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穀物価格の上昇は歴史的な物価上昇の序章なのか 柴田明夫(丸紅経済研究所所長)インタビュー
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/377.html
投稿者 BRIAN ENO 日時 2012 年 12 月 17 日 15:57:23: tZW9Ar4r/Y2EU
 

食糧の争奪戦が始まった

 ――食糧市場で穀物価格が上昇しています
 穀物の値上がりというのは実は一過性ではなくて、振り返ると、1970年代の食糧危機騒ぎのときに一度、60年代の安い価格から2倍ぐらいに値上がりしました。その後、トウモロコシなら1〜2ドル程度、小麦であれば3ドルぐらいの相場が、この30年間続いていました。

 今回の価格上昇は、いよいよこれが変わるのだと思います。大豆は73年に12ドル60セントという史上最高値を付け、食糧危機の騒ぎが起きましたが、この30年間で一度もこの価格よりも高い値が付いたことがありません。しかし、この30年間で先進国の物価は3倍以上になっています。それと比較すると、こうした食糧資源の価格は安すぎたのです。

 ところが、中国やインドといった国々の人口が増え、今世紀に入り、工業化による経済発展で所得が伸び、人々の生活が豊かになっています。中国の13億人が、先進国並みの生活レベルに猛烈な勢いで追いつこうとしています。港湾設備や高速道路が造られ、発電所が建設されています。こうしたことから、エネルギー資源や食糧資源の需要が一気に伸びた。つまり、私たちは今、30年間続いてきた価格を逸脱する動きに直面しているのです。大きな変化の入り口に立っているような状況です。

――例えば、今回の小麦の値上がりは天候不順による不作が原因と言われています
 昨年10月頃から小麦の値段が上がりました。確かに引き金はオーストラリアで起きた100年に一度の干ばつです。しかし、本当は米国やヨーロッパ、ウクライナやカザフスタンのような黒海沿岸、つまり北半球では、オーストラリアより前に、干ばつで大減産していたのです。だからオーストラリアの小麦に期待がかかっていた。ところがオーストラリアで、それ以上の干ばつが起きてしまったので、世界的な需給の逼迫感が一気に強まったのです。

 以前のように、年間消費量の3割ぐらいの在庫を持っていれば、この程度の干ばつはたいして影響しなかったと思います。 21世紀に入って、確かに小麦の消費は伸びていました。しかし、同様に生産も伸びていたのです。ところが、消費の伸びに生産が追いつかず、結局じわじわと在庫が取り崩されて、期末在庫率が減っていきました。それがずっと続き、去年はもう過去最低レベルまできていて、そこで干ばつが起きて、供給障害が生じたため、一気に価格が高騰してしまったのです。

――食糧市場の逼迫は、今後どのような問題を引き起こすのでしょうか
 穀物価格上昇の背景には、旺盛な需要があります。その需要の背後には中国という新興国が存在しています。
 70年代の頃は、価格上昇に供給量を増やすことで対応していました。生産は作付面積×単位収量(単収)ですから、作付面積も増やせたし、単収も増やすことができました。そして、70年代は市場規模が大きくなっていましたから、結果的に元の値段には戻らず、価格水準が変わりました。

 今回はどうかというと、土地の状況が厳しく、作付面積の拡大は期待できないので、単収で増やすしかありません。しかし、水の制約などもあり、単収が上がる保証がないのです。
 中国やインドといった新興国の工業化が進んでおり、工業化が進めば進むほど、農業用水や農地は、工業用水や工業用地、住宅地に使われてしまい、ますます農業には不利な状況になっています。
 また、今回は代替燃料としてエタノール需要があります。その原料であるトウモロコシは、世界の生産の4割以上を米国が占めている上に、貿易用の7割近くを米国に依存しています。米国で国内向けのエタノール需要が増えて、その生産にトウモロコシの大半が使われるようになると、これまでは生産量の約25%、4分の1ぐらいが輸出にまわされていましたが、それが10%ぐらいになる可能性がでてきました。
 そのときに米国に代わる輸出国はアルゼンチンぐらいしかない。中国も輸出していましたが、急速に国内需要が増えていて、場合によっては輸入国に転じるかもしれない。そうなると、トウモロコシを国家間で奪い合うことになるかもしれない。つまり食糧をめぐる国家間の収奪戦争が起きるということです。

 また、それに続いてエネルギー市場と食糧市場間での奪い合いが始まるでしょう。トウモロコシだけではなくてサトウキビもそうです。米国ではバイオエタノールの急増でトウモロコシの値段が上がったら、今度はバイオディーゼルということで、大豆油から軽油に代替するエネルギーの開発が始まりました。今後は、ますますそういう傾向が強まるでしょう。

 そしてもう1つは、食糧をつくるための資源である水と土地をめぐって、農業分野と工業分野の争奪戦が始まる。そうすると、これがさらに値上り要因となります。食糧をめぐる3つの戦いが顕在化し始めたのです・・・

続きはFJ1月号で

http://www.financialjapan.co.jp/featured/0801shibata.html
 

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