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http://www.amakiblog.com/archives/2008/12/26/#001312
2008年12月26日
「もみじマーク」表示の義務付け廃止と裁判員制度導入問題
警察庁は12月25日、「もみじマーク」表示を罰則つきで義務づけている現行の道路交通法を改正する試案をまとめ、年明けの通常国会に提案することを決めたという。
このニュースを報じる26日の産経新聞はその背景を要旨次のように書いている。
・・・本年6月から施行されてきた改正道路交通法は、それまで努力義務にとどまっていた「もみじマーク」表示を、75歳以上は義務制とした。それがわずか半年あまりで異例の再改正になった背景には「高齢者いじめ」として世論に激しく批判された後期高齢者医療制度の影響がある・・・
一度つくった法律や政策を、あっさりと修正、撤回することは確かに極めて異例だ。政権政党の威信と官僚の責任問題がかかっているからである。
それを行なわなければならないというのは、よほど世論の力が政治に影響力を与えるようになったということだ。
しかし政府や官僚が世論の圧力に常に屈するわけではない。それどころかこの「もみじマーク」のケースは例外的である。それは事柄がたいした話ではないからだ。
その証拠に後期高齢者医療制度については、これほど世論の反対が強いのにいまだに撤回する気配はない。説明不足だった、国民の更なる理解を促す、などと繰り返すばかりだ。
この後期高齢者医療制度の二の舞となるのが裁判員制度である。
私はかつてこのブログで、見ているがいい、裁判員制度導入の問題は、第二の後期高齢者医療制度問題になる、と書いた。
その意味は、官僚の勝手な論理でつくられた法案が、官僚に丸投げの国会議員の賛成であっさり成立する。そこまではよかったが、いざ実施の段階でその欠陥に国民が気づき、猛反対の嵐が吹きすさぶ、という事である。
案の定この裁判員制度は、それから徐々にその中味が国民にわかるようになって、今では至るところで反対の声が聞かれるようになった。
それはそうである。そもそも裁判員制度を急いで導入しなければならない積極的な理由はどこにもない。その一方で問題点は山ほどある。
なにしろ司法の専門家の間で続々と異論が提起されているのだ。
象徴的なのはサンデー毎日新年号(1月4−11日号)に書かれている竹崎最高裁長官と司法修習の同期生である高山俊吉弁護士の口論である。一体何なんだ、このお粗末は。
裁判員制度導入にこだわる者たちの最大の問題は、選ばれた国民の4割もが辞退したいと言い出してきたことだ。おまけに反対者の中から訴訟まで提起されている。
そんなことならはじめから希望者だけの任意制にしておけばよかったと思うのだが、そうすれば希望者がなくなって制度自体が成り立たない、という背景があったという。笑い話のような裁判員制度導入である。
その一方でこんな投書があった。12月3日の朝日新聞投稿欄にあった81歳の匿名の投書である。その投書は裁判員に選ばれた通知を受け取った喜びを次のように書いている。
・・・裁判官を目指して日夜励んだがついに司法試験に合格できず法曹への夢はあきらめた。そこへ50年後にまたとない機会に恵まれた。悪い事をすれば罰を受けるのは当たり前だ。私なりの正義感で善悪を判断したい。私はいまとても胸躍る思いがしている・・・
こういう者もいるのである。こんな裁判員に裁かれてはたまったものではない。
裁判員制度の導入は見合わせたほうがいいと思う。
ところがこの裁判員制度を導入した張本人が11月25日に最高裁長官となった竹崎博允氏であるという。当時の新聞が報道していたところによれば、当時東京高裁長官であった竹崎氏が、最高裁判事を経る事なく64歳の若さで一気に最高裁長官に抜擢された理由が、この裁判員制度を定着させる事にあるという。70歳の定年まで6年間もあるから十分な年月はある、というのだ。
これでは面子にかけても裁判員制度を撤回するわけにはいかない。
しかし、世の名は面白くできている。金融危機が及ぼす超ど級の国民経済の困窮は、間違いなくこの裁判員制度の実施にも影響を与える。国民はそれどころではないのだ。これはさすがに想定外であったに違いない。
果たして政府は来年5月に予定通り裁判員制度の実施を強行できるのか。けだし見ものである。
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