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2009年1月29日 (木)
「かんぽの宿疑惑」渦(うず)中の日本郵政の実態
「かんぽの宿疑惑」が拡大している。本ブログでは
1月10日「「オリックスーかんぽの宿」疑惑の徹底検証が不可欠」
1月19日「「かんぽの宿」疑惑−竹中平蔵氏の稚拙な反論」
1月22日「「かんぽの宿疑惑」と「小泉竹中政治研究−その金脈と人脈」」
でこの問題を取り上げた。
社会民主党衆議院議員の保坂展人氏がブログでこの問題を取り上げ、国会でも疑惑を追及している。
1月26日記事で保坂氏が明らかにした、「かんぽの宿」入札経過は以下の通りである。(以下の部分は保坂氏のブログからの引用)
2008年4月1日〜15日 譲渡候補先の応募についてホームページで告知(募集要項を配付)
2008年5月15日 入札参加表明応募を締め切り。27社が応募。
(※)27社の内訳大手不動産会社5社 国内投資ファンド3社 ホテル運営会社5社 その他 レストラン運営等4社 海外投資ファンド10社
2008年5月中旬〜6月20日 応募者(27社)について、その信用力、ホテル運営実績等の予備審査を行い、第1次提案参加者を決定(22社)。22社にはかんぽの宿等事業に関する資料を配付。
2008年8月15日 第1次提案を締め切り、7社が応募(15社は辞退)
2008年8月中旬〜8月27日 7社の提案について、取得後の事業戦略、取得価格、従事する社員の取扱い等の審査を行い、3社によるデューディリジェンス実施。
2008年10月31日 第2次提案を締め切り。2社が応募(1社は辞退)
2008年11月上旬〜12月9日 2社の提案について、事業の継続・発展性、譲渡対価、社員の雇用確保等の内容を慎重に審査し、オリックス不動産株式会社を最終審査通過者に決定。
2008年12月中旬〜12月下旬 その後、同社と契約の詳細について交渉。
2008年12月26日 権利義務の包括承継等円滑な譲渡遂行の観点から会社分割(新設分割スキーム)を採用したため、総務大臣認可を条件として12月26日の取締役会決議を経て、オリックス不動産株式会社と株式譲渡契約を締結。
(ここまで引用)
三つの問題を改めて提示しておく。
第一は、ホームページ上の入札公告が、広く国内に入札情報を伝達するのに十分であったのかどうかだ。
第二は、日本郵政がメリルリンチ日本証券とアドバイザリー契約を締結し、メリルリンチ日本証券が「一括譲渡」を「絶対条件」としたというが、この判断が適正であったのかどうかだ。また、メリルリンチとアドバイザリー契約を締結する必要があったのか。
第三は、売却予定の「かんぽの宿」70施設および付帯する9箇所の社宅施設の売却価格として109億円が適正であったのかどうかだ。入札に際して最低落札価格を設定しておく必要があったのではないかという点だ。
日本郵政は第一次入札の応募企業27社に対して予備審査を実施して入札参加資格のある企業を22社に絞り込んだが、実際に入札に参加したのは7社だった。27社が7社に減少した経緯が明らかにされなければならない。
第一次入札企業に対して日本郵政が審査を行い、第2次入札企業を3社に絞込み、最終的に2次入札に参加したのは2社だったとのことだが、この間の経緯も明らかにされなければならない。
民主党が日本郵政に対して求めた資料から、「かんぽの宿」70施設の取得費用は用地代が295億円、建設費が2107億円であることが明らかになった。用地費と建設費だけで2400億円の費用が投入されている。備品代を含めると投入金額はさらに拡大する。また、70施設以外に9箇所の社宅施設が払い下げられる予定だが、こちらは土地の時価評価だけで47億円に達すると見られている。
日本郵政の前身である日本郵政公社が、すでに2006から07年にかけて、建設費約311億円をかけた「かんぽの宿」15箇所を計約13億円で売却したことも明らかにされた。このうち鹿児島県指宿市と鳥取県岩美町の「かんぽの宿」はそれぞれ1万円で売られていた。
1万円売却は明らかに「利権付き売却」である。「郵政民営化」の実態の一端を垣間見せる事例である。
「郵政民営化」の方針に沿って、郵政事業が株式会社形態での運営に移行した。この株式会社の株式が民間に売却され、郵政事業の権限が民間に移行することが「民営化」であるが、現段階では日本郵政の株式は100%政府保有であり、郵政事業は完全な国営事業である。
「民営化」とは何を意味するのか。「民営化」されてしまえば、今回の「かんぽの宿」売却のような「不透明極まりない取引」が、「民間会社の経営権に属すること」として、国民の監視が届かなくなる。現に竹中平蔵氏などは、100%国営の現状においてさえ、保有資産売却は「経営判断」に属することであり、「経営判断に政治が介入することは根本的に誤っている」と嘯(うそぶ)いている。
ここに、「民営化」の真の狙いが露見(ろけん)している。「民営化」は日本国民の貴重な優良資産が、特定の個人や資本の「私的な利益」追求の目的のために蹂躙(じゅうりん)されることを意味する。
幸いなことに、政府が100%の株式を保有している間に、悪事が露見した。2400億円の資金を投入した優良な国民資産が109億円で特定の資本に払い下げられることを、まずは白紙に戻す必要がある。
オリックスの発行済み株式の57.6%は外国人投資家が保有している。オリックスは「外国資本企業」なのである。
日本長期信用銀行が米国の投資ファンドである「リップウッド・ホールディングス」に、たったの10億円で払い下げられたとき、政府はゴールドマン・サックス証券とアドバイザリー契約を結び、ゴールドマンのアドバイスによって長銀をリップルに売却した。
しかし、契約には「瑕疵(かし)担保特約」の毒薬が仕込まれており、日本政府は一番札でないリップルの入れた札を落とした。この問題についての責任処理もなされていない。
そもそも、日本国民の貴重な資産を売却するのに際して、十分な広報活動が行われていないことが問題である。「かんぽの宿」は全国の優良な観光地に立地しており、地元資本に適切な価格で払い下げられれば、それぞれの地域振興に役立てることが可能になる。
「かんぽの宿」事業が赤字というが、原価償却費が高く設定されている面も影響していると考えられ、利用料金の見直しや、業務の効率化を実施すれば、黒字化することは十分に可能であると考えられる。
企業の保養施設を利用して低料金で宿泊サービスを提供する民間事業者も存在する。不動産事業に対する事業資金融資環境が激烈に悪化している環境を踏まえれば、拙速に売却することは合理的でないし、売却物件をいくつかの地域に分割することも検討されるべきである。少なくとも、物件売却情報を広く告知すれば、より多数の優良事業者が入札に名乗りを上げるはずだ。入札情報の告知から応募締め切りまでの期間が短すぎるのが「出来レース」疑惑を裏付けている。
日本郵政が保有する資産は、紛れもない日本国民の共有財産であるとの基本が改めて確認されなければならない。日本郵政が入札経過の詳細な情報を国会や政府に提出しないのは言語道断である。
国会は国政調査権を活用して、詳細情報の全面的な開示を日本郵政に求める必要がある。また、関係者を国会に参考人として招致して、疑わしい点を糾(ただ)す必要がある。
「郵政民営化」全体が外国資本と結託した売国勢力による「利権政策」であったとの重大な疑惑が存在する。「かんぽの宿疑惑」を突破口にして、「郵政民営化利権」の全容を解明し、国民の利益を外国資本に流出させる「郵政民営化」に「待った」をかける必要がある。
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