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ヴァンダービルト家のメンバーは、それぞれが城のような屋敷を持ち、アメリカ最大の富豪の一族として君臨してきた。
一家が大富豪となる礎石を築いたのは、提督と称したコーネリアス・ヴァンダービルトで、今からほぼ200年前の1794年に生まれ、アメリカ陸軍の輸送にかかわる利権をもとに、伝説によれば賄賂などの不法な手段を駆使して蒸気船と鉄道の一大帝国を築いた。彼は19世紀アメリカの泥棒貴族のシンボルとされてきた。
彼が1877年に死亡した時の遺産は1億ドルに達したが、1880年の統計では、全米の国立銀行の総預金額が8億3400万ドルだったので、その1割以上をヴァンダービルトが保有していたことになる。この金額を20世紀末の時価に換算するとほぼ1000億ドル! 12兆円にものぼる驚異的な金額となる。しかし国民全般の生活水準がずっと低かった当時は、実質的にはさらにその10倍以上、すなわち有に100兆円規模の経済価値を持っていた。
息子4人のうち、大半の資産を長男ウィリアムが受け継いだ。3代目にあたるその長男コーネリアス・ヴァンダービルト二世は、ロードアイランド州ニューポートに目もくらむような巨大な屋敷を所有していた。その妹マーガレットは結婚後、ニューヨーク市マンハッタン5番街の豪壮なトリプル・パレスに次妹夫妻と住み、娘たちにも5番街の最高級住宅街の土地に大邸宅を建てた。特に娘イーデスと夫エルネスト・ファブリのために1900年に建てられた通称ファブリ・ハウスは、16世紀風で、広大な舞踏室、パイプオルガンのある音楽室、ファイヤプレースのある居間など、豪華をきわめる邸宅であった。
1999年1月、国連大使公邸として使うため、日本政府がヴァンダービルト家の邸宅をニューヨーク不動産取引き史上最高額の2150万ドル(23億4000万円)で購入、改修に10億円以上必要と報じられたのが、そのファブリ・ハウスである。史上最高額と言いながら、建築当時の資産を現在価値に換算した数百億円に比べれば、驚くほど安い買い物だった。しかしこれは、ヴァンダービルト家の邸宅としては、ごく小さな家だったのである。
4代目になると、コーネリアス二世の娘ガートリュードが、現在のJ・P・モルガン銀行の細胞となったギャランティー・トラスト重役で、鉱山支配者の大富豪ハリー・ペイン・ホイットニーと結婚した。彼女の弟アルフレッドの遺産は、生涯4200万ドルをを浪費したにもかかわらず、まだ2637万ドルあり、最初の妻エルシーの子供ウィリアム・ヘンリー三世に500万ドルの信託基金が遺贈され、第二婦人マーガレッド未亡人は800万ドルを相続した。
富豪世界でしばしば登場するこの信託基金は、管財人に財産を委託して運用してもらう制度である。アメリカでは子供が一人前になるまで学費などの口実をもうけて、事実上は、「巨額の遺産」を確保する目的で利用される。マーガレッド未亡人の死後、5代目にあたる二人の息子アルフレッド二世とジョージに彼女の遺産が分配され、この二人の兄弟は、赤ん坊の時から、別に父からの信託基金も受け取っていた。都合、アルフレッド二世が受け取った遺産総額は2000万ドルに達し、そのうち四分の一を成人に達した21歳で受け取り、以後5年ごとに残り四分の一ずつを受け取って、世界トップを争う競走馬のオーナーとなった。彼が成人したのは、1933年、アメリカ金融恐慌の年だったので、西暦2000年で88歳という世代だ。
コーネリアス・ヴァンダービルト二世の次男ウィリアムは、最も高価なニューヨーク5番街にプティ・シャトーと呼ばれる城のような邸宅を持っていたが、郷里ニューポートの屋敷はマーブル・ハウスと呼ばれ、古代ギリシャ風の荘厳な大理石の御殿で、1892年に最初の妻アルヴァへの誕生日の贈り物として1100万ドルで建設されたものであった。当時は1893年に経済恐慌が襲った時代であり、収入が4000ドルを超える人間は全米にわずか8万5000人しかいなかった。彼らは、総人ほぼ7000万人の0.1パーセントという特別の長者たちでありながら、所得税さえ払う義務がなかったのである。
総工費のうち、古代ギリシャのアポロ神殿、ワシントンのホワイトハウス、パリのヴェルサイユ宮殿などを細部まで模倣しながら、建設費はわずか200万ドルで、ルイ14世風の内部の調度に要した費用が900万ドルに達した。19世紀末の建設費1100万ドルとは、20世紀末の時価7383億円になる。
ヴァンダービルト家の資産の分配は、その姓を持つ一族に限られなかった。ウィリアム・ヴァンダービルトの最初の妻アルヴァは、イギリスのモルバラ公爵チャールズ・スペンサー=チャーチルに、娘のコンスエロを嫁がせようとしたが、娘はアメリカ人に恋していた。アルヴァは激怒して「その男を殺して、自分も首を吊る」と脅したのである。そのためコンスエロは、仕方なく公爵と結婚しなければならなかった。
その公爵こそ、第二次世界大戦の英雄ウィンストン・チャーチル首相の従兄であった。さらにモルバラ公爵の妹リリアンの夫セシル・グレンフェルの再従兄が、東西ベルリンの壁崩壊の年、1989年にドイツ銀行が買収した投資銀行モルガン・グレンフェル創業者のエドワード・グレンフェルであった。日本で長銀と日債銀が破綻した金融界暗黒の98年に、モルガン・グレンフェルの力でドイツ銀行がヨーロッパ企業の合併と買収を仲介した実績は、総額300億ドル(3兆6000億円)、73件に達し、マーチャント・バンカーとして世界のベストテンに名を連ねた。
一方、チャーチル首相の息子ランドルフ・チャーチルの妻が、男性遍歴で有名なパメラ・ディグビーであった。パメラは彼と離婚後、もうひとつの鉄道王にあたるW・アヴェレル・ハリマンと3度目の結婚をした。そのため、のちハリマン未亡人となった彼女は、92年にアーカンソー州知事ビル・クリントンを大統領にかついで民主党の全米議長となり、あり余る資金でクリントン大統領を誕生させる力を発揮した。彼女はクリントン政権のフランス大使をつとめて、先年死去した。
