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驚異の音質を誇ったエジソン式蓄音器が滅びた理由
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/495.html
投稿者 中川隆 日時 2011 年 6 月 12 日 13:03:17: 3bF/xW6Ehzs4I
 

(回答先: アンティーク オーディオの世界 _ オーディオ・メーカはなぜ堕落してゆくのか? 投稿者 中川隆 日時 2011 年 4 月 25 日 22:32:22)

エジソン・トライアンフD型 ミュージックマスターホーン付き1910年頃。


エジソンの本格的なシリンダー蓄音器。全ての部分が大きく頑丈、かつ高精度に作られおり、強力な3丁ゼンマイの投入された本格的な大型モデル。

美しく青きドナウ(J.シュトラウス) 1913年
アメリカン・スタンダード・オーケストラ Edison Blue Amberol 1750
http://www.youtube.com/watch?v=uIJN4BSHXQc&feature=related

エジソンの蓄音機


エジソンは、1877年(明治10年)に実際に音を録音し、再生することのできる蓄音機を発明しました。

エジソンは、銅製の円筒(シリンダー)に錫箔を巻き付けたものを手で回転させ、振動板に直結した録音針を錫箔に押し当てて、錫箔の変形としてつくられる溝の深さを音の強さに応じて変化させることにより音を記録しました。そして、この溝を針で再びたどらせることにより、音を再生したのです。エジソンは、この世界最初の録音・再生機をフォノグラフPhonographと名づけて発表しました。最初の公開でフォノグラフから再生された音は、エジソン自身の声による「メリーさんの羊」であったと伝えられています。

エジソンのフォノグラフはその後、電話の発明者であるベルらによって改良され、銅管に錫箔を巻き付けたもののかわりに、円筒形の厚紙の上にワックス(蜜ろう)をかぶせたものをレコードとすることで、音量の増大、寿命の向上が図られるようになりました。ここに展示してあるエジソン・フォノグラフの型式は、トライアンフ「Model C and D」です。

http://atom.dendai.ac.jp/kokai/2007/02/post.html

エジソンの錫箔蓄音機


蓄音機のラフスケッチ(図1)
エジソン第一号蓄音機(図2)

一般的には、円筒レコードを使用した蓄音機をロウ管蓄音機と呼んでいる。

エジソンがこのタイプの蓄音機を発明した時は、円筒に錫箔を巻いたいわゆる錫箔蓄音機と呼ばれる物であった。図1が、1877年にエジソンが描いた有名な蓄音機のラフスケッチで、これを弟子にわたして製造したのが、図2のエジソン第一号蓄音機である。動力源は手動で一定の回転数を保つのは容易ではなかっただろう。再生時間は約30秒であった。

その後エジソンは、この蓄音機をサイエンテフィックアメリカン誌社に持ち込み世界最初の音出しデモンストレーション を行った。1887年12月6日のことである。エジソンはこの蓄音機をフォノグラフと命名した。アンプの入力端子にフォノとあるのはその名残である。

この蓄音機を基に、エジソンは米国に特許を出願し認められている。エジソンはこの特許の目的として“人間の声および他の音を永久的な記号で記録して将来再生し、再び聴くことが出来るようにすること“と述べている。この特許のなかでエジソンは円筒のソフトだけでなく、円盤ソフトや、多量の複製の事も述べている、このようにすでに将来を見据えた項目を基本特許に盛り込んでいた点は注目に値する。

その後、エジソンは蓄音機の開発は休止し白熱電球や他の開発に没頭してしまう。

http://www.audio-technica.co.jp/corp/gallery/gallerytalk2-2.html

A)グラフォフォン蓄音機


エジソンが、蓄音機の開発を休止している間に、電話機の発明で有名なグラハム・ベルによって設立された「ボルタ研究所」で、ベルのいとこのチチェスター・A・ベルとチャールズ・S・テインターは蓄音機の改良を進めた。この改良型蓄音機はエジソンの蓄音機のレコード部の錫箔に変え、厚紙にロウをぬった円筒をレコードとし、サファイヤ針を用い、振動系のダイアフラムにはマイカ(雲母)を使用して数段のレベルアップを図った。

ベルはこれをグラフォフォンと名づけた。(グラモフォンの誤植ではない、有名な文献でも間違っている本が有るので注意、グラモフォンについては後出)
その後、このグラフォフォン蓄音機はベルとテインターによって設立された、アメリカングラフォフォン社によって発売された。エジソンが錫箔蓄音機を発明してちょうど10年目の1887年であった。レコードの外径は1インチ(25・4MM)で、その後のエジソンのロウ管タイプの半分以下であった。その後、エジソンのロウ管蓄音機に巻き返され主流にはなりえなかった。


B)エジソンのロウ管蓄音機


ベルなどが開発したグラフォフォン蓄音機は、電球やその他の開発に没頭していたエジソンに非常に大きなショックを与えた。すぐに、エジソンは蓄音機の開発を再開させることを1887年に公表した。急ピッチに開発を進め、1888年には、ベル等と同様のロウ管を素材としたレコードの蓄音機を完成させた。

ロウ管レコードの仕様は、直径2・25インチ(5・72cm)長さ4インチ(10・16cm)で、1インチにつき100本の溝を刻み再生時間は約2分間であった。ロウ管の材質は文字通り主成分がワックスでこれに蜜蝋、樹脂等が加えられていた。振動系は、録音用のカッターと再生用のリプロヂュウサーは交換が可能で、1台の蓄音機で録音、再生が可能となりこの蓄音機の大きな特徴になった。

録音および再生用の針は、主にサファイヤが用いられていた

http://www.audio-technica.co.jp/corp/gallery/gallerytalk3.html


A)エジソン・ホームA(スーツケース型)


エジソンが他社の製品に刺激され、蓄音機の開発再開を行ってから11年後の1899年の製品です。この製品以前に発売された“トライアンフ”型の機構を簡略化して、家庭用として売り出したモデルです。

初期のロウ管レコード用で、再生時間は2分間専用モデル。価格は当時40ドルで発売されました。


B)エジソン・アンベローラ1A


初期の蓄音機のホーン(メガホンの様に音を拡声する)は、外部に金属むき出し。
写真は、アンベローラ1Aと呼び、ホーン内臓型のエジソン1号機です。スマートになり、女性にも好まれるようになりました。1909年製。

   

アンベロールレコード用(ロウ管タイプの改良型ソフトで、紙や石膏を芯材とし音溝部をセルロイドで作り、再生時間も初期の2倍の4分になり、音質も改良されました。)として開発されました。その後に発売されたアンベローラシリーズも含めて最も大型で豪華な製品でした。

この蓄音機は他のモデルと大きく異なった点があります。通常の蓄音機のロウ管は回転のみの動きですが、このアンベローラ1Aはリプロデューサー(今風に言うと再生カートリッジです。黒いアナログレコードに、指をかけて針を降ろしますよね?あの部分です。)が固定されており、ロウ管が回転しながら右から左に移動して再生するように出来ていました。

面白いことに現在、CDプレーヤーでこのメカニズムを採用した製品があります。エジソンは先取りしていたんですね。エジソンは、いろいろなメカニズムにトライしていましたが、残念ながらこのメカニズムは短命に終わってしまいました。ちょっと複雑だったからでしょうか?

C)エジソン・アンベローラ30


写真は、アンベローラ30型です。4分間再生できるアンベロールレコード用として1915年に発売されました。アンベローラシリーズは10機種ありますが、この30型は最もコンパクトに出来ていました。

また、このシリーズからダイヤモンド針が使用されました。(意外ですが当初は、サファイアやガラスなどが針として使われたそうです。)

駆動はギヤ式で、ベルト駆動に比べ経年変化は少なかったそうです。クリヤーな音質で音量も予想外に大きいです。

http://www.audio-technica.co.jp/corp/gallery/gallerytalk4.html

テープレコーダーの原点 ロウ管蓄音機(録音、再生機の原点。口述筆記用機)


写真は口述筆記用機で、テープレコーダーが実用化されるまで簡易録音再生機として使用されました。映画ファンですと、少し古い映画のスクリーンにこのタイプの機械が使用されていたのを、見覚えの有る人も居るでしょう。(ちょっと古い映画ファンですね笑い)


エジソンは、蓄音機の用途として1878年に以下の10項目をあげています。


1) 速記者を必要としないで、手紙が書けたり、口述筆記に使える。
2) 目の不自由な人のための音の本。
3) 話し方の教育に使える。
4) 音楽の録音、再生。
5) 家族の記録として、家庭の人の話肉声や遺言を録音出来る。
6) オルゴールや玩具になる。
7) 帰宅時間や食事時間を教える事が出来る。
8) 発音を正確に録音するので保存出来る。
9) 教師の講義を録音し、ノート代わりとして単語の記憶用として使える。
10)電話と蓄音機を組み合わせ、通話を永久保存できる。


エジソンは、このように第1番目に口述筆記用を持って来ていますが。第4番目に挙げられている音楽鑑賞用が、人々の要求としては歴史的に圧倒的に第1番だったのは、ご存知のとうりです。

写真の製品は1930年頃の物です。左側は録音用でこれで録音したロウ管を中央の再生機に移動してセットした後に再生し、ヘッドホンの原点と言われる(聴診器のような飛行機内で使用されているイヤホンと同様の物)イヤホンで聞きながらタイプライターで文字に変換します。文字になったロウ管の音溝は必要なくなるので写真右側の消去機でロウ管の溝部分だけを平らにカットし、また使用します。

左から、録音、再生、消去機でこれで一セットです。今では、手の平に乗るような機器(たとえばMDなどですね)で録音、再生を手軽に行なっていますが、当時は、このような大掛かりな機器で行なっていたのです。


http://www.audio-technica.co.jp/corp/gallery/gallerytalk5.html

円盤蓄音機(横音溝タイプ)

エジソンは蓄音機を発明(1877年)しました。しかし、開発にいきずまってしまったのと電球の開発に没頭し、蓄音機の改良については中断してしまいました。この間、10年あまりが経過し、シリンダータイプの蓄音機はエジソン以外の人達(主に電話の開発で有名なベル研究所)によって改良されました。

エジソンが蓄音機の開発に復帰することを宣言する直前の1887年9月に、ドイツ人でアメリカに帰化したエミール・ベルリナー(本によってはベルリーナ)が円盤タイプの蓄音機を発明し特許申請をしました。(左図)

書類上は円筒が主体になっていますが円盤についても記載されています。

ベルリナーはレオンスコットのフォノートグラフの方式を利用して特許図面に見られる円筒に紙を巻いてススを塗り、この面に横音溝(蛇が蛇行するように音溝を刻む)で音声を記録しました。


左図<ベルリナーの特許出願図>

ベルリナーは音声の録音方式として縦音溝(海の波と同様の動き)は歪みが多いと判断し、横音溝による記録方式を選びました。左の写真は、ベルリナーが製作した世界最初の円盤レコードの写真です。上段がその現物でエボナイト(硬質ゴム)で作製されています。性能的には、まだロウ管レコードに比べ劣っていました。直径は5イン(12.5cm)で奇しくもCDより5mm大きいだけでした。大きさの点と片面録音と言う事でCDは円盤ソフトの原点に戻った事になります。
 

ベルリナーはこれをグラモフォン(Gramophone)と名づけました。エジソンのフォノグラフ(Phonograph)をもじって命名したようです。このレコードは当初音楽鑑賞用としてでなく、玩具として手回し蓄音機につけて販売されました。写真の下段はその後に開発された7インチ(17.8cm)レコードです。すでに、ベルリナーの好きだったエンジェルがレコードに録音しているマークがはいっています。

レコード誕生初期の段階で、レコード材料を柔らかくして、それをプレスによって(せんべいを作るように)ソフトを作製する技術は確立されました。CDも基本的には同じ方法で作製されているのは偶然ではありません。

http://www.audio-technica.co.jp/corp/gallery/gallerytalk6.html


円盤レコードの蓄音機(縦音溝タイプ)

代表的な蓄音機(C-250)

エジソンにも円盤レコードを再生する蓄音機の考えは既にあったのですが、円盤はレコード内周になると線速度(一定時間に再生する音溝の距離)が落ち音質が劣化するとの事で、レコードのどの部分でも等速の円筒蓄音機にこだわって改良を続けていました。 しかし、いよいよ円筒レコードの限界を感じたエジソンは、円盤レコードの開発を開始しました。ただし、音溝振動方向はベルリナーの横方向と異なりロウ 管蓄音機と同じ縦方向にこだわりました。

レコードの材質はフェノール樹脂を使い、平面性を確保するため厚さを6mmと厚くしました。音溝は1インチ(2.5cm)幅に150本で、再生針にダイヤモンドを使用したことによりダイヤモンドデイスクと呼んでいます。(左画像)

この蓄音機は、エジソンC-250といい1915年につくられたエジソンの代表的な高級モデルで“ダイヤモンドディスクチッペンデール”(チッペンデールとは、18世紀イギリスの家具デザイナー、トーマス・チッペンデールに由来する。)と呼ばれました。大きさ、デザイン、再生音など、いずれを取り上げても他を寄せ付けない性能を備えていました。

リニアトラッキング的なリプロデユ―サー(アナログプレーヤーのアームとピックアップカートリッジ部分に相当する。)、メカ的リモコンアームリフター、音量調整機構(トランペットのミュートの様な)が採用されています。振動板には紙が使われ、シェラックという接着剤で数枚を張り合わせています。さらに、コルクでその振動板の不要振動を適度に抑えると言った手の込んだ作りになっています。

 C-250のプレーヤ部


C-250型には、「歌手の声とのすりかえ実験(エジソンの音の試聴演奏会)」という後世に残るエピソードがあります。

始め蓄音機の横で本物の歌手(エジソン会社の専属歌手。マギー・テイト)が歌い、途中でC-250型蓄音機にバトンタッチして終了したが観客はすり替えに殆ど気がつかなかったと言われます。それだけ音質に対して自信が有ったわけです。価格は当時$250で、型名のC-250はここから由来されています。

さて、円盤レコードを再生する蓄音機で音溝が横方向と縦方向の2商品が登場する事になりました。再生時に互換性の無い(ビデオカセットデッキのVHSタイプとベータタイプのような)製品が市場に現れ、消費者は非常に迷惑を被ったわけです。歴史的には横音溝タイプが主流になり、LPレコードも含めて1958年ステレオレコードが発売されるまでその横溝円盤方式は続きました。

http://www.audio-technica.co.jp/corp/gallery/gallerytalk7.html

エジソンの蓄音機


1)エジソン・スプリングモーター 1895年製


テクニカギャラリー内で一番古いタイプの蓄音機です。
残念ながら写真でわかるようにリプロデューサーとホーンが欠如してます。1895年製でエジソンが蓄音機を発明して18年後の製品です。(以前にも述べましたが、電球及び発電システムの開発で10年程蓄音機開発の空白期間があります。)

すでに3モデル程製品化した後のモデルで、エジソンとしては初めてゼンマイを使用したモデルです。トライトンと呼ばれる3重のゼンマイがつけられ、2分ロウ管レコード用です。価格は、40ドル。このデザインは後の“コンサート”型の初期タイプにも使用されています。



2)エジソン・ホームA(スーツケース型) 1899年製


トライアンフ型の機構を簡略化して家庭用として売り出したモデルです。
動力源はゼンマイがシングルで、2分ロウ管レコード用です。この“ホーム”シリーズの最終モデルは、Fタイプです。特長はオークのシグネットホーンが付けられたことと、4分ロウ管レコード専用になったことであります。ホーンが本体外部に有るタイプでは、最終の部類です。


3)エジソン・ジェムA 1901年製
4)エジソン・ジェムD 1909年製


テクニカギャラリーに展示しているのは、ジェムの内でも新型の分類です。旧型は1899年に発売されました。当モデルは、前面にGEMの文字が入っており、1901〜1905年の間に販売されました。エジソンの蓄音機中最も安価なモデルで、7.5$で売り出されました。形状は名前が示すようにかわいらしく、家庭用、事務用として広く愛用されました。2分ロウ管レコード専用モデルです。 ボディの色が赤になり、朝顔型のホーンが今までの製品より大きめの物が取り付けられました。

2分、4分レコード共用で、レッドジェムの愛称で親しまれました。1912年まで製造されました。


5)エジソン・スタンダードA 1901年製


エジソンでは初めての家庭用蓄音機で価格は20$でした。2分レコード専用機。
ゼンマイはシングルタイプを使用、角型のケースに入っています。
当モデルはシリーズ化されましたが、テクニカギャラリーではBタイプも保有しています。


6) エジソン・コンサート 1901年製


ロウ管蓄音機が発売されると、少しでも良い音で再生できないか考えられました。ロウ管の外径を大きくし(5インチ、127ミリ)、回転速度がスタンダード品と同じであれば、単位時間当たりの針先走行距離が多くなり、音が良くなる原理に基いています。(後のアナログステレオレコードで、33回転から45回転にしてハイグレードレコードを作製したのと考えは同じです。)

このモデルは、1899年から1901年まで製造されましたが、その間にキャビネットが3回も変わっています。エジソン唯一の5インチ円筒レコード用でありますが、標準円筒レコードも使用出来る様になっています。(標準タイプの外側にコンサート専用ドラムを取り付けます。)


7) エジソン・アイデリアD-2 1909年製


シリンダー型後期の高級モデルで1911年まで製造されました。

ケースはマホガニーでユニット部は模様入りの塗装がほどこされています。ホーンは合板のシグネットホーンが取り付けられています。2分、4分レコード両用です。

このモデルの後継モデルで、最後の外部ホーン付となった傑作機は“オペラ”という名称のモデルです。オペラ以後のモデルはすべてホーン内蔵型となりました。


8) エジゾン・トライアンフE 1910年製


エジソンの蓄音機も新型が出るに従い、デラックスなモデルと変化していったが、シリンダータイプの末期に近いこのモデルも合板シグネットホーン、新型大型リプロデューサー、3重のゼンマイ、2分、4分レコード両用と多彩な機能を持っています。

しかし、市場の大勢は円盤レコードに移行しており、1913年にはエジソンもついにロウ管型蓄音機の生産をすべて中止することになりました。(エジソン・トライアンフAも所有しています)


9) エジソン・ファイアサイドB 1912年製


セルロイド製のブルーアンベロールレコード(4分再生)を演奏するための普及型プレーヤーとして発売されました。

このB型は、改良型ゼンマイを使用し、2分、4分レコード両用になっています。2分、4分の切替えはプレーヤー左側のボタンを押したり、引いたりすることにより行ないます。黒ワンス塗装をした朝顔型シグネットホーン付きで1913年まで製造されました。

10) エジソン・アンベローラ1A 1909年製


当蓄音機は、ホーンを本体内キャビネットに内蔵した、エジソン社の1号機であります。(ホーン内蔵型蓄音機については、既にビクター社より1906年にビクトローラの名において発売されています。)アンベロールレコード用(4分ロウ管再生)として開発されました。アンベローラ蓄音機は4台保有していますが、その後に発売されたアンベローラ・シリーズも含めて最も大型で豪華な造りになっています。M型のリプロデューサー再生P.U付で2分ロウ管、4分ロウ管のレコード両用です。

当蓄音機は、他のモデルと大きく異なる点があります。それは、リプロデューサーが固定されており、その代りにシリンダーが右から左へ移動するようになっています。当発想は現代でも生きており、同じメカニズムを持ったCDプレーヤー(CD-PUを固定しておいて、CDdiskを移動させるメカニズム)が大手オーディオメーカーより発売されています。ただ、当メカニズムは主流にはなり得ませんでした。


11) エジソン・アンベローラ6 1913年製


ホーン内蔵型で一つのシリーズを形作ったモデルです。

アンベロールレコード専用として、このモデル以外にも数機種発売されました。
機能的にはロウ管型蓄音機として、エジソン社の技術が十分注ぎ込まれており、完成度の高いレベルに達しておりました。


12) エジソン・アンベローラ30 1915年製


ホーン内蔵型のアンベローラシリーズは10機種程ありますが、テクニカギャラリーには4モデルが展示されています。

この30型は最も小型に出来ています。このシリーズからリプロデューサーにはダイヤ針が使用されました。駆動系はギア式で、ベルトに比べて経年変化は少なくなっています。小型ながらクリアな音質で音量も十分有しています。4分ロウ管アンベロールレコード用です。


13) エジソン・アンベローラ50 1915年製

駆動はギア式が採用されて、安定した性能を有し当時50$で売られていました。


_______


今回は、エジソンの円盤レコード用蓄音機について述べます。

エジソンは円盤レコード(ディスク)用蓄音機も数多く製作しています。他社では既に円盤レコードに切替えていましたが、エジソンはやっと1912年になって円盤レコードと蓄音機を発表しました。レコードの音溝は、ロウ管レコードと同じで縦振動で刻まれており、ディスクの平面性が要求され厚さ6mmにもなっていました。

16) エジソンA-100 1912年製


標準的なモデルです。円盤再生用蓄音機のシリーズ中の機能は同程度でした。
ユニークな構造のトーンアームとリプロデューサーにダイヤ針を使用しています。(ダイヤモンドディスクの命名の由来です)アームと連動しているホーンなど、他には見られない多くの特長を持っています。A-100は初期のモデルです。

17) エジソンC-150 1915〜20年製


機能的には、円盤再生用エジソン蓄音機の他機種と全く同一です。
ちなみに、エジソンは蓄音機とレコードの製造を1929年まで続け、以後完全に業界から撤退しました。


18) エジソンC-250 1915年製


エジソンの代表的な高級モデルで、ダイヤモンドディスクチッペンデールと呼ばれました。

チッペンデールとは、18世紀イギリスの家具デザイナー、トーマスチッペンデールの名前を取り上げて命名されています。デザイン、大きさ、再生音などいずれを取っても他を寄せ付けぬ性能を持っています。機能的にはリニア、トラッキング的なアームとサウンドボックス、リモコン操作によるアームリフター、トランペットのミュートみたいな音量調節機構が付いています。C-250には有名なオペラ歌手との声のすりかえ実験が何度も行なわれています。C-250の名称の由来は、当時250$で販売されたためです。

19)エジソン エジソニック 1928年製


エジソンが最後に商品化した蓄音機です。

ダイヤモンドディスク(縦溝)再生がメインですが、その他にダイヤモンドディスクの長時間盤と横溝ディスクもかけられるようになっています。 リプロデューサーがアームの先端で交換できる兼用機として仕上げられています。

http://www.audio-technica.co.jp/corp/gallery/gallerytalk10.html
http://www.audio-technica.co.jp/corp/gallery/gallerytalk11.html
http://www.audio-technica.co.jp/corp/gallery/gallerytalk12.html
http://www.audio-technica.co.jp/corp/gallery/gallerytalk13.html
http://www.audio-technica.co.jp/corp/gallery/gallerytalk15.html
http://www.audio-technica.co.jp/corp/gallery/gallerytalk39.html



1877年アメリカのトーマス・エジソンが蓄音器を発明したことは知られている。しかし彼が考えた針の縦振動方式はベルリナーの横振動方式に敗れ去ったのである。

もともとエジソンは音楽を録音し、それを広めるという考えは第一義ではなかった。10ケ条のメモを残しているが、その第一には、「速記者を必要とせず手紙がかけるほか、口述筆記に使えること」だった。幼い時に耳を悪くした彼にとって当然だったのかもしれない。「盲人でも本が読める」「雄弁術の教育に使える」そしてようやく4番目に「音楽を録音、再生すること」が出てくる。

横振動を唱えたベルリナーは最初から音楽再生に力点を置いた。横振動の平円盤はプレスすることで同じものが大量に作ることが出来るので1枚当たりの単価がやすく出来た。

それに対して、エジソンは縦振動が音質的に良いのだと主張したが、同じものをプレスすることが難しく、大量生産には向かなかった。

さらに縦振動にこだわったため盤が厚くなり、材料費などコストもかかった。蓄音器は針にダイヤモンドを使ったために横振動のビクター製より高かった。いわばハードもソフトも高かったのである。理論的に縦振動は音はいいが、実際には値段が違いすぎたのである。

ベルリナーのビクター社では、ガイズバーグという若い技術者がレコード制作の面でプロデュサーとしての手腕を発揮した。彼は当時のロシア第一の人気を誇っていたシャリアピン、イタリアの大物オペラ歌手カルーソに破格の大金を払って録音した。さらにはメルバ、タマーニョ、パッティなどをくどいた。世界一流の歌手がお茶の間で手軽に聞ける、このことが横振動の平円盤が勝利した決定的な出来事だったわけである。

ガイズバーグは明治36年に日本でも3ケ月にわたり出張録音を行い273面を製作している。

エジソンは技術者としてプロであったが、一流の芸術を理解するソフトの製作者が周りにいなかった。技術のみが先行するのではなく、それに伴うソフトがいかに大切かを、このエピソードは教えてくれる。


__________


「エジソンの音は立っている!」


神戸から来館された山下さんと名乗るかたは、エジソン・ダイアモンド・デイスクL-35の蓄音器の奏でる音を聴いて、そう語った。エジソン・ダイアモンド・デイスクL-35というのは、エジソンが作った平円盤用(いわゆる丸い円盤型レコード)の蓄音器である。

レコードといえば既にエジソンが発明したろう管型でなく、ベルリナーの開発した横振動の平円盤が主流となっていた。時代に残ろうとエジソンも平円盤を開発し、徹底的に音質にこだわった。

針を縦に振動させること、針先を直線的に動かすこと、針は摩耗のもっとも少ない硬いダイアモンドを使ったこと、ノイズを減らすため3ミル(0,075ミリ)の針で毎分80回転、4分間の演奏を可能にしたこと、レコードは反らないように6ミリの厚さを持たせたことなどである。

このエジソン蓄音器と生の演奏を“共演”させるという実験をカーネギーホール始め全米各地で行った。その結果、聴衆が音の違いがわからぬほど完成度が高かったと言われている。

しかしエジソンの蓄音器、レコードともに横振動のものと比べると随分と高くなってしまい売れなかった。
エジソンのカタログを見ると最高級品でなんと6000ドル、横振動のビクター製品なら500ドルくらいだった。

金沢蓄音器館の聴き比べの時間では、エジソンのろう管型、平円盤型の蓄音器はともにその音を聴くことが出来る。

あなたも<音が立っている>体験にぜひどうぞ。

http://www.kanazawa-museum.jp/chikuonki/hitorigoto.html


あくまでも音質にこだわったエジソン


704 : 黒神 めだかψ ◆ZjqBzMECHA : 2011/03/27(日) 06:00:44.91 ID:DzNxUGGJ BE:3073756469-PLT(12203) [1回発言]

縦振動盤は垂直に音波を刻む構造のため、レコード盤が分厚く、主に片面のみの記録だ。

縦振動盤は、現代のレコードプレイヤーで再生する場合は、縦振動に対応する専用のカートリッジに取り替えないと再生できない。


706 : 名無しさん@お腹いっぱい。 : 2011/03/28(月) 19:27:10.85 ID:3dYXC1f2 [1回発言]
)レコード盤が分厚く、主に片面のみの記録だ。

