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http://www.niigata-nippo.co.jp/editorial/index.asp?syasetsuNo=1791
社説
海賊被害対策 泥縄の海自派遣はやめよ
浜田靖一防衛相が海上自衛隊に対してアフリカ、ソマリア沖への出動を準備するよう指示を出した。この海域での海賊被害に対処するのが目的である。
遠洋での海賊対策に海自を派遣するための新たな法律制定が間に合わないため、自衛隊法八二条に基づく海上警備行動として行われる。論理も筋もない場当たり的な派遣であり、到底容認できない。
そもそも海上交通の安全を確保するのは海上保安庁の任務である。ソマリア沖の海賊被害への対処でも、まず海保派遣が検討されてしかるべきだ。ところが、そうした形跡はほとんど見られない。国会の特別委員会で海保長官が答えているぐらいだ。
長官は「保安庁の船艇勢力や能力では派遣は難しい」と述べた。政府が「海自を出す」と腹を固めているときに、国土交通省外局の長官が「別の選択肢もあります」などと言うわけがない。すべて海自派遣ありき、で事を運んできたと考えるのが妥当だろう。
ソマリア沖での海賊被害は昨年は百十一件にも上った。世界貿易に深刻な影を落としているのは間違いない。米国や欧州連合(EU)などは海軍を派遣して自国船舶の護衛に当たらせている。貿易立国を掲げる日本が、何らかの対策を講じるのは当然だ。
浜田防衛相は今回の派遣を「新法ができるまでの応急措置」だと述べる。海外への軍事力展開が応急措置とは恐れ入る。武器使用基準や警護の対象が不明確のままで、不測の事態に対処できると考えているのだろうか。
海賊対策を急ぐなら、なぜ海保の活用を考えないのか。海保の実力は長官が卑下するほど低くはあるまい。
船舶数は世界トップクラスであり、世界最大の巡視船「しきしま」をはじめ、ヘリ搭載型の巡視船は外洋でも十分活動できるし、装備も強力だ。
かつてプルトニウム輸送船を護衛するためフランスにも派遣された「しきしま」は、昨年末には東南アジア海域で対海賊の訓練を商船と合同で行っている。海自より哨戒や洋上監視の能力が劣るとは思えない。
海自を派遣するとしても、自衛官には逮捕や尋問の権限がないため、海上保安官を同乗させるという。木に竹を接いだような部隊が機能するのか。
陸上自衛隊のイラク派遣の際は「陸自が活動しているところが非戦闘地域だ」とする小泉純一郎元首相の珍説が飛び出した。今度は応急措置だ。憲法軽視も極まれりである。
広大な海域で有効な海賊対策を行うには国際協力が不可欠だ。その役割分担として日本は何をなすべきか。こうした議論を脇に置いての海自派遣は拙速の見本といえよう。
[新潟日報1月29日(木)]
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