04. 中川隆 2010年11月06日 09:09:20: 3bF/xW6Ehzs4I
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中国では、都市と農村の差別格差に加えて、30年前から悪名高い「一人っ子政策」の影響で、数億人のヘイハイズ(黒亥子)つまり、あらゆる統計や教育・社会福祉から排除された無戸籍者が誕生したと指摘されている。 公表14億人の人口に加えて、少なくとも2〜6億人の国民としての認知をされない、生きているだけの人たちが存在することになった。このヘイハイヅの存在こそ、超安価な中国製品のコストを支える存在であり、世界にデフレをもたらした元凶であった。 ヘイハイヅは中国国内において、「黒社会マフィア」の爆発的な肥大化に大きな役割を果たしている。一般に、政権が腐敗し、民心が権力を厭うようになると、裏社会(黒社会)の勢力が増大することが社会歴史の根元的法則であって、中国権力の猛烈な腐敗と比例して、黒社会マフィアの勢力が巨大化し、その人的供給源がヘイハイヅということなのだ。
ヘイハイヅが一番問題なのは、その命があまりに安いということである。 あらゆる施政から排除されているため、労働基本権の対象にすらならず、経営側は、最低限生かすだけという完全な奴隷労働を強いることに何の躊躇も必要ない。 ヘイハイヅの側も、もはや中国社会に根付いた被差別奴隷階級としての認識を前提に、奴隷労働であっても生かしてもらえるだけで十分ということになり、労働も命も人生も、すべて吹けば飛ぶような、蜻蛉のように哀れで切ない人生を強いられるのである。 だが、ヘイハイヅであっても同じ人であり、彼等の存在こそが、中国権力の腐敗をますます加速し、中国という国家の存在を軽薄に変えてゆくのだ。そして命の安い発想で、他国に対しても、すべての国民に対しても同じように虫けらとして見るような傲慢な国家に変質してゆく。 同時期に中国では、田中角栄による日中国交回復があり、それから存在しない「戦後賠償」の代替ODAが数兆円規模で投入され、この利権が中国を完全に腐敗させてしまった。日本から巨額のカネが無条件にもたらされ、その利権を構築する勢力と、同時にヘイハイヅが誕生してきたのである。 腐敗権力にとって、施政や統計の対象にならないヘイハイヅの存在は実に都合のよいもので、その命を奴隷として思う存分利用することができ、人権蹂躙、差別社会の構築を加速させた。 やがて、彼等は黒社会の尖兵として腐敗権力によって、日本や台湾・韓国侵略に使い捨てされる人間兵器として利用されることになるだろう。 中国の富裕層、権力者は、ヘイハイヅを利用することで、自らの富と権力を増大させたわけだが、同じ人間を奴隷として使役し、その命までしゃぶり尽くすような悪辣な支配を行ってきたツケは凄まじい結果をもたらすのだ。 中国の子供たちは、ヘイハイヅの安い命を見て育ち、奴隷の存在を知り、平等な社会福祉に担保された愛情、豊かな人間性を見失ったまま、奴隷と収奪、殺人の社会を受け入れて育ってゆく。このことが、中国社会をどのように変えてゆくのか? まさしく身の毛もよだつような結果を引き起こさずにはおかない。 我々は、中国の子供たち、とりわけヘイハイヅの子供たちが、社会から疎外され、黒社会の論理に頼って生きてゆかねばならない現実を見せられようとしている。それが、どれほど恐ろしいものになるのか? やがて彼等が日本列島にやってくるときに思い知らされることになるだろう。 中国がヘイハイヅという奴隷階級を30年がかりで成立させた結果、もたらされた事態は何だったのか? まだ、明確に論議されている情報を目にすることはできないが、この金融恐慌がアメリカ金融資本家の暴走によるものだったとするなら、それをもたらしたものこそ、中国奴隷階級を利用して世界に構築された超安価商品群であり、これが各国経済を根底から破壊し、日米のみならず、世界工業国すべての生産体制を崩壊させたのだ。 この結果、先進国資本家たちは、自国労働者を切り捨て、生産ラインを中国に移管したことにより、自国労働者階級の絶望的貧困を招き、格差社会を招いたのである。 さらに、生産という仕事を見失った資本家階級は、金融カネコロガシに没頭する結果となり、無制限の投資・投信・利殖に狂奔し、CDSやデリバティブという詐欺商品を開発し、世界に大恐慌をもたらすことになった。 つまり、今起きている金融大恐慌の根源に、中国奴隷階級の成立があることに気づく必要があるのだ。 中国政府の作り出したヘイハイヅ奴隷階級こそ、世界統一政府を目指すユダヤ資本カルトをも巻き込んで、凄まじい人類の終末戦争を演出した最大の功労者というべきなのだ。 http://blogs.yahoo.co.jp/tokaiama/718.html 中国には余剰人口が溢れている。 とりわけ数億のヘイハイズ無戸籍者をどう始末するかが政権の焦眉の課題であって、 彼らを戸籍をエサに徴兵し、日米連合軍によって殺戮させることこそ、人口削減と領土強奪、資源強奪を狙った一石三鳥作戦と政権幹部は考えているにちがいない。 ましてや沖縄北方海域に新たに50兆円を超える熱水鉱床が発見されたというニュースは、中国政権の涎を増すだけのことだ。
