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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2009011302000096.html
被害者参加裁判 慎重な運用を求める
2009年1月13日
犯罪の被害者や遺族が法廷に立つ裁判が今月中にも始まる。被告に質問したり、検察官の求刑に意見を述べることもできる。法廷が報復感情に支配されぬよう、慎重を期した運用が求められよう。
刑事裁判では、検察官と被告が当事者で、犯罪被害者や遺族からは「司法から見捨てられてきた」などの不満があった。被害者参加制度は先月からスタートし、実際の法廷では今月末にも動きだす。殺人や傷害致死などの重大事件や事故に適用される。
法廷で被害者らは、被告に質問できるうえ、検察官の論告求刑の後、量刑に関する意見陳述などもできる。事実上の被害者による“求刑”と同然といえよう。
被害者や遺族の心の痛みは十分に理解できる。悲しみの気持ちを訴えかけることで、被告が反省の念を強くし、立ち直る契機にもなることがあろう。
ただし、法廷が被害者の憎悪むき出しの「報復の場」にならないか。懸念されるのは、そのような指摘が、法曹界に広く存在することである。
「無罪推定」の原則がある。法廷での被告は、犯人ではない。否認事件で被害者の参加を認めていいか、その判断にも慎重さと厳格さを求めたい。
一昨年の富山での冤罪(えんざい)事件では、逮捕時に否認していた被告が、自白に転じ、公判でも罪を認めた。服役後に真犯人が見つかり、無実と分かった。そんなケースがあることも念頭に置きたい。
とくに今年からは裁判員制度が始まる。犯罪被害者の参加が、裁判員の判断にどう影響するかも注視する必要がある。
被害者の意見が、被告に不利に働かないか。被害者が検察官より重い刑を求めた場合、裁判員が心を揺さぶられ、適正な量刑判断がなされない危うさはないか。
新制度に対して、異議を唱える被害者もいる。感情に支配されぬ公平な裁判でなくてはいけない。
慎重運用とともに、検証作業も欠かせない。問題点が浮上すれば、是正策も考えるべきだ。
被害者の救済には、誰も異論はないはずだ。実際に犯罪被害者等基本計画に基づき、遺族給付金を引き上げるなど、さまざまな施策が展開されている。
だが、「犯罪被害者白書」によれば、市区町村の八割が被害者からの相談窓口などを設置していないのが現状だ。苦しみの声に応える支援策を充実させてほしい。
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