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http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20090513/147459
<DNA不一致>20年目迎えた足利事件 再審決定経験ある秋山賢三弁護士に聞く(下野新聞)
「合理的疑い生じた」市民感覚と離れ鑑定実施に遅れ
(5月14日 05:00)
足利事件は十三日、被害女児が発見されてから二十年目を迎えた。DNA再鑑定の不一致で、再審の公算が大きくなる中、「徳島ラジオ商殺人事件」で再審開始の決定を言い渡した経験がある元裁判官の秋山賢三弁護士(68)=東京弁護士会=は「今回の鑑定で合理的な疑いが生じた」との見解を示した。今後の展望などを聞いた。
−今回の再鑑定の意義は。
「アメリカでは、DNA鑑定によって百人以上の死刑囚が誤判と分かった。最新の科学は冤罪を生む可能性があるし、それを是正することもある。盲信してはいけないということを教えている」
−再鑑定の結果は、再審開始の要件に該当するか。
「確定判決は証拠構造が弱く、DNAの不一致で崩れてしまったといえる。『疑わしきは被告人の利益に』との鉄則から考えても、今回の鑑定で合理的な疑いが生じている。裁判官は再審決定書を簡単に書くことができる」
−弁護団は一九九七年に「不一致」とする独自のDNA鑑定を裁判所に提出していたが、ずっと受け入れられなかった。
「市民感覚と裁判が切り離されている。もし裁判員裁判の対象事件だったとして、裁判員が鑑定の実施を判断する立場だったら、もっと早かったはずだ」
−再審までの見通しは。
「従来のやり方だと、鑑定人を呼んで尋問するだろう。だが、この(不一致という)結果は無視できない。すぐに開始決定をするかもしれない」
−殺人事件での再審開始は、十五年も途絶えている。
「最高裁の決定を覆してまで、再審決定を決断できる裁判官は少ない。偉い先輩方の誤りを裁くことになるし、出世にも響く。また、検察などの強力な国家権力が相手なので、する裁判官がいるのも確かだ」
−今回はそのハードルを乗り越えられるのか。
「裁判官が、無実を訴える人に対して、客観的な洞察を持って、やり抜く良心が試されている」