彼らが中国独占資源と勘違いしていたレアメタル統制によって経済支配を狙っていたのに、レアメタルの宝庫が沖縄に発見されたのだから、沖縄の戦略価値は、ますます増して、濡れ手に粟、千兆円の宝蔵庫にしか見えないだろう。 今後、沖縄強奪戦略も加速することは間違いないだろう。 だが、尖閣侵略は国際世論から考えて実に無理筋であって、中国をこれほどまで焦らせている他に大きな事情があると考えるべきである。
それは、第一に、中国の国家崩壊をもたらすほどの巨大な経済破綻が近いということ。
これは上海相場が大暴落寸前でありながら、姑息なドル安、円高、元の為替操作などでもたせているメカニズムに気付いている人なら実感できるだろう。 中国にはリーマンショックの数百倍の規模の巨大破綻が待ち受けている。 それは北京・上海の不動産バブル崩壊を契機に、全中国におけるインチキ経済が暴かれる日が近いということであり、その後、経済崩壊から政権崩壊へのプロセスが必然的だからである。 「内部破綻を外部問題にすり替える」というのは組織が寿命を迎えて崩壊する間際に、延命策として必ず行われる常套手段であって、中国も経済的内部矛盾を、対外戦争にすり替えることで延命を図るしかない事情があるわけだ。 国民の目を戦争に向けて逸らせるという方法も、一時的には成功するかもしれないが、しかし延命でしかなく、そんな姑息な手段をとった政権は、崩壊時の悲惨、ダメージを増すだけのことだ。 また、民族としての資質も、日本と同様、利己主義の増殖によって子供たち、若者たちの劣化が著しく、
とりわけ愚劣な一人っ子政策によって、我が儘放題の「小皇帝」世代を生んでしまったこと、 それに深刻な公害汚染や放射能汚染などで民族の生物学的形質そのものが劣化し、 若者たちの精子は50年前の一割以下に激減し、 ウイグル放射能汚染から子供たちの知的レベルも著しく劣化していると報告されている。 もはや中華民族の明日は存在しないといってもよいほどだ。 こんな人間劣化の恐ろしい現実を見せつけられ、環境汚染の歯止めもないまま、少しでも未来の見える中国人たちは、中国を棄てて安全な国土に脱出することしか考えていない。 そこで腐敗官僚たちの汚職による海外持ち出し資産の総額が一兆円に上るという報告もあり、高級幹部の子弟たちは続々と海外逃亡を図っている状態だ。 さらに、ある程度まとまった数、例えば一億人程度を日本列島に移住させ、中華民族を残したいとする野望もあると考えられる。
http://www1.odn.ne.jp/~cam22440/yoti01.htm ■ 一刻も早く中国と国交断絶せよ! 尖閣問題は中国と国交断絶する千載一遇の好機である。
まさに、これによって瀕死の地方経済、国内産業を蘇らせ、企業の海外進出によって失業した人々が復職でき、暖かい日本の連帯社会が復活するはずだ。 国交断絶し、世界大恐慌による危機が癒えるまでの間、鎖国的自立国家の道を歩むことこそ、崩壊を目前とした日本が生き延びる唯一の道である。 世界経済秩序が回復した後も、内需に依存した自律経済体制を維持することによって、世界の変動に影響されない安定した国内秩序を確保し、国民生活の安定を保証することができる。
貿易は、他国がどうしても欲しいと頼み込んできたら売ってあげる程度で十分だ。 貯め込んでほくそ笑むだけの愚劣な拝金思想を目的とした輸出など、人類社会を破壊するだけの愚行にすぎないことを、今起きている大恐慌によって思い知らされているはずだが、どうしても拝金幻想から覚めやらぬ者は、強盗中国で身ぐるみ剥がされるがいい。
日本列島は、世界でも希な自給自足条件に恵まれた国土であることを忘れてはいけない。
有り余るほどの素晴らしい水資源、優れた食料生産を保証する土壌、良心的な利他農業思想、優に1.5億人を涵養できる農地、創意工夫に溢れた産業、陸海の豊富な幸、第一次産業の技術的蓄積、どれをとっても世界にこれほどの自給好条件の国土は少ない。 ところが、自民党政権と企業経営組織は、これまで日本は「輸出産業立国しなければ生きて行けない」と真っ赤なウソをついて国民を騙し、一次産業(農林水産業)を破滅に追いやり、国民を産業の奴隷として使役するために競争主義の幻想に洗脳し続けてきたのだ。
世界中を見渡しても、日本ほど、あらゆる条件に恵まれた自給国土を持つ国は少ないことを、我々は知るべきだ。
