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原告の請求は棄却された。思想信条の自由を踏みにじったレッドパージの理不尽を追認するだけの、きわめて不当な判決だった。
原告3名は「あのひどい判決を聞いてよけい元気になった」「大勢の報道陣を前にして記者会見できる間での取り組みができるようになったことは大きな成果だ」「控訴してたたかう」と駆けつけた支援者を前に決意を述べた。
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http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004106303.shtml
社会
レッドパージ国家賠償請求を棄却 神戸地裁(神戸新聞)
戦後、GHQ(連合国軍総司令部)の占領下で共産党員らが職場を追放された「レッドパージ」で、解雇は憲法違反で国は名誉回復や補償を怠ったとして、神戸市の81〜94歳の男性3人が国に計6千万円の国家賠償を求めた訴訟の判決が26日、神戸地裁であった。矢尾和子裁判長は「レッドパージはGHQの指示による超憲法的な措置で、解雇や免職は有効。補償は政治的判断で解決されるべき事柄」として訴えを棄却した。原告は控訴を検討している。
レッドパージを巡る全国唯一の国賠訴訟。原告は同市西区の大橋豊さん(81)、北区の川崎義啓さん(94)、兵庫区の安原清次郎さん(90)。それぞれ当時の逓信省神戸中央電報局、旭硝子、川崎製鉄に勤務し、1950年、共産党員であることを理由に免職・解雇された。
原告側は「GHQはレッドパージを『示唆』したが『指示』まではしていない。日本政府が主導した」と訴えたが、矢尾裁判長はこれまでの最高裁判断を踏襲し「示唆と受け取れる文書もあるが、実際はGHQの指示で日本国民や政府には従う義務があった」と退けた。
また原告側は、52年のサンフランシスコ講和条約発効で主権を回復した後も政府は被害者の救済措置を怠り、このため長年にわたって精神的、財産的損害を受けたと主張。これに対し、矢尾裁判長は「補償は国会の裁量範囲」との判断を示した。
判決後、会見に臨んだ原告弁護団は「国の主張どおりで、原告の期待を裏切る不当判決」と批判した。
■レッドパージ 第2次世界大戦後、日本を占領していた連合国軍総司令部(GHQ)の指令で共産党員らが公職追放された動きと関連し、1949〜50年ごろ、官公庁や民間企業でも政治的立場や思想信条を理由に、同党員や支持者とみなされた人が一方的に職場を免職・解雇された。労働省(当時)などによると、官公庁で1000人以上、民間企業では1万人以上とされる。日弁連は2008年、レッドパージを重大な人権侵害と認め、国に被害者の名誉回復と補償を勧告した。
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神戸地方裁判所は,本日(2011年5月26日)、レッド・パージ被害者3名が国を被告として提訴していた国家賠償請求事件について,原告らの請求を全面的に棄却する判決を言い渡した。
原告らは,1950年に日本共産党員であることをただひとつの理由として解雇、免職処分を受け職場から追放されるとともに,レッド・パージによって社会から排除され,現在に続くまで継続的な人権侵害を被ってきた。このレッド・パージは違憲違法なものであることは明白であった。
このことは,2008年(平成20年)10月24日付日本弁護士連合会「勧告」、2010年(平成22年)8月31日付同「勧告」及び各地の弁護士会の「勧告」によって繰り返し認定されてきたものであるにもかかわらず,神戸地裁はこれらを一顧だにしなかったものである。
判決は、原告らが、被告国の責任について、被告国はレッド・パージの実施を回避することができたにも関わらず、自ら積極的にレッド・パージを実施したのであるから、これら一連の行為を先行行為として、条理上、1952年4月28日の講和条約発効後に、日本政府が自ら積極的に推進したレッド・パージの被害者らに対して、その被害を救済するべく作為義務が認められることは当然であるとの主張に対し、マッカーサー書簡の趣旨はレッド・パージを指示したものであると解釈した上で,原告らに対する免職・解雇は有効であり,講和条約締結後もその効力を失わない旨の旧来の最高裁決定(昭和27年,同35年)をそのまま踏襲したものである。
本判決は,明神勲証人(北海道教育大学名誉教授)が実証した「新事実」、すなわち、昭和35年4月18日最高裁決定(中外製薬事件)において判示された「顕著な事実」(注)が全く存在しなかったこと、レッド・パージが昭和24年7月22日の閣議によって決定されたものであったことについて、全く顧みようとせず、被告国の責任を認めなかったのは、司法の人権救済機能を放棄したに等しいものである。
(注)昭和35年4月18日最高裁決定(中外製薬事件) 「所論連合国最高司令官の指示が、所論の如く、ただ単に「公共的報道機関」についてのみなされたものではなく,「その他の重要産業」をも含めてなされたものであることは,当時同司令官から発せられた原審挙示の屡次の声明及び書簡の趣旨に徴し明らかであるばかりでなく、そのように解すぺきである旨の指示が,当時当裁判所に対しなされたことは当法廷に顕著な事実である。」 |
GHQの指令が超憲法的効力を有するとした、かっての最高裁大法廷の決定は、日本国憲法を無視するもので、その判断は司法の歴史に一大汚点を残すものと指摘されている。本件訴訟で、この汚点をぬぐうべき判断が裁判所に求められていたのであるが、本判決が、これにまったく答えることなく誤った判断に終始したことは厳しく批判されるべきである。
原告らは、すでに90歳以上の高齢の者もおり、レッド・パージで侵害された名誉を回復をする最後の機会として、本件訴訟を提起したが、本判決の結果は、原告らの人権の最後の砦たる司法に対する期待をまたもや裏切るものとなった。原告らの憤り、深い悲しみはいかばかりか、弁護団はこの裁判所の不当極まりない判決に強く抗議する。
弁護団は、国に対し、本判決如何にかかわらず、日弁連勧告の趣旨に従い、レッド・パージ被害者救済のための然るべき措置をとることを強く求める。
弁護団は、引き続き、レッド・パージ被害者の権利・名誉回復に向け、全力を尽くす決意である。
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