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入札タテに「おねだり三昧」…汚職の特許庁官僚はロックバンドのボーカルだった
2010年07月03日15時23分 / 提供:産経新聞
【衝撃事件の核心】
ロックバンドのボーカルであり、子煩悩な父親−。充実した人生を送るキャリア官僚には、業者の甘い密を吸う素顔があった。特許庁の事務処理システムに関する情報を提供する見返りにわいろ受け取っていたとして、収賄容疑で警視庁に逮捕された特許庁先任審判官の志摩兆一郎容疑者(45)は、自ら“おねだり”し、長年にわたってタクシーチケットや飲食費を業者にたかり続けていたとされる。同業他社に事務処理システムを落札され焦った業者と、うまい汁を吸いたい官僚。そこには欲でべっとりと絡み合った官業癒着の姿があった。
■「ここにいる」と繁華街に呼び出し 遠い自宅までのタクシー代を…
「ここにいるから」。平日夜、都内のイタリアンレストランで、小声で携帯電話を使う男がいた。ほどなくして電話相手がやってきた。2人は食事をしながら小声で何事か“密談”し、夜の街へと消えていった。支払いを任されたのは電話相手だった。
男が出歩くのは銀座、青山、赤坂といった都心の繁華街。レストランのみならずワインバーから電話をかけたこともあった。
この男こそ志摩容疑者。呼び出された相手は、NTTデータシステム統括部長、沖良太郎容疑者(45)=贈賄容疑で逮捕=だ。
沖容疑者とともに飲食店をハシゴした志摩容疑者は、決まってタクシーチケットを受け取った。沖容疑者は業務用に使うタクシーチケットを管理し、部下に配布する「タクシー管理者」という立場だった。
志摩容疑者の自宅は神奈川県小田原市の北東部で、東京・霞が関駅から最寄り駅までの所要時間は1時間半以上。タクシーを使った場合、深夜料金だと運賃は約2万5千円にもなる。
「『家が遠い』とぼやいていた。庁内の飲み会のたびに『志摩さん、帰りは大丈夫?』という話になった」
志摩容疑者をよく知る特許庁関係者はこう話す。
タクシーチケットを受け取った志摩容疑者は赤ら顔で帰路についた。途中寄り道をするなどして、1回分の利用料金は約6万円に達することもあったという。寄り道した先は、まだ分かっていない。
■強烈シャウトが売りのバンド名は「びっくり箱」…昼休みはパソコンの先生
警視庁捜査2課は6月22日、2人を逮捕し、こうした“古典的”とも言える癒着の構図にメスを入れた。
調べによると、志摩容疑者は平成17年8月〜21年11月、特許庁が発注する事務処理システムの設計・開発の進捗(しんちょく)状況に関する資料を提供。NTTデータ側に便宜を図る見返りとして、沖容疑者からタクシーチケットを受け取るなどし、総額二百数十万円相当の運賃の肩代わりをさせていた疑いが持たれている。
同課の調べによると、こうした一連の接待額は500万円に上る可能性があるという。
志摩容疑者は工学院大学を卒業。国家公務員I種(キャリア)採用として昭和62年、特許庁に技官で入庁した。総務部電子計算機業務課、特許審査第4部上席審査官などを歴任した。
「パソコンの知識が豊富で親切。操作が分からない女性職員に、昼休みにお弁当を食べながら親身になって教えていた」(特許庁関係者)
趣味人としても知られ、庁内で「びっくり箱」という名前のハードロックバンドを結成。強烈なシャウトが売りのボーカリストだった。「2児の父親でもあり、子煩悩な様子だった。温和な感じで、業者とそんな関係があるとは思わなかった」と、この特許庁関係者は驚きを隠さない。
■多い年には150億円も…随意契約解消で「独占崩壊」
警視庁が贈賄側と認定したNTTデータは、特許庁と深い関係にあることで知られていた。
平成2年に特許の出願手続きを電子化して処理するシステムを開発。以降、メンテナンスやソフト更新などの業務を16年まで随意契約で独占的に受注していた。関係者は「年間契約額は多い年は150億円に達していた。NTTデータ内でも重要な取引だったといえる」と明かす。
