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はたして「18歳以上を成人」で良いのか? 選挙権は、結婚は、刑事罰は?(JANJAN)
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投稿者 そのまんま西 日時 2009 年 1 月 15 日 00:01:08: sypgvaaYz82Hc
 

はたして「18歳以上を成人」で良いのか? 選挙権は、結婚は、刑事罰は?
(JANJAN)中井伸二2009/01/14


成人年齢を18歳へ引き下げる議論があるがいずれにしても来年5月の国民投票法の施行までに選挙権等を18歳で付与するか、現行通り20歳までとするかの法整備が必要。各自どうすべきなのかを考え始めておきたいものである。


 12日は、「成人の日」だった。およそ133万人が、今年の新成人になったそうだ。

 成人の日には成人式なるものが挙行される習わしとなっているが、どうやら太平洋戦争の後に始まったらしい。1946年、埼玉県蕨市(当時は蕨町)で開催された「青年祭」がルーツだそうだ。敗戦直後の混乱期。日本の再建を担う若者たちを励まし、希望を与えることが目的だった。

1949年、政府は1月15日を成人の日と定め(2000年より1月第2月曜日に改定)、以降、全国で「おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます(国民の祝日に関する法律・原文のまま)」ため、「成人の日には成人式」が定着した。     

 ところが、10年ほど前から「荒れる成人式」が報道されるようになると、成人式不要論が目立つようになってきた。新成人たちは、成人式に招かれ参列するも、久しぶりに再会した旧友たちとの尽きない話で夢中になり、まともに式典へ臨まなくなった。つまり、成人式のあいだじゅう、私語や談笑で、式典が立ちゆかないばかりか、こともあろうに会場で暴れ出し、喧嘩沙汰まで起こして逮捕される新成人まで現われる始末。成人式など、全く無駄であるとの指摘に、同調する世論は小さくない。僕も、成人式の必要性を、いまさら感じない。

 ちなみに、28年前の僕自身の成人式へは、会場で配られた記念品を受け取るためにだけ出向いた。参列は、しなかった。いまでも、そのときの記念品(ルーズリーフのバインダー)を大切に使っている。だから、新成人を祝うと言うのなら、記念品だけを取りに来させ、成人式はやらないで構わないと思う。財政難であれば、記念品贈呈すら廃止してしまうのも仕方なかろう。

 ところが、成人式は、なかなか消えて無くならない。なぜなのか。どうやら「成人式ビジネス」への配慮からだと言われる。すなわち、呉服業界、美容業界、化粧品業界、そして写真スタジオなどの業種にとって、成人式シーズンは重要な書き入れ時なのだ。そうした業界・業種からの圧力があって、自治体は易々と成人式廃止へ動けない。如何なものかと感じる。

 そもそも、成人式を祝うという社会感覚があるのは、日本と韓国だけだそうだ。その他の諸外国では、成人年齢に達した若者を祝福する概念そのものがない。確かに、日本には古来、小正月(1月15日)に元服式が行われ、子どもから大人になったことを祝う習慣があったとは言え、通過儀礼としての意味合いなど、現在の成人式では、すっかり色褪せているのだから、そこで伝統主義を持ち出して擁護するのも妙な話だ。


 ときどき、日本における成人年齢を、20歳から18歳へ引き下げてはどうかといった議論が起こる。切っ掛けは、2007年に成立した「日本国憲法の改正手続に関する法律」(いわゆる「国民投票法」)で、国民投票の有権者年齢を18歳以上と定めたことにある。

 国民投票法の施行(2010年5月)までに18歳〜19歳の若者が国政選挙に参加できるよう、公職選挙法や(成人年齢を定める)民法などに検討を加え、必要な法整備を図らなくてはならないと、同法律の付則で規定されたのだ。ただし、法整備が図られるまで、国民投票の有権者年齢は20歳以上とされる。


 つまり、選挙権を18歳で付与するか、それとも現行通り20歳までとするかを、あと一年あまりのあいだに結論づけなくてはならないのだが、それなら成人年齢をどうするか、さらに、あわせて婚姻適齢や刑事手続において少年として扱う年齢を何歳までにするかなど、検討しなくてはならない問題がいろいろとある。

 切っ掛けとなった選挙権年齢について考えると、20歳から18歳へ引き下げることの狙いは、若者層が政治に関心を抱き、政治参加するようになる可能性だと考えられる。だが、2009年の新成人を対象としたインターネットリサーチ(2009年1月7日/株式会社マクロミル)によれば、20歳になって嬉しいと思うことは何かとの問いに、55・8%の新成人が「お酒が飲めること」、29・5%が「選挙で投票できること」などと回答している(複数回答)。選挙権への関心は、飲酒の半分程度しかないのである。

 国民投票法は、憲法を改正するための国民投票の要件を定めた法律だ。そこで、国民投票の有権者年齢を18歳以上に引き下げようとする狙いは、18歳〜19歳の若者層の世論が「憲法(9条)改正容認」に傾いていると判断されるからだといった意見を目にすることがあった。では、本当にそうなのか。

 保守派/改憲派の平沼赳夫・元経済産業大臣(衆議院議員)は、日本会議設立5周年に寄せて「今やどこの世論調査を見ても憲法改正を支持する国民は過半数に及び、特に20代、30代という若い世代に改正論が多いことに勇気づけられます」と述べている(2002年)。