これは正しいとは言えない。

たしかにEdisonのDiamond Discは分厚いが、それは縦振動の溝が深いからではなく、音質の歪みを少なくするためのアイデア。

Pathe系や初期Vocalion, Brunswickの縦振動盤は横振動盤と変わらない厚さだし映画用のトーキーディスクも径は大きいが薄さは普通のSP盤と変わらない。
片面のみの記録というのに至っては、いったいどこからそんな情報が出てきたのかむしろそれを知りたいw 


708 : 名無しさん@お腹いっぱい。 : 2011/03/29(火) 22:13:35.52 ID:SK3jOQpc [1回発言]
EdisonのDiamond Discは持ってないが見たことはある。 あれは確かに厚いな。
あれで何枚もコレクションしたら大変なことになりそうだ。
そこまで厚くしてもこだわったのは何なのかな。
線速度一定のシリンダーにもこだわってるしね。


709 : 名無しさん@お腹いっぱい。 : 2011/03/29(火) 22:30:33.11 ID:hWQfOPzQ [1回発言]
))708
エジソンがこだわったのはとにかく一にも二にも音質なんだ。

ソフトの内容ではなくて音質。そのためには生産性も犠牲にしたw

シリンダーの素材開発、浮遊するリプロデューサーの開発で、アンベロールシリンダーは同時代の横振動レコードよりはるかに明瞭で分離のいい音質だったんだ。

生産性の悪そうなシリンダーだけど、真空プレスを行なうことで、1910年代半ばまでアメリカのレコード業界のシェアを保つことに成功した。

とはいっても1910年頃にはすでに平円盤が世界的なソフトに成長していたので、エジソンも平円盤に進出した。(1914年)


因みに、はじめに平円盤のアイデアを特許登録したのはエジソン。
1885年にテープ方式と平円盤方式の録音再生装置を特許登録している。

710 : 名無しさん@お腹いっぱい。 : 2011/03/30(水) 01:13:11.81 ID:UDmCKnAe [1回発言]
Edisonのシリンダーは復刻のいいやつ?だと確かにいい。

外周と内周の差も存在しないのは確かに合理的だと思う。
ただし、シリンダーも集めたら場所を食いそうだね、、、

あとは円盤も含めてEdisonは演奏家が弱い。確かに名演奏もあるが少なくて、多くはHMV-Victorに取られてる。

精緻で優秀な機械の技術があっても、簡単な機械で再生できる横振動にソフトと営業力で負けたのかな。商売とは難しいのだな。

http://unkar.org/r/pav/1140065288


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01. 2012年11月10日 20:11:40 : HNPlrBDYLM


エジソンと蓄音機 2011/2/11(金)


 今朝のGoogleトップページを見たところ、今日(2月11日)はトーマス・エジソン(Thomas Alva Edison, 1847-1931)の誕生日なんですね。

 エジソンと言えば、電灯(白熱電球)が最も有名ですが、私にとっては蓄音機も重要。そこで今日は、発明者に敬意を表して、エジソンと蓄音機の関係について、過去記事も含めて改めてご紹介します。

音を記録した最初の人物はエジソンではない

 ところで、空気中に伝わる音を初めて記録した人は、実はエジソンではありません。その人はレオン・スコット(Edouard-Leon Scott de Martinville, 1817-1879)、パリの印刷屋兼本屋さんでした。

 レオン・スコットは、1857年3月に音声記録機の特許を取得。その機械(上図)は「フォノトグラフ」(Phonautograph)と名付けられました。その仕組ですが、まず、【A】の円筒にはカーボン紙が巻きつけられています。ラッパの入口【C】から入った音は振動板【a】に取り付けられた針【b】を振動させ、その波形がカーボン紙に刻まれます。

 フォノトグラフは、音を記録することは出来ましたが、再生することができませんでした。しかし、2008年3月27日、残されていたフォノトグラフの記録紙からの再生がファーストサウンズによって実現。世界最古の録音がよみがえりました。この録音は『月の光に』(Au Clair de la Lune)というフランス民謡の一節で、1860年4月9日、レオン・スコット自身によって吹き込まれたものだそうです。(再生にはQuickTimeが必要です)


エジソンは音を記録し再生する機械の発明者

 レオン・スコットの特許から20年後、同じくフランス人のシャルル・クロ(Charles Cros, 1842-1888)が、フォノトグラフで記録された音の波形を写真製版技術を使って復刻し再生する仕組を考案。1877年4月、フランス科学アカデミーに書簡を送りました。しかし、その機械を試作する資金力がなく、彼の考案が陽の目を見ることはありませんでした。

 その数ヵ月後の1877年11月29日、音を記録し再生する初めての機械が、エジソンによって発明されました。彼はその機械に「フォノグラフ」(Phonograph)と名付けて特許を申請。1878年2月19日、特許を取得しました。


蓄音機の実用化と普及に遅れをとったエジソン

 しかし、エジソンは蓄音機の特許をとった後、しばらくの間、その実用化と改良を行いませんでした。その間に、蓄音機は他の人々によって様々な改良が加えられ、実用化されていきました。

 なかでも画期的だったのは、1887年、エミール・ベルリナー(Emil Berliner, 1851-1929)によって開発された平円盤レコードでした。このレコードは「グラモフォン」(Gramophone)と名付けられましたが、横振動(盤面に平行に音溝を刻む)というカッティング方式を採用したことも相まって、大量に複製可能という特徴を持っていました。

 その頃、エジソンも蓄音機の世界に戻っていましたが、それはロウ管(表面にワックスを塗った円筒)、縦振動(円筒の接線に垂直に音溝を刻む)というものでした。しばらくは両者の方式が競争しながら普及していきましたが、やがてロウ管レコードは衰退していきました。

 その後、1912年、エジソンは縦振動ながら平円盤のレコードを開発し、「ダイヤモンドディスク」と名付けて発売しました。このダイヤモンドディスクは、ダイヤチップの針先でトレースするためいちいち針交換する必要がなく、音質的にも当時のグラモフォン方式を上回っていました。しかし、ビクター、コロンビアなどのグラモフォン陣営との競争に負け、1929年、エジソンはレコード市場から撤退したのでした。


 エジソンはなぜ遅れをとったのでしょうか?

 それは、一言で言えば、ハードウエアの問題ではなく、コンテンツの問題だったと言うことができます。

 というのは、当時、ビクターやコロンビアなどのグラモフォン陣営は、蓄音機の用途を音楽再生に的を絞り、はじめの頃は多くの歌手や演奏家が蓄音機に対して懐疑的だったなかで少数の理解者を発掘し、有名な歌手や演奏家との録音契約を熱心に推進しました。そして、音楽といえば劇場やクラブに行って生演奏を聴くしかなかった当時において、いつでも聴きたいときに家庭でお気に入りの演奏を聴くという、全く新しい音楽の楽しみ方を普及させていきました。

 一方、エジソンは、蓄音機の用途を速記機械(今で言えばICレコーダーのようなもの)と考え、音楽再生という用途に対しては冷淡でした。このため、有名で人気のある歌手や演奏家の獲得に大幅に出遅れてしまったのでした。

 こうして、エジソンのレコードは今日ではほとんど忘れられた存在となってしまいましたが、その中の数少ない名歌手の一人、エミー・デスティン(Emmy Destinn, 1878-1930)のレコードを聴いて、エジソンの功績を偲びたいと思います。

 このレコードは、エジソン社が起死回生を期して発売したダイヤモンドディスクのなかの1枚。曲目はプッチーニ作曲『ある晴れた日に』、歌劇『蝶々夫人』の有名なアリアです。

"Un bel di" "One beautiful day" from Madame Butterfly
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=HbmPEZsq3uk

Composer: Giacomo Puccini
Soprano: Emmy Destinn
82527 Edison Diamond-disk (80rpm)

http://blogs.yahoo.co.jp/anonymat_21/folder/271055.html


02. 2013年1月03日 02:18:00 : HNPlrBDYLM

蝋管(シリンダー)の再生音はどんな音? 

最近、エジソン社のシリンダー式蓄音機を聴いたのだが、かなり驚嘆したので、ご報告したい。

よく録音の歴史的演奏をまとめたCDでは、1925年前後のSPレコードの音は、かなり聴ける演奏だが、シリンダー(蝋管とも)では、演奏がノイズに埋もれているような録音がほとんどであるようだ。しかし、実際に聴いてみると、生き生きとした音がするのである。確かにノイズは少し多いが、蝋管の状態さえよければ、それほど気にならない。

どうも、よほどいい加減な再生装置の音を録音してCDを作っていたとしか思えないが、そのような悪い印象を一般に植え付けたのは問題だと思う。

再生周波数の特性を測ってみれば、1925年前後に、電気吹込(マイクとアンプを使用した録音)以降、周波数特性が広がったのは確かであるが、人間の声やバイオリンなどは、それほどの帯域は必要ないのであるから、1910年前後でも、特製をきちんと分かって録音すれば、今聴いても感心する音が出るのである。このことは事実として忘れないでいただきたいのである。(7/06/10)
http://www.geocities.jp/soundboxes/topics.html


03. 中川隆 2013年9月06日 22:39:35 : 3bF/xW6Ehzs4I : W18zBTaIM6

1930年代までの家庭用のWEサウンドの代表格は、HMV(米ビクターの犬マーク)の音である。

電気録音方式を特許出願する時期に合わせ、ベル研究所が1925年に開発したクレデンザ蓄音機はその代表格で、蓄音機の女王とさえ云われる。

電気式録音をリリースする以前から開発されていたカーボン方式の1Bマイクは見かけによらず高性能で、10kHzまで伸びる特性を既に備えていた。

トーキー用に開発された555Wドライバーは、クレデンザ蓄音機と同じ取付口が使われており、同じ時期に開発された双子みたいなものである。

実際にはVitaphoneで使用された555Wはトーキーの業務用以外には門外不出であったし、Orthophonicのクレデンザの響きは女性的な柔らか音調で、両者が一緒に使われることはついぞなかった。ただWE社が1920年代まで民生用の音楽再生として好ましいとしたのはクレデンザの音調であり、アメリカはまだヨーロッパと同じようなサウンド嗜好を持っていたと考えられる。
http://quwa.fc2web.com/Audio-102.html


蓄音機の女王とも讃えられるクレデンザ。

その優雅な音ゆえに、誰もが英HMVの印象と結びつけるが、実はこれが大きな勘違いである。これこそがアメリカン・サウンドに君臨するWE社が、1925年に電気録音方式と共に世界に送り出した刺客であり、デザイン、ネーミング共にヴィクトリア趣味に彩られているが、立派なアメリカ製の蓄音機である。

それ以前の蓄音機の周波数特性が中高域のしゃくれ上がったカン高い音なのに対し、クレデンザのそれは低域から中高域までフラットに再生できる音響特性を持っていた。

これは一般的に考えられているヨーロピアン・サウンドと同じ志向であって、むしろ古い英グラモフォンの音がカン高い音で調整されていたことにも気付かされるのである。

ではHMV純正の蓄音機はというと、少しカン高さを残しながら低音の増強を図ったバランスを取っており、両者の仲立ちをする折衷的なスタイルであったことが判る。


Orthophonic Victrolaの取扱説明書(1926)
この時代のアメリカがヴィクトリア趣味の最期だったことが判る


従来型(破線)と新しいOrthophonicシステムの再生特性の比較(1926年)
100〜4000Hzをフラットネスに拡張している


Western Electric 1B ダブルボタンマイクと特性
基本的にフラットな特性をもっている

よくブリティッシュ・サウンドの特徴としてフラットネスが挙げられるが、素直な特性であれば相性が良いというわけではない。

日本製に多いフラットな特性のスピーカー(例えばBTS規格のロクハン)ではあまり良い効果が得られない。かつての東芝盤に多く寄せられる意見と似ていて、プレス時にイコライジングしない素直な特性がアダになって、中高域の凹んだインパクトのない音に仕上がっていまうのだ。ただNHKの録音は今の基準でみると音に癖のない良質なもので、オーディオ的には面白くないものの、むしろ実演の状況を巧く捉えているかもしれない。同じことはBBCにも言えるのだが、EMIのサウンドとは若干違うように思う。

 イコライジングをほとんどせずに放送するBBCモニターの特性をみると、ウーハーの800〜2,000Hzの中高域に5dB程度のアクセントを与えていることが判る。

フラットネスを旨としながらも、料理としてはやや辛めに仕上げてあるのだ。
代わりに高域が大人しく暴れが少ないのである。

これは古くは英グラモフォンの蓄音機から続く伝統的な周波数バランスを拡張した結果であり、中域に独特の質感をもたせる秘訣なのではないだろうか。

BBCモニターの特性の歴史を紐解くと、1930年代を起点としたアメリカのオーディオ技術に結びついていくのである。

LS5/9のユニットの裸特性(1983年)
Parmeko単体の特性(1947年)
GEC製フルレンジスピーカーの特性( 1930〜40年代)
1920年代の蓄音機の特性(破線)


 以下はBBCがParmekoを採用する際に比較試聴したTANNOYとEMIの特性だが、上記のBBCモニターの系譜とは異なり、中高域が大人しい特性である。

違いはTANNOY(Decca)が高域方向を持ち上げるのに対し、EMIの高級電蓄は高域がなだらかに下降する特性(BBCの感想では暗い音)となっている。

このときEMIはKelly製リボンツイーターを採用していたらしく、パワーレンジの必要ない家庭用システムに最適化していたことが判る。

EMIは1931年のアビーロード・スタジオ建設時から第二次世界大戦を通じて、技術の保守性が顕著になり、それを突き抜けようとしたDeccaとのサウンド面の乖離が激しいのではないだろうか。イギリス人の合理的な物の言い方からすると、より忠実度が高いということになるが、実のところ最初の基準となった技術からの積み上げに際し、感性的なものがより大きく働いているとも言える。


TANNOY Black 12"(1947年)
EMI Electrogram 高級電蓄(1947年)

 ちなみに1948年のBBCレポートM008に出てくるEMI製のスピーカーとは、楕円ユニット2本とホーン付リボンツイーター(おそらくKelly製)を使用していると記載され、1946年にHMVが開発した3000型電蓄Electrogram De Luxeと呼ばれた機種で、最初のAbbey Roadでのお披露目式についてはGramophone誌1946年9月号に記事が載っている。

QUADが最初に開発したコーナーリボンというスピーカーと構成が似ており、30Hz〜15kHzまでの再生レンジを誇った。1948年当時の価格で£395とあり、レッグ氏が最高の再生機器の開発を指示したといわれるのは、おそらくこの機種であったと思われる。

この3000型はEMIの技術力を誇示するために、コスト度外視で設計されたせいか、非常に台数が少なかったと思われ、お披露目式の後は1948年にErnest Fisk卿により買い取られ、オーストラリアでレコードコンサートなどに使われた。最初のキャンベラでのコンサートは、シュナーベルとフィルハーモニア管によるベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番が再生されたと云われ、この時期の録音、リパッティやヌヴーなど1940年代に夭折した音楽家を好む人たちには、ひとつの方向性を示すことになるだろう。この3000型Electrogram De Luxeは1952年のSydney Morning Herald誌で中古販売の広告(£60)が出されたのを最後に、歴史上から姿を消しており幻の高級電蓄といえる。

 実際のところ、EMIでのLorenz製ツイーターの使用は、Kelly製リボンツイーターのコストや保守の関係から妥協したのではないかと思われ、1949年のHMV Radiogram 1609(価格:£103)から搭載された。この時期になるとEMIはドイツ・エレクトローラからテープ録音技術を吸収し、自社にテープ録音機(英BTH社製)を置くようになっていた。カラヤンは戦中からマグネトフォンとノイマン製マイク、Eckmillerモニタースピーカーという組み合わせで、バイノーラル録音の実験に参加していたため、こうした技術に習熟していたし、レッグ氏も優れた録音技術に早くから注目していたと思われる。

 EMIの92390型楕円フルレンジスピーカーは、1960年代のステレオ用スピーカーとして有名だが、1940年代のスタジオ写真からみてもっと早い時期に開発されており、1937年の高級電蓄Autoradiogram 801でほぼ同様のユニット(この時点では励磁型)が搭載されていた。

こうした高級電蓄はギニー金貨での価格表示であることから、貴族かそれに準ずる富裕層の持ち物という考えの強いことが判る。EMIがブルムライン博士を先頭に技術革新に邁進していた時期の所産であり興味深いが、それ以前にも1934年にMarconi社が高級電蓄Marconiphone 292で同様のユニットが搭載されていたため、本来はMarconi社が高級電蓄での使用を目的に開発されたユニットを、EMIがモニターに使用したというのが実際だろう。


その後のHMVブランドの電蓄にはこのスピーカーがよく使われており、プロフェッショナルな現場でありながらホームユースのための技術開発という側面が強いことが判る。1944年にBBCがM004レポートでこの楕円スピーカーを単体で測定した結果では、4.5kHzにピークを持たせたワイドレンジ・スピーカーであったことが判る。そのときのBBCの評価は、EMIのユニットは高音にピークがあると一蹴しており、GEC製ユニットの2.5kHzにピークをもつ特性と峻別している。一方で、楕円スピーカーにリボンツイーターを付けた高級電蓄Electrogramには「暗い音」という評価なので、あるいはBBCの技術者がEMIを毛嫌いしていたことは想像に難くない。

 同じ時期のDeccaの高級電蓄Decolaは、最初はGoodmann社のフルレンジ+ダブルウーハー、1949年にはTANNOY社の12"同軸2way+ダブルウーハーになっている。

おそらくこれらは、アメリカでのLP発売に合わせて製作されており、イギリスの家庭にはほとんど届かなかっただろうと思われる。

Abbey Roadスタジオの5chミキサー(1940年代?)
モニターに楕円スピーカー

EMIの楕円スピーカーの特性(単体:1944年、BBCレポートより)
HMV 801高級電蓄(1937年)
3台の楕円スピーカーを配した大型電蓄
http://quwa.fc2web.com/Audio-107.html


04. 中川隆 2013年9月06日 22:54:38 : 3bF/xW6Ehzs4I : W18zBTaIM6

皆様「CREDENZA」という蓄音機をご存知ですか。

1920年代にアメリカのベル研究所が設計し、ビクトローラ社が製作致しました78回転盤レコード専用の蓄音機です。

この蓄音機は世界で最も再生音の美しい蓄音機と言われており、世界ではじめて逆三角関数の数式に基づいた理論によるホーンの設計がなされた蓄音機、と言われております。

その図体は蓋をあけると背丈よりも大きなものでかの有名なウェスタンエレクトリック社のホーンの設計の原型となったモデルとも言われております。JBL社、ALTEC社などのホーンもこの蓄音機のホーンが原型となっているそうです。

またサウンド・ボックス内のアルミ製の振動板についてもすべての高級ドライバーと言われるものはこの形状を踏襲致しております。

気品のある音色はこの振動板から出てくるのです。
http://www1.odn.ne.jp/~cbz49420/credenza.htm

ウェスタンサウンドを考えるとそれ以前のサウンドは蓄音機のサウンドであり、かの有名なビクトローラ・クレデンザがウェスタンの原点ではなかろうか、

実際クレデンザのホーン構造を見ますとウェスタンの12A、15A、のカールホーンに良く似た構造をしています。

(蓄音機の音等は良い音ではない)と思われがちですが、本当に良い音とは電気臭くない音ではないだろうか、

生の音を良く聴きますと電気の音はしません、(エレキギター、シンセサイザーは別物)

生の音こそ自然な音です。音はすべてに生が基準になります。


 クレデンザのサウンドボックスを外してウェスタンの555ドライバーを実装して試聴した経験から不思議とクレデンザの音に非常に近い音になります。

その時の印象ではアコースティクな響で現代の音とはかけ離れた音に脅威を感じました、これこそ電気臭くない自然な音なのかも知れません。

 アルテック、JBLはウェスタンから分かれた会社ですが、ウェスタンサウンドを聴きますと両者ともあきらかに音の違いが認められます。永い間アルテックやJBLでオーディオを楽しんでこられた方は最終的にはウェスタンに(はまる)方が沢山お見えでそれだけの魅力があるのがウェスタンかも、


過去のビンテージスピーカーでアルテック、JBLに限らずタンノイ、グッドマン、ヴァイタボックス、などの初期型のスピーカーはウェスタンの音色と音作りに一脈通じる気がします。

皆さんもタンノイのスピーカーをお持ちの方が沢山お見えですがこのスピーカーも原点はウェスタンになります。タンノイでもモニターシルバー実装のオートグラフを私の友人宅で聴きますとウェスタンの香りが漂ってきます。このように書きますとウェスタンこそがオーディオの源流かも知れません。


写真の左側がウェスタンのスピーカーシステムになります。

右側のホーン付きのドライバーがかの有名な555Wです。

このドライバーは励磁型と呼ばれています。ホーンは12A,15Aとは違うストレートホーンの25Aです。


555Wのドライバーユニットのアップ写真でウェスタンエレクトリックとシールが貼ってあります。右側のスロートは15個の口がありこの部分へアタッチメントを取り付けて555Wドライバーを実装します。


写真の右側がウェスタンの25Aマルチセラーホーンです。材質は鉄かダイキャストで出来ていると思います。ホーンの長さは約1mでこのスピーカーが劇場で使用されていたと思うと凄い


低音はウェスタンのTA−4181ウーファでサイズは46cmの巨大スピーカーです。クロスオーバーは500Hzで使用しています。右側の写真はこのシステムの所有者でM月氏です。これを見ますとウェスタン25Aのホーンの巨大さが理解できると思います。
http://www.kit-ya.jp/product_info.php?cPath=86_87&products_id=667


555コンプレッション・ドライバーを色々と聴いてみると、その完成度と技術水準の高さを超えたところに、造り手の意図を感じ取ることができるような気がする。このドライバーは、あきらかにホーンと一体で使用することを前提に設計されている。

そしてターゲットにしている音は、蓄音機が表現できる生の音楽のプレゼンスである。

蓄音機は、機械振動から直接音波を作りだしているので同じ系のなかで音を処理している。

これに対し、スピーカーを使用すると機械振動、すなわち機械系から電気系に変換し、これを増幅して機械系に再変換を行っている。

一般に、系の変換を行うと、何らかの情報が失われる可能性がある。

私は、プレゼンスではないかと直感している。このプレゼンスこそ、生の音の肌触りであり、そこに演奏家がいるという佇まい感であり、さらには再生装置が消え、そして演奏家さえ意識させず、ただ音楽のなかに包まれる世界への到達がある。
http://homepage3.nifty.com/western/audio/expr2023/expr2023.htm

オーディオシステムの音を過去から現代まで沢山のマニアの音を聴かせて頂きましたが一つの共通点が見えくる、その共通点とはオーディオを長くやっている人ほど音はけして高音質、大音量ではなく音楽を聴かせる音になっている。しかも真空管を採用したデバィスがほとんどで半導体アンプや今流行のデジアンプで鳴らした音は良かったことは一度もない、

「電気臭い音の代表」半導体アンプは音が平板になりスピーカーの回りでしか音が鳴らない、

音に関して熟成したマニアの音は低域も高域も欲張らずバランスの取れたサウンドを聴かせてくれます。家庭の部屋でコンサートホールと同一の音などは再現することは不可能に近いが真空管アンプを使用すると不思議とコンサートホールの雰囲気感が出てくる、

ウェスタンエレクトリックのサウンドは現代から見れば特性は悪いはずですが真空管アンプで鳴らすと音楽を心地よくリラックスして雰囲気感を大切に聴かせてくれる響きを持っている。確かに(生の音)とは違う音ですが独特なサウンドで中域に密度がありコクのあるサウンド、現代の上も下も伸ばした中域の薄い貧弱なスピーカーとは方向性が違う、

名器と名の付くスピーカーは「音楽を美味しく聴かせてくれる」楽器の要素が秘められている、英国のヴィンテージスピーカーもウェスタンに共通した部分が多少感じ取れる。

オーディオを追求して行くと最終的にはクレデンザ、HMVなどの蓄音機などの電気臭くない音を意識するのではないだろうか
http://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-009.html


05. 2013年9月06日 23:24:56 : W18zBTaIM6

Western Electric 551 Driver  


マグネチック方式最後のドライバー トーン・ポリシーは555に引き継がれている

551のトーンは、蓄音器のもつ絶妙のプレゼンスを彷彿させる。

この551以降ウエスタンのドライバーは、有名な555に引き継がれるが、555ドライバーの音はこの551のトーン・ポリシーを受け継いでいる。すなわち血脈の音である。


生、原音のプレゼンスを求めた蓄音器、

それを目指した551、

その血を受け継ぐ555ドライバー

と世代が変わってもその求めるところは変わらない。技術革新という意味では、この551と555の間には飛躍的なものがある。そして近代ハイファイの原点であり到達点となるの594Aドライバーに引き継がれる。

555と594Aの世界は全く異なるが、いずれもが到達点であり双璧である。

蓄音器、551、555、594Aと聴いてみると人類の音楽芸術と音響技術の歴史的変遷と融合を理解できる。

  551は、約500オームのインピーダンスとして扱い、真空管式の500オームの二次インピーダンスのトランスがついたアンプで鳴らさなければいけない。低い周波数をカットするために0.1u程度の品質のよいキャパシターを直列につないで使用する。魂に浸透するような音の世界が現出する。


マヘリア・ジャクソンやバッハのパルティータを深夜に静かに鳴らす。

こうなると蓄音器に近い世界で、555も594Aもタジタジである。

もうHMV203を持ち出すしかない。SPの復刻をこのドライバーで架けるとそこらの蓄音器ではとても追いつかないものがある。
http://homepage3.nifty.com/western/audio/551/551.htm


実は、ウエスタンは、555迄の時代と、594A以降の時代で、世界が異なっている。

555は、蓄音器からマグネチックを経た時代の集大成の作品であるのに対し、

594Aは、新しい挑戦の時代の製品なのだ。

594Aは、いわゆるハイファイの原点、開始点、そして実は到達点でもある。

そう。到達点が555と594Aの二つあるのだ。

どちらもがウエスタンの究極であるが、それぞれが時代の分水嶺になっている。

そのようなわけで、ウエスタンを極めるためには、555だけ、594Aだけでは、すまされず、双方のシステムが必要となる。どちらが優れるということはない。歴史上の双璧がここに極まっているのだ。
http://homepage3.nifty.com/western/audio/we555_r1/we555_r1.htm


06. 2013年9月13日 11:00:24 : W18zBTaIM6

SP盤の楽しみ


 エジソンが錫箔に録音する方法を発明してから既に約120年が経過しています。
その間に、録音技術は世界の録音芸術に対する欲求に駆られ、飛躍的な発展を遂げ、現在では録音音楽は実生活に入り込んでいます。

