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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu183.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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本来、労働者派遣とは、必要なところに必要なだけ労働力を配置する
ために、特別に認められた制度である。賃金カットの手段ではない。
2009年1月11日 日曜日
◆派遣労働、新たな法整備着手で与党が合意 1月10日 読売新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090110-00000004-yom-pol
与党「新雇用対策プロジェクトチーム」座長の自民党の川崎二郎氏、公明党の坂口力氏が9日、国会内で会談し、15日にも同チームの会合を開き、派遣労働者の待遇改善のための新たな法整備に向け、具体的作業に着手することで合意した。
法整備は、派遣労働者の保護や派遣業の規制強化が柱。派遣労働に関する厚労省の指針を法律に「格上げ」するもので、派遣先企業が契約を中途解除した場合、〈1〉派遣元企業へ一定期間の賃金相当額を賠償〈2〉派遣労働者に再就職をあっせん−−を義務付けることなどを検討する。
また、派遣元企業が受け取る手数料割合の上限を設定することを検討し、派遣労働者の賃金アップにつなげたい考えだ。
手数料割合は、3割を軸に調整する方向だ。悪質な派遣元企業を排除するため、派遣業への参入制限を設けることも検討課題とする。
◆与党PTの派遣法改正案について 2008年7月3日 NPO POSSE
http://blog.goo.ne.jp/posse_blog/e/ec331d872500a519a8aa4bfebe07d5b0
7月2日、朝日新聞は与党プロジェクトチームが派遣法改正案をまとめたと報道した。その主要な内容は以下の三点だ。
(1)日雇い派遣については、通訳など専門性の高い業務を除いて原則的に禁止
(2)派遣会社に手数料(マージン)の開示を義務化
(3)特定企業だけに労働者を派遣する「専ら派遣」についての規制強化
この合意をもとに、与党案を正式決定するという。
正式な資料を見たかったので、とりあえず自民党に電話をかけてみたが、8日に正式な検討を行うので現在の所詳しい資料などを示すことはできないとのことだった。8日の夕方には正式な資料が公開されるらしい。したがって現在はこの新聞による断片的資料を検討するしかない。それぞれ何を意味しているのかを見ていこう。
○内容の概観
(1)日雇い派遣については、通訳など専門性の高い業務を除いて原則的に禁止
これは、昨年話題になった「ネットカフェ難民」の温床とされる、携帯電話で呼び出されて一日限りで行われる派遣を禁止しようというものだ。主としてこれまでグッドウィルやフルキャストが行ってきた。それらの会社は今ではかなり悪名高くなってしまっている。ただ、一日限りの通訳など、仕事が高度で一日限り使うことが適しているものについては例外的に今後も残していこうという話である。
(2)派遣会社に手数料(マージン)の開示を義務化
次に、手数料の開示。「マージン率」について規制しようということだ。まずは下の式を見て欲しい。派遣社員の賃金はこのように計算できる。
派遣社員の賃金=派遣料(派遣先から派遣会社に支払われる)−派遣手数料(派遣会社の利益)
これをみるとわかるように、派遣社員の賃金は手数料が多くなればなるほど低くなってしまう。だからどのくらい中間で手数料を取られているのかを明らかにすれば、賃金が上がるということのようだ。
(3)特定企業だけに労働者を派遣する「専ら派遣」についての規制強化、などについて合意した。
最後に「専ら派遣」の規制強化について。「労働者派遣業」の趣旨は、必要なとき必要な場所に必要な人材を配置し、経済効率をあげることにある。だから、長く働き続ける労働者は、本来直接雇用(正社員や契約社員、期間工)で雇うべきなのである。特別な事情で短い間しか雇わないような仕事で変動が激しいため長期間同じ人を雇うことに適さない場合に対してしか、派遣されるべきではないというのが基本原則なのだ。
*(本来有期雇用にもこうした原則が適用されるべきなのだが、ここでは割愛する)
