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日の丸君が代強制反対裁判〜予防訴訟〜 2011.1.24更新
http://www.news-pj.net/npj/2008/hinomarukimigayo-yobou_20080117.html
事件名:日の丸君が代強制反対裁判〜予防訴訟〜
係属裁判所:東京高等裁判所第24民事部 (都築弘裁判長)
平成18年(行コ)第245号
国歌斉唱義務不存在確認等請求控訴事件
(予防訴訟控訴審)
次回期日:1月28日(金) 午後1時15分 東京高等裁判所101号法廷
次回期日の内容:判決言い渡し。
※傍聴希望の方は開廷30分前に集合してください。
報告集会
1月28日(金)
〔午後〕 14:00〜 社会文化会館大ホールにて
〔 夜 〕 19:00〜 社会文化会館第一会議室にて
紹介者:雪竹奈緒弁護士
連絡先:原告団:「日の丸・君が代」強制反対 予防訴訟を進める会
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【事件の概要】
1 当事者
原告 (被控訴人):東京都立学校の教員398名 (元教員含む)
被告 (控訴人):東京都、東京都教育委員会
2 請求の内容の概要
(1) 卒業式、入学式等において東京都教育委員会が発出した10.23通達に基づく校長の職務命令に基づいて国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する義務及びピアノ伴奏する義務がないことの確認を求める請求
(2) 都教委は、国旗に向かって起立し、国歌を斉唱しなかったこと、ピアノ伴奏しなかったことを理由として不利益処分をしてはならないことの確認を求める請求
(3) 精神的損害の慰謝料として各3万円の支払い請求
3 事件の概要
2003年10月23日に東京都教育委員会は都立学校校長に対し、卒業式、入学式等において、教職員らが国旗に向かって起立し、国歌を斉唱すること、国歌斉唱はピアノ伴奏で行うこと、国旗掲揚及び国歌斉唱に際して教職員が通達に基づく職務命令に従わない場合、服務上の責任に問うことを内容とする通達を発した (いわゆる10.23通達)。この通達以降、すべての都立学校において、校長より各教職員に対し、卒業式・入学式等において指定された席で国旗に向かって起立し、国歌斉唱する (音楽教員はピアノ伴奏する) 等という内容の職務命令が出されるようになった。
本件は、教職員である原告らが国旗に向かって起立し、国歌を斉唱すること (ピアノ伴奏すること) を強制されることは、思想・良心の自由、信教の自由、教育の自由を侵害するものであるから、都立学校の卒業式等の式典において国旗に向かって起立して国歌を斉唱する (ピアノ伴奏する) 義務がないことの確認、これらの義務違反を理由とする服務上の処分の事前差止、さらには本件通達等によって被った精神的損害に対する慰謝料各3万円の支払を求めた事案である。
なお、10.23通達関連の訴訟は数多く提起されているが、本項で紹介する 「予防訴訟」 は、教職員が処分される以前の段階で通達そのものの無効・不利益処分差止めを求めるものであり、すべての関連訴訟の原点といえる訴訟である。
【訴訟に至る経過】
2003年10月23日にいわゆる10.23通達が出された後、東京都の教育現場には激震が走った。全国でもとくに自由・独立の気風が強い都立学校の教育現場では、多くの学校で創意工夫に満ちた卒業式がなされ、また君が代斉唱の際には保護者・生徒に対し 「内心の自由」 が説明されていた。通達では、教職員らの起立斉唱義務のみならず、「実施指針」 において、国旗の掲揚の時間から掲揚方法、卒業式等の会場設営、教職員の座席指定に至るまで非常に詳細に規定されており、教職員や生徒の思想良心の侵害に加えて、行政の介入により長年培ってきた自由な教育現場が変容させられてしまうと多くの教職員が危惧を抱いた。
