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本邦での選挙干渉といえば、
1892年第2回衆議院議員総選挙における松方内閣の内相品川弥二郎によるもの、
1915年第12回衆議院議員総選挙における大隈内閣の内相大浦兼武によるもの、
1928年第16回衆議院議員総選挙における田中義一内閣の内相鈴木喜三郎によるもの
以上が代表的ということであるが、その中の大隈内閣のを。
今も昔も政敵抹殺にはデッチあげが盛んである。ちゅーことは、丁稚ではなく秘書を挙げたらヒショあげというのか。知らん。
露探・・・ロシアの軍事探偵。スパイ。日露戦争当時のことば。
──以下貼り付け──
「近代日本文学」の誕生 坪内祐三
http://books.google.co.jp/books?id=kphQh2c1oqkC&pg=PA251&lpg=PA251&dq=%E5%A4%A7%E6%B5%A6%E5%85%BC%E6%AD%A6+%E9%81%B8%E6%8C%99%E5%B9%B2%E6%B8%89&source=bl&ots=-fbzplHxDO&sig=flHpWDOpmrHW3qBOPRFosTlJHCc&hl=ja&ei=1A23Sb7wJ4zXkAW74rHtCQ&sa=X&oi=book_result&resnum=8&ct=result#PPA253,M1
明治37(1904)年3月
「二六新報」の秋山定輔が「露探」事件に巻き込まれる
明治37(1904)年3月1日、その日投票の行われた第九回総選挙で「二六新報」新聞の社主である秋山定輔は、時の政府(首相は桂太郎)からのたびかさなる選挙干渉や圧迫を排して、見事、衆議院選挙に再選された。村松梢風による聞き書き『秋山定輔は語る』(大日本雄弁会講談社、昭和13年)に、こうある。
<政府としては、何んとしても今回は私を落選させなければ、第一政府の面目が立たないのである。斯かる時手段を選ばず干渉、妨害、圧迫を加へることは当時の為政家の常套手段であつた>
当時の警視総監は桂太郎の息のかかった大浦兼武だった。
<大浦君は自ら采配を振り、警視庁を動員して私の選挙妨害を試みたのだつた。其の干渉、妨害、圧迫はあらゆる方面に亘つて実に言語に絶えた。個人に対する選挙干渉としてこれ程痛烈、深刻を極めた例は後にも先にもないと云はれた程猛烈であつた>
大浦はのち(大正4年)に大規模な議員買収いわゆる「大浦事件」の主人公となる人物だが、この時の「選挙干渉」でも、「警視庁の機密費全部を使ひ果たし、それでも足りなく内務省の機密費を6万円使ひ込んだ」という。
大浦たちはそれほど、秋山の鋭い政府攻撃を恐れていたのだ(前年、明治36年12月に開かれた第19回帝国議会の開院式の直後、秋山は、勅語奉答文を使った政府弾劾を行い、議会は翌日解散に追い込まれた)。
そして、その「選挙干渉」として大浦が行った切り札が、秋山の「露探」疑惑だった。
<其の手段は、最初、長崎から、匿名の投書の形で1枚の葉書が警視庁へ舞ひ込んだ。それには、「秋山定輔は露西亜のクロパトキン将軍と須磨で会合し、海へ一緒に釣魚に行き、そして秋山から国内の秘密をクロパトキンに漏らした」といふ事が、鉛筆で書いてあつた>
これはもちろんデッチあげであったが、そのニセ葉書を、大浦は、権藤震二という人物に渡した。
権藤はのちに電通の幹部となる人物だが、もともとは二六新報の記者で、「種を取ることは上手だったが、余りに悪辣だといふので」、同社をクビになり、出来たばかりの電報通信(すなわち電通)に拾われ、秋山と二六新報に意趣返しすべく、ちょうど日露戦争がはじまったばかりの時に、そのようなデッチあげを電報通信でセンセーショナルに報道したのである。
<政府では之れを利用して、東京市内の到る所に露探云々のビラを貼らせたり、演説会を開いて、騒ぎ立てたりした。弁士は全部警視庁出入りの壮士ばかりで、1回の演説に対して百円の報酬を払つたものだ。それは貰つた者自身の告白である。それらを一々権藤が采配を振つた>
そういう凄まじい干渉にかかわらず、秋山は、「非常な高点で当選してしまつた」。あわてたのは桂太郎たちだ。
だから秋山への攻撃は当選後も続いた。
桂内閣の「御用党」である大同倶楽部の議員小河源一がいて、彼は議会で緊急動議を出し、露探問題についての演説を行なった。
秋山に政治的立場が近いはずの大岡育造(政友会所属)でさえもそれに乗ずるような発言を行なった。
事ここに至って秋山定輔は「フツフツ議員が莫迦々々しく」なって、明治37年3月27日、「二六新報」の記事に引責する形で議員を辞職した。その翌々日、すなわち3月29日から同年4月11日にかけて、「二六新報」に「所謂露探問題」と題するきわめて詳細なレポートが連載された。
──貼り付け終わり──
電通は双葉よりかんばしとはよく言ったものである。言ってないか。