日本の国土なら食料自給100%など容易であるにもかかわらず、政府は40%の自給しかできないとウソ宣伝で騙してきた。 その理由は、金融資本・大企業が輸出産業によってボロ儲けを狙ったからであり、輸出と引き換えに国内農業を売り渡す必要があり、それを正当化するためのウソ八百に他ならなかったのだ。 外国に製品を売ろうとすれば、貿易均衡原則から輸出相手国の安い農産物を輸入しなければならない。
ところが、それでは国内農業の自立が邪魔になるため、自給農業を迫害し破滅に追い込み、輸出産業の代償として売り渡してきたというのが、これまでの農業政策における唯一の真実である。 日本が自給国家であるなら、産業が輸出によって儲けることができない。
これが自給自足体制を阻み、自立農業を破壊してきた唯一の理由であった。 日本の農業が劣っていたり、条件が悪いわけでは絶対にないのだ。 だが、もはや輸出産業は自滅し、かつてのように、再び第一次産業に依存する穏やかな内需依存型産業構造を強固に構築しなければ、日本社会には食糧不足、国民生活の崩壊という地獄が待ちかまえている追いつめられた深刻な事態であることを知らねばならない。
すでに世界金融資本はデリバティブ・レバレッジというバクチ遊びによって完全に自滅し、もはや世界に流通する通貨はすべて紙屑といってもいい状態に堕ち、輸出産業が唯一の動機としてきた、強欲に憑かれた金儲けが不可能になっていることを自覚すべきだ。
もうすぐ世界中のカネが紙屑に変わることが約束されている。カネを貯め込んでも、それを食べることなどできない。糞を拭く役にも立たないことを思い知るべきだ。
輸出産業とはいうが、かつて誇り高き「物作り」を掲げてきた産業も、多くはユダヤ系外資に株式を買い占められており、経営陣もすでに日本人でない場合が多い。 日本を代表するトヨタやソニーも、とっくに外資に支配されているし、その実態は、金融業の比率が生産業を上回っているほどでクレジットが主要な稼ぎ頭になっていて、金融産業といってもいいほどだ。 したがって、これ以上、輸出産業を補助金などで無理矢理、支援すべき理由など何一つ存在しない。 トヨタに注ぎ込んだ税金の補助金は金融損失補填に充てられただけだ。 それはユダヤ系金融資本を政治的に儲けさせるだけであり、産業を支援しても、彼らは投入された税金を利用して外国に拠点を移し、タックスヘイブン(租税回避地)で日本への納税を拒否しようとしているのだ。 これほど馬鹿げた「援助・景気刺激策」があるものか! それは国民から職を奪い、カネを奪い、身分保障皆無の使い捨てルンペン労働者に陥れ、何一つ幸福をもたらさず、国内のあらゆる経済秩序を破壊しているだけの百害あって一利もない愚劣政策であり、ただちにそれを廃止し、内需依存、自給自足を原理とする体制を復活させ、国内の経済秩序を回復させることが唯一の正しい経済政策である! 日本の産業は、外資の支配を脱し、再び日本人自身の手に取り戻さねばならない! これ以上、輸出産業を支援するな! これを行わない政権は、すべて日本国民の敵である! ユダヤ外資に支配された傀儡と断ずるしかない。 輸出産業の中核ターゲットは中国であって、日本は一日も早く中国と国交断絶することで、瀕死の地方経済、国民生活を蘇らせることができるはずだ。 尖閣に対する理不尽な侵略の姿勢を見せ、日本に対する軍事侵攻すら辞さない姿勢の傲慢な中国に対し、ただちに国交断絶で応えよ! 我々は中国との貿易、協調関係によって誰がトクをし、ソンをするのか明確に認識する必要がある。 日本企業は膨大な人口に担保された莫大な需要と、国際水準を大きく下回る低賃金労働、劣悪労働条件を利用することによって、価格競争力を求めて中国に進出していったが、その根源にある狙い、動機は、軽薄な企業利益追求、金儲けでしかなかった。 まさに強欲というしかない利己主義、拝金主義であり、ユダヤ金融資本の新自由主義、グローバルスタンダードの論理に洗脳されてきた短絡的で愚かな思想だったのだ。
それこそが世界と人類を破滅に導いてきたということが未だに分からないなら愚かというしかない。それは、拡大成長と経常利益増大、株主配当だけしか考えられない愚劣な資本の論理にすぎなかった。 まさに日本企業は、フリーメーソン、ユダヤ金融資本の呪縛に踊らされ続けて、肝心の自分たち国民生活を窮地に追いやり、日本そのものを破壊してきたにすぎないことを直視せよ!
そこには、中国人民の幸福、未来に奉仕する視点も皆無であって、安い労働力をさらに安くこき使い、合理化により労働者を骨髄まで搾り取るという鬼畜経営の姿勢しか見られず、日本で行ってきたことの延長でしかなかった。 ケ小平や竹中平蔵が、いくら口先で成功者・富裕者が底辺を押し上げると吹聴してみたところで、人類のすべての歴史が、富裕者階級の成立こそが底辺の民衆を極貧に陥れるという法則を示しているのだ。 日本企業こそ中国資本家と官僚を利権によって肥え太ら、底辺の人民を極貧窮乏に追いやっている悪魔なのだ。 金儲け目当てで中国進出した連中は、日本ではどうだったか?
