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西洋は外的脅威ではなく、近年の欧米の金融危機や財政危機、ユーロ解体危機などは、まさに西洋の内部崩壊の兆しなのかもしれない
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投稿者 TORA 日時 2012 年 10 月 29 日 16:46:10: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
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西洋は外的脅威ではなく、近年の欧米の金融危機や財政危機、
ユーロ解体危機などは、まさに西洋の内部崩壊の兆しなのかもしれない。

2012年10月29日 月曜日

文明: 西洋が覇権をとれた6つの真因
http://www.amazon.co.jp/%E6%96%87%E6%98%8E-%E8%A5%BF%E6%B4%8B%E3%81%8C%E8%A6%87%E6%A8%A9%E3%82%92%E3%81%A8%E3%82%8C%E3%81%9F6%E3%81%A4%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%9B%A0-%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%82%BD%E3%83%B3/dp/4326248408

◆文明 西洋が覇権をとれた6つの真因 ニーアル・ファーガソン著 10月29日 評者 河野龍太郎 BNPパリバ証券経済調査本部長
http://www.toyokeizai.net/life/review/detail/AC/8426344043abb281a342c50e78d4c53f/

経済的にも軍事的にも急膨張を続ける中国が、世界の覇権を握る可能性はないのか。本書は、東洋の後塵を拝していた西洋が16世紀に勃興し、その後500年間、世界を制覇した理由を著名な歴史学者が分析したものだ。競争、科学、所有権、医学、消費社会、労働倫理など6つのキラー・アプリが勝因という。

 15世紀まで最強だった明王朝を追い越す決め手は、西洋の競争的環境にあった。政治経済が分権的で、企業間、都市間、国家間で競争が行われ、革新が続いた。中国は多様性や変化を軽んじ、社会が停滞する。17世紀まで大きな脅威だったオスマン帝国は、宗教的観点から科学を否定し軍事的発展が滞る。西洋では印刷技術の革新で研究者間のアイデア交換が可能となり、科学技術の発展が加速する。

 17世紀以降、西欧の覇権は南欧から英国に移る。所有権など優れた社会制度を背景に英国が台頭したという仮説は多くの人も同意するが、実はその仮説は実証済みだ。英国文化を移植した北米が成功し、南欧文化を移植した南米は遅れをとった。もし英国が南米に向かい、南欧が北米に向かっていたら、南米に合衆国が誕生したのだろうか。

 医学の発展は、乳幼児の死亡率低下や平均寿命の延長など社会発展の基盤となった。アフリカが今も抱えるさまざまな問題の元凶として帝国主義は非難の的だが、その膨張過程でアフリカの公衆衛生や平均寿命が改善し、国境なき医師団の役割を果たした、という評価は斬新だ。

 現在も西洋が世界をリードするのは、消費社会という西洋モデルがさまざまな価値観を凌駕するからで、共産圏崩壊も消費社会の広がりが原因だった。

 最後の要因は労働倫理で、勤勉と倹約の思想が、さまざまな面で接着剤の役割を果たし、西洋文明の全盛を可能にした。もし6つのキラー・アプリが導入可能なら、他文明も成功が可能で、現在の中国は覇権を獲得する可能性があるという。ただ、中産階級が成長する過程で経済が失速するリスク、社会不安や近隣国の反中機運で国力が低下する可能性もあると論じる。

 文明はさまざまな要素が絡み合う複雑系で、致命的問題を抱えても一時的には機能するが、臨界に達すると、急激な崩壊が生じる。西洋は外的脅威ではなく、内部崩壊の兆しに気を付けるべきだと論じる。凡庸にも思える結論だが、近年の欧米の金融危機や財政危機、ユーロ解体危機などは、まさに西洋の内部崩壊の兆しなのかもしれない。

 心配なのは日本だ。このまま緩慢な衰退が続くと考える人が多いが、公的債務が臨界に達した途端、明王朝のような急激な崩壊が始まる恐れはないのか。

Niall Ferguson
米ハーバード大学の歴史学部およびビジネススクール教授。1964年英国スコットランド生まれ。英オックスフォード大学モードリンカレッジを卒業。その後、ケンブリッジ大学やオックスフォード大学などで教壇に立ち、2004年から現職。


(私のコメント)


なぜ中国が没落して西欧諸国が世界の覇権を握るようになったのかは、いろいろな理由がありますが、海上交通路の確保に理由があったのだろう。現在の世界の覇権国はアメリカですが、世界最大の海軍力を持ち海上交通路を確保している。アメリカが世界の覇権国家から没落する直接の原因となるのは、巨大な海軍力を維持できなくなった時だろう。

中国が没落してきたのは、今まではシルクロードを通って東洋と西洋は通商して来ましたが、ポルトガルなどの西欧が海上交通路を確保すると、中国やトルコといったシルクロード沿いの国家は徐々に経済的な利権を失って行ったので没落して行ったのだろう。中国も明までは大海洋国家であり鄭和の大艦隊はアフリカまでの大航海を行なっていた。