 ところが、毎日新聞の世論調査(2005年)によれば、20歳代の約7割が9条改正に反対しており、30歳代〜70歳代以上の各世代で、反対が約6割だったのと比べると、若者ほど9条の改正に慎重だと言える。

 中国新聞によれば、「年代別では20歳代で、(9条改正は)『必要ない』が41・3%、『必要』は19・7%。若年層ほど9条改正は不要との認識が強い」と分析されている(2007年)。


 これからも移ろい行くであろう世論を考えると、若者だから9条改正を是とすると断定することはできず、18歳へ選挙権年齢を引き下げる狙いが、単に9条改正を有利に運ぶことにあると言ってしまうのは、短絡的かも知れない。


 仮に、9条が改正され徴兵制が敷かれるとして、真っ先に戦場へ送られるのは若者たちであろうことを想えば、むしろ9条改正に大反対する年齢層こそ18歳〜19歳だとも言える。それとも保守派/改憲派は、今後の「若者たちの教育という名の洗脳」に自信を持っているのだろうか。

 もう一つ、選挙権年齢や成人年齢を引き下げようと考える人たちの主張には、諸外国では「18歳で成人/選挙権付与が主流だから」という論拠があるようだ。

 では、実際にどうなのか。主要国のデータを比較してみる。

 *イギリス

  義務教育終了 16歳
  選挙権年齢  18歳(選挙権年齢を16歳に引き下げる議論が活発)
  成人年齢   18歳
  婚姻適齢   16歳
  刑事手続での少年扱い年齢 18歳以下

 *アメリカ(州ごとに異なる)

  義務教育終了 16歳(30州) 17歳(11州) 18歳(9州)
  選挙権年齢  18歳
  成人年齢   18歳(45州)
  婚姻適齢   18歳(47州)
  刑事手続での少年扱い年齢 17歳以下(37州)

 *ドイツ

  義務教育終了 16歳
  選挙権年齢  18歳(一部の州では地方の選挙権年齢が16歳)
  成人年齢   18歳
  婚姻適齢   18歳
  刑事手続での少年扱い年齢 17歳以下

 *フランス

  義務教育終了 16歳
  選挙権年齢  18歳
  成人年齢   18歳
  婚姻適齢   18歳
  刑事手続での少年扱い年齢 17歳以下

 *イタリア

  義務教育終了 18歳
  選挙権年齢  18歳(上院の選挙権年齢は25歳)
  成人年齢   18歳
  婚姻適齢   18歳
  刑事手続での少年扱い年齢 17歳以下

 *カナダ

  義務教育終了 16歳
  選挙権年齢  18歳
  成人年齢   18歳(6州) 19歳(4州及び3準州)
  婚姻適齢   18歳(6州) 19歳(4州及び3準州)
  刑事手続での少年扱い年齢 17歳以下

 *ニュージーランド

  義務教育終了 17歳〜18歳
  選挙権年齢  18歳
  成人年齢   20歳(個別法で成人年齢を18歳とするケースが多い)
  婚姻適齢   16歳
  刑事手続での少年扱い年齢 17歳以下

 *ロシア

  義務教育終了 15歳
  選挙権年齢  18歳
  成人年齢   18歳
  婚姻適齢   18歳
  刑事手続での少年扱い年齢 17歳以下

 *韓国

  義務教育終了 15歳
  選挙権年齢  19歳
  成人年齢   20歳
  婚姻適齢   18歳
  刑事手続での少年扱い年齢 19歳以下

 *中国

  義務教育終了 15歳
  選挙権年齢  18歳
  成人年齢   18歳
  婚姻適齢   男22歳 女20歳
  刑事手続での少年扱い年齢 17歳以下

 *日本

  義務教育終了 15歳
  選挙権年齢  20歳
  成人年齢   20歳
  婚姻適齢   男18歳、女16歳
  刑事手続での少年扱い年齢 19歳以下

 成人式のマナーさえ守れない日本の20歳を考えるとき、さらに2歳も若い18歳を成人として、飲酒・喫煙・ギャンブルまで公認して良いものかと疑問が湧く。

 選挙権について、「これを敢えて18歳以上に与えることで、責任感や政治への関心を喚起する」といった説明に、一定の説得力があることは認めたい。

 婚姻適齢には、男女差別が敷かれているが、これで良いのだろうか。もし揃えるとすれば、18歳となるのだろうが、女性はこれまでより2歳引き上げられることになる。異論は起こらないだろうか。

 刑事手続での少年扱い年齢について、犯罪者年齢の低下傾向を考えると、19歳以下を少年と見なす現状には反論が尽きないだろう。しかし、前途ある少年の更生をどう捉えたら良いのか、悩ましいところである。


 斯くの如く、難題を多く孕んでいる「年齢問題」だが、来年の5月までに結論を出さなくてはならないとあれば、そろそろ、しっかりとした国民的議論を始めたほうが良いとも思われる。とは言え、如何せん、いまの政治状況では、次の衆議院議員総選挙の後で―――ということになるのは必定だ。いずれにせよ、各自、どうすべきなのかを考え始めておきたいものである。


http://www.news.janjan.jp/culture/0901/0901125238/1.php  

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