労働者から搾り取った税金は国民に還元されず、道路、箱物建設、大企業への補助金、そしてもっとも膨大な支出は金融投機に失敗した金融機関への援助に使われたものだったではないか! おまけに莫大な税金投入で救った長銀や日債銀は今や二束三文で買い叩いたユダヤ資本の所有物ではないか。
結局、自民党政府のやってきたことはユダヤ金融資本へ莫大な血税を寄付したことでしかなかった。 その基本政策を否定するかのようなポーズで政権交代に成功した民主党政権は、自民党よりさらに悪質なユダヤ使い走り御用奉公をしている有様だ。 大企業は、それまで日本国民の血税で成長が支えられてきたはずなのに、日本人の雇用を金儲けだけを理由に何のためらいもなく平然と切り捨て、生活不安をもたらして何一つ反省しなかった。
まさに経団連、日本の大資本は強欲利己主義の悪魔に取り憑かれた拝金主義吸血鬼でしかなかったのだ! 国民生活も顧みず生産拠点を中国に移して安い労働力を利用して金儲けをしたがったわけだが、中国がそれを受け入れた真の理由を知る必要がある。
中国が日本企業を受け入れた訳は、日本の先進的技術をパクることであり、官僚が日本企業から上前をはねることであり、最終的には、日本が中国に持ち込んだ生産手段を没収することである。
中国に先進世界のモラルスタンダードなど存在しない。 中国は官僚特権階級の利益のためなら数億の自国民を殺害することさえ厭わない。日本企業資産を根こそぎ没収することなど朝飯前だ。 それはチベット・ウイグルや法輪功に対する凄まじい残虐弾圧を見ればよく分かることだ。 強欲に憑かれて中国に進出した企業は、これから中国の真の正体を思い知り、身ぐるみ剥がされ、ケツの毛まで抜かれて逃げ帰ってくるしかないが、そのとき、我々は帰って来ることを許さないだろう。
日本国民を裏切ってきた企業などに、もう用はないのだ。 中国と国交断絶することには、計り知れないメリットがある。 国内産業が衰退し、地方が瀕死状態に陥っている理由は、まさしく中国の異常に安価で粗悪な輸出製品によるものであり、カネだけが価値基準と洗脳された大衆は、品質の良さがもたらすメリットと安さのもたらすデメリットの区別さえできない無知蒙昧状態に置かれていて、安い粗悪製品を買うことがトクをしたと信じていながら、結果として、自分たちの首を絞め、二度と回復できないほどのダメージを自ら作り出している現実に気付こうとしていない。 こうした状態では、中国からの輸入を国交断絶によって完全に排除し、内需を国内生産品に戻す以外に、回復の道筋はありえない。真っ先にダイソーやニトリが排除されるべきだ。
中国の超廉価品輸出が始まって、まだ十数年、今ならまだ間に合う。日本の高度産業技術、地方の地場産業を支えてきた熟練技術者たちが、まだ生きており、十分に若者たちに伝えることができるはずだ。 優れた日本の物作り技術を再興し、地方経済の活性化を回復させるためには、中国製品を完全排除する以外に道は存在しない! このまま輸入を続ければ、もはや取り返しがつかず、日本の雇用も、技術も、すべて失われ、我々は窮乏の彼方に餓死する道しか残されていない! 中国と完全断交して、国内需要の自給自足体制を回復させる以外に、我々が生き延びる道は存在しない!
中国が、これほど超安値の製品を輸出できる理由は、国内のヘイハイズ(無戸籍者)農民など奴隷階級からの猛烈な搾取によるものであり、断交は、彼らの人権回復にも役立つはずだ。 我々は、完全断交を要求しなければならない。それ以外に日本の未来は存在しない! http://www1.odn.ne.jp/~cam22440/yoti01.htm 中国経済の見方 犯罪的な為替操作 中国が経済力をつけた第一の要因は、異常に安い人件費を実現したことである。
しかしこれは中国人の給料をカットして実現したものではない。 ほとんど全て度重なる人民元の不当な切下げと、為替介入による不当な為替維持による。 参考までに05/8/1(第400号)「中国の為替戦略」で示した人民元の対米ドルの為替レートの推移を再揚しておく。 人民元の対米ドルの為替レートの推移 年 為替レート 年 為替レート 年 為替レート 81 1.71 87 3.72 93 5.76 82 1.89 88 3.72 94 8.62 83 1.98 89 3.77 95 8.35 84 2.32 90 4.78 96 8.31 85 2.94 91 5.32 97 8.29 86 3.45 92 5.51 98 8.28 昔、1米ドルが1人民元であった。
それを中国は勝手にどんどん切下げ、 94年のピーク時には1米ドルが8.62人民元になった。 外から見れば、中国人の人件費は8分の1以下になったのである。 中国は、人民元を切下げることによって、国際競争上で製造業の生産性を格段に上げることに成功した。
たしかに人民元を切下げることによって輸入原材料の価格も上がるため、全体として中国製品の国際競争力が8倍になったわけではない。 それでも為替を切下げることによって、中国国内の付加価値に対する生産性は5〜6倍程度の上昇になったと推計される。 本来、国際競争力をつけるには、生産工程を合理化したり創意工夫によって実現するものである。
中国はこのようなことを一切省略し、これを為替水準の訂正だけで一気に行った。 たしかに昔の1米ドル=1人民元は中国にとって高い為替レートだったかもしれないが、購買力からみても1米ドル=8人民元はべらぼうで不当な人民元安である。 さらに中国は、見掛の人件費の異常な安さ(日本の25分の1から30分の1)を武器に、先進国から資本と技術の流入を促した。
特に89年の天安門事件で先進国の中国離れが起った以降は、為替切下げ政策をさらに強化し、東南アジア諸国に流れていた先進国の資本を自国に向かわせることに成功した。 特に97年のアジア通貨危機後は、中国の一人勝ち状態である。 このインチキで犯罪的な為替操作によって、先進各国では製造業の空洞化が起った。 比較的競争力の強い日本やドイツにおいても、先進的な技術を持つか、あるいは海外に生産拠点を持つことができる大企業だけが生き残っている状況である。 米国などはあらかたの国内製造業が壊滅状態である。 輸出は飛躍的に伸び、貿易黒字は巨額になったが、中国は人民元安(1米ドルが8人民元程度)をずっと維持してきた。
