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(書評)アトミックソルジャー [単行本]
ハワード L.ローゼンバーグ (著), 中尾 ハジメ (翻訳), アイリーン・スミス (翻訳)
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%BD%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC-%E3%83%8F%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89-L-%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B0/dp/4390602233/ref=cm_cr-mr-title
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自国兵士を死に追いやったアメリカの検閲と情報操作
2005/8/9
By 西岡昌紀
1945年、日本が降伏した後、日本を占領したアメリカは、広島と長崎で、多くの医学記録を押収した。それらの中には、医師による被爆者治療のカルテから、被爆した子供たちが死に行く様を記した小学校教師の日記や、被爆者たちの写真など、無数の記録が含まれて居る。それらの医学記録を押収すると同時に、アメリカは、占領下の日本における検閲と情報操作によって、原爆の放射線障害の実体を、世界の科学者から隠し、放射線が、恐れるに値しない物であるかの様な情報を、自国民を含めた世界の人々に信じさせようとしたのであった。この様に、アメリカが、放射線が人体に与える生物学的作用の真実を隠そうとした理由には、アメリカ政府が、原爆投下に対するアメリカ国民と世界の批判を抑えようとした事、戦後の核開発への批判を封じ込めようとした事、そして、放射線の生物学的効果を軍事機密として独占しようとした事などが想像されるが、こうした隠匿がもたらした悲劇の一つは、戦後、南太平洋やネバダで行なはれた核実験において、そこに参加した多くのアメリカ兵たちが、放射線の危険を知らされないまま、核実験の放射能にさらされ、様々な放射線障害に苦しめられる事と成った事であった。即ち、アメリカが、広島と長崎で、被爆者に起きた惨状の医学的、科学的記録を押収、隠匿した結果、今日では常識と成って居る、放射線が人体に与える危険についての情報と知識は、十分伝わらず、多くのアメリカ兵が、戦後、南太平洋やネバダで行なはれた核実験において、放射線に無防備な状態に置かれる事と成ってしまったのである。その結果、彼らは、広島と長崎の被爆者と同様、悲惨な人生を歩む事と成る。--これらの、戦後、アメリカの核実験において、放射線にさらせれ、医学的障害を受けた兵士達は、「アトミック・ソルジャーズ(atomic soldiers)」と呼ばれて居る。本書は、そのアトミック・ソルジャー達の悲惨な運命を語る貴重な一書であるが、湾岸戦争やイラク戦争における「劣化ウラン弾」の問題が論じられる現在、この本を読み直す事には、極めて大きな意味が有ると確信する。即ち、検閲と情報操作が、医学にいかに深刻な影響を与えるか、そして、その事を介して、いかに大きな悲劇を、人々にもたらすかを、この本は、人々に思ひ起こさせるに違い無いのである。
(西岡昌紀・内科医/長崎に原爆が投下された日から60年目の日に)
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