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(書評)
ウィリアム ドイル( William Doyle) (著),福井 憲彦 (訳)
『アンシャン・レジーム (ヨーロッパ史入門) 』(岩波書店・2004年)
14 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
フランス革命は、本当に必要だったのか?
2005/3/24
By 西岡昌紀
イギリスの作家ジョージ・オーウェル(1903-1950)の言葉に、「過去を支配する者は未来を支配する。現在を支配する者は、過去を支配する。」と言ふ言葉が有ります。「正史」を書く者は、未来を支配する、そして、その「正史」は、現在の支配者によって書かれる、と言ふ意味ですが、この本(「アンシャン・レジーム」)を読んで、私は、オーウェルのこの言葉を思ひ出さずに居られませんでした。私達は、フランス革命を進歩と見なし、フランス革命前のフランス社会をその革命が打倒した、遅れた旧体制(「アンシャン・レジーム」)と見なす見方に馴らされて居ます。しかし、これは、フランス革命の勝者が書いた歴史に過ぎません。オーウェルの言葉で言へば、フランス革命で勝利した結果、「現在を支配する者」と成った人々が、自分たちの社会支配を正当化する為に語って来た歴史、と言ふよりは、イデオロギーであった側面が、多々有るのです。もちろん、フランス革命前のフランスの社会体制(「アンシャン・レジーム」)には、現在の尺度で見れば、「遅れた」面は、多々有りました。しかし、それでは、それは、革命と言ふ名の殺戮によらなければ変革される可能性の無い、どうしようも無い体制だったのでしょうか?私達は、学校教育等の影響から、そう問ふ事を忘れて居ます。しかし、フランス革命を賛美し、旧体制(アンシャン・レジーム)を一方的に悪とする一般的な見方には、実は、フランス革命の勝者であり、その後の世界を動かし、支配した人々のイデオロギーが、反映されて居ると、私は、思ひます。私は、日本人は、フランス革命について、ナイーヴなイメージを持つ傾向が強いだけに、そう問い直す必要が有ると、思ひます。イギリスの歴史家ウィリアム・ドイル氏によるこの本は、フランス革命前のフランス社会の体制(「アンシャン・レジーム」)を多角的に見直すと共に、フランスやその他の国々で、歴史家や思想家が、革命とアンシャン・レジームについて、いかなる議論をして来たかを検証する内容と成って居ます。極めて興味深い本ですが、私は、革命前のアンシャン・レジームには、実は、代議制的な仕組みも有ったと言ふ事実や、フランス革命から80年近くが経った19世紀なかばにおいて、自由主義的な思想家であったトクヴィユ(Tocqueville)が、既に、フランス革命は、むしろ自由を破壊し、専制政治への道を開いたとして、フランス革命を批判して居たと言ふ記述などに強い印象を受けました。この本を、ルネ・セディヨの「フランス革命の代償」(山崎耕一訳・草思社)と併せて読む事をお薦めします。
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