今日ようやく先進各国は中国の為替政策を本格的に批難し始めた。 米国議会は対中制裁法案を可決する段階に来ている。 さすがの中国も各国の動きを意識し、多少人民元高に誘導している。 一頃の8人民元から6.7人民元程度の人民元高を演出している。 たしかに対米ドルに対しては人民元は少し高くなっている。 しかし対日本円では1人民元は98年の15.5円(128.25円÷8.28)から今日の12.1円(81円÷6.7)とむしろ逆に円高・人民元安になっている。 ちなみに筆者は考える適正な為替水準は1人民元=60円とずっと主張してきた。 ただしその後、中国での物価上昇・日本での物価下落があったため、今日の適正水準は45〜50円程度と見ている。 中国領事館用地 本誌は中国の不当で犯罪的な為替操作を集中的に取上げたことが二度ある。 最初は01年で、日本が「ネギ」などにセーフガードを発令した時である。 本誌は9年前01/5/28(第209号)「中国との通商問題」で、購買力平価で見て中国の人民元が異常なくらい低位に操作されていることを指摘した。 http://www.adpweb.com/eco/eco209.html 問題の核心は不当な為替操作なのに、当時、日本のマスコミは自由貿易の問題にすり替えた。 多くのマスコミは中国は発展途上で人件費が安いからしょうがないと誤解していた。 続く01/6/4(第210号)「中国の為替政策」と01/6/11(第211号)「深刻な中国との通商問題」で、人民元安の維持政策は中国にとって一番重要な戦略であることを本誌は示唆し、中国は決して人民元安政策を放棄することはないと予言した。 http://www.adpweb.com/eco/eco210.html http://www.adpweb.com/eco/eco211.html
またこの戦略によって、先進国の産業が空洞化して行く様を予想した。
今日振返ると、この時の本誌の予想通りの展開になっている。 さらに01/11/5(第229号)「中国通商問題の分析(その1)」、01/11/12(第230号)「中国通商問題の分析(その2)」、01/11/19(第231号)「中国通商問題の分析(その3)」で筆者なりの中国経済の分析を行った。 http://www.adpweb.com/eco/eco229.html http://www.adpweb.com/eco/eco230.html http://www.adpweb.com/eco/eco231.html 特に第231号では中国の水産業について簡単に触れ、中国が水産物の日本への輸出国から消費国に転じたことに言及した。
その後、どうも中国は乱獲によって沿海の魚を獲り尽くした可能性があり、今回の事件のように尖閣諸島など遠隔地まで漁に出向くようになったように見られる。 ちなみに韓国は年間500隻(5,000人)もの中国漁船を拿捕しているという話がある。 つまり尖閣諸島近辺での中国漁船の違法操業によるトラブルは今後も起る可能性は高い。 二度目は上海領事館襲撃などの反日暴動が中国で起った05年である。 背景として中国に日本の国連の常任理事国入りを潰す意図があった。 筆者は05/4/18(第386号)「鎖国主義への誘惑(その1)」と05/4/25(第387号)「鎖国主義への誘惑(その2)」で「日中友好」「戦略的パートナシップ」なんてことは有りえないと主張した。 http://www.adpweb.com/eco/eco386.html http://www.adpweb.com/eco/eco387.html ここでの「鎖国」とは、日本にとっては中国や韓国との接触をなるべく減らすことを意味している。
相手を丁重に扱うが、互いに深く立入らない関係を作ることが、歴史的に見て日本と中・韓との平和を長く維持するために必要と筆者は説いた。 これは先人(例えば江戸幕府)の知恵である。 ところが05年の反日暴動が起った05年に17,000社であった日本企業の中国進出が、これにこりず逆に今日25,000社まで増えているのである。 また日本の名目GDPは、中国との経済関係が大きくなる前の方が大きかった。
ただ筆者は、中国との経済関係が大きくなったから名目GDPが小さくなったとまでは言わない(可能性はあるが)。 中国経済への依存が大きくなる過程において、一方で財政支出を絞ったからである。 本誌は、05/5/9(第388号)「中国進出の主導者」で日本企業の中国進出の主導者で宣伝マン達が、ことごとく緊縮財政論者や構造改革派であることを指摘した。
http://www.adpweb.com/eco/eco388.html まさに緊縮財政で内需を縮小し、日本企業を中国進出に駆り立てたという図式になる。
したがって再び日本経済を活性化させるためには逆のことを行えば良い。 財政支出を格段に増やし、内需拡大によって中国に出て行った日本企業を呼び戻すのである。 また企業に呼び戻すには、日本の財政支出拡大だけでなく、人民元の大幅な切上げが必須である。
しかし中国はこれに応じないであろう(せいぜい1米ドル=5人民元程度の中途半端な人民元高に収めるつもりと見る)。 その程度の為替調整ならば、日本は中国との経済関係を断つ方向に動かざるを得なくなると筆者は考える。 中国の経済関係を縮小(縮小ではなく断つ方が筆者は良いと思うが)する過程で、一時的に経済的な混乱と名目GDPの減少を伴うが、50年、100年単位での日中の平穏な付き合いを考えるならその方が良いと考える。
繰返すが中国との経済関係が深まる前の方が、日本の名目GDPは大きかったのである。 そして対応する経済政策さえ間違えなければ、中国との経済関係を断っても、日本経済は万全な方向に持って行ける。 これが先週号で述べた「腹を括(くく)る」ということである。 それにしても中国の日本国内における不穏な動きが多すぎる。
