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【国際政治経済学入門】米に外貨準備提供 中国にも呼びかけ http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/138.html
08/07/19 田村秀男の経済がわかれば、世界が分かる 国際情勢から日常生活の変化まで、実は経済動向が大きな影響を及ぼしていることは少なくない。国際金融などのベテランジャーナリストが、経済動向がもたらす変化の背景に鋭く迫り、問題の本質をひも解いていく
http://tamurah.iza.ne.jp/blog/entry/649305 7月16日、渡辺喜美(よしみ)金融担当相(56)は珍しく思い詰めた表情で、訪ねてきた日米関係専門の米政府元高官に語りかけた。 「米住宅抵当金融公社の経営不安を憂慮しています。まず、日本は政府の保有分はもとより、民間に対しても住宅公社関連の債券を売らないように言います」 返す言葉もなく、うなずくだけの米要人に対し、渡辺氏は続ける。「米政府が必要とすれば日本の外貨準備の一部を公社救済のために米国に提供するべきだと考えている」 ■2公社の経営危機 昨年8月の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライム・ローン)危機勃発後の金融不安は、最近表面化した連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2公社の経営危機でさらに深刻化している。米政府や連邦準備制度理事会(FRB)は公的資金注入など公社救済策を検討中だ。しかし、公的資金必要額は住宅価格下落に比例して膨張する。両公社の住宅ローン関連債権は米住宅ローン総額の半分近い5兆2000億ドル(約550兆円)で、日本の国内総生産(GDP)に相当する。 米国には米政府が直接保証する連邦政府抵当金庫(ジニーメイ)を加えると3住宅公社があるが、米財務省統計によると、日本全体で保有する米住宅公社債は昨年6月末で総額2290億ドル(約24兆円)に上る。 日本の民間金融機関が保有する米住宅公社関連債券の残高はこの3月末で10兆円を超える。信金中央金庫が7000億円以上、農林中央金庫は数兆円規模とみられる。三菱UFJフィナンシャル・グループなど大手銀行は約5兆6000億円、日本生命保険など大手生保4社は4兆円超で、地銀の中には数百億円保有しているところもある。公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人も1兆円以上、住宅公社 両公社が発行している住宅関連証券はこのように全世界に広がっており、投げ売りされるようだと、米国のみならず欧州、日本、中国など国際的な信用不安になる。 ■鮮明な対米協調 そればかりではない。住宅公社関連債は米国債に準じて市場で扱われているため、米国債にも波及して信用は損なわれ、ドルは暴落しかねない。株式の低迷に加え、米国債とドルが暴落すれば、ドルを中心とする国際金融体制は崩壊の危機に瀕し、世界経済全体が根底から揺らぐ。 渡辺案は、米国の自力による住宅公社再建には限界があるとみて、この6月末で1兆ドルを超えた日本の外貨準備を米国の公的資金注入の資金源として提供する思い切った対米協調である。 筆者はこの考え方について、在京米金融筋で米国務省のアドバイザーに感想を聞いた。彼は言う。「同盟国日本が率先して支援の手を差し伸べてくれると、われわれは日本にかつてなく感謝するだろう。日本は救済パッケージで主導性を発揮し、中国にも働きかけてくれればより効果的だ」 ■ドル暴落は死活問題 中国の外貨準備は6月末で1兆8000億ドルに達し、米国債や米住宅公社関連債券の保有額でも日本をしのぐ世界最大の水準とみられている。中国は貿易や投機を含む投資で流入してくるドルを当局が買い上げ、主として米債券に投資している。ドルが暴落すれば中国も巨額の損失を直接被ることを中国政府は自覚しており、日本が国際協調を呼びかけると同調する可能性は高い。 思い起こすのは、1997年のアジア通貨危機である。日本の財務省は通貨危機打開のために「アジア通貨基金」設立構想を推進した。ところが米クリントン政権が強く日本案に反対し、日本主導を嫌う中国と語り合って、アジア通貨基金構想をつぶした。今回の危機は米国を震源地とする巨大地震であり、中国も米市場の安定は自国経済の死活問題である。 渡辺金融担当相は「まだ私案の段階だが、中国にも協力を呼びかけるつもり」と言う。米金融危機が今後さらに悪化すれば、有力案として浮上しよう。 (特別記者・編集委員)
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