したがって、一つの派遣会社が同じ派遣先会社だけに派遣することは禁止されている。それだったら、変動に対応していろいろなところに派遣して経済効率を上げる、という派遣本来の趣旨と矛盾するからだ。7月3日の読売新聞の記事も読んでみたが、今回はこの規制を進めて、グループ企業だけに派遣する会社も規制することを意図しているようである。
○何が問題か
それぞれの改正内容の問題についてみていこう。
(1)日雇い派遣については、通訳など専門性の高い業務を除いて原則的に禁止
日雇い派遣は派遣業の一部であり、これを禁止するだけでは派遣全体の問題に切り込むことができない。例えば、先日秋葉原で殺傷事件を起こした加藤容疑者について、派遣の不安定な雇用環境が犯行の引き金になったのではないかとの議論がある。実際厚生労働大臣の桝添氏も、そうした認識から派遣法改正を急いでいるように見える。にもかかわらず、加藤容疑者のような派遣労働者はこの規制の対象には全く入ってこない。日雇い派遣も当然多くの問題を持っているが、それはあくまでも派遣問題の一部なのである。むしろ今回の改正で日雇いをやり玉にあげることによって、問題の全体が見えなくなる恐れがあるのだ。(わざと、それを狙ってこれを出しているのかも知れないが)
労働者派遣は、99年まで原則として禁止されてきた。通訳など一部の高度な専門職に限り「例外的に」容認されてきたに過ぎないのだ。そうした専門的な職種以外で派遣労働が蔓延すると、低賃金や不安定化(クビが切られやすくなる)などさまざまな弊害が起こると危惧されていたからだ。
*(なぜ日本の派遣法ではこうした低賃金と不安定が起こるのか。その理由は同一価値労働同一賃金原則の不在と、登録型派遣の容認の二点なのだが、これについてはまた稿を改めて論じたいと思う)
しかし、財界の要求99年以降あらゆる業種に派遣することが認められてしまう。製造業について認められるようになったのは04年以降である。現在では加藤容疑者のいたような製造業の他、公務員や看護師、保育士、調理師、美容師、さらには高校の教師にまで広がっている。こうして広がった業種全般に、派遣による低賃金・不安定化は浸透しているのだ。こうした中で日雇い(特に物流業界などに広がっている)だけに焦点をあてて規制するだけでは、到底不十分であることは明らかだろう。
(2)派遣会社に手数料(マージン)の開示を義務化
次に、マージン率の規制はどうか。確かにマージン率を明らかにすれば、派遣会社が不当に利益を得ている場合発覚しやすくなるだろう。しかし、現実にそれが賃金状況を改善するための手段として、どれだけ役に立つのだろうか。
派遣会社は当然、派遣するべき派遣社員を獲得するための競争をしている。賃金が高ければ高いほど、若くてまじめな社員を獲得できる。だから派遣会社同士の競争圧力で、ある程度マージン率は下がっていく仕組みになっているのだ。今回の規制をかければ、こうした競争がさらに激しくなるだろう。それは確かに賃金の改善に役立つ。しかし、前半で出した式をもう一度見て欲しい。
派遣社員の賃金=派遣料(派遣先から派遣会社に支払われる)−派遣手数料(派遣会社の利益)
派遣社員の賃金は、派遣料から手数料が引かれた額に等しい。この式では、いくら手数料つまりマージンが減ったとしても、元々の派遣料が低ければ絶対に賃金は上がらないのである。今回の改正でも、実際のユーザーである派遣先企業の派遣料金つまり派遣社員の賃金の大元には、直接影響しないのだ。
さまざまな情報から鑑みるに、製造業の場合派遣料金はおおよそ非正規雇用で社員を雇った場合(期間工)の賃金と同じ水準らしい。それ以上の額だとあまりコストカットにならないからだ。したがって、例えば直接雇用の期間工の賃金が時給1500円で、派遣社員の賃金が1100だとすると、おおよそ差額の400円ほどがマージンになっている可能性が高い。この400円が派遣会社に入り、派遣会社者それを資金に募集の広告費や事務職の賃金などをまかなっているのである。派遣会社の資金はこの派遣料から引いたマージンなのだから、企業が払う社員の年金・雇用保険などの費用などもすべて派遣料から支払われている。派遣料金がユーザー企業の期間工と同水準ということを前提にすると、派遣社員はその賃金から、会社の分の保険料や会社の募集費用まで支払っていることになる。
したがって、マージン率の規制や明示は必要だとしても、派遣料金が派遣先の社員の賃金よりも高くならなければ、おのずと格差や低賃金は生じるのである。
海外の規制!