中国人が日本の山林を買いたがっている。 中国人になぜ日本の山林が必要なのだ(宅地などに比べ山林の売買に関する規制は緩い)。 また日本に六ヶ所も中国領事館がある。 狭い日本にどうして六ヶ所も中国領事館が必要なのだ。 今、新潟の万代小学校跡地(15,000平米と広大)が新たな中国領事館用地として売却の話が上がっている。 中国領事館ということになれば、敷地内は中国本土と同じということになり、日本の行政権(特に警察権)が及ばないことになる。 とにかく地方の不動産価格は下がる一方であり、地主は土地を買ってくれるなら誰でも良いという心境にある。 尖閣諸島の土地を国有地として買上げるという話が出ている。 筆者は、同様に中国人が買いにきている山林や万代小学校跡地は、とりあえず国が買上げるべきと言いたい。 たいした金ではない。 そしてこういう事が日中間のトラブルを未然に防ぐことに繋がる。 http://www.adpweb.com/eco/eco635.html 人民元安容認の経緯 騙されやすい人のリスト
5年前を彷佛させるような反日デモが中国で起っている。 デモは週末に行われることが多いので、先週号で取上げるのに間に合わなかった。 今後、この動きが激しくなるのか、あるいは収束に向かうのかを見極めるにはもう少し様子を見る必要がある。 筆者は、中国人の根強い嫌日感情を考えると、今回のような事態がいつ起っても不思議はないと主張してきた。 ところがデモは全て官製であり、一般の中国民衆は決して反日ではないという専門家の意見がある。 また官製デモに便乗して、日頃からの中国政府への不満を持つ人々が、不満を発散させているという説もある。 つまりこれらは日本人にとって中国が決して危険な国ではないと言いたいのであろう。しかしこれは苦しい弁明である。 以前から筆者は、公然と反日教育を行っている国とは友好関係は結べないと主張してきた。
対中国に関しては、この当り前の事が通用しないことが不思議であるとずっと思っていた。 中国に関わることでよほど大きなメリットを受けられる人々がいるのか(大したメリットないのに大きな利益を得られると錯覚させられている人々が多い)、あるいは何かで脅されている要人が多いのであろう(元首相ださえ中国のハニートラップに引っかかていたと言われている)。 江沢民国家主席によって愛国教育という名の反日教育が始まったのは、92年の天皇訪中の直後からである。
日本国内の大きな反対を押切って天皇訪中を実現させたのは、親中派の政治家と外務官僚、そして中国進出を企む大企業であった。 89年の天安門事件をきっかけに、中国は先進各国から制裁を受けていた(このため先進各国の資本は中国を避け東南アジアに流れた)。
この現状を打破することが中国の天皇招請の目的であり、またこの頃から欧米の対中制裁が腰砕けになって行った。 しかし天皇訪中直後の反日教育開始に見られるように、見事に日本は中国に裏切られていたのである。 日本人は遅くともこの時点で、中国、そして中国人の本質というものを見抜く必要があった。 05/4/25(第387号)「鎖国主義への誘惑(その2)」で述べたように中国は、口先では日中友好と言っていながら、72年の日中国交回復以来ずっと日本を裏切り続けてきた。 http://www.adpweb.com/eco/eco387.html そもそも中国にとって、国交回復は日本人が考える「友好」のためではなく、日本の技術と資本を呼込むことだけが目的であった。
つまり技術移転さえ済めば、いつでも反日を鮮明にする可能性があったのである。 ところで中国人の反日は江沢民の反日教育から始まったという中国専門家の薄っぺらな意見がある。
しかし04/8/30(第356号)「日本の「韓国化」」で述べたように、戦前から中国の教育は反日・排日のためだけに存在していたくらいである。 http://www.adpweb.com/eco/eco356.html それくらい中国の反日は腰が入っている。 世の中には騙されやすい人のリストがある。
過去にマルチ商法や詐欺商法に引っ掛った人のリストであり、けっこう高値で取引きされているようだ。 このような商法に一度でも引っ掛った人は、何度もこの種のサギに引っ掛る傾向が強いので、リストとして価値がある。 最後には「おたくは騙されやすい人のリストに載っている。 このリストからおたくの名を消すには何十万円必要だ。」ととことん騙される。 さしずめ日本は騙されやすい人のリストに載っているのである。 詐欺師にも二種類いる。 一つは相手を恫喝するタイプであり、もう一つは微笑みながら騙すタイプである。 しばしば日本のマスコミは後者の微笑むタイプを勘違いして親日派と呼んでいる。 しかし恫喝派と微笑み派は一心同体である。 「強い米ドルは国益にかなう」というアホなセリフ
問題の核心をわざとそらす経済学者やエコノミストがいるが、中国経済の問題は「為替」に尽きると言って良い。
日本の円は360円から4倍以上になった。 人民元については、スタートを1米ドル=1人民元とするか1米ドル=2人民元程度とするか迷うところであるが、日本と同様の巨額の経常収支の黒字を続ける中国の通貨が6人民元台ということは絶対に有りえない。 極端な話、円の推移を当てはめるなら、1米ドル=0.25〜0.5人民元でもおかしくない。 筆者は、客観的に見て1米ドル=1.5〜2人民元程度が適正と考える。
おそらく購買力平価から見てもこの程度が妥当であろう。 それにしても不当な人民元安がどうしてこれまで容認されてきたのか不思議である。 中国の輸出相手国として大きいのは欧州と米国である。
