国会報道そのものが完全に消えていた。2月3日の各種報道番組は「大相撲大麻事件」、「浅間山噴火」、「L&G円天」報道一色である。これに「警官発砲」、「主婦による株式投資詐欺疑惑」が一部加わっていた。
しかし、「かんぽの宿」疑惑は報道されていない。
唯一報道があったのが日本テレビ『News ZERO』だった。しかし、その内容は日本郵政サイドの説明を繰り返すだけのものだった。
鳩山総務相が問題にしたのが、「なぜこの時期なのか」、「なぜこの値段なのか」、「なぜオリックスなのか」であるとして、この三つの問題について、
@「かんぽの宿」が毎年40億円も赤字を計上しており、早期売却が必要であること、
A3200人の雇用確保義務を伴っており、また、政府の財産評価委員会の評価額93億円を上回っており、妥当な価格と判断したこと、
B公正な入札を実施した結果、オリックスが最も高い値段を提示したのでオリックスが選定されたのであり、プロセスに問題は無いこと、
の三点が司会者から説明された。
司会者は、日本郵政は外部の人間を含む検討委員会で問題を検討して対応するとしており、適切な対応を望みたいと話して締めくくった。
これでは、日本郵政の弁明の記者会見である。番組のスタンスは日本郵政サイドの説明だけを紹介して、問題を封印しようとするものである。2月1日のフジテレビ「サキヨミ」においても田崎史郎氏と藤井清孝氏が、日本郵政サイドの弁明コメントを代読するかのようなコメントを述べただけで問題を締めくくろうとした。
本ブログでこの問題を論じてきているので、読者はすでに問題の本質を理解されていると思うが、
@「かんぽの宿」の赤字は固定的なものではなく、人為的な低料金設定、高い減価償却費、非効率な運営によってもたらされているもので、経営の見直しにより黒字化も十分に可能なものであり、
A「雇用確保の条件」が「グレーの象徴」であり、「低価格設定を生み出す奇策」として用いられている可能性が高い。「雇用確保」といっても「正社員の当初の雇用継続」だけを義務付けただけのものなのではないか、
B入札のプロセスそのものが極めて不透明であり、この点が問題の出発点である。入札情報が広く日本全体に周知徹底され、透明な価格競争入札が実施されたのであれば問題はない。そのプロセスに不透明な部分があるからこそ、問題が表面化しているのだ。
保坂展人氏によると、日本郵政の入札は純粋な価格競争入札ではなかったことが新たに判明し始めている。
それを日本郵政サイドの説明だけを示して話を締めくくったのでは、報道の体をなしていない。犯罪の報道をする際に、容疑をかけられている側の言い分だけを報道したことが過去にあったのか。容疑をかけている警察サイドの情報を、真偽を確かめることもせずに、右から左へに垂れ流してきたのがテレビメディアではないのか。この問題に限って、疑いをかけられている側の弁明だけを説明して話題を締めくくるのでは筋が通らない。
鳥取県岩美町の「かんぽの宿」が1万円で売却され6000万円で転売されたことが問題になっているが、この事態を引き起こした関係者には「背任」の嫌疑がかかる。国民に不利益を与えたことは明白である。
鹿児島県指宿市の「かんぽの宿」も1万円で売却されたことが伝えられているが、この施設は現在『錦江楼』という名の旅館に衣替えされて運営されている。『錦江楼』のHPから料金表を見ると、一般の旅館と同等の料金設定になっている。週末料金、年末年始、ゴールデンウィークには別の料金体系が設定されている。
これが通常の料金設定である。公共の宿泊施設は、夏休み、ゴールデンウィークなども低料金で利用できるように、市場メカニズムから離れて低料金を設定し、ひろく国民に利益を提供しているのである。
「かんぽの宿」が料金体系を改め、各種経営努力を注げば赤字が大幅に圧縮されることは当然だ。そのような効率経営を追求することが「民営化」の大義名分のひとつだったのではないか。これらの経営努力をまったく施さないままの収支を前提に資産価値を評価すれば評価価格が低くなるのは火を見るより明らかだ、それで問題なしとするのでは、「民営化」の意味は無いに等しい。意図的に売却基準価格を低く設定していると疑われて仕方が無い。
米国のゼーリック通商代表が竹中平蔵氏に送った信書は2005年8月2日の参議院郵政民営化に関する特別委員会において民主党の櫻井充議員が明らかにしたものである。同日の討議では、竹中平蔵氏から驚くべき発言も示された。2月2日付記事でのリンクが有効でないので、このやり取りについては、回を改めて記述する。
「郵政民営化」を現在の方針通りに進行させることは、「郵政利権化」を実現させることを意味する。「かんぽの宿疑惑」を突破口にして、「郵政利権化」の全貌を明らかにし、国民に不利益を与え、外国資本に不当に利益供与する結果を生み出す「郵政民営化」を根本から見直す必要がある。非効率を温存するのではない。真に国民の利益を尊重する制度「改革」を追求しなければならない。
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