確かに音を聞くことに関しては、昔に較べ便利にはなったと思います。

例えば有名なメンゲルベルク指揮のチャイコフスキーの『悲愴』は、1937年版はもちろん、希少な1940年版までSP盤からCDにまで焼直されています。

実際にこれを聞こうとするときには、SP盤ではぜんまいのハンドルを回し、5枚組の10面を掛け替え、レコード盤を痛めないためには10本もの鉄針を替える努力が必要でした。

それが10インチLPの2枚組4面となり、12インチLPで1枚2面、最近のCDではおまけに小曲が付き1枚片面で掛け替えは不要となり、車や電車の中でいつでも気軽に聞くことができるようになりました。

しかし私は音楽の内容を聞こう思うときは、苦労はあっても蓄音機で聞く旧いTelefunkenのSP盤がメンゲルベルクのこころを一番伝えてくれるような気がしています。


 蓄音機とはシェラック(ラック貝殻虫の分泌物)を主成分とする混合物でてきたSP盤( 1890頃〜1960頃)専用の再生装置で、

盤をぜんまいモーターで78〜82回/分で回し、

音溝を鉄や竹でてきた針でトレースして

サウンドボックスとよばれる振動板を振動させ、

ホーン(らっぱ)を用い大きな音を得る機械で、電気は使っていません。

15年程前、偶然聞いた蓄音機の音は、雑音はありましたが思っていたよりずっと良いもので、生き生きとした実在感に感銘をうけ、それまでは音楽ではなく音を聞いていた自分に気が付きました。ちょうどその頃コンサート演奏でも、演奏者の楽曲に対する解釈の違いにふれ、今は亡き古の名人さらには作曲者の自作自演に興味を持つようになり、それが高じて大きな蓄音機を小さな部屋に押し込んで旧い音楽を聞くようになってしまいました。


 実は蓄音機で音楽を聞くまでにはかなり苦労しました。

新しいものでも50年は経っているので、修理は絶対に必要です。

特にアームやぜんまいモーターなどの可動部は磨り減っており、交換部品がないので自分で作り直しました。

また針も良い物は高価で手がでないので、硬質の竹を探し自作したり、タングステンで作り堅すぎて盤を痛めてしまったりしましたが、いろいろ試みた結果現在は主にソーン針(柱サボテンの棘)を自分で削り使っています。 


主役のSP盤の方は、専門的に扱っている店もあるほどで、私が聞きたいと思う有名な名演奏は数多くプレスされており、骨董品や稀覯品としての価値とは縁がないので意外に入手は楽でした。

SP盤も後期はマイクロフォンを使った電気録音になりましたが、私は旧吹込み(空気吹込み)と呼ばれるラッパの口からガラスやマイカの振動板で直接ワックス盤にカットした初期の録音の方が好きです。

旧吹込みでも歌やヴァイオリンソロでは、再生音域やダイナミックレンジの狭さが気にならないどころか、私は電気吹込み以上に実際の肉声に近い親しさや雰囲気を感じます。


 SP盤を聞いているうちに、作曲者が自作自演している録音に興味が出てきました。作者はどのようにその曲を考えたかの一端が見える感じがして楽しい気がします。

サラサーテが途中で何かを呟いていることで有名な自作の『チゴイネルワイゼン』を含む1904年61歳のときの録音、

ラベルが指揮をしている重厚なハーモニーの中にジャズの即興性を感じさせる『ボレロ』、

ヴェルディが彼のために『オテロ』をテノールパートに書いたタマニョの1903年のオテロの録音、

オネゲルが指揮している自作の『パシフィック231』


などを聞いて新鮮な感動がありました。これからも雑音の中に埋もれてはいてもオリジナリティーの高い音楽を聞くことで、音故知新を続けたいと思っています。
http://www1.seaple.icc.ne.jp/mixseeds/p124.htm


07. 2013年9月13日 11:06:37 : W18zBTaIM6

月 光

 

SP盤マークハンブルグの月光の想い出です。
 

SP盤=第3楽章のさわり=をお聴きになりたい方はこちらをクリックしてください

蓄音機の名器クレデンザで 月光奏鳴曲−嬰ハ短調−其の参 を聴く。
(ソーン針=サボテン針=使用)

 

ムーンライトソナタ = ベートーベン作曲 作品27の2 1801年 マークハンブルグ演奏 1930年代 =

(著作権について:通常の著作権は著作者の没後50年・レコード著作権は原盤の作成から50年)

★・★・★・金曜日・夜


「ボン、ボン、ボン……。」

柱時計が小刻みに鳴って、わたしと夫は夜がかなり更けてきたことに気が付いた。

「もう、11時ね。」

わたしが促すと夫はアンプの音量を下げに立ち上がった。

わたしは、音の漏れが少なくなるようにと、雨戸を締めに窓に近づいた。

崖の上の我家から、今日は南西の中空に月が皓々と輝いているのが見えた。

「ねえ、きれいな月。」

夫もボリュームを下げると、わたしのそばに来て月を見上げた。

「きれいだね。」

 

「ねえ、ガーさんは月光のCD持ってる? 

わたし、子供の頃、月光が好きだったのよ…。」

「持ってないけど、お義父さんにもらったSP盤はあるけれど1枚目は割れてるし…。」

「わたし、ガーさんと結婚する前は、バイオリンよりピアノ曲の方が好きだったのよ。

「ふぅ〜ん。じゃぁたぬちのLPにはないの?」

「ショパンはあるけれど、月光はないの。

あんなに好きだったのに…。

こどもの頃だったから、持ってないのよ。

月光を聴くと思い出す光景があるのよ、心象風景っていうのかな…、

木枠の格子の窓が外に開いているの、

向こう側には皓々と月が輝いていて、時折、黒い雲が横切るのね。

道は、月に照らされて小石まで見えるけれど、木立は黒々としているの。

そして、風がレースのカーテンを揺すっているの。

部屋に差し込む月の光が、ゾクゾクするほど寂しい光景なの。」


「ふぅ〜ん。それなら、明日、買ってこようよ。」

「うん。」

 

 

★・★・★・土曜日・夜

 翌日の土曜日、わたしたちは、上大岡のデパートへCDを買いに行った、

ジャズやらサンダーバードのテーマ曲やらと一緒にルービンシュタインの月光を買ってきた。

午後から出かけたので、帰宅時間が遅くなり、結局、夕飯はデパ−トの地下のお弁当と、サラダとお味噌汁にしてしまった。

休みくらいちゃんと食事を作らなければいけないのに、また悪い嫁をやってしまった。が、お義母さんは

「まぁ!かわいいお弁当!」

と言って、小さな変わりおむすびのお弁当を喜んで食べてくれた。

食事が終わると、(お弁当だったので、片づけも簡単!)お義母さんに

「おやすみなさい」

と言って、わたしたちは2階へ上がった。

 

その夜も、さえざえとした月夜だった。

リビングの明かりを消して、カーテンを開け放ち、冬の寒空に浮かぶ月に敬意を表しながら、ルービンシュタインの月光を聴いた。

中空の夜空に浮かぶ月に負けぬ、美しいピアノの調べだった。

心に染み込む月光だった。

 

ただ…、ただ…、わたしの中の月光とは、何かが違った。

「バイオリンじゃないから、もうちょっと、音が硬い方がいいんじゃない?

ガーのアンプで、調節できないの?ケルンコンサートの時みたいに」

夫がアンプをいじる度に、好きなキース・ジャレットのケルンコンサートの音色が変わったのを思い出してわたしが言うと、

「だめ!これが一番いい状態なの!」

夫は自分の手作りアンプに対して、素人のわたしがとやかく言うことには、ムキになって反論する。

「イコライザーとかを付けるとできるの?」

「できないの!
イコライザーは音域ごとの音量を調節するもので、音色を変えるものではないからできないの」

「でも、昔聴いたのと違うんだもん!

もっとパキッとした硬い音色だったみたい」

「アンプの問題じゃないと思うよ。

う〜ん。ルービンシュタインはうまいと思うけれどなぁ、

これは1962年の録音だから、おじいさんの演奏なんで柔らかく感じるのかな?

うまい人のもっと若い時の方が、たぬちには好みなんでしょ。」

「ルービンシュタインってそんなに古い人なの」

「ロールピアノの時代の人だからねぇ…。」

「父のSP盤はどんなのだった?」

「1枚目は割れているのでかけたことないけれど、2枚目は聴くことができるよ。」

「聴こう!聴こう!」

「仕舞ってあるんで、今は無理だけど、明日クレデンザで聴いて見ようよ」

 

 

★・★・★・日曜日・午後

 翌日は昼食の後、町内会の集まりがあって、家に戻ってくると、夫が2階の窓から呼んでいるのが聞こえた。

「たぬち!月光あったよ!」

「ほんと!、聴きたい!」

早速、二階へ駆け上がる。

「マークハンブルクのだよ、この人もかなりうまい人だけれど、盤がかなり痛んでいるんで、途中でかからなくなるかもしれないけれど…」

と言って、蓄音機のゼンマイを巻き、夫は父の遺品のSP盤にサボテン針を落とした。

 

 

SP盤=月光第3楽章のさわり=をお聴きになりたい方はこちらをクリックしてください

月光奏鳴曲−嬰ハ短調−其の参

ズ〜〜ッ、ズ〜〜ッ、ズ〜〜ッ……。

大きな針音に混じりに2楽章から始まったその月光はわたしの心の鍵穴にピタッとはまった。

「これよ!これよ!」

サボテン針が回転と共にすり減って、音が甘くぼけてくるのだが、わたしには心地よい懐かしい心象風景の月光だった。

メリハリのある、感情をため込んだ月光だった。

「SP盤の時代は、楽譜に弾き方を書かなかったから、演奏者は自分流に演奏するんで、人によってずいぶん変わるねぇ。」

表面が終わると、夫は裏面に針を落とした。

裏面が終わり、夫はサウンドボックスをレコードから上げた

「懐かしいなぁ…。

わたしは、こどもの頃、月光が好きだったけれど、たぶん、父のこのレコードを聴いていたんだと思うけれど、その頃はこどもだったんで、父に月光が好きだって言えなかった。

父が持っている月光が、好きって言うことを思いつかなかった。

今だった言えるのに…。気が付いた時には父はいないのね。」

わたしの父は2年前ガンで亡くなった。

「父と音楽の話なんかしたことなかったけれど、もし、話していたら、また違った父娘の繋がりができたかもしれない。」

わたしは妙にしんみりした心持ちで、静かに話を聞いてくれている夫の顔を

見た。

「ねぇ、ガーさんはガーさんのお父さんに何か話しておきたかったと思うことはない?」

2年前まで、話そうと思えば、わたしにはたっぷり時間はあったのだ。

恵まれた父娘の感傷なのだ。

夫は少年の頃に父親を亡くしている。感傷に浸る記憶はないのだ。

「ないよ。」

父親不在に慣れてしまっている様にぶっきらぼうに言った言葉の裏に、父と息子のコミュニケーションの真空の痛みをわたしは感じた様な気がした。

夫は立ち上がって、蓄音機に近づいた

「もう一回かける?それとも、お義父さんの他のレコードをかけてみる?

僕はたぬちよりお義父さんと会ってからの時間は短いけれど、お義父さんに貰ったSP盤を見るとお義父さんが若い頃、レコードが好きで何度も何度も丁寧に聴いていたのがよく分かるよ。

なんだか不思議な気がするよ」

夫の言っている「おとうさん」と言う言葉がわたしの父のことを指しているので、わたしは目が熱くなった。

 

 

★・★・★・月曜日・夜

 翌日は、わたしの母の部屋への訪問日だった。

仕事から帰って、夫とお義母さんと3人で食事をした後、毎週月曜日の夜は夫と、隣の母の部屋に行って小一時間おしゃべりをしてくるのだ。

壁一枚隔ての隣に暮らしていても、なかなか、わたしたちと話す機会のない母を気遣って夫が提案してくれたのだ。

 

今日の話題は昨日聴いた月光の話だった。

「お父さんのSP盤の月光、2枚目なんだけれど聴いたら、すごく懐かしかった。

お父さんが初めて買ったステレオって、SP盤もかかったよね。

その時、月光を聴いていたような気がするんだけれど」

「お父さんは、月光が好きだったんじゃないの」

母の言葉に、今度は鍵が回るような気がした。

わたしが月光が好きなのは、父が好きでよく聴いていたからだったのだ。

「ステレオを買う前は、ポータブルのプレーヤで、かけていたでしょ。

結婚した頃は、ポータブルもないから、レコード持って下田の温泉ホテルの電蓄を借りて聴いていたよ」

 

 

★・★・★・月曜日・夢

 その夜、わたしは夢を見た。

父が木更津から帰って来たのだ。

会えると思っても見なかった父が急に帰って来た。

夢の中なので、父は生きていた。が、ガンでもう余命幾ばくもないことも判っていた。

わたしは娘として何んとかしなければならなかった。

まず、月光の事を伝えなければと思った。

「お父さん!昨日、蓄音機で月光の2枚目を聴いたんだよ!

とってもよかったよ」

病のせいで、痩せて少し前屈みしている父はうんうんとうなずいた。

「お父さんも月光が好きだったんでしょ。

お母さんが言ってたよ」

「うん、昔、温泉ホテルの窓から月を見ながら聴いたもんだ。

レースのカーテンが風でひらひらしていなぁ」

父はわたしの心象風景を語った。

最期までに父と月光の話ができてわたしはうれしくなった。

「今日は、ご馳走を作るからみんなでパーティをしようよ!

2枚目しかないけれど月光を蓄音機で聴こうよ。

その後は、お父さんの好きだった他のレコードもみんな聴こうよ!

お父さん!久しぶりにビールも飲まない!」

 

その時、玄関でチャイムが鳴った。

昼間なのに、やけに早く夫が帰ってきた。

「ちょうどよかった!お義父さんもいらしていたんですね。」

夫は父にそう言いいながらコートを脱ぐと、わたしにSP盤専門店の薄緑の重い袋を差出た。

「マークハンブルクの月光の1枚目が見つかりました。

今日はみんなで月を見ながら月光を聴きましょう」

 

ズ〜〜ッ、ズ〜〜ッ、ズ〜〜ッ……。

大きな針音の中で、鍵の開いたわたしの扉が開きはじめた。

 

 

(こんな訳で…。

Victor JB−39−A/B 月光奏鳴曲−嬰ハ短調−其の壱,弐

を探しています。お手元にございましたら是非譲ってください。)
http://www1.seaple.icc.ne.jp/mixseeds/p1311.htm


08. 2013年9月13日 11:08:37 : W18zBTaIM6

月 光(後日談) 

SP盤マークハンブルグの月光の想い出です。 

SP盤=第1楽章のさわり=をお聴きになりたい方はこちらをクリックしてください

蓄音機の名器クレデンザで 月光奏鳴曲−嬰ハ短調−其の壱 を聴く。
(ソーン針=サボテン針=使用)

ムーンライトソナタ = ベートーベン作曲 作品27の2 1801年 マークハンブルグ演奏 1930年代 =

(著作権について:通常の著作権は著作者の没後50年・レコード著作権は原盤の作成から50年)

 ある日曜日、わたしが2階で掃除機をかけていると、HP作成のため、物置に大事な資料?(一見古雑誌)やら、貴重な真空管?

(一見がらくた)やらを探し行っていた夫が、

「たぬちぃ!すごい物が見つかったよ!」と階段を駆け上って来ました。

「何があったのぉ?」

「月光の1枚目!」

「えぇ!!」

「お義父さんの月光の1枚目だよ!

盤はお義父さんのより新しいんだけれど、同じ原盤から起こした物だよ」

「何処に、あったの?」

「昔、蓄音機の試しがけ様に貰った半端物の中を見たらあったんだよ!

ボクも驚いちゃった!

2枚組の1枚目。これは2枚目がなくて、半端物扱いになってたんだよ

ピアノ曲で半端物だったから、結局1度も聴かないで、縛って物置に入れといたんだけど…。

その中にあるなんてなぁ!ああぁ驚いた!」

「聴きたい!聴きたい!」

「溝の掃除してかけるからちょっと待ってて」

夫はそういうと、その月光を水拭きし、乾拭きして、エボタ鑞を塗り、毛の長いクリーナで溝の掃除を始めました。

「溝がきれいになると、鑞を塗っても白くならないけれど、まだ白いから、もうちょっと…」

と言いながら、夫はレコードの手入れをし、待つこと十数分。

「じゃぁ、かけるよ。」

サウンドボックスが、SP盤の上に降ろされました。

 

SP盤=第1楽章のさわり=をお聴きになりたい方はこちらをクリックしてください

月光奏鳴曲−嬰ハ短調−其の壱

 


 明るい日曜日の昼下がりに聴くには静かな「月光」でした。

ピアノの音色に揺れるレースのカーテンがあちらの不思議な世界から、こちらへ不思議な出来事を運んできたような午後でした。

 

(蓄音機がなくて聞けない月光の2枚目SP盤を、若い頃の思い出を捨てきれずに転勤の度に持ち歩るいていた父。

あまり聴かないピアノ曲の、しかも半端物のSP盤を、何故か捨てられずいた夫。

全く異なった運命のレコード盤2枚。

しかも、半端物で捨てられてもおかしくないSP盤の片割れ同士の出会いと言う不思議な不思議な午後の出来事でした。)
http://www1.seaple.icc.ne.jp/mixseeds/p1314.htm


09. 2013年9月13日 11:14:44 : W18zBTaIM6

たぬさんの超初心者向け蓄音機講座


ある日、赤ずきんたぬさんが多摩川の河原をお散歩していると、

「ちょっと、そこ行くおたぬきさん!

ボクのお家へ遊びに来ませんか、手巻き蓄音機で、サラサーテが自ら演奏した「チゴイネルワイゼン」を聴かせてあげましょう。

鈴木清順監督の「チゴイネルワイゼン」で原田芳雄がかけていたあの「チゴイネルワイゼン」と同じ原盤から起こした盤なんですよ〜ん!!!」


とがーさんにナンパされたのでした。 これが、たぬさんの蓄音機との馴れ初めです。


  たぬさんは、それまで、蓄音機と云うものは、ザー、ザー、雑音が多くて、お年寄りが昔を懐かしんで聴くものだと思っていましたが、初めて、がーさんのお家で、HMV163で聴いた「チゴイネルワイゼン」は臨場感のある、厚みのある演奏で、それまでたぬさんが考えていたSP盤や蓄音機のイメージとはかけ離れた、素晴らしいものでした。

 


蓄音機の歴史

 今年、1997年はエジソン生誕150年ですが、彼の沢山の発明品の中でも、際だって後世に影響を残したのが、電球と蓄音機ではないかと思います。

その蓄音機は、円筒にスズ箔を巻き、じょうご型の送話口に向かって怒鳴ると、その縦振動が先端の針を通して、回転するスズ箔に溝を刻んで声を記録すると言うもので、1887年に発表されました。

その後、ベルリーナが複製が簡単な円盤に横振動を刻み録音する方法を完成させました。

エジソンも、後に縦振動の円盤を開発しましたが、ベルリーナがもっぱら音楽の録音に、力を入れていたのに対し、エジソンが演説等の記録への利用に重きを置いたため、ベルリーナの横振動形式の円盤が普及したと言われています。

現存しているSP盤のほとんどがこのベルリーナの形式ですが、中にはエジソンの縦振動のものもありますが、これは縦振動用の蓄音機でなければ聴くことの出来ない珍しい盤です。

 


我が家の蓄音機


我が家にはビクター製の蓄音機が2台あります

1台が「クレデンザ」ともう1台は「VV1−90」です。

前述の「HMV163」はクレデンザが来る少し前にがーさんのお友達のところへもらわれていきました。「1−90」はがーさんが独身時代より持っていたものです。

「クレデンザ」は今から5年ほど前に購入しましたが、名器と云うふれ込みで期待していたので、最初に家に来た時の音の悪さには、たいそう、がっかりしたものでした。何せ、1/4くらいの大きさの「1−90」に音量で負けてしまうのですから・・・。その後、ガーさんが5年がかりでメンテナンスし,最近はずいぶん良い音になってきました。


  蓄音機の音を一言で云うと、厚みのある音がのラッパからあふれ出てくる様な気がします。

一方、たまのオーディオアンプにも凝っているがーさん電気のオーディオシステムの(例えばCD)の音は、部屋全体に音は広がっている感じです。(モノラルとステレオの違いといったらそれまでですが)

蓄音機の場合は対面して音楽を聴いているという感じなのです。

特に、バイオリンや人の声は、箱の後ろに人の気配を感じる様です。


 

サウンドボックス

  蓄音機の音をレコード盤から読み出す部分をサウンドボックスと云います。

参考までに、さっきあげたエジソン縦振動サウンドボックス(たぬさんの隣)、ビクター系の横振動のサウンドボックス(下4つ)の写真を載せておきます。

ラッパの部分のゆがみや空気の漏れとサウンドボックスの調整の良し悪しが蓄音機の音色を左右するポイントです。

針の差し込む先端部をさわると、全くの機械的な振動だけで、マイクを指ではじいたようにビンビンと響きます。


サウンドボックスの先端には、針を差します。

この針は、LPのプレイアーの様なカセットに入ったダイヤモンド針とはうって代わって、生の素材の先端を尖らせただけの素朴な針で、

左から竹針カッター、竹針、ソーン針(サボテン針)、鉄針

などがあります。SP盤を痛めないために我が家では、ソーン針を使っています。表面が赤い可愛い針です。

一面をかけるだけで針の方が丸くなってしまい、毎回針を換えなければなりませんが、カッターでまた削れば針は何回も使用できます。

 


SP盤

我が家には、サラサーテのチゴイネルワイゼンを初め、SP盤華やかかりし頃の自作自演のクラッシック、ジャズ、シャンソン等が会わせて100枚ほどあります。

当時の録音は一発勝負。編集など出来ませんから、演奏者の気迫が籠もっている様な気がします。


古いSP盤は汚れているので、水洗いし、イボタ鑞をぬって毛足の長いクリーナーで何度もクリーニングする必要があります。

イボタ鑞は貝殻虫の鑞で、これでレコードの表面を何度もこすり、溝の潤滑性を高め、クリーナーでふき取ったり、サボテン針で何度かかけて溝を掃除すると、スクラッチノイズの少ないSP盤本来の音になるのです。

蓄音機自身の修理については、木製ラッパの空気の漏れ等は、シェラックを使っています。穴の大きいところはシェラックに浸した和紙を張り付けて補修しているようです。また、ゼンマイが堅くて巻けない場合は、ゼンマイ部分を分解し、油の交換をすると、クレデンザでは4面くらいはかかる様になるようです。


以上、たぬさんががーさんの横で見ている限りの蓄音機のお話でした。
http://www1.seaple.icc.ne.jp/mixseeds/p1342.htm


10. 中川隆 2015年4月20日 23:07:13 : 3bF/xW6Ehzs4I : b5JdkWvGxs

オーディオのはじまり
http://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10143&i=10209

クレデンザー、HMV203、エジソンなどの蓄音機
http://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10209_801.jpg

 「音楽などの音を再生する」という意味でのオーディオは、エジソン(Thomas Alva Edison)が 1877年に蓄音機を発明したときから始まる。

だが、エジソンが発明した蓄音機「フォノグラフ(Phonograph)」は、円筒の側面に音溝を刻む方式のため、録音を数多く複製することが困難であった。

また、再生だけでなく録音もできるので、レコードプレーヤーというよりはテープレコーダーといったほうが適切といえる。

もっとも、そのテープレコーダーすら、すでに蓄音機と同様に過去のものとなってしまい、知らない人が多いのではなかろうか。


なお、オーディオの歴史についての情報の多くが米国中心なので、ここでは、黎明期におけるもう一つのオーディオ大国であるドイツに重きを置くことにする。

 フォノグラフとの比較において、エミール・ベルリナー(Emil Berliner)が1888年に発明した円盤レコード方式の蓄音機「グラモフォン(Gramophone)」は、再生専用で録音ができないものの、プレス装置によってレコード盤を大量に複製できるという点で優れていた。

この発明によって、グーテンベルグの活版印刷で本が飛躍的に普及したように、録音を多数複製して「出版」するという新しい事業が成立し、今日まで続くレコード文化が始まった。オーディオはレコード文化と一体のものであり、ベルリナーのグラモフォンこそが現在のオーディオへと直接連なる祖先である。

エミール・ベルリナー
http://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10209_802.jpg

 ベルリナーは1887年に蓄音機の特許を出願していて、すでに「グラモフォン」という名称を用いていたので、ベルリナーの円盤レコードの発明が1887年とされていることが多い。

しかし、1887年の時点では溝がエジソンの縦振動に対し、現在のアナログ・レコードと同じ横振動になってはいるが、記録はエジソンと同じ円筒の側面に刻まれる方式であった。

ベルリナーが「円盤方式」の「改良型グラモフォン」を発明したのは1888年である。ベルリナーはドイツのハノーファーで1851年に生まれたドイツ人で、アメリカに渡ってから発明家として活躍した。ハノーファーは後にアナログレコードの故郷となる。

ヘルマン・フォン・ヘルムホルツ
http://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10209_803.jpg

 同じくドイツ人のヘルムホルツは、大科学者であるだけでなく、近代的な音響生理学の開祖としてもオーディオ愛好家が敬意を払うべき人物だ。ヘルムホルツは音波をフーリエ級数を用いて周波数成分に分解し、和音や不協和音を科学的に解明した。また、内耳にある蝸牛と呼ばれる感覚器官で音波が周波数別に分解され、それによって人間などが音色を聴き分けるという仕組みも明らかにした。

 ヘルムホルツを擁したドイツは、当時急速に発展した音響科学のメッカであった。ヘルムホルツの著書「自然力の交互作用」は理系のドイツ語テキストとしてメジャーなので、を読まれた方も少なくないだろう。ベルリナーが故国ドイツで1889年に「グラモフォン」の特許取得と公開実験を行った際、ヘルムホルツがベルリナーのホテルを訪れて「グラモフォン」の実力を見聞したという記録が残されている。

グリーグ作曲・自作自演(ピアノ)「ノルウェーの結婚式の行列」(1903年録音)
http://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10209_804.jpg

 オーディオが形作られてゆく、19世紀末から20世紀初頭にかけての歴史の一端を下表にまとめた。ずらりと並んだ大作曲家らの没年が示すように、この世紀の変わり目はクラシック音楽が偉大であった時代が終わりつつある数十年であった。

この音楽史上で極めて重要な時代にオーディオ装置が辛うじて間に合い、歴史的演奏を録音とレコード盤によって後世に残すことができたということは、なんという幸運だろう。グリーグ、サン=サーンス、ドビュッシー、グラナドスといった大作曲家や、多くの巨匠級の演奏家が歴史的録音を残すことができた。例として1903年にグリーグがパリにあったG&Tのスタジオで録音したレコードを示す。1907年没のグリーグは、録音当時すでに健康状態が悪化していたが、ぎりぎりのタイミングで聴く価値のある録音を残せた。

 オーディオ愛好家はアンプやスピーカーなどの機械に夢中になっている後ろめたさから、音楽愛好家に対して劣等感を抱きがちだが、上記のようにオーディオが音楽に少なからぬ恩恵を与えてきたことも事実だ。