ヨーロッパでは派遣先つまりユーザー企業の社員と派遣社員の賃金に格差がつくことを禁止している。そうするとどうなるか。派遣料金はかならず派遣先社員の賃金よりも高い水準になるのである。このように、単に派遣会社のマージン率を規制するだけではなく、派遣先企業をも射程にいれた規制を行わないことには、状況の改善は図られない。
(3)特定企業だけに労働者を派遣する「専ら派遣」についての規制強化
この点については、労働者派遣業の趣旨からいえば当然の措置といえよう。むしろこれまでグループへの専ら派遣の横行が容認されてきたことの方が異常である。
○終わりに
大分長々とみてきたが、このように派遣法改正案の内容は極めて不十分である。本当に意味のある改正をしなければならない。そのためには現実を描き出し、そしてそれを主張していくための社会的な力が必要だ。独りではこの流れは変えられない。公正を求める社会的な力が弱いからこそ、中身のない改正案が平気で出される。NPOやユニオンが連携して公正を目指す法改正が実現していかなければならない。
*7月25日「各党トップに聴く〜希望ある派遣法抜本改正を臨時国会で実現しよう!〜」
主催:格差是正と派遣法改正を実現する連絡会
→http://haken-net.or.jp/
*ヨーロッパ型規制についての補足
派遣先の社員の賃金と派遣社員の賃金が同一になるように規制すべきである。
このように書くと、「派遣先のユーザー企業にとってはコストカットが派遣活用のメリットなのだから、派遣料金規制を行うとユーザーは派遣を使わなくなり、失業率が上がる」。などという反論が来そうだ。このような反論は極めて興味深い。
本来、労働者派遣とは、必要なところに必要なだけ労働力を配置するために、特別に認められた制度である。そのことによって、労働市場のミスマッチ(必要なところに人がいないために失業が増える)が緩和し経済効率が上がるからだ。
だから、高い料金を払い且つ労働者の雇用を安定させても尚効率が高まるメリットがなくてはおかしい。効率が高まるというのはそういうことだからだ。つまり派遣会社は需給調整を行い、経済効率を上げたために、労働者の賃金以上の報酬を派遣先から得て、その部分が利益になる。こうならなければおかしい。でなければ派遣会社の存在意義はない。
しかしここまで説明してきたように、現実におきていることは募集などの費用を労働者の賃金に転嫁するという事態である。本当に派遣労働で経済効率が上がるのならば、賃金を平等にしても利益が発生するはずなので、ヨーロッパ型の規制は問題ないどころか歓迎できるに違いない。
つまり、ヨーロッパ型規制に反対するのならば、結局は派遣で経済効率など上がっておらず、単にコストを働く者に転嫁しただけだということを、主張することと同じなのである。
(私のコメント)
今日の日曜日の討論番組では派遣労働についての話題が多かったのですが、派遣法についても、あまりにもずさんな法律で派遣会社の手数料なども規制が無くて派遣会社はピン撥ねし放題のようだ。また派遣先から解雇されても派遣会社は次の派遣口の斡旋もしないで派遣会社の寮も追い出されてしまう。
派遣先の会社は、派遣社員は何時でもクビが切れる低賃金労働者であり、派遣会社は派遣先に労働者を派遣してピン撥ねして手数料を稼ぐ就職斡旋会社だ。いわば民間のハローワークであり派遣会社の社員ではなっても派遣先からクビが切られれば派遣会社からも同時にクビが切られるようだ。だから寮も追い出されてしまう。
このような派遣労働の実態は派遣法が意図的に大企業に有利なように作られて、大企業は正社員を減らしてどんどん派遣社員に切り替えていった。そして今では派遣社員が3割を占めるようになり、欧米に比べても異常に派遣社員の比率が高くなっている。若年労働者の5割が非正規労働になり、企業のコストカットの手段になっている。
99年には派遣法は原則自由になり、04年には製造業にも派遣が認められるようになり、今日のような派遣労働者の大量解雇につながっているのですが、このような事は法案の審議が十分に行なわれていれば想定できた事だ。国会議員は法案の審議が仕事なのですが、役人たちに丸投げして法律が作られている。
今回は派遣労働者がトヨタやキヤノンなど大企業から大量解雇されたから大問題になりましたが、派遣社員の個々の首切りと寮の立退きは以前から行われていた事だ。しかし派遣労働者は社会的弱者であり泣き寝入りしてきた。秋葉原の無差別殺人事件の加藤は例外的な存在であり、多くがホームレス化していく。
大企業は正社員を減らして非正規労働者に切り替えることによってコストカットに邁進して企業利益を増大させてきた。その結果株式配当と役員報酬は倍になって、労働分配率は低下していった。大企業にしてみればこのような派遣労働を認めなければ工場を海外に移転させると脅してきますが、中国だろうが東南アジアだろうが出て行けばいいのであり、長い目で見れば泣きを見るのは海外に出て行った大企業なのだ。
◆中国におけるコスト上昇で外資系企業の撤退が続出 2008年4月25日 富士通総研
http://jp.fujitsu.com/group/fri/report/china-research/topics/2008/no-80.html
