http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/802.html
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(回答先: 「西側」でネオナチが台頭している背後では民主主義を破壊するために巨大資本がファシストを支援 (櫻井ジャーナル) 投稿者 五月晴郎 日時 2014 年 5 月 03 日 18:59:44)
Re: 7 Days in May
http://www.asyura2.com/08/wara4/msg/659.html
「五月の七日間」
http://home.catv.ne.jp/ss/taihoh/pf60/pf3.htm
5月の7日間(Seven Days in May)、作者は米国の政治記者ニーベル及びベイリーの共著
両名はこれ以前に米国における原爆開発の経緯をすっぱ抜いたドキュメンタリー「もはや高地なし(No high ground)」の著作で有名になったワシントンの政治記者です。
パラマウント社でフランケンハイマー監督、カーク・ダグラス、バート・ランカスター主演で映画化される。
この本は大学に入学当時に話題になっていたのでペーパーバックを入手して苦労して読んだ思い出があります。
政治記者らしく機知に富んだ会話や殺し文句、ワシントンの風景を背景にした構成など非常に興味深い内容でした。
物語は当時より10年程度後の1970年代初頭が想定されており、状況としてはイランがソ連の侵攻により南北に分割された後に行われた米ソのデタント条約締結を背景にしています。
条約を巡って米国内で世論の分裂で大統領の支持率が低下し、一方で軍需産業を背景にした反対派の後押しの形で国民的英雄でもあった現職統合参謀本部議長の人気が高まっています。
スコット大将は世論の高い支持を背景に条約破棄を公然と主張し、人気テレビ解説者の番組では条約批判が圧倒的な支持を集めています。
ペンタゴンに当直であった事務局長のケイシー大佐は口の軽い暗号将校から間近に迫ったプリークネス競馬会における賭博の勧誘を統合参謀本部議長のスコット大将が重要基地の司令官宛に行ったことと、この僅かな掛け金の賭博に地中海艦隊司令官だけが不参加の返事をしたことを聞かされます。
更に旧戦友の通信関係将校が突然ペンタゴンを訪問し砂漠での自分さえ名前を聞いたことの無い機密部隊の進捗報告に上官の右翼で有名な将校がスコット大将を訪問したことを知らされます。
その夜の地元名士のパーティではカリフォルニア選出上院議員から別れ際に彼が知るはずの無い次の土曜日の夜の非常時演習について知っているかのような口ぶりに驚かされます。
翌日の参謀長会議の後の整理をしていたケイシー大佐は偶然に前日に旧友が口にしたECOMCONなる基地からの空輸計画のメモを目にします。
そこにはワシントン他の重要拠点と全米通信網の拠点があるユタの地名がありました。
この謎に悩んだ末に彼はついに知人の大統領秘書官に連絡し職を賭けて大統領への秘密の面会を願い出ます。
この場で彼は大統領にスコット議長を中心とした反乱の計画の可能性とそれが土曜日の非常時演習に乗じての通信を押さえてのテレビ人気解説者などを巻き込んだものであるとのことを告げます。
大統領は当然にこれをすぐには信じませんが念のために信頼する南部出身の上院議員や財務長官などを集めて検討会を開きます。
上院議員はそれが決して不思議ではない情勢を説明し少人数のチームで裏づけ調査を開始します。
大統領親書を持参して地中海艦隊司令官に面談した秘書官はそれが事実であることを認めた供述書を書かせますが帰路に航空機事故で死亡します。
エルパソ近郊の秘密基地を訪れた上院議員は基地に軟禁されて行方不明。
親友がスコット大将のかつての愛人である女友達を尋ねたケイシー大佐は、彼女から愛人がスコット大将の接待費として納税控除を申告したとの話を聞き出し、財務長官はそれを利用しようと提案しますが潔癖な大統領は握りつぶします。
ケイシー大佐の友人の副官の助けで脱出した上院議員からの報告でクーデター計画が事実であることを確信した大統領は明確な証拠を持たないままスコット大将を呼びつけて条約への意見の不一致を根拠に辞任を言い渡そうとしますが、そこに航空機の事故現場からの遺品に燃え残った供述書を見つけたスペイン領事が駆けつけたことで非公開を条件に関係者に辞表を出させて無事に一件落着となります。
この小説は当時における米国の政治情勢の仕組みを理解する絶好の教科書とも言うべきもので、いろいろな役に立つ逸話や話題、名文句などの宝庫とも言えるものでした。
巻頭のアイゼンハワーの退任演説(1961.1.17)の一節
「政府部内において、軍部と産業界の結合体が不当な勢力を握らないように、我々は注意しなければならない。
意図して求めた勢力であろうとなかろうとは問題外である。
権力の外にあるべきものが権力を握って祖国に致命的な害を与える可能性は現実に潜在しているし、これからもその危険性は去らないであろう。
軍部と産業が手を結んで幅をきかせ、米国民の持つ自由と民主的な慣行への脅威となるのを許してはならない。」
これが「産軍複合体(military-industrial complex)」なる言葉を初めて世間に認知させたものです。
前政権の融和政策を批判した大統領候補受諾演説。(作者の創作)
”We talk with till eternity, but never yield another inch of free soil, any where and any time."
「そんなことでは犬殺し(dog catcher)にもなれんよ」
世論調査の動向に無関心な財務長官を批判して。(一部自治体では野犬捕獲人は住民投票で決定されていた)
"The buck stops here" (責任転嫁はここで終わる)
トルーマンが執務机に置いた座右の銘。
執務室の窓の防弾ガラスは500ヤード先から猟銃で狙う狂人への保証であり、
核戦争暗号を抱えている将校は5000マイル先からミサイルで狙う狂人への保証である。
一件落着後の日曜日に行った大統領の臨時記者会見の最後に、デタントによる米国弱体化への疑問に答えて
作者の政治記者としての渾身の文章でしょう。
It is prejudice, a great prejudice for United States and its people.
Our country is still strong. strong enough to be a peacemaker.
It is proud. Proud enough to be patience.
We love our good life. Love it enough to die for it if it needs.
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