健康帝国ナチス (単行本)http://www.amazon.co.jp/%E5%81%A5%E5%BA%B7%E5%B8%9D%E5%9B%BD%E3%83%8A%E3%83%81%E3%82%B9-%E3%83%AD%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BBN-%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC/dp/4794212267/ 商品の説明 Amazon.co.jp ナチス政権下の医学と科学の恐るべき歴史はよく知られている。そのため、ナチスが世界で最も積極的に癌と戦う政策をとっていたことは、意外に思えるかもしれない。ロバート・N・プロクターの『The Nazi War on Cancer』(邦題『健康帝国ナチス』)は、ほとんど知られていないこの事実を詳細に伝える示唆に富む1冊だ。 ナチスは「民族」の健康を守ることにきわめて強い関心を持っていた。癌は増大する脅威とみなされ、おそらくアドルフ・ヒトラーの頭の中でも特別な意味を持っていた(彼の母親クララは1907年に乳癌で死亡している)。ナチスの医師たちは多くの領域で癌と戦った。環境や職場における危険を排除し(アスベストの使用を制限)、食品の安全基準を定め(発癌性のある殺虫剤や着色料の禁止)、早期発見を推奨(「男性はマイカーのエンジン点検と同程度の頻度で腸の検査を受ける方がいい…」)した。世界で最も洗練されたタバコに関する疫学をもとに、ナチスの医師達はとくにタバコの害を熱心に訴えた。彼らはだれよりも早く喫煙を肺癌と結びつけた。ヒトラー自身も熱心な禁煙推進派で、自分の政治的成功を禁煙のおかげだとしていた。 プロクターはこうしたナチスによる癌制圧の努力を見事に描き出している。これはプロクターのいう「ファシズムの裏面」の一部であり、その過程でいくつかの微妙な問題に言及している。つまり、人の道に外れた政権が倫理的に正しい科学研究を推進し、成果をあげることができるのか、という問題だ。プロクターはこう述べている。「ナチスの公衆衛生当局者が、アスベストに起因する肺癌の発生を懸念していたことを知ると、われわれは歴史を違う目で見るようになるだろうか。私はそうだと思う。ナチズムはわれわれが一般に想像する以上に複雑な現象であり、魅力的で、許容できる部分もあったことがわかる」と。 プロクターはナチズムの擁護者ではない。以前の作品『Racial Hygiene』では、ナチの残虐行為を厳しく糾弾している。しかし彼は明らかに、ファシスト政権が生み出した科学とホロコースト研究を取り巻く複雑な倫理的問題に踏み込もうとしている。彼の信頼すべき文章は、徹底的な調査、すぐれた例証、数十ものイラストのおかげで、より完全なものになった。『The Nazi War on Cancer』は、ホロコーストと医学の歴史に関する研究をさらに豊かにするすぐれた作品だ。(C.B. Delaney, Amazon.com) |