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http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090128/184133/
2009年1月30日
企業に公的資金、でほくそ笑む政治家
利権化する「100年に1度の危機」
杉山 俊幸
選挙 政策 政治 経済 公的資金
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1月26日の月曜日。経済産業省の8階には、自民党や公明党、民主党などの国会議員からの電話がひっきりなしに入った。この階には同省の主要局、経済産業政策局がある。電話は1日で50本を優に超えたという。
「この記事にある政策は、いったいどんなスキームになるんだ」
国会議員らをくぎ付けにしたのは、「一般企業に公的資金、政府が注入制度」という全国紙1面トップの記事だった。
来年度予算が成立する今春にも、解散・総選挙があるとの見方が強まっている。
記事の通りなら、近づく選挙への備えとして地元に戻った時のみやげ話にもなる。支援対象となるのは中堅企業や大企業となりそう。産業ピラミッドの上層部を形成するこれら企業が仮に経営破綻ともなれば、下層部の中小企業の経営を直撃する。こうした事態に対するセーフティーネット(安全網)を作ることで、地元有権者へのアピールができるとの政治家の思惑も渦巻く。
ただその思惑が独り歩きしてしまうと、別の問題を起こす恐れがある。支援を受けた企業がモラルハザード(倫理の欠如)を起こし、引いては日本の競争力を落としかねないという問題である。
公的資金で損失補填
「業績が悪化して、今年3月期に自己資本が毀損することで金融機関から十分な融資を受けられなくなる企業が続出する恐れがある。そうした事態を防ぐことが制度の目的」と同局の幹部は言う。具体的にどんな制度なのか。
自己資本を厚くする必要に迫られた企業は、日本政策投資銀行などからの出資を仰ぐことになる。出資の条件となるのが、産業活力再生特別措置法(産活法)の認定を受けることだ。
制度の肝は、出資を受けた企業が破綻した場合に、政投銀は日本政策金融公庫を通じて公的資金による損失補填をしてもらえるという点にある。最大で1兆5000億円ほどの枠があることを考えると、かつてダイエーやカネボウを扱った産業再生機構が演じた役割と同程度以上のものになる可能性もある。
再生機構の場合は、社長の交代などによって経営責任を明確にした。今回の手法では、そうした縛りはかけない。だからこそモラルハザードが危惧される。
もっとも、政投銀が公庫から受ける損失補填は、出資した額の5〜8割ほどになる見通し。残り2〜5割は政投銀自身のリスクとなるため、舞い込んできた案件を右から左に通すような出資にはならないはず。それでも、「選挙を控えた永田町からの圧力によって、流動的な面がある」と前出の幹部。
「国としてこの企業はぜひ残しておきたい」
モラルハザードを起こさぬようどの程度のタガをはめるかは、2つのことがポイントになる。
改正産活法の運用面では、認定の条件を厳しくする場合の大臣告示がどんな内容になるかが1つ。もう1つは政投銀が制度をどう使うかだ。それは、どんな場合に政策金融公庫から損失補填を受けることができるかという契約内容次第となる。いずれも2月中にまとまる見通しになっている。
この2つの内容が甘ければ、来年3月末までの時限措置ということもあり、我も我もと出資金に群がる企業が出てくることも考え得る。どこで線引きをするのだろう。
二階俊博・経産相によれば、「国としてこの企業はぜひ残しておきたい、そういうところは大いに目安にしていきたい」。ただし、国家にとって必要な企業を定めることはなかなか難しい。
改正金融機能強化法によって地銀など金融機関に公的資金という手を差し伸べ、そして今回は改正産活法で一般企業にも間接的ながら公的資金が入る。永田町で最近多用される「100年に1度の危機だから」。それはすべての免罪符になるのだろうか。それで企業は真に強くなるのだろうか。
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