派遣切りを行なっている大企業も、景気が回復すれば人手不足で悲鳴を上げて外国人労働者まで海外から呼び寄せて「海外研修生」として働かせてきた。大企業から見れば工場労働者は人材ではなく物であり、景気が悪くなれば簡単に切り捨てる。
◆外国人労働者受け入れ…生活できる仕組み必要 2008年8月5日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/security/20080805-OYT8T00328.htm
日頃から財界や政府や自民党は少子高齢化で外国人労働者を受け入れる事に前向きなようですが、日本人の若年労働者でも景気が悪くなれば簡単に切り捨てていたのでは、日本から熟年労働者がいなくなり、未熟練の非正規労働者ばかりになる。この事は株式日記でも書いてきたのですが、日本の政府も大企業も長期的な経営が出来なくなってきたのだ。
大企業の正規労働者もこのような雇用環境が変わってくれば非正規労働者や外国人労働者に切り替えるぞと脅しつけてサービス残業を行なわせて実質賃金を引き下げている。国や地方に対しては法人税を安くしなければ海外に出て行くぞと脅しつけて法人税を安くさせているが、このような企業は海外に出て行かせればいいのだ。
トヨタやキヤノンが海外に出て行けば、国内には新しい自動車会社や情報家電会社が出来て来るだろう。アメリカ製のトヨタ車や中国製のキヤノンカメラを日本人が買うだろうか? 工場を海外に持っていけば品質管理もままならず労使関係も国内のようには行かないから、中国に出て行くと言うのは竹中平蔵と大前研一くらいだろう。
ならば派遣労働法はどのように改正すべきなのだろうか? やはりヨーロッパ型の派遣労働法制に変えていくべきだろう。同地労働同一賃金の原則は日本の派遣法には無い。セーフティーネットも無くクビを切られても派遣労働者が路頭に迷うのでは国の怠慢であり、小泉構造改革のイタミに国民は耐えかねている。だから今衆院選挙を行なえば自民党は大敗するだろう。国民は小泉純一郎にだまされたと思っている。
このような派遣法になったのも、経済学者やエコノミストのレベルが低くて、マスコミも役所や大企業よりだから、とんでもない法律が次々通ってしまう。欠陥だらけの法律が次々できるのも国民の政治に対する無関心が原因なのでしょうが、識者たちの低劣な意見がまかり通ってしまうのは国民の意識レベルにも問題があるからだ。
◆ニュースと感想 (1月10日b) 小泉の波立ち
http://www005.upp.so-net.ne.jp/greentree/koizumi/main.htm
こういうお馬鹿の代表は、例によって、池田信夫だろう。
(1)
日比谷公園の派遣村で苦しんでいる人がいる、というのを、馬鹿にして、鼻であしらっている。
→ 池田信夫 blog 1
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/caa6353a3bf77b62c7782d6bd09446a2
(2)
「需要と供給」というのを、高校生レベルでのみ語っている。高校生並みの初級知識しかない。
→ 池田信夫 blog 2
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/114bfd2063df8b92f622f02fe404650d
失業の発生を、小学校の算数レベルでのみ語っている。小学生並みのの初級知識しかない。
→ 池田信夫 blog 3
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/680f94098f884812ddf59d3c32a68a79
上の二点(2,3)が成立しないということは、現実を見れば、簡単にわかる。中学生並みの知識があれば、簡単にわかる。
実を言うと、彼が 2 で「高校生」と語っているのは、間違い。受給曲線の知識は、高校ではなく、中学で学ぶ。( → 出典 ) だから、彼は「高校生並みの知識しかない」のではなく、「中学生並みの知識しかない」のである。
また、彼が 3 で語っているのは、「奴隷を禁止すると、奴隷が失業してしまう。ゆえに奴隷解放反対」というような論理。馬鹿げている。というか、馬鹿そのものかも。
(私のコメント)
日本の経済学者やエコノミストはバカが多くて、言っていることは日持ちがしない。竹中平蔵や野口悠紀雄や財部誠一や大前研一など名前をあげていけばきりがない。マスコミも臆病だから政府批判や大企業に反する経済学者やエコノミストはテレビから追い出されて干されてしまう。確かにトヨタやキヤノンはテレビCMの王者であり奥田会長の意見に逆らえばトヨタのCM料が入らなくなる。
◆「テレビも節度が必要」 奥田氏批判受け民放連会長 2008年11月21日 西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/60924
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