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2009年1月15日 (木)
渡辺喜美氏第三極の狙いは本格政権交代の阻止
国民は政治の本質の“CHANGE”を求めているのであって、政治権力を私物化する勢力の“CHANGE”を求めているわけではない。
「カナダde日本語」の美爾依さんには、いつもアクセス解析でありがたいご紹介を賜っている。本ブログにおいても「カナダde日本語」様からの逆アクセスは常に多数カウントされている。機会があればアクセス解析を紹介させていただきたい。
小泉政権以降の自公「政」権は
特権「官」僚の「天下り利権」を死守し、
「業」=大資本の利益極大化を追求し、
「外」=外国資本による日本収奪に全面協力してきた。
小泉政権はこうした特定利害関係者の利権維持拡大政策を、「電」波=マスメディアを完全コントロールすることによって推進した。
小泉竹中政治は労働市場の規制緩和を推進した。大企業=資本にとっては、
@労働者の賃金が低く、A労働者をいつでも解雇でき、B労働者に対する福利厚生負担が低く、C法人税負担が低く、D株主と経営者の分配所得が高いこと、が常に望ましい。小泉竹中政治の「改革」政策が、非正規雇用労働者と働く貧困層を激増させ、日本を世界有数の格差社会に変質させる原動力になった。
急激に悪化する日本経済の下で、派遣切り被害者が激増して「年越し派遣村」が設置されたのも、小泉竹中政治の「市場原理主義政策」が基本背景だった。
渡辺喜美氏の自民党離党は、自民党内で権力中枢から「窓際」に追いやられた自民党内「市場原理主義者」の権力回復活動と表裏一体をなしていることを、十分に認識しておくべきである。
麻生政権を早期解散・総選挙に追い込む上では、麻生内閣に造反する与党議員が多数生まれることが望ましい。渡辺氏が主張する「早期の解散総選挙」、「天下り根絶」は正論であるが、民主党は渡辺氏の行動を、警戒感を持って見極めるべきである。
民主党が政権を獲得して、これまでと代わり映えのしない政治を行うのなら、政権交代を実現する意味はない。国民が政権交代に期待するのは、政治の主役を転換し、「利権互助会のための利権政治」を「すべての一般国民を幸福にする政治」に転換することだ。民主党が数合わせの論理に陥り、政権交代を実現しながら現在の自公政権の政治を引き継ぐなら、新政権は瞬く間に支持を失うことになるだろう。
「政官業外電=悪徳ペンタゴン」の「利権追求政治」は
@「市場原理主義」に基づく「資本」による「労働」からの収奪を支援し、「生存権」を保障する「セーフティネット」を破壊して深刻な「格差社会」を生み出し、
A「特権官僚」の天下り利権を死守し、
B「対米隷属」を外交の基本に据えて、外資による「日本収奪」および「郵政民営化」、外貨準備を通じる巨額資本供与を実行、
するものだった。
政権交代によって実現するべき基本政策の方針は、
@「人間尊重主義」に基づいて「セーフティネット」を構築するとともに労働者の生活を防衛する諸制度を確立すること、
A「特権官僚」の「天下り特権の根絶」、
B対米隷属を排して自主独立外交を確立すること、
である。
渡辺喜美氏は安倍政権および福田政権で行革相の職にあった。国家公務員制度改革を取りまとめたのは渡辺氏である。渡辺氏はインタビューで涙を見せる「三文芝居」を演じたが、実現した公務員制度改革は完全な「骨抜き」だった。
マスメディアは渡辺氏を「改革の旗手」として絶賛し、渡辺氏をヒーロー扱いして報道してきた。マスメディアがかつて小泉元首相を不自然に絶賛した手法が再現されている。
これらの諸点について「チラシの裏」様がいつも奥の深い考察を示されている。メディア情報に踊らされることなく、多くの国民が真実を洞察しなければ、世直しは実現しない。真実を見つめる貴重な情報がより多くの国民に行き渡る方法を考えてゆきたいと思う。