作曲家はオーディオが無くても楽譜などで作品を残せるが、「スウェーデンの夜鴬」と讃えられたジェニー・リンド(Jenny Lind:1887年没)が、文章や写真から歌声を想像するしかないように、もし、オーディオが無ければ、演奏家は自身の芸術を後世に伝えることができなくなってしまう。この「オーディオの歴史」は、そういうオーディオ愛好家の弁明でもある。

【オーディオ】


1877年:エジソンが蓄音機を発明。

1888年:ベルリナーが円盤レコードによる蓄音機「グラモフォン」を発明:
 米国のスミスが磁気録音方式を発明

1891年:オルゴールのポリフォン設立

1898年:デンマークのポールセンが磁気録音装置を発明(針金に録音)

1899〜00年:フーベルマン(Vn)らの巨匠がベルリナーの7インチ盤に録音

1900年:フランスのゴーモンが円盤レコード式トーキー映画を発明

1901年:「G&T」レーベルが登場し大音楽家のレコード録音が格化:ドイ
 ツのルーマーが光学録音装置を発明

1903年:テレフンケン社設立

1906年:ド・フォレストが3極管発明

1908年:パテが縦振動盤を発売

1913年:ベルリンフィルがニキッシュの指揮で「運命」を全曲録音

1914年:ティーゲルシュテットが光学式トーキー映画をベルリンで試験公開

1919年:トライ・エルゴンとド・フォレストがそれぞれトーキーを改良して特許化

1920年:KDKAがラジオ放送開始

1921年ごろ:SPレコードの販売ピーク

1925年:レコードの電気録音本格開始

1927年:世界初の本格的トーキー映画「ジャズ・シンガー」(円盤レコード式)

1928年:クラングフィルム社設立

(2014年3月 小林 正信)
http://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10143&i=10209


11. 中川隆[2094] koaQ7Jey 2016年3月24日 23:36:54 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[2070]

五十嵐さんはデコラを入手するまでマルチアンプ駆動のオールホーンスピーカでした。

NHKの「美の壺」というテレビ番組で紹介されていましたから

HMVロイヤルという機械式蓄音機を御存知の方も居られるでしょう。

クレデンザなどは下々のものでいわば大衆機、

HMV202 や 203 こそがSP再生の極致であるとは某エンスージャストの言ですが
ロイヤルは 203 や 202 とは全く比較にならない名器だそうです。

英王室に一台、EMIに一台の世界にたった二つの品です。

そのどちらかが20年以上前に銀座某社経由で日本にもたらされ、五十嵐所蔵品になりました。
http://www.audio-maestro.com/luochi_sui_shii.html


12. 中川隆[2160] koaQ7Jey 2016年3月29日 13:55:32 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[2143]


小布施のジャズ喫茶 BUD 音を聴く〜音の芯〜 2016年03月24日

古いものには味がある。
古いものは風格がある。

人も今の人より昔の人の方が中身が濃い。
今の人より昔の人が出す音は一途で集中度が高い。

今に伝わり残る名人の録音は心打たれる演奏が多い。
帯域の狭い音だが心に強く訴える力がある。

音は人なり人は音なりの音は、
しっかりとした芯のある音で聴きたい。

音の栄養分を水で割らない音。
強く引き締まった響き。

1900年代から50年代に録音された音はそう要求する。
そうした音だと演奏家が目の前に現れるからだ。

それにどう再生したらいいか。

SPは盤を蓄音機で聴くのが本来の音だが、
CDに復刻された音をどのように再生したら生々しくなるか。

答えはいくつもあると思うのだが、試した中で一番良かったのは、

蓄音機専用スピーカーのソガフォンをHMV101に取り付けた音です。


それは音の核心と呼ぶにふさわしい再生音です。

あら不思議、アラジンのランプから魔神が立ち現れるごとく、HMVから演奏家の姿が見えてくるではありませんか。


 ソガフォンはドライバー、HMVはホーンスピーカー。
 
 レコードまたはCDプレーヤーからアンプに、そしてソガフォンに接続。
http://bud-jazz.dreamlog.jp/archives/5247260.html


13. 中川隆[2531] koaQ7Jey 2016年5月21日 08:58:48 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[2792]

最高級蓄音機 クレデンザ 動画
https://www.youtube.com/watch?v=FDLcjUL7qkM

クレデンザ、SPでJazz
http://kawa.weblogs.jp/things/2012/09/%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%B6%E3%81%A7jazz.html


最初に言い訳をいくつか。

古色蒼然とした古いだけの機械を名器などと持ち上げて、有り難がったり、人様をたぶらかそうとする輩を好みません。自分で聴き比べる事もせず、伝説だの噂だのばかりを有り難がって、騙されたくて仕方が無い人達とも距離を置きたいと思います。

一方で電気的な増幅に頼らない蓄音機でなければ得られない直接的な音があるとは思っていました。けれど、ノイズの向こうのかそけき音を拝聴する物で、他所で感心する事はあっても、自分で音楽を楽しもうという時に選ぶ事は無いとも思っていました。

良く整備されたクレデンザの正面2mで、古いJazzを、聴かせてもらいました。

幾つかの点で考えを改めました。

まず、最初のサーっという音の後、音楽が始まってしまえば、ほとんどの曲でノイズは気になりませんでした。SN比には問題がありません。

周波数やダイナミックレンジにも不足がありません。
(今時のフラットな周波数特性とは違いますし、どうしたって最低域は薄いです。)

ジャンゴ ラインハルトとステファン グラッペリのギターとヴァイオリンは自分の所で聴いたLPよりずっと良い音でした。

ボーカルも良かった。

ピアノはさすがに辛かったかな。
(再生側の問題というより録音時のダイナミックレンジの問題でしょう。)

ハードとしての再生機にも感心しましたが、ソフトとしての音源、選曲構成、峰守さんの説明がとても素敵でした、稀で貴重な音源や知識ですが、自慢したり、難しい話にしようという所がありません。判りやすい話で音楽の楽しさを説明して下さいました。

前にもお邪魔した事のある催しです。もっと後ろで聴いていました。
その時も素敵な内容でしたがこんなに音が良いとは感じませんでした。

塚原さんに席をとって頂かなければ最前列中央に図々しく座る事は無かったでしょう。本当の音に気が付くことも無かったかも知れません。

(参考にリンクしたYouTubeは全くの同一機種と思われます。なかなかの逸品ですが所々でノイズも気になるし、もう少しふくよかでもと思います。個体差というより、針やSP盤の状態、メンテナンスで音も違うのでしょうか)

コメント

kaorin27
SP盤というのは持っているようでも枚数x1,2曲、又は数枚で1曲なのでいつも
同じような曲を聞いている気分になりますね。
このような素敵な機会があるのを羨ましく思います。

田舎町でも蓄音器のご披露会は忘れた頃に見かけるんですが、ストーリー性や
継続性を求めるのは少し酷な感じで「こんな珍しい物から音がでるよ」という
域を出ていないかも。

クレデンザともなると、録音と盤質さえ良ければ万能って感じがします。
やっぱり、沢山SPレコードが欲しいなあ。というオチで失礼しました。
投稿情報: kaorin27 | 2012-09-30 14:32


kawa
SP盤も知ってはいるぜなんて思っていました。家にはビクトローラがありましたし、クレデンザも他所でちらっとは聴いた事がありました。

ハード・ソフトともにキチンと手入れの行き届いた物とではまるで違う物だと知りませんでした。

レコードに依る音源の収集は贅沢な物だと思いますが、中でもSP盤集めの道は険しい物がありそうです。なんでそんな苦労をするのか考えた事もありませんでした。険しい道をあえて進む理由が少しだけ判った気がしました。
投稿情報: kawa | 2012-09-30 18:41
http://kawa.weblogs.jp/things/2012/09/%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%B6%E3%81%A7jazz.html


14. 中川隆[3102] koaQ7Jey 2016年6月30日 19:28:16 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[3443]

Columbia Grafonola Model G−208
http://www.asahi-net.or.jp/~zh7y-tkyn/chikuonki.htm


これだけは手を出すまいと思っていたが、先日試聴会のアトラクションに Gramofonの101を借りてきて鳴らしてみたら欲しくなって、ついに買ってしまった。

オーディオの原点はエジソン式の蓄音機だが、これはソフトが手に入らなくて、只の飾りになってしまう。やはりベルリーナの発明した円盤式のほうが面白そう。

モデルはColumbia Grafonola Model G−208

サイズは29(w)X38(d)X16(h)、重さ6Kg、ターンテーブルは10インチ、振動版はアルミ。

何時頃のものか調べているが、構造から推定すると1930年代の初期のものか?

見かけが迷彩色に塗ってあるので軍の慰問に使ったものではないかと思う。


有名な HMV101/102とよく似たサイズと構造をしているが、チークとか革張りの豪華なものではなく、迷彩服のような模様のある紙?が貼ってあって、全く実用一手張りの廉価版。

中古屋さんが引き取ってきてその途中で車で待ち合わせて、手渡しで頂いたが。
話によると邦楽のSPが沢山あったとかで、多分戦前の輸入品で、軍の慰問用の払い下げかもしれない。

ポータブル蓄音機も犬のマークがついていて、木彫りの綺麗なものだと10万円を超えるが、これは12000円で入手。シェルマンのホームページによるとポータブル蓄音機は軍の慰問用に開発されて、その後民生用にも売られるようになったそうな。したがって、迷彩色のものの方が純正と言うことになる。

早速リストアに取り掛かったが、構造は目覚まし時計より簡単なもの。
部品が無くなっていたり、壊れていない限り、油と埃の塊を取り除いて、ゴム、フェルト等の消耗品を交換すると言う程度の簡単なもの。

一応動くし音も出るが、回転数が上がらないし、途中で止まってしまう。

分解してメカを外して、クレ556のスプレーを吹き付けて、焼き鳥の竹串でつついて埃と油の固りを3時間かかって取り除いた。それで一応チャント回転するようになった。

クレ556は一晩置くと殆ど乾いてしますので、回転部分にグリースアップ。
これで12インチ盤最後まで再生できるようになったが、ここで問題が発生、回転数が高すぎて調整できない。

ガバナーのブレーキのフェルトのパッドを交換すればよいのだが、何か適当なものがあるかどうか。日曜大工の店を探し回って、家具の足につける固めのフェルトを発見。これに交換してリストア完了。

音は大型に比べると勿論落ちるが、ちょっと楽しむには十分。

10畳ほどの部屋で4〜5人は聞ける。
女房に聞かせたらGEバリレラ〜スターリングと変わらないとか(笑)。

もう一台、ほぼ同じ大きさのもので”Magnaphonic”と言うものをジャンクで手に入れたが、スプリングモーターだけ輸入して他は国産のような気がする。

加工精度と音道が木製なのと使っている材質が銅だったり、鉄だったりとアンバランス。
サウンドボックスが鋳物で割れてボロボロになっている。

1930年頃の日本の工業力とその後第2次世界大戦で民生用が代用品時代に入って、まともなものが作られなかったことを考慮すると、現物を十分確認できない限り国産品には手を出さない方が無難(メカの全てを輸入品を使って箱だけ国産と言うものも有るらしいが、これなら良さそう)。

なおクレ556は鋳物に吹き付けると浸透して鋳物がボロボロになるという説もあるので、メーカーに確認中。心配な人は灯油で洗浄してください。


15. 中川隆[4271] koaQ7Jey 2016年10月02日 13:03:51 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[4679]
>>12 の続き


2016年08月12日
音を聴く〜シンプル イズ ベスト〜
http://bud-jazz.dreamlog.jp/archives/5258832.html

カルーソーが大きな朝顔型の集音器の前に向かってマイクなどなく突っ立って歌っている。
そんないとも殺風景な録音風景の写真を見たことがあります。

このように電気を使わない録音をアコースティック録音とか、ラッパ録音と呼んでいます。

1900年頃から1924年ごろまでですから100年前の録音です。

録音された当時のSPを機械式の蓄音機で聴くと、歌声の生々しさに思わず鳥肌が立つ感動を覚えます。
乾ききった喉に沁みる山の清水のようなものです。

しかし今、このような新鮮極上の生々しい歌声が録音された当時のSPが保存良く残されているのは稀です。

そのため、これらをLPやCDにできるだけ忠実に復刻する努力が続けられています。

そこでです、復刻されたSP原音は、できるだけ忠実に再生したいと思いませんか。
さて、そのための道具ですが・・・


先ず第一に機械式蓄音機。

LPやCDになってもSPの音は蓄音機に回帰しましょう。

これをプレーヤーとしてではなく、ホーンスピーカーとして使います。

LPやCDの音をどうやってそこから出すかですが、蓄音機に付いているサウンドボックスに換え、ソガフォンという小型スピーカーを取り付けます。

あとはプレーヤーとアンプですが、種々試行して音の違いを自分の好みに合わせ完成です。

ちなみに現在は以下の組み合わせを楽しんでいます。


CDプレーヤー:SONY D-2
アンプ:VintageJoin
蓄音機:DECCA 型番不明
http://bud-jazz.dreamlog.jp/archives/5258832.html


16. 中川隆[4272] koaQ7Jey 2016年10月02日 13:08:03 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[4680]

1927年製の英国製 HMV193型 が聴ける喫茶店


名古屋 名曲喫茶フィガロ
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/659.html

Music Cafe Figaro

入ったらかかっていたのは、昭和歌謡。ダークダックス、平尾昌晃とかいろいろ。
朝日ソノラマの創刊号の石原裕次郎の声とか。あれこれ。

ブルーノ・ワルター、ウィーン・フィルのアイネ・クライネ・ナハト・ムジークのオリジナル SP盤というのには驚愕した。
http://blogs.yahoo.co.jp/harmankardonpm665/40177896.html


17. 中川隆[4321] koaQ7Jey 2016年10月05日 13:23:47 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[4730]

北関東蓄音機倶楽部 Gramophone Club of North Kanto
http://kitakantogramophoneclub.webnode.jp/


技術部長: 曽我和弘

群馬県桐生市:熱処理会社(つまりゼンマイ製造のプロ)社長、真空管アンプビルダーでもあります。
富士レコード社、梅屋のスプリングは氏の制作によるものです。
またSogaphonの開発者でもあります。
http://kitakantogramophoneclub.webnode.jp/products/%e6%8a%80%e8%a1%93%e9%83%a8%e9%95%b7%ef%bc%9a%e3%80%80%e6%9b%bd%e6%88%91%e5%92%8c%e5%bc%98%e6%b0%8f/

Sogaphonの種明かし - yuihi310のブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/yuichis3010/23571576.html

曽我技術部長発案による新たな電気再生システム、Sogaphonを紹介します。
HMV157にSogaphonを装着したところ、HMV203に変身?しました。腰が抜けそうになりました。
http://kitakantogramophoneclub.webnode.jp/you-tube-face-book/


Sogaphon - YouTube 動画
https://www.youtube.com/results?search_query=Sogaphon


18. 中川隆[4325] koaQ7Jey 2016年10月05日 17:00:59 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[4734]

北関東蓄音機倶楽部の人(この人の所有の倉庫で、聞きに行かれた WE、エルタスのスピーカーのデモが、開催されているようです。)が、小布施の BUD に来られて、曽我ホーンという、蓄音機のサウンドボックスを外して、小型スピーカーを取り付けられるアタッチメントみたいな機械のことを曽我ホーンと言います。

その小型スピーカーの音で、蓄音機の音道(ホーン)を通って音が出るというものです。

音源(CDウォークマン)とアンプ(1から2W)が、必要です。

SP の復刻 CD などは、とても良く鳴ります。実演してもらいました。

驚きの音が、しました。感激しました。
http://blog.goo.ne.jp/8417chiharu/e/ece199cc3ee61d9a28f075d29d796277


19. 中川隆[4399] koaQ7Jey 2016年10月11日 08:06:30 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[4809]


Sogaphonの種明かし 2012/7/19
http://blogs.yahoo.co.jp/yuichis3010/23571576.html


今日はSogaphonシステムの解説です

まずは完成形
http://blogs.yahoo.co.jp/yuichis3010/GALLERY/show_image.html?id=23571576&no=0


チコンキのスロート部のアダプターは積層スプリングで仕上げています。0.3mm厚の熱処理形状記憶スプリング製です。

友人のチコンキスト曽我氏(熱処理会社の社長さん)の手によるものです。
ですから Sogaphon。

もちろんゼンマイのプロですから、どんなゼンマイも作ってしまいます。富士レコードや梅屋さんにも頼まれて製作しています。趣味として。こういう人が仲間にいるとチコンキストは安心ですね。僕のオルゴールのゼンマイも修理してくれました。


Polyphon plays 'Ballsirenen'
https://www.youtube.com/watch?v=PZVJ6yaTBUE&feature=plcp

ドイツポリフォン11インチ、8ベル付きの機械です。1900年頃の銘器復活。

真ん中の円錐形の物体は HMV5B サウンドボックスに模して作ったイコライザーです。これがあるのとないのとでは音が違う。HMV はよく考えています。

http://blogs.yahoo.co.jp/yuichis3010/GALLERY/show_image.html?id=23571576&no=1

ユニット側です。Peerless 5cmフルレンジユニットです。試行錯誤の結果HMVにはこのユニットが最適であることが判明。ただし現行品は中国からインドに生産拠点が移転したので、音質については不詳です。Tang-Bandでは低音がやや出すぎるようです。できるだけユニット振動板とスロートが近いほうがいいようです(サウンドボックスの振動板と同じ位置)。

http://blogs.yahoo.co.jp/yuichis3010/GALLERY/show_image.html?id=23571576&no=2

実験段階の Sogaphon。ジャンクチコンキのサウンドボックスの流用です。

http://blogs.yahoo.co.jp/yuichis3010/GALLERY/show_image.html?id=23571576&no=3

ユニット側。Tang-Band の 5 cmフルレンジ。

最近You-tubeにアップした画像です


Coleman Hawkins; VARIATIONS Part 2
http://www.youtube.com/watch?v=SKJqJ724FFU&feature=plcp


Coleman Hawkins のソロ。かなりのレア盤です。


Artie Shaw-Helen Forrest; I REMEMBER
http://www.youtube.com/watch?v=mqDsofKQH_U&feature=plcp

大好きな Edythe Wright です。

Sogaphon を使うと 45回転EPだって蓄音機で再生できちゃいます。我が青春時代のアイドル、ダニエル・ビダル


HMV 102 plays? 'Pinocchio', Japanese version, Daniele Vidal
http://www.youtube.com/watch?v=dwoNUgO7R5g&feature=plcp

とってもいい音です。78rpm 復刻は出来るだけノイズカットをしていないものが最適で、新さんの Goodiesシリーズはおすすめです。

なんといっても針を削る(切る)手間がかからない。しかも音量調節ができる?

チコンキストには邪道かもしれませんが、こんな楽しみ方があってもいいですよね。
http://blogs.yahoo.co.jp/yuichis3010/23571576.html

蓄音機のお遊び 2012/7/16
http://blogs.yahoo.co.jp/yuichis3010/23551439.html

ゆうちゃんです。

本来まっとうな真空管アンプビルダー、蓄音機愛好家兼ジャズマニアでしたが、最近はあらぬ方向の道楽に走っています。

画像は動画にしてYou-tubeにアップしていますのでご覧ください。

yuichis3010 で検索すると出て来ます。

最新情報は銘器HMV157を使った電気再生、HMV102 2台によるステレオ再生の実験です。

http://blogs.yahoo.co.jp/yuichis3010/GALLERY/show_image.html?id=23551439&no=0
http://blogs.yahoo.co.jp/yuichis3010/GALLERY/show_image.html?id=23551439&no=2


HMV 102 STEREO Part 1
http://www.youtube.com/watch?v=6iTogiHAZp8&feature=g-upl


HMV 157 Meets Sogaphon Part 1
http://www.youtube.com/watch?v=WDiUzsfqPZU&feature=channel&list=UL



http://blogs.yahoo.co.jp/yuichis3010/GALLERY/show_image.html?id=23551439&no=1


HMV15 7は HMV のフロア型蓄音機では最も小型ですが、ホーンに折り曲げのない’ストレートホーン’型なので、音ばなれの良さは抜群です。

ナマ蓄音機のように、針の交換、レコードの交換をする手間がないのでソファに寝転がりながら蓄音機の音を楽しむことが出来ます。

蓄音機のサウンドボックスのかわりに 5cm のフルレンジスピーカーをマウントするシステムです。友人の曽我氏発案制作によるもので、Sogaphon(ソガフォン)と名付けました。

リアルな音がします。

Sogaphonの解説はこちら

The magic of Sogaphon
http://www.youtube.com/watch?v=NNVliaIqy4s&feature=plcp



20. 中川隆[4408] koaQ7Jey 2016年10月11日 21:38:43 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[4818]

北関東蓄音機倶楽部 (Gramophone Club of North Kanto) は群馬、栃木、茨城の北関東3県の蓄音機愛好家による、蓄音機と 78回転 SPレコードの文化遺産保存のために設立されました。

新たなメンバーも募集中ですので気軽にご連絡下さい。
当倶楽部は年3〜4回の蓄音機コンサートを予定しています。
詳細はニュースの欄をごらん下さい。

なお、北関東にお住まいでない方もメンバー登録大歓迎です。ただし蓄音機コンサートは北関東3県のいずれかで開催します。
http://kitakantogramophoneclub.webnode.jp/

北関東蓄音機倶楽部 HP管理人のひとりごと (2012/10/18)
http://kitakantogramophoneclub.webnode.jp/%e3%83%96%e3%83%ad%e3%82%b0/


私たちの倶楽部は蓄音機はもちろん、SPレコードの電気再生、LP,EPレコード、CDの再生まで幅広く活動しています。

たとえばアンティックな喫茶店に卓上型蓄音機をさりげなく置いて、Sogaphon で復刻 CD を流す。

お店の評判もあがるでしょう。

また古くて動かないジャンク蓄音機に Sogaphon を装着して、SP時代の復刻CDを楽しめたら、そのジャンク蓄音機も宝物に変わるでしょう。

そんなことも考えています。

もちろん私たちの倶楽部は営利団体ではありませんので、興味のある方にお分けする(実費はいただきます)という形をとらせていただいています。

またメンバー所有の貴重盤を電気再生したもの、あるいは蓄音機で演奏したものをCDRに複製し、会員各位に配布するという企画もあります。皆様のご意見をお伺いしたいと思います。


機械再生と電気再生(2012/10/19)

チコンキストには偏狭な方も多く、何が何でも蓄音機、電気再生などもってのほか!という方も多いようですが、きちんとした再生装置で聴けば、蓄音機による再生と同等の感動する音を楽しむことができます。

その道の達人はラジオ技術誌のアンプ制作記事で有名な新忠篤氏、故五十嵐一郎氏、故池田圭氏です。

新氏設計によるSPフォノイコライザーは私も、新潟の山上氏も追試制作しましたが、なかなかどうして、キレのあるいい音がします。蓄音機とは別世界のSPレコードの世界です。

イコライザーカーブ可変型フォノイコライザー、直熱管3A5を使った電池稼働フォノイコライザー製作も今後の課題です。You-tube に実験を掲載していますが、そのいくつかをご紹介します。

Fletcher Henderson orchestra の Clarinet marmalade を EMG Mark Xb と EMG電蓄で聞きくらべをしてみました。

英国の EMGマニア、Graham Rankin 氏からお褒めの言葉を頂きました。

なおこの電蓄、型番が不明です。EMGコレクター、香港在住の英国人 Chunny Bhamra 氏にも同定できませんでした。


EMG vs. EMG: Fletcher Henderson; CLARINET MARMALADE
https://www.youtube.com/watch?v=tH1JIolp4Uo

フォノイコライザー(新忠篤式、12AU7 による CR型、ターンオーバー 250Hz/500Hz 切り替え式)、パワーアンプは自作です。

スピーカーはお気に入りのドイツ製フルレンジ、とくにこの Isophon Oval Front-Magnet は 5X7 インチと小型ですが(本来はラジオまたは電蓄のユニット)、実にキレのいい音がします。

ドイツ人の友人から 16台仕入れ仲間に配布しました。

ジャズやタンゴは EMG と竹針、ソーン針では最後まで再生困難ですので、レコードを痛めないためには電気再生システムは必需品だと思います。

また 1940年代年末期から 1955年まではシェラックよりビニールが主流ですから、蓄音機では再生できません。

当倶楽部には強者アンプビルダーが 5名おりますので、メンバーには原価で作成します。因みに僕のフォノイコライザーは合計1万5000円で仕上げました。


The final version of my homemade electric gramophone system
https://www.youtube.com/watch?v=xfrV-6euhnM

http://kitakantogramophoneclub.webnode.jp/%e3%83%96%e3%83%ad%e3%82%b0/


21. 中川隆[5940] koaQ7Jey 2017年1月08日 14:49:34 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[6383]

名古屋市 新栄町 蓄音機カフェ 「エヂソン」 _ HMV-163
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/677.html


蓄音機カフェ「エヂソン」 メイン蓄音機 1928年製 HMV-163
http://www.arm-p.co.jp/ncc/

HMV-163という機種は、1928年に英国で作られたもので、数ある手廻し蓄音機の中でも、音のなまなましさや強さにおいて、優れた特性を持っていて、ジャズやタンゴといったポピュラー系の音楽に適しています。

この蓄音機 HMV-163には「魔力」があるのです。

豊かな低音もなく、繊細な高音もでないのに、なぜか惹きつけられる魅力がこの蓄音機には潜んでいるのです。

しかもそれは、78回転のSPレコードでのみ初めて可能になるのです。
どうぞ、オーディオとは別次元の音の世界を体験してください。
http://www.arm-p.co.jp/ncc/


22. 中川隆[6167] koaQ7Jey 2017年1月19日 23:43:48 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[6615]

★★蓄音機、根岸のページ★★

オルゴール&蓄音機&SPレコード&ラジオ&和時計などの
研究、修理(レストア)、販売、買取の骨董屋です。
http://www.kottoya.ne.jp/

★ヤフーオークション(蓄音機コーナー)に出品しています。★

★修理、販売、買取★

蓄音機販売最新のページ
http://www.kottoya.ne.jp/hanbai.htm

蓄音機修理のページ
http://www.kottoya.ne.jp/U6.htm

店舗までのルート
http://www.kottoya.ne.jp/E9.htm

★お問い合わせ★

(I.T.C.) International trading Campany (1986年4月創立、1998年2月より、HPを公開しています。)

(店舗&修理工房、レストア)🏣369−1411 埼玉県秩父郡皆野町三沢631−2
根岸 光典
TEL/FAX 0494−65−0701
携帯電話 090−7190−2000
http://www.kottoya.ne.jp/

negishi631 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/channel/UCL6_1zaj6SU9vDixHsr4Vug


23. 中川隆[7329] koaQ7Jey 2017年3月25日 17:33:07 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[7804]

「1977 ここまで来た!オーディオ100年」 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=i3AGlAv5gtY


