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8日、国連安保理はガザでの即時停戦とイスラエル軍の完全撤退を求める決議を採択した。米国は棄権した。ライス米国務長官は同日、「棄権はしたが、米国は決議の内容は支持している」(ロイター)と述べて、「棄権」の選択は、「エジプトによる仲裁の結果を見極めるため」と説明した。(JCJふらっしゅ:Y記者のニュースの検証) イスラエルのオルメルト首相は9日、この国連決議について「機能しない」と断じ、「イスラエル市民を守るため軍事行動を続行する」と表明した。機能しないとの理由として、9日朝のパレスチナからのロケット弾による攻撃を挙げた。水掛けであり、泥仕合の様相であり、難癖のようにも思えてくる。なぜなら、米大統領選の直後から、イスラエル政府の強硬発言が目立ちはじめており、それはイラク戦争遂行におけるブッシュ政権の種々の権力乱用を訴追する動きを封じ込めようとする狙いをもつものと私は感じていたからだ。 それが時間がたつにつれてエスカレートし、昨年12月27日にイスラエルは空爆を開始、そして3日夜(日本時間4日未明)にガザ北部に侵入して地上戦へと突入した。ブッシュの戦争を讃え、正当化し、米国民だけでなく世界市民が求めるブッシュの戦争犯罪追及の声をおさえつけて、無事にブッシュ退任の道を切り開く。あからさまなブッシュ政権のイスラエル擁護の発言、国連安保理の即時停戦とイスラエル軍の完全撤退を求める決議への反対、そして棄権への推移は、イスラエルの今回の攻撃とブッシュ政権の「関係」を世界に気取らせないための、微妙かつ巧妙なシナリオなのではないか、との疑念を私は依然抱いている。 ハマスはまんまとそのわなにはめられたのではないか。 こうした状況を受けて10日、ロンドンで、パリで、ワシントンで、コペンハーゲンで―世界各地で数千― 数万人規模のイスラエル軍のガザ攻撃に対する抗議デモが繰り広げられた。 11日にはオバマ次期米大統領が、就任初日の20日から直ちに最良の人材で中東和平プロセスに取り組めるよう人事を行っているとABCテレビで発言、イスラエルとパレスチナの双方の希望に沿える戦略的アプローチを策定したいとの考えを明らかにし、中東和平の取り組みを強化する意向を表明した。 一方退任間近のブッシュ大統領は、12日、ホワイトハウスでの最後の記者会見で、2つの戦争と1930年代以来といわれる経済危機を引き起こした自らの政権について、米国の安全を保つとともに自由を拡大するために行動したと開き直った。ガザでの戦闘については、「永続的な停戦が実現するには、イスラム原理主義組織ハマスがイスラエルに対するロケット弾攻撃を中止する必要がある」と語ってはばからない。しかけておいて反撃させ、民衆もろとも一気に叩き潰す。そのやり方でアフガンも、イラクも泥沼化し、ついにはその余波で米国も世界もどん底に叩き落されたことをもうお忘れか。その責任は、あくまで自分にはないと言い張るのか。 会見では「大統領は、米国の世界的な名声をおとしめたのでは」との質問が出たが、ブッシュ氏はそれには「まったく同意できない」と述べて強く否定、大統領として最低の支持率を記録したことは無視する態度を示している。やはりこの政権、2期目の中間選挙を終えた時点で弾劾すべきだったのだ。ブッシュ氏の居直りは「弾劾」「訴追」逃れを目的にしているように私には感じられてならない。12日にホワイトハウスでの最後の記者会見を終えた同氏は、15日夜に国民に向けたお別れの演説を予定している。 ロイター通信によると、イスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は、先月27日のイスラエル軍の攻撃開始以来908人、負傷者は約3600人に上る。AFPは、死者が905人とされた段階でそのうち少なくとも227人が子どもだと伝えている。AFPはパレスチナの医療関係者の話として、負傷者数を3950人に上ると報じている。 また、ガザ市内のナセル病院の医師によると、11日早朝にイスラエル軍は白リン砲弾を発射し、この攻撃で少なくとも55人が負傷したという。「患者のやけどは、白リン砲弾でしかありえない焼け方をしている」(AFP)と語っている。