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http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20081223k0000m070121000c.html
社説:浜岡原発 今よりリスクを高めるな
日本はいつどこで大地震が起きても不思議はない。中でも中部電力の浜岡原発は、「いつか必ず巨大地震が起きる」と予測される想定東海地震の震源域の真上に建っている。
中電は浜岡原発の1〜5号機のうち、運転開始から30年以上を経過した1、2号機を廃炉とする計画を正式に決定した。代わりに隣接地に6号機を新設するという。
原発の老朽化と立地条件から考えれば、1、2号機の廃炉は妥当だろう。問題は6号機の新設だ。
浜岡原発1号機は76年、2号機は78年に運転を開始している。いずれも、国が78年に原発の旧耐震指針を策定する前に建設された古い原発だ。
国は06年に原発耐震指針を改定した。07年の新潟県中越沖地震では柏崎刈羽原発での想定外の揺れが大きな問題となった。耐震性の確認や強化は各原発で、重要課題となっている。
中電も浜岡原発3〜5号機の耐震補強を実施し、1、2号機についても耐震補強を計画していた。しかし、改修には莫大(ばくだい)な費用がかかることがわかり、経済的な視点から廃炉を決定したという。
ただ、一般の市民感覚で考えると、コストが見合ったとしても、不安の払拭(ふっしょく)は難しい。浜岡原発1〜4号機をめぐっては、周辺住民が中電を相手取って運転差し止め訴訟を起こしている。昨年、静岡地裁が請求を棄却したが、東京高裁で係争中だ。
6号機の新設には、エネルギー対策とともに、地球温暖化防止の議論もからむ。日本は現在、電力量の約3割を原発でまかなっている。国は将来も3〜4割を維持する考えだ。
背景には、エネルギーの安定確保とともに、二酸化炭素をほとんど出さない原発を温暖化対策の一環と位置づける意図がある。電力量のうち原発が占める割合が2割に満たない中電にとって、6号機の新設はこの割合を高める方策だ。
しかし、原発を新しくしても、立地場所が変わらない以上、東海地震のリスクが減るわけではない。中電は、想定される東海地震の揺れに十分耐えられるよう設計・建設するというが、地震には不確定要素がある。地震の揺れが建築物に及ぼす影響も、100%予測できるわけではない。
そう考えると、浜岡での原発新設が新たなリスクを増やす可能性は否めない。耐震補強が終了した3〜5号機についても、十分なリスク評価は欠かせない。
温暖化対策と安定したエネルギー供給の観点から、世界的に原子力回帰の傾向が見られる。しかし、ひとたびトラブルが起きれば長期に停止せざるをえず、原子力だけに頼るのは危険だ。中電の決定を機に、温暖化対策とエネルギー対策を総合的に再検討することが必要だ。
毎日新聞 2008年12月23日 0時01分(最終更新 12月23日 0時18分)
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