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http://blog.tatsuru.com/2009/02/14_1010.php
小泉首相の「わらっちゃう発言」によって自民党のメルトダウンが始まっている。
それにつけても、麻生政権は「もう末期」と昨秋から言われながら、なかなか倒壊する気配がない。
これはいったいどういうことであろう。
代議士たちも自身の選挙の当落についての個人的危機感はずいぶんと高いようだけれど、そのわりには政治家たちの表情にあまり「国難」を前にした危機感が見られない。
「どうしてなんでしょう」と訊かれたので、あまり考えずについ「その方が投票率が下がるからじゃないの」と答えた。
答えてから、なるほどそうかもしれないと思った。
その理路について書きたい。
支持率が20%を切った麻生政権下で迎えるにせよ、あるいは麻生退陣後の「選挙管理内閣」で迎えるにせよ、総選挙における自民党の大敗は避けがたい。
だから、現在の自民党執行部の脳裏を占めている喫緊の政策的課題は、「どうやって選挙に勝つか」ではなく、「どうやって『負け幅』を減らすか」である。
とりあえず自民党選対委員長の古賀誠はそう考えているはずである。
だが、どう見ても、このあと、内閣支持率を一気にV字回復させるような起死回生の政策を自公政権が起案できるとは考えられない。
となると待つのは「敵失」だけである。
民主党内の内紛、執行部の失言やスキャンダルを自民党としては必死に念じているのだが、それは先方も承知している。
だから、W杯イタリアチームの「カテナチオ」ばりの超守備的布陣で、とにかく「無失点」で総選挙に突入することに全力をかけている。
このままゆけば選挙での自民党の大敗は目に見えているのだから、リスクの高い攻撃を仕掛けることはない。
そこで、窮した自民党が最後にすがったのが、「投票率を下げる」という方法であった、というのが私の見方である。
ご存じの通り、「投票率が下がる」とまず都市部の浮動票が消える。
民主党の「大勝」があるとすれば、それはこの浮動票が雪崩打って民主党候補に流れることによってもたらされることは間違いない。
これを防ぐためのもっとも効果的な方法は、都市部の浮動票(「支持政党なし」層)に「投票なんか、する気にもなれない」というくらいに政治に対する倦厭感を募らせることである。
「支持政党なし」層が大挙して棄権を選択すれば、公明党の手堅い組織票に支えられて、「首の皮一枚」で当選を果たす自民党候補が増えるであろう。
自民の「負け幅」はこれで縮めることができる。
そのことが日本国民の政治意識にどのような傷を残すかということは、とりあえず脇に置いて、選挙での当落だけに的を絞れば、「政治に対する倦厭感を募らせ、組織票を生かす」というのは、合理的な選択である。
こうなったら麻生でいけるところまで行こう。
仮に支持率が10%を切っても、就任以来ずっと「政権末期」の数字なのだから、特段危機感を持つ必要もない。
最後まで麻生で行こうとも、どたばた騒ぎの中で、誰かがワンポイントリリーフに立とうとも、「猿芝居」だとメディアに叩かれることに変わりはない。
夏が来る頃には日本国民は低レベルの政争と政治家たちのあまりの無為と無能に心底うんざりして、投票する気にさえなれないほど政治に絶望しているであろう。
そうなれば、あまり負けないで済む。
この「投票率を下げる」策は選挙戦術的には合理的判断だと思う。
現に、前回2007年の参院選挙のときには投票時間の繰り上げが全国30%の投票所で実施された。
開票を早めるために投票を早く締め切るというのが総務省の説明だった。
開票結果を早く知ることと投票率を上げることのどちらが民主主義にとって優先順位の高い課題かは問うまでもあるまいが。
このときも、選挙期間中から「投票率が上がると自民党大敗」とメディアは繰り返し告知していた。
ほとんど国民的理解が得られていないにもかかわらず、定額給付金に自公政権が固執する理由も、そう考えると得心がゆく。
それが「政治に対する失望」(投票率の低下)と「公明党の組織的引き締め」を同時的にもたらすからである。
「国民が政治に関心を失うことを切望する政権」が私たちの国では国政を担当し、引き続き担当することに強い意欲を示している。
不思議な民主国家だ。
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