特に米国は、中国製品の輸入増に伴い、国内の製造業は壊滅状態になっている。 昨年までは米国内で人民元安に批難が出ても、ほとんど中国に影響を与えるものではなかった。 また議会で中国の為替操作に対する批難が起っても、米国の制裁への動きはことごとく腰砕けになった。 今年になってようやく米国議会が対中制裁法案を可決する段階に来た。 政府もこれに呼応して中国への圧力を強めている。 しかし米国議会の強行姿勢も11月の中間選挙までと筆者は見ている。 そして米政府の当初の制裁案(中国を為替操作国として認定する動き)はここにきて腰砕けの様相である。 G20で制裁レベルの経常収支の黒字幅がGDPの4%超なんて言っているが、これではまるで話にならない。 また欧州は、経常収支赤字国とドイツのような大幅な経常収支黒字の国が混在しており、人民元安に対する批難はまとまらず迫力が全くない。 この状況では中国は1米ドル=6人民元程度の人民元高でお茶を濁すことになろう。 米国でずっと人民元安が黙認されてきた理由を考えてみる。
そもそも一般の米国民は外国為替の変動に興味がない。 また米国のGDPに占める輸出・輸入額の比率がまだまだ小さい。 為替変動が身にしみるのは外国への旅行者くらいである。 不当な人民元安によってどんどん米国国内の工場は閉鎖に追込まれているが、事態を深刻に捉えていたのは当事者だけである。 大半の米国民は、アップルのiPadが米国内で生産されていると思っているような間抜けなところがある。 米国の政府首脳はずっと「強い米ドルは国益にかなう」と訳の分らないことを言っていた。 最初にこれを言い出したのはウォール街出身のルービン財務長官である。 以降、政府首脳(物価上昇を警戒するFRBも含む)も事あるごとにこの「アホ」なセリフを繰返していた。 たしかに「強い米ドル」を標榜すれば、各国から米国に資金が集まる。
この資金は金融機関にとってメシの種となる。 しかし資金流入による米ドル高によって米国産業は弱体化した。 つまり「強い米ドル」なんて金融業者と海外進出企業だけにメリットを与えるものである。 異常な人民元安が問題であることに米国首脳の一部は気付いていたが、クリントン大統領が「中国との戦略的パートナシップ」と言い出したため、中国に圧力がかからなくなった。
次のブッシュ大統領は中国に対して強行姿勢に転じたが、2001年に同時多発テロが起ると中国に急接近し始めた。 共にイスラム教過激派に手を焼いていたからである。 これでは人民元安に圧力がかかるはずがない。
これ以外で筆者は「人々が金融業が既に斜陽産業であることに気付いていなかった」と「米国の政府と議会に強烈なロビー活動が行われてきたふしがある」という二点を挙げておく。 ようやく米国の政府と政治家も、異常な人民元安が思っていた以上にとんでもない事に気付き始めた。
これはリーマンショック後の大規模な経済対策で経済が多少上向いても、一向に失業が減らない事態に直面したからである。 GDPが増え、株価が上昇しても失業率は下がらない。 しかし生産拠点がことごとく中国に移っているのだから、このことは当り前である。 http://www.adpweb.com/eco/eco636.html この日をつかめ(Seize the Day)
反米勢力を育てた米国 米国が、長い間、人民元安を容認してきたことは大きな謎である。 これによって、例えばウォールマートは中国にてタダ同然の人件費で衣料品を大量に生産し、米国に持込んだ。 もちろんこのようなことは衣料品に限ったことではない。 この結果、物価の上昇は抑えられたが、米国の消費財の生産拠点は次々と閉鎖され中国などに移転した。 中国に生産拠点が移ったのは、ウォールマートなどで売っている安物衣料だけではない。
01/9/17(第222号)「対中国、WTOの特例保護措置」取上げたように、カルバンクラインやラルフローレンなど高級衣料品の米国内の製造メーカはことごとく倒産した。 http://www.adpweb.com/eco/eco222.html 今日、米国に残っている主だった製造業は、日本のメーカが進出している自動車、防衛産業、一部のハイテク部品、そして医薬品などに限られている。
中国の人件費が安いから、人件費比率の高い製造業がある程度中国に移転することはやむを得ない。
しかし中国の異常な人件費安(タダ同然)のかなりの部分は不当な為替操作によって実現したものである。 もし為替水準が購買力平価を反映している範囲なら、製造業が根こそぎ中国に移るということはなかったであろう。 例えば安物衣料は中国に移転しても、高級品は米国に残るといった住み分けが可能だったと考える。
そして今日失業者が減らない事態に直面し、ようやく米国の政治家や政府は中国の為替操作が大問題と本気になって騒ぎ始めた。 しかし中国のこの犯罪的な為替操作は15年以上も前から行われてきたのである。 そして米国の製造業は根っこからなくなったものが多く、今になって騒いでも既に手遅れである。 ただし全ての政治家が中国の為替操作を見過ごしてきた訳ではない。 これまでも中国の不正な為替操作を告発する声はあった。 しかし不思議なことにこれらがことごとく潰されてきたのである。 消費財の最大の輸入国である米国が異常な人民元安を黙認してきたことは、日本にとっても問題であった。
日本から直接米国に製品を輸出しようとしても、人件費がかかる工程を国内に置いたままでは、中国に進出した先進国の企業との価格競争で負ける。 したがって日本のメーカーも部品を中国に輸出し、人件費比率の高い組立工程などは中国に移転せざるを得なくなった。 そして価格競争がさらに激しくなるにつれ、日本のメーカーは部品も中国国内で調達せざるを得なくなり、下請企業の中国進出を促した。
このような動きは中国にとって「思う壷」であった。 この結果、米国だけでなく日本でも製造業の空洞化が深刻になった。 筆者達がいくら「日本は中国との関係を断つのが好ましい」と考えても、中国をかまさない製造業は成立たないところまで来ている。 まるで中国はブラックホール化している。 中国の経済大国化のかなりの部分は、米国が中国の為替操作をこれまで放任してきたつけであると筆者は考える。 中国は経済大国化だけに止まらず、この経済力を使い軍事大国化している。 また膨大な外貨を外交に使って世界での地位を高めた。 特に反米的な国家を支援し、中国は勢力拡大にいそしんでいる。 つまり米国自身が、中国を中心とした反米勢力を育てたようなものである。 筆者は、ひょっとしたら米国内に中国の台頭を喜んでいる勢力があるのではないかという穿った見方もしている。 まず軍事的ライバルとして中国の存在が大きくなることによって、米国の国防予算は削減を免れる。 また中国の軍事的な拡大に伴い、周辺諸国の米国からの兵器の輸入は増える。 つまり中国の台頭は米国の軍需産業にとっては決して悪いことではないのである。 しかしこれはやや考え過ぎかもしれない。 金融業は斜陽産業 米国内の製造業が次々に潰れて行くのに、米国民があまり騒がなくなった。