蓄音機の歴史、オーディオの歴史が分かります。



24. 中川隆[7325] koaQ7Jey 2017年3月25日 20:11:52 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[7800]

この素晴らしきモノたち−蓄音機編 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=_-e8si1h4aU

25. 中川隆[-7956] koaQ7Jey 2017年4月29日 08:08:58 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

蓄音器の修理及びメインテナンス


ビンテージオーディオ South
http://www.ne.jp/asahi/vintage/south/framemenu.htm

[32初期非表示理由]:担当:アラシ

26. 中川隆[-7932] koaQ7Jey 2017年4月30日 18:22:51 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

阿修羅管理人に投稿・コメント禁止にされましたので、本日をもってこのスレは閉鎖します

27. 中川隆[-13346] koaQ7Jey 2018年10月26日 17:16:00 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-19555] 報告

小布施のジャズ喫茶 BUD 蓄音機音楽会
http://bud-jazz.dreamlog.jp/archives/cat_103678.html


『蓄音機音楽会』

〜SPレコードコンサート〜

第1回

ジャズ『ブルーノート』

記念すべき最初のブルーノート盤は1939年(昭和14年)1月6日

ミード・ルクス・ルイスのソロピアノ8曲、アルバート・アモンズのピアノソロ9曲

2人のデュエット2曲の計19曲のレコーディングから始まりました。

第1回発売は19曲の中から4曲、片面5分の12インチSP盤BN-1とBN-2だった。


演奏レコード

BN-1 ミード・ルクス・ルイス 1-A 『メランコリー』/1-B『ソリチュード』

BN-2 アルバート・アモンズ 2-A『ブグウギ・ストンプ』/ 2-B『ブギウギ・ブルース』
その他


bluenoteSPコントラスト補正

使用する蓄音機

米国ヴィクター社ヴィクトローラVV-8-9  1928年製

英国グラムフォン社HMV157 1928年頃製


◎入場無料 定員20名 要ご予約


日時 2018年2月18日(日) 午後5時30分〜6時30分

場所 小布施 coffee&jazz BUD(バド)026-251-4033

主催 『le son』SPの会

http://livedoor.blogimg.jp/drecom_bud_jazz/imgs/0/7/07767764.jpg

______

2018年04月17日21:02

『蓄音機音楽会』〜SPレコードコンサート〜第2回
 2018年4月21日(土曜日) 17時30分〜16時30分
 会場 小布施町 coffee&jazzBUD
http://livedoor.blogimg.jp/drecom_bud_jazz/imgs/8/0/80cb6359.jpg

______

2018年09月13日11:36
第3回『蓄音機音楽会』〜SPレコードコンサート〜
 2018年10月21日(日曜日) 17時00分〜18時30分
 会場 小布施町 coffee&jazzBUD 定休日 月・火・水
定員20名 要予約 連絡先 026-251-4033 (11時〜17時)
  @入場 無料

ジャズ『チャーリー・パーカー』
今回はパーカーが最高の演奏を記録した1947年のダイヤル盤です。

演奏レコード

1012-A Relaxin' At Camarillo 1013-B CARVING THE BIRD 1015-A COOL BLUES

 1021-A Scrapple From The Apple /-B Don't Blame Me 1024-B Embraceable You

1032-A Bird Of Paradise   1055-A How Deep Is The Ocean /-B Crazeolog

1058-A My Old Flam /-B Bird Feathers

 その他時間まで。
IMG_0006切り抜き


主催 『le SON』SPの会
http://livedoor.blogimg.jp/drecom_bud_jazz/imgs/8/1/81606e18.jpg


▲△▽▼

小布施のジャズ喫茶 BUD については


アンティーク・オーディオが聴ける店 _ 長野県 _ JAZZ喫茶 BUD
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/209.html

28. 中川隆[-13437] koaQ7Jey 2018年11月03日 07:25:30 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-19912] 報告
いくつの「いい音」を持っていますか? Der Klang vom Theater (ドイツ〜劇場の音と音楽) 2011/06/01
http://kaorin27.blog67.fc2.com/blog-entry-269.html#comment


今年のGWは沢山の方にお越しいただいたのですが、5月中は他のテーマについて書いており手を付けていませんでした、しかし色々と勉強になることもあったので遅れましたが記事にしたいと思います。


休みも後半(私自身はずーと休みなんですが)になり、ブウウーーっと低いエンジン音が聞こえてくると我が家ではついぞ見たことのないシルバーの「どら焼きの親玉」のような薄い物体が駐車場へ滑り込んできました。


ポルシェの「なんとかー」という2シーターミッドシップのスポーツカーでした。
400kmの遠来のお客様です。仮にAさんとお呼びしましょう。

Aさんは、私の使っていたEurodynを買って頂いたご縁でそれ以降何度か行き来させていただいています。

確か音楽を聞いている部屋は我が家と同じ位の広さでしたが、職住近接の職のスペースにも何台もスピーカーを持ち込んでいて、現状で10セット以上音が出るようになっているはずです。
最近はWE4181を4台買ったので(594は既にある)ツインでやってみるとか、訳の分からんことを言っていた。


さて、今回は一泊の予定だし、我が家だけでは物足りないと思ったのか、同好の士を紹介してとの要望で、一緒にYさん宅へお邪魔した。
僕とYさんはオーディオだけでも30年来のお付き合いで、機材の変遷も聞いている音楽も熟知しているといっていい。

きっちりと育ちの良いYさんは、遠来の客人のためと色々な組み合わせで音を出してくださった。
Yさんの御宅には、3つのスピーカーがある。

1.WE555を中心としたフィールドコイルの3Way

2.Sentorian の7インチフルレンジ

3.最近導入された JBL D130と175DLHの2Wayモノラル (型名は不詳、グレー塗装のフラットバックのやつだ)

各々、ステレオソフト、SP復刻など古い録音、JBLはLPモノラル時代の再生をそれぞれメインに担当させている。


僕自身も過去は似たような経歴を持っていて

SPレコード    蓄音器

SPレコードの電気再生用とSP復刻LP(〜1946年頃)  WE555+カールホーンなど

LPモノラル (1946年〜1957年)  WE728+WE713+WE31 や Klangfilm KL-L305など

LPステレオ (1957年以降)  Eurodyn   ALTEC A-5  Lowther PW-2 など


詰まるところ、あれもこれもと種類の異なる機械を「不本意ながら←ここ強調」揃える必要に迫られる理由は
レコードの形状の違いや周波数帯域が拡大する歴史を追いかけ、それぞれのレコードをまあノーマルな状態で再生するためには、同じく機械側の歴史を追体験するしか他に道が無いからです。


http://blog-imgs-17.fc2.com/k/a/o/kaorin27/DSC03275.jpg

準備は出来たのに、グズグズしてちっとも実験の出来ていない、クレデンザ再生用のドライバー。


http://blog-imgs-17.fc2.com/k/a/o/kaorin27/DSC03267.jpg

計画通りならこんな感じに付くはずだ!  これを作ってからもう何年たったのやら・・・・


Yさん宅でたっぷりと音楽を聞かせて頂いた私たちは、夕刻には辞して食事に向かいました。

そこで、AさんはYさん宅の状況について、かなり「怪訝」に感じたという旨の感想を述べられました。
始めのうち、私にはその主旨が掴みきれずにおりました。しかし、或ことに気付いて「Aさんの戸惑い」を理解できたのです。

これはちょっと言葉にはしにくく、誤解を恐れずに言ってしまうと

Aさんが追い求める「良い音」には絶対無二の頂点があって、自身の信じるオーディオの目標は一点ではないか?と感じました。
それならば、常に最新の技術を信じても良さそうだが、古い機械を使っているから余計話がややこしくなるのだ。

対して、Yさんの御宅の3つのスピーカーはそれぞれ別のアプローチで音楽を表現していた。
音の要素のプライオリティがひとつではないという意味だ。


Aさん程のキャリアと使用機材をもってしても、求める音は一つだけ。というのはある意味素晴らしいことかもしれません。
オーディオの持つ本来的な使命、「フォノグラフ=音の記憶」からすると本道だと思います。長らく日本のオーディオ界を覆ってきた「原音再生」の精神ですね。

これに対して、私のように異なる複数のスタンダードを持つのは、130年という長い歴史を刻んだレコードをどうやって再生するか?という意識だろうと思います。
よって、私は人生で一度も自分がオーディオマニアであると考えたこともなく、「これが自分の音だ」という嗜好もありません。
多くの機械と遊んできましたが、それぞれを聞いた友人が「お前の音だなあ」と言ってくれるので、そうなのか。と思うだけなのです。


Aさんからはご帰宅後直ぐに、丁寧な書状と極上の「浜茹しらす」を送って頂きました。
その中には、こう記されていました。

「目指す方向は私とは違いますが、再生音の一つの方向を示していただき、大いに勉強になりました」

いえいえ、こちらこそ普段は「当たり前」と思っていた事を改めて考える機会を頂きました。
Aさんも「何か」を気付かれていたのでしょうね。


いつもの通り、SP、モノLP、ステレオLPと各カテゴリーでスーパーなレコードを聴いていただきました。
ステレオで選んだのが以前にご紹介した、「ファリャの三角帽子」です。

聴き終えたあと頬を赤くしたAさんから思いも寄らない言葉が発せられました。

A 「確かにすごい音だってのは分かるけど、でもこのレコードは例の高いやつでしょ?」

私 「まあ、バブル頃は随分高かったと思いますが、今頃は当時の半額になってますよ。」

A 「・・・ レコードにそんな金額は出せっこない!!!!!!」

私 「はあ?? あんた先日 WE300Aを4本買って ○○○万円払ったって言ってたでしょう!」


あなたは幾つの「良い音」を持っていますか?


コメント

おお! 面白い実験ですねえ

Kaorinさん

こんばんは

JBL D130と175DLHの2Wayモノラルは多分D1050ですね、キャビの色で1004と1005の違いが、でもマルチセルラの方がWesternっぽいですね。


面白い実験ですね。D173246をクレデンザWood Hornで鳴らすんですね。
でもルックスはうーーーん

ところでこのD173246のダイヤフラムはフェノリックでしょうかそれともアルミ合金どちらでしょうか?

BeachMaster等にはフェノリックが使われていたようですが、、、、、

2011/06/03(金) 00:40 | URL | mambo #n9Bk/wZI[ 編集]

Re: おお! 面白い実験ですねえ

mamboさん、こんばんは、

JBLは私が詳しくないので、詳細に紹介できませんが高音ドライバーは
小口径蜂の巣のホーンに付いていました。

エナメル系半艶グレーで端子はハンダです。
箱入りではなくユニットとXOのセットでした。


そして、家のドライバーはそのような立派なのではなく、ALTECの730です。
本当はLagevinとかの720ですと蓄音器に付けたときに帯域がピッタリだったのですが
最近は妙に入手難で諦めています。

720の振動板はフェノリックでした、730も恐らく同じではないかと。
旅客機の機内放送に使われていたヤツがフェノールだそうで、同じくらいの帯域なら
いいなあと思いますが、Music用はさすがに広いですかね。


2011/06/04(土) 00:06 | URL | kaorin27 #-[ 編集]

頂点は一つでも

こんにちは

この記事には考えさせられました。
同じソースを複数の装置で聴くている場合は、目指す方向が
一つに収束していく気がしますが、ソースが複数(SPとか)
になってくるとやはり目指す方向は多様化せざるを得ないので
はないかと思います。
モノラルとステレオを一緒にしている私などは、まだまだ中途
半端なのかも知れません。
それぞれの道を極めるというとカッコいいですが、結局はその
ソフト特有の魅力を引き出す手助けをするだけなのかなって思
いました。


2011/06/04(土) 14:06 | URL | メタボパパ #-[ 編集]

クレデンザの電蓄化

クレデンザのドライバー駆動、非常に興味を持って拝見しています。
ぜひレポートをよろしくお願いいたします。

ボクのHMVでの拙い経験では、普通のスピーカー再生に比べてクセはありますが、
それがソースのツボに嵌るとタマりません(笑)。

2011/06/04(土) 17:02 | URL | ibotarow #iaNYWVsc[ 編集]

最強のWood Horn

Kaorinさん
こんばんは

私はフェのリックのダイヤフラムの音が大好きです。

友人にお勧めしたGaussのHF4000に偶然 オリジナルフェノリック付のものが入手できたのでですが、音の柔らかさときたらアルミと
は比べ物になりませんでした。

>ALTECの730
そうでしたか、わたしはてっきりWEだと、、、、

でもこの時期のこのタイプは殆どフェノリックではないでしょうか?

それにしても最強のWoodHornだと思います。
Horn長は1.5mほどあるのではないでしょうか?
喉のところの真鍮といい、とても柔らかく、人肌が感じられそうですね。
グレデンザ、そろそろポチッちゃおうかしら? でもなあそっちの世界は、さらに泥沼っぽいからなあ、


2011/06/04(土) 23:52 | URL | mambo #L19/bMsE[ 編集]


kaorin27さん こんにちは。
 各ソースにたいして愛情を持ち、敬意をはらい、
律義であればあるほどkaorin27さんのようになら
ざるを得ないでしょうね。私はサーフェイスノイ
ズ恐怖症の重症患者なので、もっぱらCD(このネー
ミングは大嫌いなので、ディジタルレコードとでも
呼びたいのですが)だけですが、そのせいで失った
ものも少なくないと思ってしまいます。


2011/06/05(日) 14:21 | URL | 芳賀 瞬 #-[ 編集]

Re: 頂点は一つでも

メタボパパさん、こんにちは。

パパさんが以前、帯域を広く取ると、真ん中のエネルギーが薄くなる気がするという
記事を書かれていましたね、今回の記事はそれに対するオマージュのようなものです。

EMTの針先を見ても6μ、12μ、15μ、25μ、60μ、80μ・・・と沢山あります。
勿論グルーヴの太さに応じてですが、中音のエネルギーの推移ともピッタリとリンク
していますね。
SPや初期LPを聴いて「高音が伸びていない!」と腹の中で思っている人は沢山いると
思います。(高そうな盤なので口には出さないが、顔色で想像できる)

しかし、それぞれの時代のレコードに入っているものを、現代的Hi-Fi嗜好だけではなく、
各々の特徴を活かして十全に発揮させてあげることはとても大切だろうと考えています。

2011/06/05(日) 14:27 | URL | kaorin27 #-[ 編集]

Re: クレデンザの電蓄化

ibotarowさん、コメントありがとうございます。

本当にご無沙汰してしまい恐縮です。
教えて頂きたいことは沢山あるのですが、その手前のチンマイことで
右往左往しています。

さて、電蓄化計画はアンプまで揃えてみたのですが愚図で進みません。
自戒の念を込めて写真を使ってみました。

多少なりともご報告できるよう頑張ります。
今後ともよろしくお願いします。

2011/06/05(日) 14:31 | URL | kaorin27 #-[ 編集]

Re: 最強のWood Horn

mamboさん、こんにちは。

730をつないで針先掃除の音を聞いてみましたが、こりゃフェノリック
ぽいですね。
サウンドボックスのような「カサカサ」感が丸みがあって独特です。
金属では555でしか聴けないような「カサカサ」感でした。

クレデンザのホーンは昔の勇者が「蜂」だったかな、に糸を括りつけて反対側から
明かりを灯し、中を飛ばして計測したらしいです。何mだったかしら。

蓄音器は流石にご高齢で個体差が激しいと思いますが、乗り切る根性さえあれば
(manboさんなら文句なしでしょう)得られる成果は途方も無いと思います。

2011/06/05(日) 14:40 | URL | kaorin27 #-[ 編集]

Re: タイトルなし

芳賀さんこんにちは、コメントありがとうございます。

そうですか、サーフェイスノイズが苦手ですか。
人により、他の人が想像もつかないような嗜好ってありますね。

どのように表現したら正確なのか難しいのですが・・・

僕は逆にCDの曲の始まる直前のザワザワ感が苦手です。
勿論、CDですから無音なんですが、何となく部屋の空気が落ち着かない
というか、さわさわした感じを感じるのです。
まあ、我が家のCDのラインが皆さんのほど熟成されていない古めかしい
ものだから仕方がないのでしょうが。

対して、レコードはたしかに「サー」とか「プチ」とかいいますが
曲の始まる直前にスピーカーの方へ体を引き込まれるような静けさを
感じるんです。

どう言ったら近いかな、
雪が降る夜は、晴れた夜より耳に静けさが沁みるって言うと(北海道でしたね)
お分かりですね。
シンシンと雪が降るって、そんな感じです。

「シンシン」って言葉にしちゃったから無音ではないけど、無音より静かっていうのかしら。


2011/06/05(日) 15:02 | URL | kaorin27 #-[ 編集]


kaorin27さん こんばんは。
 いやー、面白いです!kaorin27さんは、レコードに雪の夜の
静けさを感じ、(そうです。仰るように、あれは確かに静けさが
聴こえてくるのです。)一方私は、CDの出現によって「これで
ドビュッシーのピアノ曲がやっと聴ける」と安どした。普通は
考えが一致して、そうか俺もなんだ、となって面白いとなる。
でも、自分とこんなにも違う、そしてそれが、こんなにも
面白いなんて、不思議で愉しいです。

2011/06/05(日) 20:06 | URL | 芳賀 瞬 #-[ 編集]

Re: タイトルなし

早速のご意見ありがとうございます。

いやーいいこと言われました。
「静けさが聞こえてくる」ホントそんな感じですね。
南国の方には共感されにくかもしれませんが・・・
「白い色の紙」と「白い絵の具を塗った紙」って質感が違いますね。そんな感じです。

ドビッシーのピアノのお話もその通りですよね。
CDって超高級植物図鑑のべらぼうに細密な花の絵のようです。
レコードは窓から差し込む光が空気の分子すら感じる室内を書いたレンブラントの絵のようです。

非常に興味深いテーマですね。


2011/06/05(日) 21:07 | URL | kaorin27 #-[ 編集]


kaorin27さん 納得です。
 レンブラントです。俗に『光と影の画家』などといわれますが、
実はkaorin27さんが言われるように、彼が描いたのは空気感では
ないかと。その空気も均一ではなく、粗の部分と密の部分があって、
しかもその空気は動いている。それがなんともアナログレコード特有の
生々しさに通ずる感覚なのではないかと。質感の件もしかり。そして
さらに人間の五感は細部まで嗅ぎわける力をもち、絵具を塗っても、
その絵の具がチタニウムホワイトとシルバーホワイトじゃまた違うとなる。
ホルベインとルフランじゃ違うとなる。われわれの感覚がもう少し鈍ければ、
オーディオの泥沼も浅くて済むのになあ…。

2011/06/05(日) 23:18 | URL | 芳賀 瞬 #-[ 編集]

Re: タイトルなし

こんばんは、

> オーディオの泥沼も浅くて済むのになあ…。
泥沼ですか!?
おかげさまというか、ありがたいことにというか泥沼感を一度も
感じずにこれました。
いつも、いい音出してくれてありがとーってやつです。

No天気なのか、仰るところの感覚が鈍いかですね。(笑)


2011/06/07(火) 01:24 | URL | kaorin27 #-[ 編集]


kaorin27さん こんばんは。
 何度も返答して下さって、ありがとうございます。身の周り
に同好の士がいないもので、オーディオにかかわる対話が楽し
いのです…。
 感覚が鈍いなんてとんでもないですね(笑)。あなたから発せ
られる鋭い言葉のひとつひとつに私は「おっ!」「ふーむ!」
「あっ!なるほどなあ…」とひざを叩いたり、腕を組んだり。
泥沼感経験なしとは、凄いなあ。オーディオをコントロールする
手腕が、私などとは格が違うのですね。私はつい最近、DG-48で
やっと出口を見つけ、光がさしてきました。

2011/06/07(火) 15:27 | URL | 芳賀 瞬 #-[ 編集]

Re: タイトルなし

こんにちは、

オーディオをコントロールする手腕が無いばかりか、そもそも
そういった感情が無いと言う方が正しい気がします。

誤解を招きやすいので記事にはしにくいのですが、
多くのスピーカーとかアンプはとても優秀じゃないですか。
そのまま、素直に使うといい音になるはずですよね。

私がいい音だと思っているのは、それを信じているからです。
本当は音は悪いかも知れませんが、要は気の持ち様ってやつです。

2011/06/07(火) 16:48 | URL | kaorin27 #-[ 編集]

http://kaorin27.blog67.fc2.com/blog-entry-269.html#comment

29. 中川隆[-13468] koaQ7Jey 2018年12月25日 16:41:14 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-22207] 報告

40万の法則とスピーカー

シングルユニットスピーカー好きの戯言

「40万の法則」というのを聞いたことがある、あるいは知っている方は経験豊富なオーディオファイルではないでしょうか。

戦後(昭和20年代中盤)NHKによる「快い音」の研究成果の一つで、 快く聞こえる音は、最低遮断周波数と最高遮断周波数の積がおよそ40万になっているというものです。

周波数帯域でいうと、

200Hz〜2kHz(電話レベル)
100Hz〜4kHz(構内放送、ボイスチャットレベル)
80Hz〜5kHz(AM放送レベル)
27Hz〜15kHz(FM放送レベル)
20Hz〜20kHz(人の可聴域、HiFiオーディオレベル)

というくくりになろうかと思います。

中心周波数は、40万の平方根であるおよそ630Hzで、これは人間の内耳、口腔の共振周波数とおおむね一致します。
内耳の自然共振周波数を中心とした確率分布(標準偏差)のエネルギーバランスをもつ音(つまり40万の法則にあう音)が、人にとって最も受け入れやすい、快い音となる。
と言い換えると分かりやすいでしょうか。

また、楽器や声などの個別の音色は、基本となる周波数の音(基音)と、倍音と呼ばれる高調波成分の音の混ざり具合と、それぞれの成分の時間変化が音色を決定するのですが、人の感覚は、特に耳の感度が落ちる低い音程域(主にベースパート)では倍音成分がしっかり聞こえていれば基音が欠落していてもあたかも基音があるかのように聞こえる(補完して音程が取れる)という特性があります。
このため、再生帯域がより広くなるときは、40万より大きい数字になっても快さは低下しないとする説もあります。

ここから導き出されることは、再生周波数帯域を広げてもそれだけでは快い音は得られず、帯域の取り方とエネルギー分布(バランス)が重要だ。ということです。

気を付けなければいけないのは、40万の法則は「必要条件」でも「十分条件」でもなく、当てはまっていなければ快い音がしないというものではありませんし、ましてや当てはまっていれば必ず快い音がするというものでもありません。
音の快さの傾向として周波数レスポンスを考えた時、どのようにまとめられているかとか、システムの設計/製作にあたってのターゲット設定の指標の一つとしての役割でしかありません。

語弊を恐れず言い換えると、オーディオ機器は重い方が良い結果を得る確率が高い。というのと同レベルで、40万の法則への当てはまり度合が高い方が、好ましい結果を得る確率が高くなる。といった程度のものです。
これは、音の傾向、快さは、周波数レスポンスだけでは決まらないからです。

また、40万という帯域の指定より、中心周波数630Hzの方が大切です。

それらをふまえて。。
現代のオーディオ機器で考えた場合、ラインレベルの音源(ソース)とアンプについては人の可聴域である20Hz〜20kHzがフラットに出せない機械を探す方が難しいくらいに高性能ですが、厄介なのがスピーカーです。

一般的なダイナミック(マグネチック)スピーカーは、磁界の中に振動版と連結したコイルを置き、コイルに交流の信号電流を流して発生した力で振動板を前後に動かして音波に変換する、線速度一定型のデバイスです。
線速度一定ということは、周波数と振幅が反比例する(周波数が低いほど振幅が大きく、周波数が高いほど振幅が小さくなる)ということです。

物理(物性)的にみると、周波数が高くなるほど振動系の重さと振動板のたわみでコイルと振動板の追従性が悪くなり、歪んだりレベル低下したりします。
高い周波数で歪まず音圧を得るには、剛性が高く追従性の良い、強くて軽い振動系が必要で、サービスエリアを広くするには口径を大きくできません。
一方、低い周波数では口径を大きくするか、感度と直線性を保ったままストローク(振幅)を大きくしないと必要な音圧が得られません。
周波数が低いほど必要な振幅が大きくなるので、スイングさせようとボイスコイル幅をむやみに大きくしても、コイルに磁界の掛かっていない部分が多くなるので効率が悪くなったり、振幅の限界近くで直線性が悪化したり、そもそも振幅が取れず底突きしたりなんていうことが起きます。

フルレンジユニットで考えた場合、20Hzと20kHzは周波数で1000倍違いますので、20kHz時と同じ音圧を20Hzで得るのに、20kHzの時の1000倍の振幅が必要となります。
口径が大きなユニットの場合、低域の必要振幅は確保できても高域の追従性と指向性が問題になりますし、口径が小さい場合、良好な高域特性は得られても低域で必要な振幅が取れなくなるという、完全に二律背反の世界です。
つまり、振動板の前後運動(ピストンモーション)だけでオーディオ帯域をリニアかつフラットに再生しようとするならば、物理的、物性的な制約からスピーカーユニットごとの受け持ち周波数帯域を分割したマルチウエイスピーカーでなければ到底無理ということになります。

ところが、趣味の世界はおかしなもので、評価の高いスピーカーにはフルレンジユニットのものが少なくありません。
レンジは狭くともバランスのとれた周波数レスポンスを持つものであったり、音の評価は周波数レスポンスだけで決定されるものではないということの現れですね 。

可聴帯域全域でリニアでフラットな特性を得るにはマルチウェイが必然的に必要となるのですが、マルチウェイならそれでよいかといわれると、20Hzの再現なんて超大型システムでもなければ望むべくもなく、40Hzでさえ、きちんとピストンモーションで鳴らせるスピーカーシステムはお父さんのお小遣い(現実的な価格)とウサギ小屋に収まる現実的なサイズでお目にかかることはほぼ出来ません。
それどころか、巷にはマルチウェイであっても先の人の基音部補正能力を逆手に取ったかのような低音域の雑なスピーカーで溢れているのが残念無念だったりします。
また、マルチウエイシステムには受け持ち帯域を分割する際に起きる特性の変化があり、境界付近の周波数ではユニット同士から発生する音波を合成したときに起きるさまざまな問題の解決も必要となり、実はこれがかなりの難問だったりします。

つまり、スピーカーシステムは、マルチウェイでもフルレンジでも、構成や使用するパーツによって大なり小なり特性や性能に何かしらの妥協が必要になります。

マルチウェイシステムは真面目に作ればどうしても高価になりますし、組み合わせや測定など開発にそれなりのリソースが必要になり、ちゃんとしたメーカーのちゃんとした製品に個人で太刀打ちするのは容易ではありません。
逆に、フルレンジ一発でもユニットとキャビネットの組み合わせと、40万の法則にあるように、無理に再生帯域を広げなくとも再生出来る周波数帯域の使い方が上手であれば大型マルチウエイに負けない感動体験は得られる訳で、メーカーでは対応できない(工業製品としては採用できない)工夫もできるこちらの方が個人でメーカー製品に対抗するには有利です。
(もちろん、負けないと言っても同じ土俵で戦うというわけではありませんので念のため。)

さて、そのフルレンジスピーカー。
メリットはユニットから直接放射される音域ではほぼ点音源であることに由来します。
複数ユニットで帯域分割されていないことから、ユニットごとの受け持ち帯域間のいわゆる「つながり」にまつわる問題が原理的に存在しないため、空間表現が自然で上手と言われています。
デメリットは分割振動による高音域での歪み増加が避けられず、ツィーターより歪みや周波数特性の暴れが大きくなること、直接放射による低域再生に無理がある(限界が早く現れる)ことなどが挙げられます。
昔は6インチ(16cm)級のダブルコーン型が主流でしたが、最近は5インチ、4インチのシングルコーンが多い感じです。
口径が小さくなっているということは、分割振動の問題が以前より小さくなり高域特性はよくなっていても、低域の再生能力が問題になります。
先ほどの40万の法則を考えるならば、小口径化で高い方に伸びた特性のぶん、低域側も伸ばす必要があります。
そのためには高性能なユニット(低い共振周波数と大きくリニアな振幅特性)、振動板からの直接放射だけに頼らないキャビネット(形式、実装)の工夫が必要となります。

スピーカーユニットが良好な高域特性を持ちつつ大きくリニアな振幅特性を持つということは、軽く頑丈な振動系であることに加え、ダンパー、サスペンションの柔らかさ、機械的な振幅余裕が必要です。
この場合、バスレフやバックロードホーンで低域の音圧を得るか、エアサスペンション(密閉)ならば真空管アンプなど出力インピーダンスの高いアンプで低域共振周波数周辺をブーストするなどの補正が必要になります。
そこで問題になるのが、バスレフやバックロードの低域の立ち上がりの遅さや収束の悪さであったり、周波数特性の大きな凸凹だったり、ブーストする場合の大きな振幅増加です。
どんなに素晴らしいユニットを使っても、単純に周波数特性だけ狙って作ると音圧は得られてもブーミーで締まりのないゆるゆるな低音になったり、振幅不足で歪みっぽい低域になったりします。
ここの処理が腕の魅せ所ですね。

余談になりますが、いわゆる「ハイレゾロゴつき製品」のうち、スピーカーについては高域側の再生周波数が40kHzをクリアしていればよいこと(しかもレベルはメーカーお任せ)になっており、歪みや低域側の特性については規定がありません。
周波数特性150Hz〜40kHzなんていう手のひらサイズのスピーカーにハイレゾマークがついてたりするのは、ギャグか何かかと思ってしまいます。

更に余談ですが、基音部がないと気持ち悪かったり、変な基音部ならないほうがマシと言われる方には楽器演奏に長けた方が多いように思います。
http://www.ezto.info/stpress/2016/01/563.html


▲△▽▼


蓄音機の周波数特性 2016年11月12日
http://cheapaudio.blog23.fc2.com/blog-entry-852.html

蓄音機の周波数特性を見つけたのでご紹介します。

横浜蓄音機ミュージアムのサイト
http://emgmark7.com/dish.html

をご覧ください。


ヒズマスターズボイスというモデルだそうです。

https://blog-imgs-91-origin.fc2.com/c/h/e/cheapaudio/20161112090211c86.jpg

100Hzと4kHzがほぼ同じレベルですから、40万ヘルツの法則通りですね。具合良く聞こえるよう、ホーンの形状を入念に作り込んだのだと思います。帯域は狭いですが、高低のバランスが良いので十分に音楽を楽しめたのでしょうね。

タブンこういう形の装置だと思います。

https://blog-imgs-91-origin.fc2.com/c/h/e/cheapaudio/HMV.jpg

装置の下部に大きなホーンが格納されています。一切電力を使わない超エコシステムですね。

これに比べると、現代の一般的な小型ブックシェル サイズのバスレフ型は明らかに高い方へ偏り過ぎでしょう。しかも、最近は蝙蝠さん領域まで特性を一生懸命に伸ばしていますよね。私としては、まず低い方向へ伸ばすよう努力するのが筋だと思うのですが。。。ドナンデショーカ?????

