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http://mainichi.jp/life/job/news/20081124ddm013100006000c.html
◆労働者派遣法改正案はなぜ批判されるの。
◇「待遇改善」「安定」遠く−−契約打ち切り・雇い止め続出、背景に
86年の施行以来、規制緩和を重ねてきた労働者派遣法に初めて規制強化が盛り込まれた改正案が今国会に提出された。しかし、「抜本改正にはほど遠い」との批判が日本弁護士連合会(宮崎誠会長)や有識者、労働組合から次々と上がっている。
改正案が閣議決定されたのは今月4日。非正規労働者の不安定な生活や低賃金が問題となったため、派遣会社に登録して1日単位の契約を繰り返して現場に派遣される日雇い派遣(1〜30日以内の契約)を、通訳など専門的な18業務を除いて原則禁止とした。また、会社が得るマージン率の公開、偽装請負など違法行為があった場合は、派遣先に直接雇用を勧告することも盛り込んだ。
ところが翌5日、作家の雨宮処凛さんやジャーナリストの斎藤貴男さん、評論家の佐高信さんら学者、文化人15人(8日現在)が「みせかけではない抜本改正を」とアピールを発表した。6日には日弁連が「改正案に反対し真の抜本改正を求める」と声明を出した。米国の金融破綻(はたん)をきっかけにした不況の影響が日本でも出始め、雇用面では派遣労働者が契約を更新されなかったり、契約途中で仕事を打ち切られる「派遣切り」という形で仕事をなくしたりするケースが相次いでいることが背景にある。
13日に労組などが東京都内で開いた派遣法の抜本改正を求める集会では、通信業務で長期契約をした女性の派遣労働者が「業務に流動性を持たせたい」などを理由に短期で仕事を切られた例を報告。「納得できる説明もない雇い止めは人をばかにしている。許せない」と訴えた。ネジの倉庫で13年間派遣で働いた男性は「正社員になれるかと思い、派遣期間を超えた違法な状態でも働いた。だが、職場の環境改善を訴えたらすぐ雇い止めにされた」と話した。自動車など製造派遣では1万人を超える派遣労働者や期間工が期間終了や期間途中で雇い止めになっている実態も報告された。派遣労働者に雇用の矛盾が集中する実態から、実効ある法改正を求める声が上がった。
(1)日雇い派遣禁止を30日以内にした(2)派遣元が受け取るマージン率の上限を決めていない(3)仕事がある日に紹介を受けて働く登録型派遣を禁じていない−−の3点を主に批判している。日本労働弁護団は(1)は労働日、労働時間など契約内容に制限がなく、実質的に日雇い派遣制度が生き残る(2)は高率のマージンを取っていても規制できず待遇改善につながらない(3)は直接常用雇用の促進は努力義務だけで不安定な登録型が残ってしまう−−と批判する。
「労働者派遣法の抜本改正をめざす共同行動」は、12月4日に東京・日比谷野外音楽堂で全国規模の集会を予定している。日本労働弁護団の小島周一幹事長は「改正案は派遣法という病気のもとから出ているさまざまな痛みに、鎮痛剤を打つようなもの。根本的な解決には至らない。病を治すには根本の治療である抜本改正がどうしても必要だ」と話している。【東海林智】
◇労災死傷者数、9倍に
厚生労働省によると、派遣労働者の労働災害による死傷者数(休業4日以上、派遣先からの報告)は、派遣先企業の正社員から派遣社員への置き換えなどを反映し、07年は3958人に達し、製造業への派遣が解禁された04年の427人から3年間で9倍以上に増加した。07年の業種別は、製造業が2703人と7割近くを占め、運輸交通業の316人、商業の308人などに比べて圧倒的に多い。日雇い派遣は、職場が毎日変わり、仕事に慣れないために被災する危険性が高いとの指摘があり、労働者保護の面から規制を求める論拠にもなっている。
毎日新聞 2008年11月24日 東京朝刊
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