行政のなした行為を裁判で争うには、法令等の発出だけでなく、それによりなんらかの処分がなされた後、その処分の撤回を求めて提訴するのが通常の形式である。しかし、教職員らにとって数ヵ月後の卒業式で処分を受けた上で、撤回を求めるというのは耐え難いことであり、また、やむを得ず通達に従わざるを得ない教職員も一緒に闘いたい、という切なる願いがあった。
そこで処分を受ける前に、通達そのものの効力を争い、今後、処分を受けることを 「予防」 する、という意味で、卒業式前の2004年1月30日に提訴したのが、本件 「予防訴訟」 である。
なお、通達直後の卒業式・入学式等において、240名以上の教職員が通達及び職務命令に違反したとして、懲戒処分や嘱託再雇用拒否等の不利益処分を受けた。その後も毎年、数十人の被処分者が出ている (これらの不利益処分に関する訴訟については、別項で紹介)。
【提訴後の手続きの経過】
2006年9月21日、東京地裁民事第36部 (難波孝一裁判長) で第一審判決が言い渡された。
判決は、通達とこれに基づく一連の都教委の指導が旧教育基本法10条の 「不当な支配」に該当するものとして違法であり、教職員に対し一律に起立・斉唱・ピアノ伴奏等の義務を課した10.23通達とこれに基づく職務命令は、憲法19条の思想・良心の自由を侵害し、違憲であるとして原告の請求をすべて認めた。画期的な原告全面勝訴であった。
しかし、東京都及び東京都教委は直ちに控訴し、本件控訴審が進行中である。
10月21日に憲法学者の渋谷秀樹教授 (立教大学法科大学院:憲法学) の尋問が行われました。
渋谷教授から 「学者としての中立性を保つために、裁判の証言には今まで立たないできたが、憲法の根本的なところをとりはずすようなことが学校現場でなされていることに危機感を持った」 と証言にたった決意をお話いただきました。
「憲法は相互の理解を求めている」 という憲法の基本的な考え方にたち、人権を保障することの意味にさかのぼって説明いただいたきました。
ピアノ最高裁判決は、「内心と結びつく行為」 であるかを 「一般的」 「客観的」 に判断するとしたことに対して、それでは、「多数者」 の思想良心を基準に判断してしまうことになり、人権の保障をした意味がないがしろにされてしまうことなどをお話しいただきました。
【一言アピール】
日本人である以上、日の丸掲揚、君が代斉唱は当たり前ではないか、と思う方も多いかもしれません。しかし一方で、日の丸・君が代の歴史的な経緯などから、どうしてもそれらを受け入れられない人がいるのも事実です。外国籍の生徒・教員もいます。どうしても嫌だ、という人に、「懲戒処分」 という圧力をかけてまで、一律に従わせようとしたところに、本件の問題があります。
この通達は直接には教職員を対象としていますが、一方で都教委は卒業式等でこれまで行われてきた生徒たちへの 「内心の自由」 の説明を禁止し、また、生徒の不起立が多かった場合に教員を指導等の処分にする、ということも行っており、通達が教職員を通して 「生徒たちをも一律に従わせる」 という狙いを持っていることも明らかです。
都立学校は全国でも自由・独立の気風が強いという伝統があり、学校ごとの特色を生かした卒業式等が行われてきました。また、障がい児学校では、車椅子の生徒等のために、壇上に上がらない形式 (フロア形式)・対面形式などの工夫をしていました。通達は、それらの学校ごとの創意工夫も認めず、一律に壇上での卒業証書授与を強制したことも大きな問題です。
現在、東京では10.23通達をめぐって、多くの裁判が提起されています。この予防訴訟のほかに、国歌斉唱時の不起立等によって懲戒処分を受けた人たちの取消しを求める訴訟 (処分取消第1次・第2次訴訟)、嘱託再雇用の合格を取消された人の訴訟 (君が代解雇訴訟)、嘱託再雇用を不合格とされた人の訴訟 (嘱託不採用撤回訴訟) などがあります(これらの訴訟の詳細は別頁でご紹介します)。
教育現場は、日本の未来を担う子どもたちを育成する場です。この裁判の行方は日本の将来に直接関わってきます。他の関連訴訟と共に、東京の教育現場を守るためのこの訴訟、ぜひご注目ください。
文責 弁護士 雪竹奈緒
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