白リン砲弾の民間人に対する使用は国際法で禁じられている。 イスラエル軍報道官は、「わが軍が使用しているものはすべて国際法にのっとっている」(同)として、白リン砲弾の使用を否定している。イスラエル軍報道官は11日夜、ガザでの地上作戦に、従来の兵力に加えて数千人の予備役を初めて派遣したことを明らかにし、ハマスに大打撃を与えたとして「目標達成は極めて近い」との認識を表明している。 一方ハマスは、11日までエジプトに代表団を送って同国の調停案を協議、エジプトの調停案について「満足ではないが、検討する用意はある」(中東のテレビ)として拒否せずに協議を続ける姿勢を示した。 米国のユダヤ人社会はどうなのだろうか。 AIPACのロビー活動が米国の外交政策を大きく左右している。それを「イスラエルの右派政党リクード(Likud)を無条件に支援している」と批判した一冊の本『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策(The Israel Lobby and US Foreign Policy)』(2006.3、共著:スティーブン・ウォルト、ジョン・ミアシャイマー)の影響についても触れている。 『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』1 、2 この本が、米ユダヤ人社会の中でAIPACの強硬姿勢を見直す機運を生むきっかけとなり、2008年に平和主義の目標を守る革新派のユダヤ人らによるロビー団体「Jストリート」誕生へとつながる。Jストリートは、イスラエルが12月27日にガザへの空爆を開始した直後に、即時停戦を求める署名集めを開始したという。 同団体の事務局長のジェレミー・ベンアミ氏は、ウェブサイトに「われわれはイスラエルとのつながりを大事にし、イスラエルの治安と市民の安全に真剣に取り組んでいる。しかし米国人として、またイスラエルの友人、そして支援者として、現在ガザで進められている軍事作戦の続行が米国、イスラエル双方にとって最大の利益になるとは思わない」と書いた。 『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』の著者の一人であるウォルト氏は、今回のイスラエルのガザ攻撃へのブッシュ政権の対応について、「われわれ(米国)にとってもイスラエルにとっても、『親イスラエル』という言葉の定義を見直すのは、早ければ早いほど良い。言うまでもなく、それはパレスチナ人にとってもずっと有益だ」(AFP)として強く批判しているという。 イスラエル政府が、ブッシュ退陣を機に放った祝砲はガザ市民と子どもたちの命を大量に奪った。これを許さない声が、いわば「非国民」あつかいされる恐怖を乗り越えて、米国のユダヤ人社会でも広がっているという事実。世界がブッシュ政権とそのパートナーたちの戦争犯罪を告発して立ち上がり、平和と共存を志向する地球社会の形成に向けて力強く動き出している事実。 アフガニスタン、イラク、ガザ――。顔も声も身体もあった戦争の犠牲者たちの名前を私たちは永遠に忘れないように刻み込んでいくときではないかと思う。私利私欲に溺れ、人の命を奪うことに慣れてしまっている人間たちこそ貧愚下賤の者たちではないのか。最も貧困なのは彼らたちではないのか。日本社会でいえば、ブッシュの弱肉強食・戦争路線に追従した小泉はじめ自公政権の面々こそ、最も世界に恥ずべき貧困なる者たちと名づけられるべきではないのか。 麻生内閣の不支持率がさらに上昇している。支持率は20%を切り、7割の人が不支持を明確に表明している。麻生氏が組閣冒頭総選挙実施を取りやめ、人気取り、票かせぎのために打ち出したはずの総額2兆円の「定額給付金」への批判もいよいよ強まっている。 その場しのぎの「小銭」で責任を回避しようなどとは、もってのほかであると、完全にその動機と狙いのセコさ、醜悪さ、精神の貧困ぶりを国民に見抜かれているのだ。麻生氏は「途中で投げ出すようなことはしない」と、政権投げ出しを否定しているようだが、そういう個人的な問題ではないのである。個人的な面子や対面、自身の個人的な心構えを問われているわけではないのである。 