我々の感覚は非常に相対的です。

低音が十分と感じるかどうかは、高音の大きさによって左右されるという事です。
同様に、快適な再生音量も周囲の暗騒音レベルによって左右されます。静まりかえったクラシックのコンサートであっても、何百人もびっしりと人が居るわけですから、自分の部屋でヒトリ静かに聞く場合に比べて暗騒音は相当大きいはずです。ロックコンサートなら、それはもう凄まじい暗騒音でしょう。ですから、オウチでヒトリ静かに音楽を聴く際に、ライブと同じ音量にして聞く必要は全くアリマセン。相当な苦痛を強いられるはずですから。脂汗が出そう。。。耳にも良くないし。。
http://cheapaudio.blog23.fc2.com/blog-entry-852.html

30. 中川隆[-12963] koaQ7Jey 2019年1月16日 13:03:27 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-22225] 報告

☆ 私と蓄音器EMGマークZ との出会い その1 ☆
http://emgmark7.com/dish.html


私は昭和23年生まれで今年2013年で65歳になります。大田区、久が原に中学時代までいました。。そこには祖父の卓上蓄音器(ビクトローラVV1−90)が家にあり私が4〜5歳の頃、姉がゼンマイを巻き聴いていました。小さいながらも、黒い盤が回るのを見たり、中を覗き込んだり、後ろに回って誰かが中にいて唄っているのではないかと、その当時は不思議に思ったものでした。

また父は音キチでステレオに凝りマッキントシュのアンプやタンノイのスピーカなどが沢山転がっていました。私が中学時代にどっちのスピーカの音が良いか、よく聴き比べを父に頼まれ、何回も聴き比べをしていくうちに耳が肥えていったように思います。

そんな環境で育ったため私は大学では音響の専門機関である財団法人―小林理学研究所と関連のある大学へ行き物理の中でも音響学の勉強をしました。専門は室内音響で当時のコンサートホールの残響時間や室内の周波数特性の測定でした。

40年位前になりますが、その当時の新宿厚生年金会館のホール音響はひどいものでした、ニニー・ロッソが毎年日本に来てクリスマスコンサートをしていました、トランペットをニニーが吹くと1秒くらい遅れて後ろの壁から反射して聞こえて来ます。壁や天井・床が並行のため反射して戻ってきます。そんなことで小林理研に依頼があり部屋の残響時間や周波数特性の測定に駆り出されたことを今でも思い出します。

もちろん今ではコンサートホールは並行な壁や天井はなく音の良いホールになりましたが、いまだに音の悪いホールは初台のオペラシテイー位になりました。

その後、私は補聴研究室へ配属になり、補聴器のフィッテイングの研究をし、昭和60年に独立、補聴器フィッテイング研究所を設立、当時、補聴器のフィッテイングの技術が世界的に無かったため、外耳道の鼓膜面までの共鳴を考慮した調整法を確立し、現在では、日本全国から補聴器の調整を求めて来所されます。

また趣味としては、父からステレオ装置を譲り受け、CDの音を聞いていましたが、なかなか良い音に巡り合えず、昔聴いた蓄音器の音が懐かしく思っていました。しかし蓄音器には全く知識が無く、踏み込めないでいました。

そんな時、15年位前から、私は茶道を始め、毎年正月には初釜をして楽しんでいました。9年位前に知人から港南台に茶室を造った家があるので見に行かないかと誘われ訪問しましたら、そこの旦那さんが蓄音器を持たれており久しぶりに聴かせていただきました。昔聴いた懐かしい音に感動し、そこで初めて銀座に蓄音器の老舗シェルマンがあることを教えてもらいました。

2003年11月21日、東銀座のシェルマンに行きました。二階に上がり磯貝社長にお目にかかり、言いました。

『ここに並んでいる蓄音器を順番に聴かせて下さい、私が聞いて一番音の良いと思う蓄音器を一台購入します。』

その当時は蓄音器に関する知識が全く無く、1台目は確かアメリカのものだと言っていました、聴いた瞬間、音の抜けが悪く、ボーカルは遠くで唄っている声でした。

二番目はイギリスのもので、一番大型のサイズだと言う2種類でした、アメリカのとは違い音の抜けは良かったです、大きさは同じでしたが、後の方が音の艶がありました。

4番目は上にラッパが出ていてこれもイギリス製と言っていました。大きな音で鳴っていましたが、低音と高音のバランスが悪く低音ばかりが大きく聞こえます。しかも低音が絞まらずボンボンと聞こえます。

5台目も同じメーカーでフロア型でした。これを聴いた瞬間、鳥肌が立つようでした。高音も良く出ていて、低音もズンズンと絞まっています。高音と低音のバランスがとても良く、ボーカルは音がフォーカスされ、目の前で唄ってくれているようでした。音楽が終わらないうちに、これを下さいと言っていました。

あと2〜3台未だ聴いていない蓄音器はあったのですが、もうこれ以上の蓄音器はないだろうとその時、思いました。蓄音器の知識が全く無い訳ですから、頼りになるのは私の耳だけでした。若い頃から耳は訓練していたため、スピーカからの音楽を聴いて周波数特性がある程度描ける位の耳は持っていました。

この蓄音器マークZの周波数特性はピーク・デップの無い比較的フラットな特性で、しかも今まで聴いた蓄音器の中でも高音から低音まで良く再生している広帯域特性とその時、判断しました。これが、私が初めてEMGマークZに出会った瞬間でした。


☆ 蓄音器 EMGマークZ とは! その2 ☆

それから1週間くらいして、自宅にマークZを設置にシェルマンの磯貝社長が来られました。設置を見ながら社長に聞きました。

『この蓄音器はシェルマンでは何台位扱いましたか?』

かなりの台数が出ているだろうと、予想していたのですが、以外な回答でした。

実はこの蓄音器はシェルマンでは、初めてと言うこと、EMGの蓄音器の中でも大変珍しく幻の蓄音器と言われている事を聞きビックリしました。

では、日本では何台位入って来ていますか?と聞くと、数年前に梅屋さんが初めて入手し、世界の蓄音機の本に掲載されている写真がその実物で、多分これが1台目ではないか、しかしこの蓄音器は回転むらがあったと聴いているとのこと。今日納めたこの蓄音器がおそらく日本で2台目ではないかと思うと言われていました。

そんなに珍しい蓄音器だと言うことを全く知らずに手に入れた事に感銘しました。そして、更にこの蓄音器について知りたいと思い、書物を探しましたがなかなか見当たりませんでした。インターネットでEMG蓄音器で検索すると静岡の林コレクションが見つかり、早速、連絡を取り遊びに静岡の林コレクションへ出向きました。

なんと林静雄さんもEMGの熱烈な愛好者で、EMGの息子さんのジョー・E・ジンと家族ぐるみで交流があり、以前に家族でイギリスの自宅に遊びに行った話をいろいろとお聞きし大変、参考になりました。静岡にお邪魔した時に聴かせて頂いたEMGマーク\もマークZ程ではないが、乗用車に乗るためにコンサートなどの移動用に便利な蓄音器と思い求めました。鎌倉のコンサートで使用していたマーク\はこの時に求めたものです。

林さんにお聞きしましたら、EMGの息子さんの家に殆どんの蓄音器の機種が残っていたが、マークZだけが息子さんの家にはすでに無かったそうです。EMGの蓄音器をあれ程、情熱を持って集められておられる林さんでもマークZには未だ一度も出会ったことが無いと言う話を聞き、益々この蓄音器に興味が出て文献を探すことにしました。

間もなくしてE,M,G,STORYと言う書物が見つかりました。この書物によると、マークZは1928年7月に発売され、1927年に出たHMV202より共鳴管は少し短めだが、マークZの音は繊細で、今まで世に出た蓄音器の中でも、低音から高音まで一番広帯域である。EMGの蓄音器の中でも一番良いモデルである。と書かれており、HMVの蓄音器を意識して造った事が読み取れます。

また、林さんに指摘されて初めて知って調べましたら、マークZは世界の蓄音機ではホーンはパピエ・マーシュ(紙)と書いてありますが、本当はエボナイトだと言うことが本を読んで分かりました。実際にマークZの下から頭を入れて、見えない部分をカッターで削ってみました、紙の上にコーテイングしているのではなく、確かにエボナイトむき出しでした。このことで、低音がズンズンと絞まった音の理由が分かりました。

低音は波長が長いため、材料が軽くて軟らかいと振動で動き音が歪ます。低音を再生するには、重くて硬い材料が良いのですが、HMVのように金属にすると重すぎて移動が困難になります。そこで、金属でなく、紙でない、中間のエボナイトを採用したことが成功した一因と思います。

更に箱に入れてホーンの周りを固定したことで低周波数でもホーンが動かず歪の少ない音になったと思われます。また更に調べていくとEMGは全ての蓄音器がエクスポーネンシャルホーンと言うこと、これは全ての周波数の共鳴がホーンの真ん中に音像が出来、ボーカル等は、点音源になることです。従ってボーカルは声がフォーカスされ、そこで唄っているようにリアルに聞こえます。

また他社の大型蓄音器はリエントラントホーンと言う構造、これは点音源にならず、横に広がった線音源になります。しかも共鳴管の途中で管を二つに分けたため、聴く場所によって、上のスピーカから出た音と、下のスピーカーから出た音で干渉し、ある周波数では位相が反転すると言うとんでもないことが起こっているのです。聴くと音はフォーカスされず、広がってしまいます。カメラで言えばピンボケの状態です。しかし、一長一短があります。エクスポーネンシャルホーンはどの位置で聴いても位相が反転するようなことは起こらず、ボーカルやバイオリンソロなどはとても良いのですが、大編成の交響曲などは、点音源のため、全ての音が真ん中に集中し広がりが無くつまらない音になります。

リエントラントホーンはフォーカスはしないものの、交響曲は広がりがあり聴き易くなります。オールマイテーの蓄音器はリエントラントホーンかもしれません。このように蓄音器の構造を調べて行くと、EMG蓄音器の中でもマークZだけに、エボナイトを使用したこと、またマークZだけが、ホーンを箱に入れて固定したことで、EMGの蓄音器の中でも最高の音を造ることが出来たと思われます。

またEMGがHMVよりも更にハイファイの音を求めたため、エクスポーネンシャルホーンに執着したこともうなずけます。

このように私は、良い音の蓄音器が見つかると、どうして音が良いかを音響的に解明していく事に興味を持っています。また音の良くない蓄音器に出会うと、どうして音が悪いかを音響的に解明しようとします。その点では少し異色の趣味かもしれません。 

   


☆ 蓄音器EMGマークZ その3 ☆

私はこの蓄音器マークZの音がとても気に入り、もう1台、イギリスでマークZが出たら購入することを磯貝社長に伝えましたら、翌年、もう1台出て来ました、残念なことに、すでにモーターは電気に交換されていましたが、音は問題無く繊細な音を聞かせてくれています。

マークZの箱の模様は一台一台、異なっており、箱はデザイン会社 に注文して製作したそうです。2か月前にマック杉崎さんとお会いしましたら、初めのマークZはマックさんが所有されていたそうで、その後手放されて、現在は茨城県石岡の 世界的蓄音器マニアと私が思っている、青柳さんが所有されています。

2004年の雑誌、ステレオサウンドNo153に菅野沖彦さんのレコード演奏家訪問に青柳さんの自宅の写真 が載っておりマークZがあるのにビックリして磯貝さんにすぐ連絡しましたらこの蓄音器が一台目のものと分かりました。この機種はEMG STORYの本の写真に掲載されているものと同一で、模様が放射状になっている蓄音器です。この写真の実物が日本に入って来たことになり、林さんがEMGの息子さんの家に行ったときにはマークZだけは無かった、 つまり、既に日本に来ていた事になりつじつまが合います。

ではEMGの蓄音器はいったい何台位、造られたのでしょうか?
文献によると、マーク]は150台、マーク]aが75台、 マーク]bがオーバーサイズを含めても、たった50台だそうです。マークWが350台、マーク\が350台。

ではマークZはと言うと、これは記録が無く推測でしかないそうですが 数十台のようです。この数を見ると]bが50台と言うことは、もう既に日本にその殆どが入って来てしまったようで、もうイギリスで見つけようとしても難しい状況になっているようです。 しかもマークZは市場に出ることが殆ど無いことからかなり製造した台数は少ないと想像されます。

私は、こんなに良い音の蓄音器を独り占めしてはいけないと思い、8年前から 毎年10月の戸塚のフォーラム祭りの市民持ち込み企画に申し込み、EMG蓄音器クラブとして9時から4時まで約7時間コンサートを開催し、毎年70人くらいの方が聞きにきてくれています。去年は年を召したご婦人の方が一番で来られて最後までおられ、曲をリクエストされていました。毎年2〜3人ですが、EMGのマークZの音を日本ではどこで聴けるのか、検索をかけると私の掲示板に書かれているマークZの記事を読み、連絡が入ります。自宅に来られてマークZを聴いてもらうと、その音にびっくりされて帰られます。今度上京した時には、自分のSPレコード盤を持参するので、また是非聴かせて欲しいと言われます。

そんな方が全国に15人位おられるため、EMG蓄音器クラブなるものを 8年前に立ち上げました。会員は全国に散らばっているため、全員が一同に会する事はありませんが、クラブの年1回の行事として、毎年10月にコンサートを開催している訳です。

蓄音器の老舗シェルマンでは、以前に蓄音器の周波数特性の測定をするため、私が以前、所属していた小林理学研究所に依頼をしたそうですが、見積もりが高額のため実現出来なかったそうです。 そんなことで、私がシェルマンの蓄音器の周波数特性を測定するようになりました。

新しい蓄音器が入荷すると、周波数特性を取り、音を聞き良い音の蓄音器は店に展示する前に 私がゲット出来る特典があります。

平成17年にHMV194の素晴らしい音に巡り合いました。やはり聴いた瞬間にこの蓄音器を下さいと言っていました。

HMVのフロア型蓄音器ですが、もともとリエントラントホーンは音が良くないと言う私の先入観があったのですが、この194を聴いて考えが変わりました。後で周波数特性を測定しましたら、図―1のように200Hzから3000Hzまで周波数がフラットでした。その後も他の194を沢山聞きましたが、これ程の蓄音器に未だ出会っていません。

図―2はマークZの周波数特性です。周波数特性だけで音の良し悪しは勿論分かりませんが、一つの参考データです。

蓄音器の周波数の測定には2種類あり、一つは、周波数特性測定用のSPレコード盤があります。三分の一オクターブバンド毎の純音が録音されており再生しながら、騒音計でレベルを読み取って行きグラフを作成します。

もう一つの方法はクリック音を再生しマイクで受けてその信号をファースト・フーリエ変換(FFT)と言う手法でパソコンで計算し周波数軸に変換します。クリック音はレコード盤に縦に傷を一定間隔で入れ、再生します。

下の図は前者の方法で測定したものです。蓄音器によっては、ある機種の蓄音器は4台位測定しても周波数特性が殆ど不変と言うものもありますし、ある機種では、4台測定すると4台共、周波数が異なると言う機種もあります。蓄音器の周波数特性を図にして発表することも考えましたが、蓄音器の優劣に直結する可能性があり、差し控えております。

以上、私が9年前にEMGに出会い現在までやって来た事です。あまり参考にはならないと思いますが、最後までお付き合い頂きありがとうございました。なお今年の4月、湘南SPレコード愛好会にEMGマークZを持参しますので、興味のある方は聴きに来て下さい。

☆ 蓄音器による鉄針・ソーン針・竹針の周波数特性の違い ☆
ゲストルーム
一般的に鉄の針は強い音、竹の針は柔らかい音と言うイメージがあるが、一体どのような周波数特性なのか大変興味があるところです。今回は蓄音器シェルマンの2階でHMV203の蓄音器をお借りして、実験を行いました。

図−3の赤線が鉄針ミデイアムを使用したときの周波数特性。青線がソーン針を使用した時、黒線が竹針を使用した時のものです。

まず、黒(竹針)と青(ソーン針)を比較してみると、250Hzでは両者とも同じレベルの90dBSPLであることが分かります。

500Hzでは8dBソーン針の方が音が大きい、1KHz、2KHz、4KHzでは10dBソーン針の方が音が大きいことが読み取れます。

即ち、低音域よりも高音域の方が竹針の減衰が大きいことが分かります。

次に赤(鉄針)と黒(竹針)を比較しますと、250Hz以下の低音部分は4dB位、鉄針の方が音が大きいことが分かります。しかし高音域1KHz,2KHzでは15dB位、4KHzでは約20dB位鉄針の方が音が大きいことが読み取れます。

従って竹針は低音域よりも高音域の減衰が多いため、音が柔らかく感じる訳です。この図を見るとソーン針は鉄針と竹針の略中間の特性と言うことが分かります。何かの参考になれば、幸いです。 


☆ 蓄音器の周波数特性 ☆


初めて銀座のシェルマンに伺い、聴かせていただいた時の蓄音器の特性を後日、測定させていただきました。最初に聴いたのがアメリカ製のビクトローラ・クレデンザでした、その時の蓄音器の特性が図―5の赤線の特性です。

500Hzが80dBSPLと他の蓄音器と比較すると10dBから20dBも弱いことが分かります。500Hzが弱いと音の抜けが悪い事につながります。この蓄音器もシェルマンで中も解体しメンテナンスが済んだ状態でした。

またこの図の黒線はもう1台別のクレデンザの特性です。このようにクレデンザは製造期間が長かったことと、製造台数が多かったため、中の構造に多少の変更などがあり、周波数特性にかなりのバラツキが見られます。

黒線の特性は500Hzが102dBSPLも出ていて、音の抜けはかなり良いです。クレデンザには当たり外れがありますので、音を良く聴いて抜けの良い蓄音器を選ぶことが必要です。

次に聴いたのがイギリスのHMV202とHMV203でした。その時の周波数特性を図―6と図―7に示します。サイズはどちらも同じと言うことですが、

比較すると500Hzで202型は90dBSPL,203型は100dBSPL出ていて、10dBも203型が出ています。従って音の抜けの良いのは203型かもしれません。HMV202と203型は比較的個体によるバラツキは少ないようです。

次に聴いたのが図ー8のEMG ]bオーバーサイズでした。周波数特性を見ても、明らかなように1KHzと500Hzは100dBSPLも出ているのに、3KHzでは80dBと高音域が出ていないことが分かります。エクスポーネンシャル・ホーンの径が大きくなり共鳴管の長さが長くなるほど、高音域の減衰が大きく、低音と高音のバランスが悪い事が分かります。

そして、最後に聴いて、鳥肌が立つようだったのが、EMGマークZアップライト・グランド型でした。その特性が図―2です。フラットに近い特性が読み取れるでしょうか?

このように、私の耳で聞いて感じたことが周波数特性を取って見ると、略特性に出ている事が分かります。私が蓄音器の音を聞いて聴き終わらないうちに、購入を決めたのは、図ー2のマークZと図―1のHMV194の2台だけでした。


☆ 針の太さの違いによる、周波数特性の変化 ☆

鉄針のラウド(太針)とソフト(細針)は、いったい、どのような周波数特性になっているのでしょうか?

一般的にはラウドは大きい音、ソフトは小さい音と言うイメージがあるが本当にそうでしょうか?