暗雲が立ちこめたのは、同庁が新事務処理システム導入を目指してからだ。
政府は15年、庁内システムの開発や保守を、特定の業者に長年に渡って任せてきたことがコストの高止まりにつながっていると判断し、各省庁に見直しを求めた。NTTデータと契約を結んでいた特許庁も例外ではなく、随意契約を解消。特許出願の手続きなどを電子化するシステムの導入を目指して動き始めた。
13年4月〜16年10月、情報システム課に在籍していた志摩容疑者は、「主力級の存在」(特許庁関係者)として計画に携わった。NTTデータとしては、新事務処理システムにも当然、かかわりたい意向だった。
そして18年11月、業界が騒然となる一般競争入札が行われることになる。
■事件を招いた?波乱の入札 情報は“接待の場”で入手
18年11月の競争入札に掛けられたのは、新事務処理システムの「設計」事業だ。
特許庁によると、新事務処理システム事業は「設計」と「開発」の2つの業務に分けて一般競争入札で契約業者を決める手順になっており、設計業務が終了し次第、開発業務の入札を行う予定だった。
「設計」の入札に参加したのは、NTTデータ、日立製作所、東芝ソリューションの3社。業界関係者によると、当初は官公庁でのシステム設計の技術のあるNTTデータか日立が優勢、とうわさされていたという。
ところが、落札したのは東芝ソリューションだった。落札額は約94億5千万円。実に予定価格の6割以下。NTTデータの入札額より約50億円も低い額で、その“安さ”に業界全体が驚いた。
「本当にそんな額で業務が遂行できるのかということ。特許庁も調査したが、最終的には『問題なし』と結論づけたようだ」と、業界関係者が振り返る。
だが、設計業務を契約した東芝ソリューションの作業が予定より大幅に遅れ、開発業務の入札はずれ込むことになる。
だが、ライバル社に事業を奪われたという事実は変わらない。続く「開発」の落札は、NTTデータにとって是が非でも取らなくてはならない案件となった。業界関係者は「遅れている設計業務の進捗状況や、他のライバル社の動向が知りたかったのだろう。そんな最中に(特許庁職員と)関係を断てるわけはない」と、NTTデータの内情を察する。
志摩容疑者は17年4月に特許出願を審査する上席審査官、21年4月には審判官に昇格したが、その後も特許庁内の検討会などで意見を述べる立場を維持。特許庁の会議の議事録など内部資料を入手したほか、同僚らから計画の進み具合を聞き出していたという。
志摩容疑者は、こうした情報をイタリアンレストランやワインバーなど“接待の場”で、沖容疑者に伝えていたとみられる。
■業者との癒着断ち切れず…特許庁トップもうなだれ「職員は規律を」
実は特許庁側も志摩容疑者の行動に疑念を抱いていた。
特許庁の細野哲弘長官は志摩容疑者の逮捕直後、経済産業省で記者会見し「国民に深くおわびしたい」と謝罪。志摩容疑者について内部調査を続けていたことを明らかにした。
同庁は一部報道を受け、4月から内部調査を実施。業者側からタクシーチケットを提供されていた疑いは強まったが、「全容を調べるには限界がある」と判断。警視庁の捜査に協力していた。
会見で細野長官は、システム開発の中で、意見交換などで業者との接触はあり得ると指摘。その上で「入札が近づけば近づくほど、職員にはしかるべき規律が求められる」と厳しい表情で語った。
業者との癒着を断ち切れなかった志摩容疑者。取り調べには「間違いありません」と容疑を認めているという。
特許庁関係者は、志摩容疑者のつぶやきが忘れられないという。離婚して子供と別居せざるを得なくなった同僚への言葉だ。「おれは子供がいるから、彼の本当につらい気持ちが分かるんだよ」
逮捕され、自身が子供と離ればなれとなった今、胸にはどんな思いが去来しているのだろうか。
関連ワード: 官僚 特許 NTTデータ タクシー ロック
http://news.livedoor.com/article/detail/4864303/
:事例として引用
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