しかし明は1435年の宣徳帝の崩御以降「海禁令」が出されて鎖国してしまった。西洋の窓口であったヴェネツィアもポルトガルが開いた東洋との海上交通路が確保されると急速に没落して言った。このようの海上交通路の確保が通商の要となり、世界の覇権を左右した。中国の鎖国と西洋の海上交通路の確保は入れ違いのような形になりますが、明はなぜ鎖国に踏み切ったのだろうか? 財政が厳しくなった事が原因と考えられますが、鄭和の航海日誌などことごとく破棄された。

中国は基本的に大陸国家であり、大陸内部からの脅威にも晒されていて、大艦隊を運用する事は財政的にも厳しかったのだろう。大航海時代になってポルトガルとスペインが海上通商路を独占して覇権国家となりましたが、イギリスとの艦隊決戦で敗れて世界の覇権はイギリスに移った。その決め手は造船技術でありスペインの無敵艦隊が敗れたのは大西洋の外海での脆弱性にあった。

それに対してイスラム諸国や東洋には大海軍国は無く、中国も鎖国していたので西欧諸国の海軍力でアフリカやアジアの港は支配されるようになった。日本の種子島にポルトガル船が漂着したのは1543年の事であり、日本は島国でありながらスペインやポルトガルのような大航海できる戦艦も無く鉄砲や大砲も無かった。中国の没落と西洋諸国の台頭はクロスしていますが、その原因は何なのだろうか?

アジアは次々と植民地化されていき、中国までもがアヘン戦争で敗れて植民地化していった。ニーアル・ファーガソンは西洋が世界を制覇した理由を、競争、科学、所有権、医学、消費社会、労働倫理など6つのキラー・アプリが勝因と書いていますが、中国にはそれに勝るようなものが無かった。経済規模からすればまだ中国の方が大きく、西洋文明を受け入れる風土が無かった。

日本も西洋の軍事力とキリスト教を恐れて鎖国しましたが、文明が日本や中国と西洋とでは全く違っていて、日本が西洋化するのは明治維新になってからだった。おそらく東洋が西洋よりも遅れをとっている事自体気がつくのが遅れたのだろうか? 科学や医学など蘭学といって日本人は学んできましたが、社会科学などの分野では蘭学でも受け入れた形跡が無い。

明治期になって始めて西洋の法律や社会制度を学び始めましたが、西洋の圧倒的な軍事力によってその差は明らかだった。西洋でなぜ科学が発達して東洋では科学そのものが否定されたのか分からない。さらに西洋間でもイギリス的な所有権などの法制度が整った国と、南欧的な国とでは差が付いてしまった。さらには蒸気機関などの機械文明は、東洋と西洋との差を決定的にしてしまいましたが、日本人はアメリカからやってきた蒸気船にびっくりしてしまった。

日本や中国は西洋の文明にびっくり仰天して鎖国してしまったのは仕方がなかったのでしょうが、トルコ帝国も西洋文明を否定して停滞してしまったし、中国の停滞も同じ理由なのだろう。日本は鉄砲をいち早く国産化するなどの技術があったが、宗教的な摩擦を避ける為に鎖国した。なぜ日本人にキリスト教が受け入れられなかったかは以前にも書きましたが、精神文化と物質文明の衝突が東洋と西洋とで起きたのだろう。

キリスト教と科学技術を別にして受け入れると言うのは近代になってからであり、それまでは西洋でも宗教と政治とが一体であり科学だけを受け入れる事は困難だったからだろう。宗教は社会制度とも深く関わっているから宗教と政治と科学とを分けることは困難であり、織田信長も秀吉も科学を興味深く受け入れたが、やがては社会制度や宗教が入り込んでくる危険性を感じて鎖国した。

日本は明治維新になって科学や政治制度などを受け入れましたが、中国ではそれが遅れた。政治制度などは共産主義に名を借りた王朝政治のままであり、西洋的な民主主義を受け入れるには不可能なのかもしれない。日本も一応は西洋的な民主政治を受け入れていますが、なかなか機能しているとはいえない。官僚政治で民主主義で選ばれた政治家が機能していない。

中国が再び世界の覇権国家となれるかどうかは、西洋モデルを受け入れられるかにかかっていますが、おそらく無理だろう。書評でも、「最後の要因は労働倫理で、勤勉と倹約の思想が、さまざまな面で接着剤の役割を果たし、西洋文明の全盛を可能にした。もし6つのキラー・アプリが導入可能なら、他文明も成功が可能で、現在の中国は覇権を獲得する可能性があるという。」と指摘していますが、6つのキラーアプリを受け入れるのは無理だろう。

中国の経済的な台頭は一時的なものであり、改革開放政策がそのまま民主化に繋がるような様子は見えない。それだけ西洋モデルを東洋人が受け入れるには困難があり、イスラム諸国も西洋の文明を拒否している。無理に民主制度を導入すれば内乱が起きるだけだろう。形だけは受け入れても安定はしない。「文明はさまざまな要素が絡み合う複雑系で、致命的問題を抱えても一時的には機能するが、臨界に達すると、急激な崩壊が生じる。」とあるように、危機に直面しているのは西洋ばかりで無く東洋も直面している。

 

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