私もこのことには、大変興味があり、蓄音器の老舗シェルマンの二階をお借りして実験を行いました。使用の蓄音器はEMG―]bです。図−4の赤線がラウド(太針)の特性であり、黒線がソフト(細針)の特性です。

これを比較すると、1000Hzから低い音は、どちらも同じ大きさの100dBSPL音ですが、2000Hzでは、5dB位太い針の方が音が大きい、また3000Hzでは約8dB.4000Hz以上の高音域では、約10dB位太い針の方が音が大きい事が分かります。

従って、針の太さがラウドとは、全体の音が大きくなるのではなく、高音域が出るのがラウドと言う事になります。針の太さを太くすればするほど、高音域が出てきます。これは、ソーン針でも同じ結果になりますので、高音域を出したい時は太い針を使用した方が良い事になります。

しかし、どちらの針も騒音計で音圧レベルを測定すると略同じレベルになります。何故かと言うと500Hz〜1000Hzの音のレベルが100dBSPLもあり、高音域3000Hz〜4000Hzでは、太い針で90dBSPL、細針で80dBSPL位なので、全体の音のエネルギーはどちらの針も同じ略100dBSPLと言うことになります。
http://emgmark7.com/dish.html

31. 中川隆[-9938] koaQ7Jey 2019年5月30日 16:25:40 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[2415] 報告
NHKの「美の壺」というテレビ番組で紹介されていましたからHMVロイヤルという機械式蓄音機を御存知の方も居られるでしょう。

クレデンザなどは下々のものでいわば大衆機、
HMV202や203こそがSP再生の極致である

とは某エンスージャストの言ですがロイヤルは203や202とは全く比較にならない名器だそうです。

英王室に一台、EMIに一台の世界にたった二つの品です。
そのどちらかが20年以上前に銀座某社経由で日本にもたらされ、五十嵐所蔵品になりました。
http://www.audio-maestro.com/luochi_sui_shii.html

32. 中川隆[-9757] koaQ7Jey 2019年6月08日 14:20:12 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[2690] 報告

クラング・クンスト _ DSDフォーマットの歴史的名盤の音楽ファイルをダウンロード販売
北関東蓄音機倶楽部 Sogaphon _ SP録音の CD復刻盤 は Sogaphon を取り付けた蓄音機で聴こう
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/962.html
33. 中川隆[-9730] koaQ7Jey 2019年6月09日 22:59:30 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[2723] 報告

蓄音機・SPレコード販売
株式会社シェルマン アートワークス
http://www.shellman-aw.co.jp/Site/HOME.html


株式会社シェルマン アートワークス

〒104-0061 東京都中央区銀座3-14-16

Tel.03-3543-4848 Fax.03-3543-4857

営業時間10:00AM〜7:00PM

蓄音機在庫
http://www.shellman-aw.co.jp/Site/xu_yin_ji_zai_ku.html


シェルマン アートワークスの蓄音機について

選りすぐりの1台をおてもとに

一口に蓄音機といってもその造り、音、コンディションは1台ごとに全く異なっています。当店ではこの道40年の店主が海外に直接赴き、信頼出来る現地ディーラーやコレクターから良い品だけを厳しい眼で選り分け、買い付けております。


蓄音機はチューニングしだいで変わります。快適にお使い頂くため、十分にメンテナンスを施しています

1971年以来、私共は無数の蓄音機を取り扱ってまいりました。蓄音機の整備はすべて社内で行われております。蓄音機本来の姿と音を取り戻す為に、メンテナンスは欠かせません。ゼンマイモーターなど各部は分解洗浄の後、長年のノウハウを生かして再組立て・調整されます。 音色についてはその蓄音機のベストの音を目指し、時間をかけテストを繰り返し調整いたします。

また、機能ばかりでなくコレクションやインテリアとしての美しさを味わっていただくために、本体は長年の汚れを清掃し、銘木の風合いを損ねないよう彫刻など細部までクリーニングを施した後、手作業でワックスがけしております。塗装はオリジナルの保存を原則としております。必要に応じてレストアする場合もございますが、その際も本来の風合い、時代のついた雰囲気を損ねないよう細心の注意を払っております。コレクションとしてみた場合のオリジナリティ(忠実度)にも十分な注意を払っております。

お買い上げ後1年間の自然故障には無償で対応致しております
保証期間終了後も当店でお求めいただいた蓄音機は最優先・特別料金で修理・整備致しております。安心してお求め下さい。


蓄音機の試聴はいつでも承ります。お気軽にお申し付け下さい
店舗には数10台の蓄音機が常時展示販売されております。ご試聴用のSPレコードのお持込みも歓迎いたします。


シェルマン アートワークスの蓄音機は単なる音が出るアンティークではありません。蓄音機にしか表現出来ないものをお伝えしたいと常に考えております。
http://www.shellman-aw.co.jp/Site/xu_yin_jinitsuite.html

34. 中川隆[-9728] koaQ7Jey 2019年6月09日 23:06:43 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[2725] 報告

蓄音機の梅屋
http://umeya.bz/

蓄音機の梅屋(@tikuonki_umeya)さん Twitter
https://twitter.com/tikuonki_umeya


〒879-5102 大分県由布市湯布院町川上1835

Tel:0977-85-8845


蓄音機(for sale)
http://umeya.bz/php/gramophone/


35. 中川隆[-9726] koaQ7Jey 2019年6月09日 23:08:52 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[2727] 報告

ヤフオク! -「蓄音機 hmv」の検索結果
https://auctions.yahoo.co.jp/search/search/%E8%93%84%E9%9F%B3%E6%A9%9F%20hmv/0/
https://auctions.yahoo.co.jp/search/search?ei=UTF-8&p=hmv+%E8%93%84%E9%9F%B3%E6%A9%9F&tab_ex=commerce&o1=a&nockie=1&rkf=1&mode=0&s1=score2&n=50&f=0x2&auccat=0
36. 中川隆[-9722] koaQ7Jey 2019年6月09日 23:19:54 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[2731] 報告

HMV203 Plays Jacques Thibaud - YouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=ttzTw2OvhXg


株式会社シェルマン アートワークス HMV203
http://www.shellman-aw.co.jp/Site/HMV203.html


英グラモフォン社

サイズ W×D×H : 71×56×127 cm 


価格:お問い合わせください 1年保証*


名器クレデンザの基本設計をベースにさらなる改良を加えた、名実ともに世界最高の蓄音機。ビクターのオルソフォニック・サウンドボックスを英国流に改良したNo.5Aサウンドボックス、クレデンザより開口面積で20%程も大きいリ・エントラント・ホーン、優雅なマホガニー製キャビネット、上品な艶消し金メッキ仕上げの金属部など、一切の妥協を排した最高級モデルの名に恥じない逸品。


まさに「蓄音機のロールスロイス」です。


シェルマン編の取扱説明書、鉄針200本、ストロボスコープが付属します

http://www.shellman-aw.co.jp/Site/HMV203.html

37. 中川隆[-9611] koaQ7Jey 2019年6月14日 15:02:26 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[2860] 報告

日本蓄音器カタログ 日本で販売された蓄音器/蓄音機のカタログです
https://chikuonki.jp/
38. 中川隆[-9610] koaQ7Jey 2019年6月14日 16:31:04 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[2861] 報告

HMV蓄音機カタログ
http://umeya.bz/hmvcatalog.html

梅屋 蓄音機(for sale)
http://umeya.bz/php/gramophone/

39. 中川隆[-9609] koaQ7Jey 2019年6月14日 16:39:52 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[2862] 報告

〜代表的な蓄音器〜
https://www.kanazawa-museum.jp/chikuonki/gaiyo/index.html


エジソン スタンダードB型

1901年(明治34年)〜U.S.A 蝋管用蓄音器
Model : Edison B Type
Product : Edison Co. of U.S.A


ビクター 木製ラッパ卓上蓄音器

Victor STYLE Vol.II
1902年〜1920年
(明治35年〜大正9年)
$30〜$37.50
Product : U.S.A



E.M.G.EXPRT
イギリス製手巻卓上型蓄音器

1927年(昭和2年)英国
(P.Willson Modern Gramophone)
Product : UK


ビクトローラ クレデンザ

1925年〜1928年
(大正14年〜昭和3年)
$275〜$405 VV8-30型U.S.A
1926年〜1927年
(昭和元年〜昭和2年)
$650
Model : Victrola Credenza



ビクトローラ
手巻式蓄音器 VV-300型

1921年(大正10年)〜1925年(大正14年)
$250〜$315 金メッキ仕上げ
Model : Victrola VV 300
Product : U.S.A


エジソン ダイヤモンドディスク
テーブルグランド

エジソン社製。縦、横兼用蓄音器
Model : Edison Diamond Disk Table Grand



HMV 蓄音器 モデル194型

イギリス
1927年(昭和2年)〜1930年(昭和5年)
金メッキ仕上
Model : HMV Model 194


ビクトローラ 1-90型

日本ビクター蓄音器株式会社製
1929年(昭和4年)10月 国内製作販売150円
米国製作輸入価格295円
Model : Victrola 1-90
Product : Japan



HMV 手巻蓄音器 ルミエール

Model : Lumiere
Product : HMV Co. of Uk

https://www.kanazawa-museum.jp/chikuonki/gaiyo/index.html

金沢蓄音器館
https://www.kanazawa-museum.jp/chikuonki/index.html


蓄音機の梅屋 蓄音機 LIVE!!
http://umeya.bz/gramophone.html

40. 中川隆[-9479] koaQ7Jey 2019年6月19日 13:15:20 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[2999] 報告

ドイツ製ヴィンテージ・オーディオ販売 クラング・クンスト KLANG-KUNST
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/479.html


ハイレゾで100 kHz
(さんひまじんオーディオもんどう) 2015年8月
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10145&i=10412

 ある日、スペック紳士のところへ定期購読しているオーディオ雑誌が届いた。昔はオーディオ雑誌を片っぱしから大量に定期購読していた彼だが、ずいぶん前からつまらなくなったと感じ、いまでは「ステテコサウンド」などの数誌を読むだけになっていた。猛実験君が定期立ち読みしている「無銭で実験」など、自作派向けの雑誌には興味がなかった。届いた雑誌の今月号にも面白そうな特集はなかったので、さして読むわけでもなく、パラパラとページをめくっていた。すると、100 kHzもの超高音が再生できるというヘッドホンの広告が目に入った。流行りモノをいち早く使って自慢するのが大好きな彼は、テーブルに置きっぱなしのタブレット端末でメーカーの製品紹介ページを開いた。すでに買う気になっていたので、説明を半分も読まないうちに大手通販サイトて購入してしまった。彼にとっては安い買い物であった。

 翌日にはスペック紳士の家に注文したZONBY製のヘッドホンが届いた。さっそく箱を開いて取り出してみると、手にした印象が普通のヘッドホンと代わり映えせず、ちょっとがっかりした。スペックにつられて買ってしまったが、彼が好むような高級品ではなかった。じっさい、彼がモバイル用に伊達で使う海外製ヘッドホンの、わずか5分の1の価格で購入できた。「まあ、100 kHzの超高音を聴くためだから」と気を取り直したところで、自分がまともなヘッドホンアンプを1台も持っていないことに気づいた。オマケに付いている程度のヘッドホン端子で聴いたのでは、本格的にヘッドホンの音質を評価したと自慢できそうにないと思いつつ、しかたないのでヘッドホン端子のあるDAコンバーターに接続した。何曲かSACD(スーパーオーディオCD)を聴いてみたが、モバイル用のAKB(アーカーベー)製ヘッドホンよりも痩せた、つまらない音にしか感じられなかった。

 ふと、「そもそもヘッドホンに出力されている電気信号に100 kHzの超高音が含まれているのか?」という根本的な疑問が彼に生じた。そのDAコンバーターは192 kHzがデジタルデータの最高速なので、サンプリング定理により約90 kHzよりも高い周波数は原理的に再生できない。その程度の理論は、彼でも知っていた。どうせ聴こえない超高音なら、90 kHzも100 kHzも同じだとは思ったが、猛実験君に不備を指摘され、面目丸つぶれになってしまうことは避けたかった。

 そこで、インターネットで検索してみると、最高速が384 kHzのDAコンバーターはいくつかあったが、どうも安物がほとんどで、高級品は開発サイクルが長くて時代遅れになっているせいか、よさそうなものがなかった。「まあ、ちょっと使うだけだから」と、loFi製のモバイル用DAコンバーターをワンクリックで注文した。それには高性能そうなヘッドフォンアンプも内蔵されていたので、ちょうど良かったからである。loFiでは一番高いモデルを購入したが、それでもスペック紳士が使うケーブル1本の平均価格よりも安かった。確信はないが、これで100 kHzの信号が出そうなハードウェアは調達したことになった。(実際はアナログ信号の超高音をカットするフィルターがあると思われるが、目をつぶることにする)

 次なる問題は音源である。大手の音楽ファイルダウンロードサイトを見てみたが、その時点では192 kHzが最高で、384 kHzは無かった。しかたないので、11.2 MHzのDSDフォーマットの音楽ファイルを、いくつかダウンロード購入した。それが100 kHzを再生できるものなのかどうか、彼には自信がなかったが、価格が一番高いことが決め手になった。「あとはパソコンでダウンロードしたファイルを再生できるようにするだけだ」と思って設定を始めたのだが、その作業は予想外に難しかった。しょっぱなのDAコンバーターのデバイスドライバーのインストールでつまずいた彼は、ネットで調べながらパソコンと数時間格闘した後、あきらめて猛実験君に電話した。

 スペック紳士は100 kHzが再生できるヘッドホンのことは話さず、ただ「パソコンの設定を教えてほしい」と頼んだだけなのに、猛実験君は二つ返事で助っ人に来てくれることになった。10分もすると、猛実験君が軽ワゴン車でやって来た。猛実験君はちゃんとしたメーカーの技術者なので、けっして貧乏なわけではなかったが、車にも服装にも無頓着で、そういうものにお金をかけることはなかった。

猛実験君:「このloFiのDAコンバーターは、このOSだとひとつ古いバージョンをインストールしないと動作しないようであります。これは分かりにくいですね。あと、DSDを再生するにはbooboo2000という音楽再生ソフトをインストールしないといけないので、それもやっておきます。」

スペック紳士:「いや〜。さすが猛実験君はエンジニアなだけあって、パソコンの操作になれているね。もうおわっちゃった。どうもありがとう。」

 夜中の12時近くになっていたので、猛実験君は設定を終えるとすぐに帰った。さて、これでようやく「100 kHzの超高音を聴けるのではないか」と思われる装置の準備が整った。スペック紳士はbooboo2000のプレイリストに、ダウンロードした11.2 MHzのDSD音楽ファイルをドロップして再生を始めた。ヘッドホンからは今まで聴いたことのない、ツヤツヤした音が流れてきた。頭のてっぺんに細かなフィルム片が光を反射しながら降り注ぐような音に、「これが100 kHzだ!」と錯覚したスペック紳士は有頂天になった。以前、猛実験君の家でオシレーターを使って試したとき、自分の耳が15 kHzまでしか聞こえなかったことは脳裏になかった。

 翌日さっそく、スペック紳士は猛実験君に電話をかけて自慢話をした。「とにかく、今までとはまったく異なる音だ」というただ一点のみが大して表現も変えずに何度も繰り返されたので、猛実験君はほとんど反応を示さなかった。満足できなかったスペック紳士は、音海先生にも100 kHzの音について自慢したくなった。同行を求められた猛実験君は、用事が無くても行く気満々だったので、二人は週末に音海先生のリスニングルームを訪問することになった。

 前回の訪問で音海先生のところには広い駐車スペースがあることが分かっていたスペック紳士は、自分のスポーツカーに猛実験君を乗せてやって来た。スペック紳士はファッションではラテン系が好みだが、車はトラブルが心配で無難なドイツ車ばかりを乗り継いでいた。音海先生は再び笑顔で迎えてくれ、手みやげを受け取ると、二人をリスニングルームに案内した。前回同様に床に座ると、スペック紳士が猛実験君に設定してもらったノートパソコンとDAコンバーター、そして例のヘッドホンをカバンから取り出した。猛実験君がUSBケーブルなどを接続してソフトを起動するまでのひとしきり、スペック紳士は予定どおりに得意満面の自慢話をした。

スペック紳士:「先生、僕は100 kHzが再生できるという最新のヘッドホンを試してみました。これまでに体験したことのない音です。とにかく、これまでの30 kHzとか50 kHzといった音とは次元の異なる音です。なにしろ100 kHzと桁が違うのですから。最近ハイレゾ、ハイレゾと叫んでオーディオ界が盛り上がっていますが、このヘッドホンでようやく本当のハイレゾが体験できました。」

 そう言うとスペック紳士はbooboo2000で11.2 MHzのDSD音楽ファイルを再生し、ヘッドホンを音海先生に差し出して聴くように促した。音海先生は少し迷惑そうな顔をしたが、ヘッドホンを手に取り、じっくりと細部を確認するように見てから装着した。

スペック紳士:「どうです先生? すばらしい艶でしょう。」

音海先生:「う〜む。音をうんぬんする前に、わしには演奏が気になって落ち着いて聴けんのじゃ。下手といっては言いすぎじゃろうが、このビブラートではドイツ歌曲が演歌になってしまっておる。」

スペック紳士:「とても美人のソプラノなんですけどね。それじゃあ、弦楽四重奏にしましょう。クリックすればすぐに切り替わりますから。」

音海先生:「こっちの演奏は少しはまともなようじゃが、どうもヘッドホンなんて使わんせいか、頭のてっぺんに音が集まってしまうようじゃ。残響もすごいし、なんだか銭湯で聴いているような気分になってきたぞ。」

 スペック紳士は納得してもらおうとして、次々とファイル再生して聴かせたが、音海先生の顔色がだんだん悪くなってきた。頃合いを見計らうように、猛実験君はスペアナ(電気信号を周波数成分に分解して棒グラフなどで表示する装置)機能をもつ携帯用デジタルオシロスコープを取り出した。ヘッドホンジャックを抜いて、代わりにデジタルオシロスコープをアダプターを使って接続すると、30 kHzくらいよりも高い周波数は減衰し、100 kHzはほんのちょっぴりしかない周波数スペクトルが表示された。もちろん、音の強弱によって棒グラフは伸び縮みしたが、高音域の全体的な配分はあまり変化しなかった。

猛実験君:「やはり30 kHzくらいでローパスフィルターが入っていて、それよりも高い周波数はカットされているようであります。SACDが登場したころ、スピーカーで特別に高い周波数を再生するためのスーパーツィーターが破壊されるトラブルなどがあったりしたので、超高域をカットするようになったと聞いております。」

スペック紳士:「エ〜! 30 kHzでカットされていたの? でも、100 kHzにもちょっと信号があるじゃない。」

猛実験君:「これは測定系のノイズであります。試しにファイルの再生を止めてみます。ほら、さっきと同じくらいの微小レベルで、高い周波数に信号があるように表示されております。」

 その後も猛実験君による測定と三人の議論は続き、どうやら、スペック紳士に「これが100 kHzだ!」と思わせた、頭のてっぺんに降り注ぐようなキラキラ音の正体は、「デジタルエコーではないか」という結論に至った。またまた無駄な買い物をしたスペック紳士だが、今度はケーブルに比べれば微々たる出費なこともあってあまり落胆せず、むしろ、オーディオ業界が浮かれているハイレゾに落とし穴があることを発見した批評家のような気分でいた。

スペック紳士:「ハイレゾ、ハイレゾと騒ぐけど、冷静に考えないといけませんね。」

猛実験君:「あれっ、さっきまでハイレゾ、ハイレゾと騒いでいたのはだれでしたっけ。」

音海先生:「は、は、は。まあ、だれでも経験してみなければ分からんことじゃ。わしは静かな所に住み、携帯電話も控えて耳を大切にしておるが、この年になると10 kHzぐらいまでしか聴こえん。それでこの超高音の出ない昔のスピーカーを使っておるのじゃが、かといって音が悪いとか、音楽が楽しめないということはまったくない。むしろ、ハイレゾとやらで自分に聴こえん音が出ているとしたら、それによる害悪のほうが心配じゃ。」

猛実験君:「自分が三人のなかで一番若いですが、それでも17 kHzよりも高い音は聞こえないので、超高域に有害な音が入っていないかどうか聞き取れません。音楽ファイルの作成者を信用するしかないのですが、思わぬ大音量が入っていて、知らないうちに超音波ネズミ撃退装置になっているかもしれないのであります。」

スペック紳士:「う〜ん。そんな超音波が入っていたら健康被害も起こりそうですね。なんだか100 kHzが再生できるヘッドホンなんて危険なものに思えてきたな。」

音海先生:「サブリミナルで洗脳する手法として、無料の音楽ファイルに20 kHz以上の超高音でメッセージを入れてダウンロードさせる、なんてことが考えられるのう。故意でなくても、誤って除去しそこなったデジタルノイズが大量に入っておって、ピアニッシモなのにアンプは大出力でスピーカーが壊れそうなんてことがあるかもしれん。」

スペック紳士:「それは怖いな。なんだか放射能のように存在しても見えなかったり、聞こえなかったりするのは不安ですね。」

音海先生:「ちょっと大げさに言いすぎたようじゃな。まあ、そこまで心配せんでもよかろう。とはいえ、オーディオ界では周波数帯域でも分解能でも、なんでも余分にあるほうが良いとされてしまっておる。ケーブルのときに差がないものは無いと冷静に判断できることが重要じゃったように、いらないものは要らんと言えることも重要じゃ。」

 そういうと、音海先生は壁際にある蓄音機のほうへ行き、ゼンマイを巻き始めた。ジージーと音をたてて20回ほど巻いてから、脇にあるもう一台の蓄音機の上に置きっぱなしだった78回転のSPレコード盤をターンテーブルに乗せた。金色のサウンドボックスにサボテンの棘で出来たソーン針を固定し、回転ストッパーを外すと、レコード盤がゆっくりと回転し始めた。数秒でガバナーが効いて定速に達したので、音海先生は針をレコード盤の溝に載せた。上品な梨地に金メッキされたサウンドボックスやアームのような音で、ピアノ伴奏のアルペジオに導かれたヴァイオリンが鳴り出した。それはスピーカーやヘッドホンなどから出て来る、電気信号を増幅して再生される音とはまったく素性が異なる音色であった。

スペック紳士:「なんて素敵な音楽なんだろう。まるでビロードのような、でも、けっして老いた感じのしない不思議な演奏ですね。」

音海先生:「さすがはスペック紳士。この演奏は10歳代半ばのヴァイオリニストによるもので、早死にした天才の最後の録音じゃ。」

猛実験君:「自分はクラッシックをあまり聴きませんが、とても感動しました。それになんだか、演奏が間近で行われているように感じました。」

音海先生:「このSPレコードには5 kHzぐらいまでしか記録されていないが、とてもそんな風には聴こえんかったじゃろう。100 kHzのたった20分の1しかないが、音楽の濃さはこちらのほうがはるかに上じゃな。周波数帯域が狭くて性能の悪い録音装置しかなかった時代の演奏が、これほどの質で記録できたということは驚きじゃ。なによりも演奏がすばらしいこと、そして、それをレコード盤に閉じ込めるエンジニアや関係者の教養と音楽への理解が重要なのじゃ。まあ、レコード文化をダメにしたのは我々大衆かもしれんがのう。」

 もう一枚、音海先生は別のヴァイオリニストのレコード盤をかけた。今度はもう少し古い時代の録音なのでシャーシャーとノイズが聞こえたが、蓄音機の上ぶたを閉めると気にならなくなった。曲はヴィターリのシャコンヌで、先ほどと同じヴァイオリンという楽器とは思えないほどドラマティックな演奏が鳴り響いた。それまでは曲の途中で議論を始めていた三人が、心で直接聴いているかのように無言のまま聴き終えた。ひとしきりの沈黙の後、前回のケーブル騒動のときとは打って変わった神妙な調子で別れの挨拶を交わすと、二人の客は帰った。音楽の余韻に包まれた静かな山中に、帰り道でスペック紳士が控えめにふかすエンジン音が響いた。
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KLANG-KUNST オーディオの歴史 オルゴールとロールピアノ
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ポリフォン社の大型オルゴール
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 ベルリナーが発明した「グラモフォン」やエジソンが発明した「フォノグラフ」が、まだ玩具レベルで音楽鑑賞用には不十分な性能しかなかった19世紀末から20世紀初頭にかけて、「オルゴールの時代」がレコードの本格化よりも一足早く訪れ、主に欧米で大流行した。写真はドイツで1889年に創業したポリフォン社(POLYPHON)の大型オルゴールである。写真の中央に見える大きな金属製のディスクを交換することで好みの曲を再生できるので、音楽の楽しみ方としてはCDやアナログディスクで曲を選ぶオーディオに近いスタイルといえる。

 ディスク式のオルゴールは、櫛歯と呼ばれる金属製の音源を、楽譜を移したディスクの孔で間接的に弾いて音を出す。櫛歯の振動は共鳴箱として巧みに作られた木製ケースで増幅され、黄金色の音の洪水ともいえるほど豊かさになる。機会があったら、ぜひ大型のオルゴールを聴いていただきたい。きっと、最新の高級オーディオ装置でさえ及ばないほどの美音に驚かされるだろう。

 それほどいい音のオルゴールだが、オルゴール以外の音色を出すことは原理的に無理がある。また、オルゴールはジングル・ベルが苦手といわれるように、同じ音の連打があまり早くできないので、編曲もアルペジオを多用した同じようなパターンになりがちだ。このため、たくさんオルゴールを聴く音楽好きは、しばらくすると飽きてしまうという致命的な問題が生じた。20世紀になって蓄音機が改良され、レコードビジネスが本格化してレコードの選択の幅が広がると、オルゴールは急速に衰退してしまった。どんな音色も、人の声さえも出せる蓄音機の魅力には勝てなかったのである。

 ポリフォン社のオルゴール事業も衰退したが、同社は第一次世界大戦中にグラモフォンのドイツ支社を傘下に収めた。グラモフォンの本社がイギリスにあったため、敵国資本としてポリフォン社に売却されたのだ。ドイツのグラモフォン社、すなわち「ドイツグラモフォン」は、その後クラッシック音楽の録音を中心に大いに活躍したのだが、その母体がオルゴール会社であったことはあまり知られていない。


ウェルテ・ミニヨンのロールピアノを録音したCD (TELDEC 8.43931)
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 オルゴールのほかにもうひとつ、素晴らしい音楽再生装置が同時代に開発された。それはロールピアノと呼ばれる自動演奏機能付きピアノである。なかでも、1904年ごろから活躍したドイツの「ウェルテ・ミニヨン社(WELTE-MIGNON)」の装置は、ペダル操作も含め、ピアニストの演奏を驚くほど忠実に再現できるという高度なものだ。その仕組みを簡単に解説しよう。

 まず、ピアニストの打鍵とペダル操作を、各キーやベダルに連結された黒鉛の棒で高速に巻き取られていく長いロール紙に記録する。ロール紙に記録された黒鉛の線は、キーを押す力が強ければ濃く、弱ければ薄い。また、キーやペダルを押している時間が長ければ線も長い。このように記録されたピアニストの微妙なタッチを、職人が再生用のロール紙に移すのだが、そのとき、穴の大きさでタッチの強さを、穴の長さで時間の長さを再現する。このロール紙をハーモニカのように空気吸引孔が並んだ読み取り装置を通過させることで、ピアニストの演奏どおりにキーを押したりペダルを踏んだりする動力を空気の流れとして得る。

 スタインウェイのグランドピアノとの組み合わせによるウェルテ・ミニヨンのロールピアノは、当たり前だが生のグランドピアノに等しい超高音質だ。どんなハイエンドのオーディオ装置よりも上に決まっている。写真のCD(独テルデック 8.43931)は、1969〜70年に旧東ドイツのスタジオで録音されたウェルテ・ミニヨンのロールピアノで、ブゾーニ(Feruttio Busoni)やシュターフェンハーゲン(Bernhard Stavenhagen)といった今世紀初頭に活躍した大ピアニストの歴史的演奏が聴ける。


大ピアニスト「フェルッチオ・ブゾーニ」(1866〜1924年)
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 ブゾーニはイタリアに生まれてベルリンを拠点に活躍した作曲家兼ピアニストで、カザルスがバッハの無伴奏チェロ組曲を再発見したように、バッハの鍵盤音楽に対して多大なる貢献をした。バッハのピアノ楽譜には「ブゾーニ編曲」とあるものが少なくない。ブゾーニは性能の悪い蓄音機のための録音を嫌がり、レコード録音の最中に妻へ送った手紙には、「このいまいましい録音機のご機嫌をとるため、強弱もペダルも制限しなければならず、思い切り弾けない」といった不満を書いている。ブゾーニは1922年ごろに英コロンビアで録音し、4枚のSPレコードが発売された。

 たった4枚を集めれば、この大ピアニストのコレクションは完結してしまう。すべて両面盤なので8面あるのだが、なぜか黒鍵のエチュードが2回録音されている。4枚のうち1枚は両面を使って「ハンガリー狂詩曲第13番」が録音されていて、B面には「狂詩曲」という曲名どおりの気違いじみた超絶技巧が吹き込まれているが、当時流行した「表現主義」の自由闊達さなのか、あるいは片面で4分程度しかない録音時間の不足に急き立てられてのヤケクソなのかは分からない。だが、最も少ないとされる両面ショパンの盤では間の取り方が舌を巻くほど絶妙だし、バッハの「平均律クラビーア」では荘厳さに圧倒される。ハ長調のプレリュードとフーガしかないのだが、ブゾーニが弾くとこの音数の少ない曲が不思議とシンフォニックに聴こえる。


ブゾーニが録音したハンガリー狂詩曲第13番(1922年録音)
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 では、そのブゾーニが渋々録音したオリジナルのコロンビア盤とロールピアノのCDを比較してみよう。古い80回転のコロンビア盤は、4枚とも濃い青のレーベルで、「ニュープロセス盤」とよばれる表面に良質なシェラックを用いたローノイズ盤だ。これをEMGの卓上型蓄音機で再生する。20世紀末にアナログレコードからCDになって音が悪くなったとオーディオ愛好家が嘆いたように、1930年ごろに機械式蓄音機から電気蓄音機に世代交代して音が悪くなったと嘆く熱心な愛好家に向けて、機械式蓄音機をハンドメイドで作り続けたのがイギリスのEMGだ。いっぽう、CDはプレーヤーこそSONY製の普及品だが、自作のAD1シングルアンプで増幅し、オイロダインというドイツの名スピーカーで再生する。