何か米国民は、製造業にあきらめを感じているようである。 このような流れの中で、例えばIBMはパソコン製造部門をさっさと中国のレノボに売却した。 昔、日本からの輸出品が急増し、一部の米国人が日本製のラジカセを叩き壊すパフォーマンスを行った。
しかし筆者は当時の米国人の感覚はむしろ正常だったと思っている。 そもそも筆者は、一般の消費財はそれぞれの国で製造すべきと考えている。 消費者も多少性能が劣っていたり価格が少々高くても、できるだけ自国製品を買えば良いとさえ筆者は思っている。 自国で作れるものをわざわざ中国などから輸入する必要はないのである。 どうしても自国で生産できないような高性能な製品や、マニアが求めるような特徴のある製品だけを輸入すれば良い。 筆者が当り前と考えるこのようなことを米国がやってこなかったから、中国のような奇態なモンスターが世界に出現した。 第二次大戦後、世界で圧倒的だった米国の製造業の地位が著しく凋落した。この理由の一つは敗戦国の日本やドイツに激しく追い上げられたからである。
日本やドイツは戦争で製造業が壊滅したため、新機軸の製造設備を導入することができ、むしろ競争上優位に立つことができた。 一方、米国は製造設備の更新を怠った。米国の経営者は、地位を保つため(高給を得るためと言って良い)、コストのかかる新規設備投資を控えた。
たしかに米国の製造業は長い間高い利益率(減価償却費が小さいのだから当り前)を誇っていたが、いつの間にか競争力を失った。 この目先の利益を重視するというこの体質が、今日の米国経済の惨状を決定したとも言える。 目先の利益を最大にすることが米国の経営者の目的となった。 これが経営者の高給を保証することでもあった。 例えばGEは電化製品を作ることを止め、金融に進出した。 このように米国全体が儲からない製造業から、目先の利益が得られる産業、特に金融業になだれ込んだ。 例えば2000年のITバブルが崩壊した時には、大量の理数系の技術者が製造業ではなく金融業に移った。
彼等は、高等数学の知識と技術をデリバティブ取引などに使った。たしかに米国の金融業はその後高収益を誇った。 このような米国の動きは少なからず日本にも影響を与えた。
当時、日本でも 「製造業はもう古い。これからは金融だ。」 「製造業は中国にまかせ、日本は米国や英国を見習って、世界の金融センターになれ」 といった声が巷に溢れていた。 05/3/14(第381号)「資本とグローバリズム」で述べたように、たしかに米国投資家の03年の直接投資収益率は10.3%(日欧は4.5〜5.0%)もあった。 http://www.adpweb.com/eco/eco381.html
つまり米国の金融機関は5%程度の金利で日本などから資金を調達し、10%以上の利回りを得ている図式になる。
今日の経済学では、儲かっている産業ほど付加価値を創造して生産性が高いことになっている。 まさに2〜3年前までは、米国の金融業は黄金時代であった。 米国では、中国製品が市場に溢れ、米国の製造業が次々と破綻して行っても、金融で儲ければ良いという雰囲気がまん延していた。 そして米国政府は各国に金融の自由化をしつこく迫っていた(日本には簡易保険などに対するクレームに見られるように、特に保険業務の参入でいちゃもんをつけていた)。 ところがサププライム問題の表面化とそれに続くリーマンショックによって、米国の金融業の異常な高収益はバブル経済の賜物であったことが証明された。
金融業は高付加価値を生む生産性の高い産業ではなく、リスキーなカジノや鉄火場であったことがバレてきた。 しかしバブル崩壊後は、いくら金融緩和を行っても経済は上向かず失業が一向に減らないのだ。 今日、米国の金融界にはバブル経済崩壊後に現れる独特な無気力な空気が流れている。
投機に敗北し、いまさら地道に経済を立直す気になれないのである。 何かノーベル賞作家ソール・ベローの「この日をつかめ(Seize the Day)」の世界を彷佛させる。 そして日本でバブル崩壊後、「小さな政府」を標榜する構造改革派が台頭してきたように、米国でも「小さな政府」を主張するティー・パーティー派(茶会派)という訳の分らない動きが中間選挙で注目されている。 筆者は金融業を斜陽産業と思っている。
世界的に資金や資本は余っており、金(かね)に希少性というものがなくなったことが根拠である。 ちなみに世界の金融資産は今日200兆ドル(1京6,200兆円)もある。 ちょっとした企業は、金融機関を介さず市場から簡単に資金を調達することができる。 また格付機関の格付を頼りに債券の売買をしてきた金融機関は、相手の信用を独自に分析して金を貸付けるといった能力を失っている。 そしてもし高収益を得ようすれば、再びバブル期のようなゼロサムゲームの鉄火場に戻るしかないのである。 今日、金融緩和によって米国の株価と資源価格が上昇しているが、これもその徴候であろう。 日本でも大企業は銀行借入を必要としないので、銀行の預貸率は低下している。銀行は貸付けを行わず国債などの債券をせっせと買っている。 しかしそれならば預金者が直接国債を買えば良いのである。 つまり銀行の機能なんて無きに等しくなっており、人々は、決済機能を除けば、銀行がなくなっても困らないのである。 このような斜陽産業の金融業に異常に傾斜し、製造業を捨ててきたのが米国である。
この米国を手本に、日本もおかしくなってきた。 そして目先の利益を求めた米国が、中国という「バケモノ」を育てたと筆者は思っている。 http://www.adpweb.com/eco/ |