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口蹄疫(こうていえき)で牛や豚約29万頭が犠牲となり、やっと復興に歩み始めた宮崎県を、今度は鳥インフルエンザが襲った。相次ぐ家畜伝染病禍に、全国有数の畜産地が震撼(しんかん)した。発生地周辺の養鶏関係者は不安と動揺を隠せない。
宮崎県庁では22日午前4時過ぎ、県畜産課の岩崎充祐・家畜防疫対策監らが記者会見し、県内で4年ぶりの鳥インフルエンザ感染確認を発表した。
岩崎対策監は「昨年、北海道で鳥インフルエンザが確認されて以来、県内の養鶏場に2回、立ち入り調査してきた。ショックだ」。宮崎県は昨年、口蹄疫で大きな被害を受けたばかりで「宮崎だけに立て続けに(家畜伝染病が)発生したのは、農家の人に申し訳ない」と言葉を詰まらせた。
この日設けられた発生農場から半径10キロの移動制限区域内にある同県新富町の採卵場で働く男性従業員(28)は「いつ制限が解除されるのかわからないのが不安。口蹄疫の二の舞いになってはまずい。何とか1件だけで抑えられたら」と心配した。
この採卵場では、21日夜のニュースで発生を知り、全従業員が急きょ集められ、防鳥ネットの確認や鶏舎の石灰の散布に追われたという。22日朝も午前6時出勤で、出入り口に石灰を足したという。男性は「島根、鹿児島と、だんだんとウイルスが近づいているようでみんなビクビクしていた。焦ってもしょうがない。いつも以上に防疫に力を入れたい」と話した。
宮崎市佐土原町の発生養鶏場では22日朝、飼育する鶏約1万羽の殺処分のため、県職員らが準備に追われ、雑木林に囲まれた農場は物々しい雰囲気に包まれた。
午前9時過ぎに、白い防護服に身を包んだ県職員らを乗せた大型バスが次々と現場に到着、約300人が降り立った。戸敷正宮崎市長の姿もあった。敷地内にはテントが約12張り連なるように設置されており、早速、職員たちが養鶏場に消毒液を噴射するなどしていた。現場には報道陣十数人が詰めかけたが、農場入り口には県職員が立ち、立ち入りを規制。現場には緊張感が漂った。
毎日新聞 2011年1月22日 11時38分(最終更新 1月22日 13時50分
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110122k0000e040031000c.html
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