 録音が優れていることもあって、CDの再生音はすばらしい音質と迫力だ。「ラ・カンパネラ」と「リゴレットのパラフレーズ」というリストお得意の華麗な曲なのだが、早いパッセージで音が少し乱れ、全体に味気ない。このあたりはロールピアノの限界だろうか。対する古いコロンビア盤は、音が貧弱で常にスクラッチノイズを伴う。それでも、聴くにつれノイズは気にならなくなり、しだいに録音当時の薫香を豊かに感じるようになる。かなり独断的だが、古いコロンビア盤+蓄音機の勝利となった。


EMGの卓上型蓄音機(ゼンマイから回転計付きモーターに改造してある)
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Busoni 録音集 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/results?search_query=Busoni+plays


Liszt Hungarian Rhapsody No 13 Busoni Rec 1922 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=lGEDeH-1UL8

Ferruccio Busoni - Liszt Hungarian Rhapsody No. 13 (1922, 80 rpm) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=aK_RIiGaILE

BUSONI PLAYS Liszt - Hungarian Rhapsody - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=IYHt3k38hNQ

41. 中川隆[-9447] koaQ7Jey 2019年6月20日 10:26:27 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3032] 報告
SPの復刻はナローレンジでノイズもあるので、どんなスピーカーでも十分に再生出来るように思えるかもしれないが、実際には非常に難しい。

それは、SP盤のころは再生装置による音響効果も計算に入れて音作りをしていたため、ディスクに入っている音をそのまま再生しただけでは不十分だからである。

そのような録音の再生は邪道であるというのなら、ヌブーとハシッドだけでなく、エネスコ、ティボー、クライスラー、そして、全盛期のカザルスらの芸術を良い音で聴くという喜びが味わえなくなってしまう。

ところが現実には、これらSP全盛期の録音は、特に弦楽器のソロに関して、現在の不自然な録音よりも好ましいというベテランのオーディオ愛好家が少なくない。それほど、当時の録音エンジニアの見識は優れていたのである。

したがって、ディスクには半分しか入っていないヴァイオリンの音を補間する能力は、ラッパにとって非常に重要である。その点においてオイロダインはまずまずであった。ハシッドよりもヌブーが良く、やや金属質ながら、艶やかな美しさが勝った。
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10213&i=10222

42. 中川隆[-9420] koaQ7Jey 2019年6月21日 08:07:12 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3064] 報告

TK邸訪問(その7):ロンドンウエスターンでLPを・・・(^^; 2011/08/08
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さて、TK邸での驚きの連続の体験・・・アクースタットの巨大なコンデンサーSPで、浴びるようなサウンドを・・・オイロッパジュニアで、瞬時に引き込まれる音楽をと・・・

既に、ここのところ、自分が出そうとしていた再生音とは、全く異なる次元の再生音楽を、たっぷり楽しませていただいたわけですが・・・

まだ、これで終わりではありません・・・(@@;

お茶タイム(とっても美味しいお抹茶をいただきました)の後で、お次は、もう一つの再生系・・・


【ロンドンウェスターンSP(2080A+2090A)】
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ロンドンウェスターンのSPでの再生です・・・

TKさんは、いずれ、このウーファーを後4本揃え、片チャンネル4発としてバッフルを組んで・・・との計画をお持ちだそうですが、今はその途中の段階で、床置きなのだとのこと・・・

で、片方のチャンネルの調子が良くないので、ちゃんと鳴るかどうかと仰りながら、オーディオリサーチのアンプ(アクースタット用より大分小振りな別のアンプ)を接続し、準備完了・・・

まずは試しにと、先程のメニューインのバイオリンコンチェルトを少しかけられた・・・

オイロッパジュニアの時とは、随分違った雰囲気で、低域はユニットが裸なので少ないものの、非常にフラットなレンジの広い印象・・・逆に、オイロッパジュニアには、独特の個性があったんだなと、改めて感じました・・・

と言うか、ロンドンウェスターンでも、かなり濃く厚い方だと思うんですが・・・オイロッパジュニアを聞いてしまうと・・・(^^;

印象の違いとしては、オイロッパジュニアに比べて、レンジが広く感じる分、ロンドンウェスターンでの音の方が線が細く薄い感じが・・・その原因の1つは、アンプ・・・片や、オイロッパジュニアを鳴らしたのは、劇場用のアンプだから・・・

それともう1つは、カートリッジが、オイロッパの時はモノラル用だったのが、今はステレオ用で鳴らしたと言う事も・・・やはり、エネルギー感が随分違って、さっぱりとしてしまった感じで・・・

とは言え、接触の不調も今は、辛うじて出ていないようなので、ロンドンウェスターンでの再生を続けましょうと言うことで・・・大さんのリクエストで、オスカーピーターソントリオのプリーズ・リクエストのB面1曲目をかけていただいた・・・

ほ〜!・・・オイロッパジュニアに通じる中域の厚みや濃さはあるものの、その鳴り方は、σ(^^)私の知る普通のSPの鳴り方に近い気がする・・・これがソースによるものなのかSPの鳴り方の傾向によるものかは分からないけれど・・・

ただ、そうは言っても、厚みを持ちながら中域〜中高域が全くストレスなくふわっと広がる、何とも不思議な、それでいてとっても心地良い鳴り方には、非常に好感を持った・・・どうもこの独特の12セルのホーンによるもののような気がするんだけど・・・どうなんでしょうか?(^^;

ウーハーはそのままで、クロスは600Hzくらいとのこと・・・

お次は、マイルスディヴィスのマイファニーバレンタインを・・・

ほっほ〜!・・・ピアノの音色を聞くと、このホーンの感じが出ているような気がするんですが・・・バッフルなしのウーハー側の音かな?・・・ハハハよう分かりません(^^;

でも、ミュートトランペットの音は、正しく!って感じで・・・グイッと迫ってくる・・・これは、オイロッパのときとはまた違った印象で、凄く良いなあ!・・・あっ!ピアノのソロのところを聞くと、やっぱりこのホーンの感じのような気がする・・・このストレスなくふわっと鳴る感じ、良いなあ(^^;

そして、お次は・・・ホプキンソン・スミスで、デュフォーのリュート組曲?・・・

【ホプキンソン・スミスのリュート】


う〜ん、この音の密度濃さは、凄く生々しさを感じるなあ・・・この軽々と音が立ち上がるのは、このホーンドライバーと、このホーンならではなんでしょうかねえ・・・それに、凄く澄んだ音色で、空間の響も凄く綺麗に聞こえるんですね・・・

これにウーファーが4発になって、バッフルがつくと、どんなバランスになるんでしょうかね?(^^;

っと、それでは次はSPをかけましょうかと・・・遂にあれを!・・・

ハハハ、先に勘違いでフライング紹介した・・・


【ウエスターンのプレーヤー】
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ウエスターンのプレーヤーが、遂に登場です・・・が、またまた今日は時間切れ・・・

ってわけで、つづきは明日・・・いよいよラストか?・・・

いつものごとく、余り期待せずに、お楽しみに!

デハ ^^)/~


コメント


London Western 2080は良いユニットだと思います。

当時の劇場用システムの完成度には昔の技術を感心させられました。

この時代の方が音楽の原点に近い鳴り方をしていると感じる人も多いでしょう。

Mt.T2さん良い体験が出来ましたね!

[2011/08/09 15:46]


大佐、コメントありがとうございますm(_ _)m
軽く適度な減衰で、耳障りな振動音を出さない振動板で、高能率な遠達性の高いスピーカー
そんなユニットと箱が・・・おっと、そのサウンドを活かす部屋も・・・

この後、おおよそ2週間後に、またひとつ、貴重な体験を・・・

そんな体験が、自分の周りのそこかしこで、つながり始めれば、更に充実した世界が?・・・なんて思いを持ちつつ、音の不思議を色んな点で、楽しんで行きたいです\(^^)/
[2011/08/09 18:15]


私は最初はビンテージに浸かってましたから、ハイエンド系は苦手だった。

聴いていても情報量が多くても楽しくない音に感じて、これならビンテージのまままで

良いと30年過ごしてました。

しかし今のシステムで両立出来た気がします。 それぞれの軌跡を得て今があると思います。

Mt.T2さんも良い方向を進まれていると感じますよ!
[2011/08/09 18:41]


大佐、再レスありがとうございますm(_ _)m

アンテナ高くセンス良く判断の速い方、信念やポリシーをお持ちの方、育った環境など影響で、早くに自分の音楽観やイメージをお持ちの片なら、方向性の振幅は大きくなく、直ぐに収束して行かれるのでしょうが・・・
残念ながら、素質や育ちも縁遠いところで蠢いておりますので・・・いつまで経っても、右往左往の振幅は大きく、毎度行き過ぎないと方向転換できないわけで・・・

まあ、あれもこれも欲張って、何度も失敗を続ければ、そのうち少しは、学習効果も・・・
そんな、気の長〜い歩みを続けることで、いつか少しは進歩があるかも・・・
せっかくやるなら、楽しくと・・・おまけ的気持ちで書いているのがこのブログ・・・

焦らず、時折振り返って、またぼちぼちと歩いていくことにしますわ・・・v(^^

[2011/08/09 19:28]


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【1098】110703 TK邸訪問(最終話):SPの電気再生とクレデンザ・・・(^^; 2011/08/09
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さて、巨大コンデンサーSPのアクースタットからかぶりつき席で、浴びるように聞かせていただいたロリンズのぶっとく厚く、めっちゃ熱いサックス・・・

励磁型のヴィンテージSPのオイロッパジュニアで、瞬時に、気持ちを鷲掴みにされたように入り込んでしまったシュタルケルのむせび泣く様なチェロの深い響・・・

あまりに厚く濃く、ストレートに迫ってくる音楽のエネルギーに圧倒されたもんだから・・・

熱さも濃さも持ちながら、独特の暖かく柔らかくふわっと包み込むように、囁くマイルスのトランペットが、クールに?聞こえたロンドンウェスターン・・・

【ロンドンWEのSP】1096-05
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いよいよ今度は、同じウェスターンのプレーヤーで、SPを聞きましょうと・・・

【ウエスターンのプレーヤー】1097-02
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SPの電気再生の1曲目は・・・カールエルプの君を愛す・・・

シャープチプチプチっという古いSP盤をかけた時のイメージの音から始まったんですが・・・

高域の無い詰まった音をイメージしていると・・・思いの外、中高域が伸びている・・・

更に、曲が始まると、突然信じられないほど、シャープチプチプチって音が消え、ピアノの伴奏と男声の響が聞こえ出す・・・ああ!やっぱり音の厚み、密度が凄く、声のエネルギーが、驚くほどドバッと迫ってくる・・・

オイロッパジュニアのようにほとばしるように音のエネルギーの塊が次々ぶつかってくるのとは違い・・・一応演奏している空間が少し感じられ、そこから歌が押し寄せてくる感じで・・・より実体をイメージしたところから、声が迫ってくる感じ・・・

お次は・・・セゴビアのソルテーマ・・・

おお?今度のトレース音?は、かなり高い音でショワーって感じで、結構盛大・・・

っと、またまた、この音は聞こえてるものの、ギターの演奏が始まった途端、このショワーって音が、ガクンと音量が下がったかのように、ギターの演奏がクリアに聞こえ始めた・・・弦を指で弾く瞬間の音と弦が震える音もはっきりと・・・

続いては・・・ゴールドベルグ、クラウスのモーツアルトVnソナタK378から冒頭を・・・

ピアノの音色が艶っぽく暖かく響くなか・・・何とも生々しい実在感で、バイオリンが・・・目を瞑れば、なお更そこで演奏しているような感じが増す・・・今のソースや機材の音に比べれば、帯域もかなり狭く、シャープチプチとノイズも盛大に聞こえているんですが・・・演奏のエネルギー感と実体感は、信じられないほど高い・・・正に中域の密度とエネルギー感の違い・・・モノラルの威力?(^^;

それじゃオーケストラをと・・・ワルターウィーンフィルで田園第5楽章前半を・・・

ああ!・・・シャーの中なのに、ホールの響と言うか、空間に音が広がる感じまで・・・よく、オーディオ機器の試聴で、ベールを1枚はいだように・・・なんて表現がありますが・・・確かに、シャープチプチって音は、粗い織りのレースのカーテン越しに聞いているようではあるんですが・・・粗い目の向こうは、実際の演奏現場って感じで・・・ある種、生々しさや実体感を感じるんですよね・・・

っと、貴重なSP盤を電気再生で聞かせていただいてきたんですが・・・

いよいよ最後に・・・蓄音機でと・・・


【クレデンザで】
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一際、その存在感を示していた、家具のような蓄音機・・・クレデンザでの再生・・・

まずは・・・コルトー:ラヴェル水の戯れ・・・

へ〜!電気再生の時は、あれだけ盛大にシャーって聞こえてたのに・・・微かにシャーって聞こえる程度で、ほとんど気にならない・・・

で、流れ始めた、優しく繊細なピアノの調べ・・・思いの外柔らかく、優しい感じ・・・でも、その分細かな音の表情が聞こえるような・・・

針が、真鍮の針だそうで、波状の特殊な構造の針だからなのだとか・・・

と、最後は・・・エリカモリーニのVn小品をと・・・

う〜ん、何とも暖かく思いやりに満ちた、優しい演奏・・・ピアノを後に、バイオリンが情感たっぷりに、ある種の切なさも伴って・・・それにしても細かな音までよく出るんだなあ・・・

いやあ、素晴らしい!・・・パチパチパチ

コンデンサーSPから、不調で最近鳴らしていないので、ちゃんと鳴るかどうか・・・鳴っても寝起きの音しか出ませんよとのことでしたが・・・嬉しいことに、何とか鳴ってくれて、完調ではないにせよ、圧倒的に厚く濃く、トンでもない音楽のエネルギーを感じさせていただきました・・・

普段、聞いている音楽やそのサウンドも、それはそれなりに好きなんですが・・・今日聞かせていただいた音楽は、全く別次元のもの・・・ソースの持つエネルギーもあるのでしょうが、ヴィンテージ機器の驚くほど、音楽のエネルギーをストレートに伝える力・・・

帯域や特性とかスペックには全く関係なく・・・音楽のエネルギーと実体感、何より、中域の厚く濃く、完全に中身の詰まったサウンドで・・・演奏の熱気と思いをダイレクトに受け取る素晴らしさ・・・

スペックに現れない、音楽の大切な要素に気付かせていただきました・・・

TKさん、長時間に渡って貴重な体験をさせていただき、大変ありがとうございましたm(_ _)m

おちゃらけた音遊びからは、まだ卒業できそうにありませんが、お聞かせいただいた素晴らしい音のエッセンスを心に留め、あらたな観点も加えた、自分の音作りをして行きたいなと思います・・・

今後とも、よろしくお願いいたしますm(_ _)m

ってわけで、こま切れ度が増し、少々長くなってしまったこのお話も、ここで一旦お終い・・・

明日からは・・・多分、またおちゃらけ音遊び?(^^;

ま、いつものごとく、余り期待せずに、お楽しみに!

デハ ^^)/~


コメント


Mt.T2さん、長文の試聴記をありがとうございました。多少なりともお役に立てたならば幸いに存じます。また宜しければいつでもお越しください。
[2011/08/09 23:05]


TKさん、こちらこそ、長々とお付き合いいただき、大変ありがとうございました。
レコードというソースと、ヴィンテージと呼ばれる機器、アナログでの音楽再生の持つ、強烈な魅力を再認識させていただきました。
ただ、そのソースも機材も、今からは入手も維持も多くのノウハウと労力、コストが必要ですので、σ(^^)私には、その世界に入り込むことは難しいとも、感じました。
でも、この体験を通して感じたアナログならではのエッセンスや、アドバイスいただいた考え方を参考に、今後のσ(^^)私のシステムの調整や音作りに、少しでも取り込んでいけたらと思っています。
ま、今のところは、その思いだけで、何をやればどう変わるのか、その術は、全くありませんので、また、ぼちぼちと経験値を上げるべく、右往左往を繰り返し、続けて行きたいと思っています。

今後とも、よろしくお願いいたしますm(_ _)m
[2011/08/10 04:10]

オーディオの王道

TK邸の詳細レポートありがとうございました。Mt.T2さんの異次元のサウンド体験の印象が十分に伝わってきました。
TK邸のこれだけのシステムをそれぞれうまく鳴らせるのは、並みの努力、並みの力量ではできないと思います。また、SPからPCオーディオまで、幅広く楽しんでおられるのですが、SPやLPを極められているからPCオーディオの良さも分かり、PCオーディオをやっているからSPやLPの良さも再認識できるということでしょう。
それに比べて、昨今のオーディオは少し底が浅いと言うか、代わり映えしない新製品の羅列とか、アクセサリー遊びなど、本質からずれているように思います。

酒仙坊さん、コメントありがとうございます。
レスをつけたはずが、上手く更新されていなかったようで、遅い返信になり、申し訳ありませんm(_ _)m
さて、TK邸で体験させていただいたサウンドは、以前、単身赴任で神奈川にいた時、先輩に連れて行っていただいたお宅・・・思い返すと、かなりのお宅が、いわゆるヴィンテージに入るシステムをお使いで、その頃から、何か気持ちを捉えて離さない魅力を感じてはいたのですが、まだ、音に対する経験が浅く、充分その良さを理解出来ていなかったように思います。
そんな背景もあり、TKさんのお宅では、その魅力を色濃くストレート出されていて、σ(^^)私の感覚でも感じとりやすかったような気がします・・・そのようなサウンドに調整されているTKさんの情熱のおすそ分けをしていただいたような感じです(^^;

> それに比べて、昨今のオーディオは少し底が浅いと言うか、代わり映えしない新製品の羅列とか、アクセサリー遊びなど、本質からずれているように思います。

う〜ん、耳の痛いお話・・・でも、その違いも、一度は体験して見ないと、本質に辿り着けないような気もするのですが・・・と言いつつ、まだ本質がよく分かっておりませんが・・・足掻くしか方法を思いつかなくて(^^;

[2011/08/11 05:04]


https://mtt2.blog.fc2.com/blog-entry-1151.html

43. 2020年8月25日 18:09:21 : WTRIxbreSo : SmdhZHJZU2RGaVE=[36] 報告
銚子の散歩道 2017年08月31日
蓄音機とノイズ
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/52278470.html

紙コップと紙コップをピンと張った糸で結ぶ『糸電話』。  
むかしの蓄音機は糸電話の原理で78回転盤を再生しています。 糸電話を箱の中に折り畳んでいるのです。 ただ蓄音機の音の基は人間ではなく78回転盤です。 実際の音が音盤の溝に刻まれたとき、必然として音の圧縮が発生します。 声を紙コップが受けて振動し底に貼られた細い糸に圧縮して伝えるのと一緒です。 糸は振動を伝えているだけのようにみえて、実は音声によって発生した響きを伝えています。 言葉の意味を認識するだけでなく、声の高低、イントネイション、声の色まで糸の振動には含まれているのです。 このことをよくよく理解しなければなりません。 オーディオアクセサリと称するものは、糸にゴムをいくつもとりつけるようなもの。 IMG_0256アナログにある機械力の存在と在りようを知らないから、そういうもので胡麻化してしまう。 悪意でなかったとしても、それはオーディオ破壊活動のひとつです。 その前に、機器が本来持つ機械力が音楽に反応するように工夫すればよいのです。 アナログ再生では工夫することがいろいろあります。 しかも結果は無段階に変化します。ねじの締め具合、リュブリケイションの実施、磨きの加減、ベアリングの感度調整、端子のクリーニングなどなど。ヴィンテージアナログの時代、アクセサリなどは使わないという前提で設計製造されているのです。アクセサリを付ける前に、ちゃんと再生装置と向き合っているか見直してみることです。 そんなものはなくてもあなたの望む音にどんどん近づけることができるのが、ちゃんとしたアナログ再生装置といえます。
  
話を戻しましょう。 糸電話の原理は、78回転盤に刻まれた溝から振動を得たサウンドボックスからホーンへ伝える蓄音機の構造と酷似します。 問題は圧縮された音溝からの信号を拡張するはたらきを蓄音機はどうしても得ることはできなかったということです。 もちろん音そのものを大きくすることは可能です、しかし、音を伸ばし再生周波数レインジを広げるという圧縮の拡張に至ることはなかった。 しかも蓄音機の再生音は基の音というわけではなく、基とは違う音といった方がよいこともしばしば起こりました。 

そうした不完全な音でありながら、蓄音機から出る迫真の音楽は聴く人のこころをしっかりとつかみ、大きな感動をもたらしてしまうのです。 ノイズは多いし、原音再生という観点からすればほど遠いものなのに、蓄音機から発する音はノイズを超え音楽をしっかりと伝える力があり、音の内側にひとのこころが在りました。 音に感情が乗っているのです。 グレイを来訪される女性の方のほとんどは、大型装置によるLP再生より、78回転盤の再生や古いラヂオから出る音楽の方に圧倒的に興味を示します。CDなど電子音に比べれば、ノイズまみれの音にもかかわらず。 音にどれほどの感情が含まれているのかは、計測器で測ることはかないませんが、先入観を持たない女性には明確に認識できるのです。 ということは、女性が訪れないリスニングルームに据えられた装置から発する再生音は感情が乏しい、ということになります。 これはオーディオショウにも当てはまることで、用意された椅子にオジサンばかりが座っている会場にセットされた高価な再生装置では感情が乗った魅惑的な音は出ていない証し。 

LP時代になって生まれた原音再生という概念は、音楽の再創造に意味を持たない。 物理的な現象と成立したとしてもそれを原音とは確定することはできません。 原音そのものに対するイメージは人それぞれに異なるからです。 ある人がこれこそ原音そのものだと主張したとしても他の人にはそうは聴こえないものです。 オーディオ、とりわけアナログという分野にとって、原音を目指すより音楽の魂を表出させることのほうが自然な再生音を得られます。 蓄音機から生み出される音楽と音の有り様が、それを端的に示唆しています。 1960年代、わが国では原音再生という言葉が生まれ、これがオーディオの本質だという流れが起きました。プレイヤよりアンプがシステムの中心になり、機械的ノイズは減りましたが、電気的ノイズは格段に増えました。 電気的ノイズは如何に静かであっても、音にある素の形を乱しているからです。 低音が出ていれば原音に近づくと思い込み、音楽は学ぶもので感じ取ることではない。 こういう類いの愛好家が思いのほか多く生き残っているというのが実情です。

糸電話と蓄音機のおはなしをしました。 何から何まで電気に厄介になっている現在。 オーディオは電気のちからで何とでもなると思い込んできたけれど、果たしてそうだろうか、と、うすうす気が付き始めていませんか。 CDの出現後、いろいろなフォーマットを経てPCオーディオに至り、結局は音楽を聴くという行為からは遠ざかってしまっているのを感じていませんか。 電気でノイズ皆無の音楽再生をすべて賄えるという妄想はオーディオ技術者の思い上がりにほかなりません。 彼らは機械力という重要なファクタを無視しています。 つづく 
以上T氏

気になるノイズと心地よいノイズ、どちらともいえないノイズがある。 風鈴がかすかに流れて涼しと感じることもあれば、毎日毎日聞かされて五月蝿くて近所迷惑だとストレスにもなり得る。 虫の鳴き声、外国人のほとんどは生理的に受け入れられない騒音らしいが、わが国では虫の音にある色を愛でる人は多い。 バッハのポリフォニーを芸術と崇める人にしてみれば、ガムラン音楽やジャズはノイズの渦だと指摘する方もいらっしゃる。 こうしてみると、私たちの身の回りにはありとあらゆるノイズが満ち満ちている。 しかし、ノイズがないと宇宙空間の無音状態と同じ、僕なんかは発狂してしまうのではないか。

http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/52278470.html

44. 2020年8月25日 19:08:20 : WTRIxbreSo : SmdhZHJZU2RGaVE=[42] 報告
銚子の散歩道 2009年11月01日
エジソンの縦振動
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/51596771.html


日本に帰ってきてもしばらく経つというのに、耳に残る音がある。 ふくよかで懐かしく、滋味ふかいヴィオロンの音。 朝起きて、御飯を食べる前に、離れに寝泊りしている僕は、牧場の見える部屋にはいる。 手元のレバーでアームを操作して針先を盤の縁に移動させ、静かにおろす。 重く、滑らか。 古い電車を運転するような、レバーの感覚を手に残して、ゆっくり椅子に戻り、深々と座る。 エヂソン蓄音機そう、エジソンは蓄音機をかける人のことまで考えて、針を下ろして曲が始まるまで、一定の時間をもたせる無音ミゾを配している。 粋な気配り。 


縦振動盤


雅やかに調べは始まる。アルバート・スポルディング奏するサン・サーンスの前奏曲。 琥珀色した音色が静かな室に漂う時、魔法がかかる、という言葉を思う。 78回転のスタンダードプレイも良いが、風格とか音楽の滋味とかになると、やはり縦振動に分があると直感する。 百枚以上もある縦振動盤のヴァイオリン・コレクションを無造作に置いてある。 『縦振動のサウンドボックスはデリケイトでね、昨年スペアを友人が見つけてくれたから安心して聴けるよ』 三枚ほど聴けば、くらくらしてくるほどの静けさと音の交わり具合、そこに窓の灰色がかった白、牧草の緑がが混じる。ウォールナッツ 
そうこうするうち、『朝御飯ができたわよ』と奥さんが母屋から声をかけてきた。 近くの牧場の手伝いから帰ってくる途中で友人はウォールナッツをたらふく拾ってきた。そう、エジソンは 
真のgood reproduction を知り尽くしていた。

あれからひと月たった。
あの音が耳に残っている。
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/51596771.html

45. 保守や右翼には馬鹿し[268] lduO54LiiUWXg4LJgs2Ubo6tgrU 2023年7月04日 02:05:49 : cKliYwbW5s : VDZPbi95enZ2YS4=[5] 報告
<△20行くらい>
Date: 7月 3rd, 2023
クレデンザをきいて(その2)

クレデンザの誕生は1925年。
ほぼ百年前のこと。

オーディオテクニカのウェブサイトによると、
クレデンザは67,000台ほど作られた、らしい。

日本で当時の価格は、家一軒分ときいているから、
海外ではそこまで高価ではなかったにしろ、67,000台という数字には、驚く。

今回聴いたゼンマイ式のクレデンザのシリアルナンバーは、1,000番未満である。
初期のクレデンザなのだろう。
オーディオテクニカ所蔵のクレデンザは40,000番台とのこと。

クレデンザの音を聴いたのは、そう多くないが、
実物を見る機会は、それよりも多かった。

今回、はじめて気づいたのは、二枚扉のクレデンザということだった。
私のなかでの印象は、四枚扉のクレデンザである。
中央二枚の大きい扉、
その他に両端にSP盤を収納するための狭い扉がついているタイプである。

二枚扉のクレデンザは、SP盤の収納スペースはない。
こんなクレデンザがあったのか、と検索してみると、確かに存在している。

そして、同じゼンマイ式のクレデンザでも製造時期によって、
けっこう仕様が違っていたこともわかった。

そういうクレデンザから鳴ってくる音を聴いていた。
http://audiosharing.com/blog/?p=39907


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