ヴァンダービルトの妻アルヴァは、大理石の御殿をもらって3年後の1895年に離婚し、翌年にオリヴァー・ベルモントと再婚した。オリヴァーの父は、1837年にドイツのフランクフルトからアメリカに派遣されて全米の金融機関を支配し、ロスチャイルド兄弟商会アメリカ代表として大富豪となった銀行家オーガスト・ベルモントであった。
アメリカに設立されたベルモント商会は、代々同名の長子であるベルモント一族によって経営され、オリヴァーの兄にあたる2代目は30を超える企業と銀行で、社長と重役をつとめた。
1904年にニューヨーク市に開通した最初の地下鉄は、このロスチャイルド商会の資金で建設され、大リーグでニューヨーク・ジャイアンツの前身となったメトロポリタンも、この2代目ベルモントの資金で創設された野球チームである。4代目オーガスト・ベルモントは、投資銀行ディロン・リードの社長と会長を73年まで十年以上にわたってつとめた。
4代目のベルモントがディロン・リード社で長いあいだ育て、後継会長に据えた人物が、88年からレーガン政権、89年からブッシュ政権の財務長官となり、日本人を“ジャップ”と呼んではばからなかったニコラス・ブレイディーである。
この家系を生み出した初代オーガスト・ベルモントの妻キャロライン・ペリーの父は、ほかならぬ黒船で浦賀に来航した提督マシュー・ペリーであった。ペリー提督の弟ナサニエル・ペリーの孫娘ジョセフィーンの夫は、2代目ジュニアス・スペンサー・モルガンといい、全米一の金融王J・P・モルガンの甥であった。
彼らが形成したボストン財閥ペリー家の子孫ウィリアム・ペリーが、1994年1月からクリントン政権の国防長官に就任した。
コーネリアス・ヴァンダービルト二世の弟フレデリックは、1898年にニューポートにギリシャ風の大邸宅を建設した。その際、彼はマルメゾン宮殿で皇帝ナポレオンの妻ジョゼフィーヌが所有していた家具・調度品などをフランスから買い取って、天文学的な資産に囲まれながら豪華絢爛に暮らした。
その弟ジョージ・ヴァンダービルト3世は、300人の石工をイギリスから連れてきて、ノースカロライナ州の山間にある300万坪の土地に、城をしのぐビルトモア・ハウスと称する大邸宅を建設した。これはヴァンダービルト家最大の建築物と言われ、権威ある百科事典“アメリカーナ”がノースカロライナ州の項に「個人住宅としては世界最大級」の折り紙つきで紹介している。建設費は600万ドルで、そこに全世界の美術品が集められ、1914年に彼が死んだ時、娘コーネリアは信託基金などを利用して4000万ドルの遺産を受けた。彼の妻イーデス・ドレッサーは、のちにピーター・ゲリーと結婚し、その兄弟ロバート・ゲリーが鉄道王W・アヴェレル・ハリマンの姉と結婚した。
再びここで、クリントン大統領を創造したパメラ・ハリマン未亡人との姻戚関係が登場するのである。巨大な財産は、富豪ではない階層の人間に分散しないよう、自ら収束する性質を持っている。
以上の物語に、世界的財閥と、日本人との違いが示されている。
たとえ日本に億万長者の金持がいようとも、富豪とは違う種類の生き物である。
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※ 以上は、「アメリカの経済支配者たち」広瀬隆(著)からの転載です。
以下は、本日、気になった記事。
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総額25兆5千億円を要求へ 次期中期防で防衛庁方針(岐阜新聞)
防衛庁は21日、5年ごとの防衛力整備計画を示す新たな中期防衛力整備計画(次期中期防、2005−09年度)の要求額を、現中期防(01−05年度)から4900億円増額し、25兆5000億円とする方針を固めた。
ミサイル防衛(MD)関連経費5700億円を初めて盛り込むため、大幅な増額となった。財務省は通常の装備費削減により現中期防よりも1兆円の削減を求めており、年末の中期防決定に向けた調整は難航しそうだ。
政府は年内に防衛力整備の基本方針を示す新防衛大綱を策定する。これに伴い現中期防を打ち切り、次期中期防に切り替える方針。
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=GIF&;PG=STORY&NGID=poli&NWID=2004102101001459
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無差別殺人に手を貸す政府(ビル・トッテン)H16/10/21
http://www.nnn.co.jp/essay/tisin/tisin0410.html#21
大統領選挙を控えたアメリカより 伊藤和子(弁護士)
http://www.jicl.jp/hitokoto/index.html
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以下は、買おうか悩んでいる本。
日本人が知らないアメリカひとり勝ち戦略 著者:日高義樹
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0001719282/
目次
第1章 なぜ再びブッシュ大統領か
第2章 世界経済もアメリカが支配する
第3章 金正日政権は消滅する
第4章 中東は第二のベトナムにはならない
第5章 中国をアメリカのルールに従わせる
第6章 アジア極東戦略をアメリカがつくる
第7章 国連はイラクの賄賂で崩壊した
第8章 日米安保は終焉する
http://plaza.rakuten.co.jp/heat666/diary/200410210000/
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