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[机上の妄想]いま凝視すべき『信用が凋落した基軸ドル通貨』と『ヒトラーの贋札』の類似性
<注記0>お手数ですが、当記事の画像は下記URLでご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20081228
【画像】映画『ヒトラーの贋札』Die Faelscher
[f:id:toxandoria:20081228055801j:image]
・・・この画像は、http://beat-half.blog.ocn.ne.jp/cinema/cat5239215/index.htmlより、公式HPはコチラ → http://www.nise-satsu.com/
Die Faelscher(The Counterfeiters Movie Trailer)← UNDER CONSTRUCTION !
[http://www.youtube.com/watch?v=qwr9nCurEEQ:movie]
製作:2006年 ドイツ/オーストリア合作 監督:ステファン・ルツォヴィツキー 原作:アドルフ・ブルガー 『ヒトラーの贋札 悪魔の工房』(朝日新聞社刊)時間:96分 出演:カール・マルコヴィクス、アウグスト・ディール、デーヴィト・シュトリーゾフ、 マリー・ボイマー、ドロレス・チャップリン
<注記>
なお、当映画は既にロードショー公開が終了していますが、DVDで観賞できます。
DVD情報はコチラ → http://dvdshop.toho-a-park.com/asp/ItemFile/10000909.html
この映画は、連合国側(英米)の経済錯乱を狙った「ポンドとドルの贋札づくり」(=ベルンハルト作戦/参照、http://servus.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_dbe4.html)を命と引き換えにナチスによって強制されたユダヤ人たちの人間ドラマです。原作を書いたエアドルフ・ブルガーは、この贋札づくりグループの生き残りです。
優れた絵描きの腕も持つ主人公サリー・ソロヴィッツは、元々が“贋札作り&高利貸し稼業”の悪党だったので一筋縄の人間ではありませんが、一歩誤ればアウ シュヴィッツ送りとなる極限状況の中で“人間の真実は何か”を考えさせられ、自らその<真実>のために行動するようになったソロヴィッツを演ずるオーストリア (ウイーン出身)の名優カール・マルコヴィクスの迫真の演技が見事です。
完成した偽ポンド札は、当時の英国の外貨準備高の約4倍に匹敵する規模の金額にまで膨れ上がりました。また、ここで作られた偽ドルと偽ポンドを合わせると当時の世界における流通総額の約10%を占めるほどの巨額であったという推計もあるようです。
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●「イラク戦争への強引な突入」をエンジンとしつつ過剰な「ミルトン・フリードマン流市場原理主義」のミッション役を誇った「一国主義国家・アメリカ」の特異な思考パターンは、ヒトラーの<果てしなき生存圏拡大のパラノイア型狂気>と酷似しています。この観点からすれば、今や「金融大パニック」の震源となっ たことで「オバマ新ドル発行」(ドル大幅切り下げ)の噂が流布する(下記▲参照乞う)まで追い詰められた「ブッシュ時代の信用が凋落した米ドル札」が、この映画「ヒト ラーの贋札」の“偽ドル札”のように見えてくるのが不気味です。
▲「ゼロ金利政策」突入と「ドル急暴落」の“危機”の深層、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20081223
●第二次世界大戦(1936-45)から60年以上を経た今もなお、このように真摯な映画の制作によって、自国が犯したナチスの戦争犯罪を繰り返し反省し続けるドイツの人々の精神性の高さには大いに学ぶべきものがあります。「田母神」(田母神・論文問題)のような「擬装右翼の亡霊orゾンビ」(=実は愛国心など微塵も持たず、利己的という意味で、ただ計算高いだけの偽善・擬装愛国者ども)が政権与党の中枢辺りを彷徨い続ける日本とは大違いです。
●因みに、ドイツと日本の落差は「司法の憲法解釈」にも現れることがあります。例えば、12/25に広島地裁は<生活保護の老齢加算、母子加算廃止を決めた国に対して、憲法25条(生存権)を争った裁判>について<国側の廃止判断を全面的に認め、司法が憲法判断を回避>しています。しかし、これは司法が行政権力に阿(おも)ねた<司法権の放棄>に等しい行為だと思われます。三権分立を犯した(=裁判官に圧力をかけた疑い)かどで内閣総辞職に追い込まれた<ベルギー政治の厳格さ>を見習うべきです(参照→http://www.asahi.com/international/update/1220/TKY200812200124.html)。
●具体的に言うなら、それは(・・・朝日新聞が報じるところによれば)<生活保護費の水準をめぐる「朝日訴訟」(参照→http://jp.encarta.msn.com/encyclopedia_1161541224/content.html)の最高裁判決(1967)が「憲法25条がいう「健康で文化的な最低限度の生活」について“認定判断は厚生大臣(当時)の合目的的な裁量に委ねられている”とした判断を踏襲。老齢加算については“(見直しの過程で)厚労大臣が国民から見て必ずしも納得できる説明をしたとは言い難い”としつつ、廃止されても“最低生活費が充足されない事態をもたらすとはいえない”と判断した。そのうえで老齢加算をめぐる問題について“政治的、社会的な問題として解決されるべき事柄だ”とした。>ということであり、むしろ、これは<司法による憲法無視>というべきです(参照→http://www.asahi.com/national/update/1225/OSK200812250020.html)。
●一方、ドイツでは、ある片田舎のパン屋の親父が“年末調整における通勤交通費の免税申請を政府が減額したことを不服とする申し立て>に対して、この裁判は最高裁まで争われ2年の歳月を要したという事件があります。結局、最高裁は<ドイツの憲法(Grundgesetz)による“国家が個人の権利(平等の原則など)を破った場合、国民にこの障害の除去を国家に請求できる権利”を認めているGrundrechtの原則>に沿って、12/9に、このパン屋の親父の申し立てを認める判決を下しています(情報源→http://www.pfadfinder24.de/neuigkeiten/index.html)。
●今、我われはサブプライム・ローン問題に端を発した『基軸通貨ドルの信用凋落』という歴史的画期の目撃者となっている訳ですが(参照→http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20081223)、実は、その信用凋落の根本が『ヒトラーの贋札』づくりまで追い詰められたナチス・ドイツの『経済についての誤解』(=ナチスの場合は、それが<果てしなき生存圏拡大のパラノイア型狂気>となった)に重なることに気づくべきかも知れません。
●このナチスの失敗を無視した、ミルトン・フリードマンを始祖とする「市場原理主義(≒新古典派経済学者ら)という名の“謂わばカルト経済学の信奉者」たち”(→サッチャー、レーガン、ブッシュ、小泉純一郎、中谷 巌、竹中平蔵、八代尚宏ら)による「全世界の人類を巻き込み、多くの犠牲を強いた残酷なアウシュヴィッツ並みの生体実験」は破綻しました。そして、その根本には「ケインズの貨幣論」についての誤解が潜んでいるように思われます(・・・が、これについては稿を改めて書くつもりです)。
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