矜持があるのならば、即刻退陣を決断しているはずだ。政治家としての矜持などもたず、個人的な思い込みだけで政治を担えると思い込んできた自公与党の面々は、自分たちがブッシュの仲間なのか、ブッシュにシンパシーを感じているのか、それとも違うのかをもう一度ここではっきりさせるべきだ。 これまでブッシュの戦争を擁護し、追従してきたことははっきりしている。その路線に沿った弱肉強食の経済社会構築にいそしんできたこともはっきりしている。それにたいして国民からはっきりと「ノー」を突きつけられているのだ。それでも総選挙はやらない、途中で投げ出さないなどと的の外れたことをいっているのである。 とんでもない時間と財政の無駄を自分たちが垂れ流していることに、なぜ気づかないのか。なぜ政治家として税金から俸給をいただいているのに、その責任をとらずに、自己保身にこりかたまっていられるのか。本来は自分たちに向けて発っせられるべき「自己責任論」を国民に押し付けてきた彼らであるにもかかわらず、少しも自分たちの責任を果たそうとしないではないか。 朝日新聞によると、共産、社民、国民新の3党は8日の協議で、派遣労働が原則自由化された99年の改正より前の時点まで派遣法を戻すという基本的立場を確認した。共産、社民、国民新の3党が、限られた業種以外は登録型派遣を原則として禁止する案で一致したことで、野党の労働者派遣法の改正をめぐる調整が与野党双方で本格化してきたことが報じられている。 北海道新聞は10日付の社説「労働者派遣法 使い捨て許さぬ改正を」で、<企業に「働かせ方の自由」はあっても、労働者からは「働く自由」が奪われている>と指摘、「法による何らかの規制が必要なのは明らかだ」として、「小泉改革の下で製造業派遣を解禁した政治には、非正規の苦境に対する責任がある」と与党に責任を果たすよう求め、与野党に「労働の現場に目を向け、安心して働ける環境づくりを急がねばならない」と提言した。 「非正規の苦境」については、労働組合の連合・全労連・全労協が路線の壁を超えて結束して取り組んだ「年越し派遣村」の件がある。これについて毎日新聞が<読む政治:官邸動かした派遣村>と題してすでに連続4回のレポートを掲載している。 「失職と同時に人間の生存基盤までも脅かす経済危機の深刻さが、具体的な姿となって都心に表れ、与野党の議員と政府を突き動かした」(毎日新聞)、「年越し派遣村」の取り組み。村長をつとめたNPO「自立生活サポートセンターもやい」の湯浅誠事務局長は、「労組と市民が手を組んで行動を起こしたことに意味があった。次につなげたい」と話している。 朝日新聞の12日付「脱ホームレス、10年ぶりの家 札幌・雑誌販売でお金貯め」の記事、岐阜新聞12日付「失業外国人に相談窓口 美濃加茂市のNPO」の記事など、実にタイムリーな取材が続いている。12日の成人式で新成人にアンケートを実施、憲法九条について「守るべきだ」が8割、派遣切りや内定取り消しについて「いままで使ってきた人を、いらなくなったらポイと捨てる企業は信用できません。内定取り消しのニュースを見ると自分の将来も不安になります」との声を紹介したしんぶん赤旗の「9条守れ 消費増税なら経済破たん 派遣切りおかしい」の記事もよかった。 いずれも長い記事ではないが、記者やデスクのセンスが光を放っている。 もやいも、年越し派遣村も、そして派遣に限らず広がるホームレス状況に<貧困・ホームレス問題は社会的「災害」!>とするビッグイッシューも、日本の未来を救ういま最重要の緊急課題に取り組んでいる。 戦争と貧困で始まった21世紀を、いかに平和と共生の世紀へと変えていくか。 ブッシュの退陣を実弾入りの祝砲で盛大に祝ったイスラエル政府について、世界は今後どのような判断を下していくことになるだろうか。米国市民は、ブッシュ政権とイスラエルの蛮行についてどのように裁いていくのだろうか。そして日本社会は、そのブッシュ政権の極度に貧困かつ下賤で野蛮、残虐な路線に屈従してきた自公連立政治に対して、どのように決着させていけばよいのだろうか。 (JCJふらっしゅ:Y記者のニュースの検証=小鷲順造) |
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