渡辺氏が取りまとめた制度改革は「天下りの根絶」ではなく、「天下りの制度的確立」だった。渡辺氏は小泉元首相−中川秀直氏−武部勤氏−小池百合子氏−山本一太氏−竹中平蔵氏などの「小泉一家」と深い関係を有してきているが、この「小泉一家」は「天下り根絶派」ではなく、「天下り温存派」である。
「小泉一家」が財務省の「天下り御三家」をどのように取り扱ったかを見ればすべてが分かる。「天下り御三家」とは、「日本政策投資銀行」、「国際協力銀行」、「日本政策金融公庫」であり、「小泉一家」は財務省の「天下り御三家」への「天下り利権」を完全擁護した。
「脱藩官僚の会」の高橋洋一氏が中川秀直氏や竹中平蔵氏が提唱する政策の起案者と見られるが、高橋氏が「天下り根絶」を目指しているとは考えられない。「小泉一家」は「天下り根絶」を実行できる立場にありながら、終始一貫して「天下り」擁護に回った。
飯島勲氏は著書に「敵を欺くにはまず味方を欺く。これ権謀術数の第一歩と心得よ」と記述したが、高橋洋一氏は財務省と敵対する風を装いながら、財務省利権の温存に動いていると考えられる。
「特権官僚」を根絶するには、第一種国家公務員制度を廃止することが不可欠である。民間企業では多数の入社社員のなかから、入社後の競争によって幹部が登用される。大学卒業時点で将来の幹部職員への登用を約束する第一種国家公務員制度が、不遜(ふそん)で、公僕である本質を忘れ、自分を国家の主権者と勘違いする「特権官僚」を生み出す原因になってきた。渡辺氏は第一種国家公務員制度の廃止も提案しなかった。
渡辺元行革相は、竹中平蔵氏などとともに、郵貯資金での米国金融危機への資金提供、日本における政府系ファンド(SWF)創設、外貨準備による金融危機対応策への資金拠出、などを提言してきた。これらの施策が日本国民に巨大な損失を与える「売国政策」であることは明白である。
日本経済が未曾有(みぞう)の不況に突入し、日本政治の歴史的転換が求められる現在、渡辺氏が基本に据える政策方針は、否定されるべき政策方針そのものである。
こうした基本政策に対する吟味をおろそかにして、民主党が「敵の敵は味方」の単純図式に基づいて渡辺氏との提携による国会での多数派工作に動くなら、民主党の行動も「権力獲得優先の背信行為」と言わざるを得なくなる。
「政官業外電=悪徳ペンタゴン」は、本格的政権交代実現による巨大利権喪失の重大な危機に直面している。麻生政権の誕生により「窓際」に追いやられた「小泉一家=市場原理主義勢力」は、渡辺喜美氏を軸にする新勢力を、利権維持を目的とする次期総選挙に向けての「秘密兵器」として始動させた可能性がある。
「悪徳ペンタゴン」にとっては、大連立でも、新勢力と野党勢力との連立でも、巨大利権を維持できるのなら、何でも構わない。「悪徳ペンタゴン」広報部隊のマスメディアは、渡辺喜美氏をヒーローに祭り上げる過剰報道を実行して、民主党の地すべり勝利阻止に全力を投入し始めたのではないか。
渡辺氏はつい最近まで自公政権中枢で閣僚職にあった人物だ。麻生首相の失態が続く現状において渡辺喜美氏は、本来連帯責任を負うべき立場にある。その渡辺氏を英雄として祭り上げるところに、マスメディアのいかがわしさがある。
景気対策の早期実施、定額給付金の撤回、天下りの根絶、「渡り」の禁止は、すべて民主党が主張してきた政策だ。適正なロジックを辿るなら、マスメディアは政権交代待望論を打ち出すべき局面だ。
「派遣労働の見直し」において、民主党は「資本の論理」から「分配の公正」に明確に舵を切らなければならない。民主党が目先の数の論理に惑わされて「悪徳ペンタゴン」=「市場原理主義者」と手を結ぶことがあれば、日本政治刷新のチャンスは水泡(すいほう)に帰す。渡辺喜美氏の第三極構築に向けての行動が「偽装CHANGE新党」工作である可能性に特段の警戒が求められる。
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