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(書評)(対訳)Thomas Mann (著), 加藤 真二(訳)『ドイツとドイツ人』(大学書林)
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5つ星のうち 3.0
トーマス・マンは、ドレスデン爆撃をどう見たか?−−ドイツは一方的な加害者か?
2007/2/14
By 西岡昌紀
1936年、トーマス・マンは、第三帝国によって、市民権を剥奪された。2年後(1938年)、マンは、アメリカに渡る。そして、アメリカ各地で、反ヒトラーの立場の講演を行なったり、1940年からは、ドイツに向けたラジオ放送『ドイツの皆さんへ!』を行なふなどして、第二次大戦中の年月を過ごして居る。彼は、その後、1953年に、アメリカを離れてスイスに戻る。この本は、そのトーマス・マンが、1945年6月、ヨーロッパの大戦が終結した直後にワシントンで行なったドイツ語の講演の記録である。
この講演の中で、マンは、ドイツ人の「内面性(Innerlichkeit)」を中心に、ドイツ人の精神的特質を、ドイツの文化史に沿ふ形で語って居る。そして、そうしたドイツ人の精神的特質を、ドイツが第二次世界大戦を起こした原因に結び付けて、語って居る。
ドイツの藝術や歴史についてのマンが語る内容は興味深い。しかし、ヨーロッパにおける、第二次世界大戦勃発の責任が、果たして一方的にドイツに有ったのか?と言ふ根本的な問題をマンは論じて居ない。又、マン自身の立場と、1945年6月のアメリカにおける戦争報道の状況などを考えれば仕方の無い事ではあろうが、連合国側がドイツ市民に対して行なった残虐行為を考慮せず、ドイツ人を一方的に加害者と見なす姿勢は、到底、共感出来る物ではない。−−この講演をした時、マンは、イギリス軍によるドレスデン爆撃や、ソ連軍による子供を含めたドイツ人女性の大量強姦について知らなかったのだろうか?−−そんな疑問を感じた。
(西岡昌紀・内科医/ドレスデン爆撃から62年目の冬に)
http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori/archives/7111736.html
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