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6月1日3時13分配信 読売新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090531-00000850-yom-soci
ネット上にあふれる児童ポルノ対策として、警察庁は、ネット利用者が違法なサイトを見ようとしても接続できなくする「ブロッキング」制度を民間のプロバイダー(接続業者)が自主的に運用できるよう、6月2日にプロバイダーなどと協議会を発足させる。
違法サイトの画像がネット利用者に次々にコピーされ、他のサイトに転載される現状に歯止めをかけるのが狙い。来年度にも官民共同で実証実験を始め、技術的な課題などを検討する。法整備の遅れから、児童ポルノ対策の「後進国」と国際的に批判されている汚名を返上できるか注目される。
「これは、あの時に撮影された映像じゃないか」
昨年9月、神奈川県警が児童ポルノ投稿サイト「さくらんぼ女学院」を摘発した時、捜査幹部は、投稿されている動画の一つに見覚えがあることに気づいた。
同県警は2005年3月、児童ポルノを撮影した男を児童福祉法違反容疑で逮捕した。問題の動画に映っていたのは、この男にだまされた当時11歳の少女。映像がネット上に流出し、それをマニアが投稿していたことがわかった。
さくらんぼ女学院は05年5月に開設されてから1日平均約5万件のアクセスがある人気サイトで、摘発されるまで計6155万件ものアクセスがあった。摘発後もマニアが投稿した動画や画像はコピーされ、11歳の少女の動画の場合、検索サイトで調べると、同じタイトルが10万件以上あるのが確認されている。
警察庁によると、昨年1年間に摘発した児童ポルノサイト絡みの事件は、過去最多の254件。さくらんぼ女学院と同様、ほとんどのサイトの児童ポルノがマニア間でやり取りされ、ネット上に流出している。
ブロッキングは、こうした児童ポルノをネット利用者が閲覧できないよう、警察の情報などを参考に作成した「ブラックリスト」を基にして、プロバイダーが違法なサイトへの接続を強制的に遮断する制度。海外のサイトも対象となり、「児童ポルノの閲覧→画像の取り込み→他のサイトへの投稿→拡散」という悪循環を絶つ決め手として期待されている。
同様の制度は、少なくとも10か国で導入され、日本でも昨年6月、ブロッキングの技術開発を進めることを盛り込んだ「児童買春・児童ポルノ禁止法改正案」が国会に提出されたが、審議は難航している。
このため警察庁は、プロバイダーによる自主規制の形で運用している英国をモデルに、協議会の場で技術的な課題や法律との兼ね合いを検討し、民間による自主運用を促したい考え。携帯電話のサイトも対象にするため、携帯電話各社にも協力を呼びかける。
◆ブロッキングに北欧型と英国型◆
ブロッキングを巡っては、スウェーデン、ノルウェーなど北欧では違法サイト全体への接続を遮断する方式を、英国、カナダなどでは、児童ポルノが掲載されたページだけを閲覧できなくする方法を採用している。
「マイクロソフト日本法人」法務・政策企画統括本部技術標準部長の楠正憲さんは「北欧型の場合、児童ポルノではない部分まで閲覧できなくなり、表現の自由との兼ね合いが難しい。英国型は処理する情報量が増え、設備投資が莫大(ばくだい)になる。実証実験を重ね、日本にあった方式を模索する必要がある」と指摘している。