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5月8日6時3分配信 読売新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090508-00000007-yom-ent
京急電鉄(本社・東京)の駅のホームで流れている駅メロディーを集めたCDが、同社や発売元の予想を超える評判を呼んでおり、発売開始から約1か月半で1万枚以上が売れている。
駅メロは、通勤や通学で駅を利用する人にとって身近な音楽の一つだけに、鉄道マニアの枠を超えて人気が広がっているようだ。
このCDは「京急駅メロディ オリジナル」(1500円)で、3月18日に販売が始まった。京急は昨年以降、一般公募で決めた「上を向いて歩こう」「夢で逢えたら」などの駅メロを計17駅で流しており、CDには、17駅で流れる30曲を収録した。列車がカーブを曲がる時に発する「曲線通過音」などの“効果音”も収録。「ドレミファ……」と音階を踏んでいるように聞こえる、ドイツ製制御装置が発する電車の起動音は、同CDの「目玉」の一つという。
発売元の「ユニバーサルミュージック」(東京)は当初、マニア向けとして700枚の出荷でスタートした。ところが、品切れとなる売店が続出したほか、インターネットでも次々と売れたため増産を開始。京急も期間限定で、各駅で駅メロを携帯電話にダウンロードできるサービスを始めた。
品川駅の売店店員(61)によると、「鉄道ファンの若い男性だけではなく、年配の女性も買っていく。子供が親に頼んで買ってもらうことも多い」という。
ユニバーサルミュージックでCDの企画を担当する渡部清隆さん(43)は、「(発売当初は)地区が限られた一私鉄のCDという認識だった。短期間でここまで売れるとは」と舌を巻き、「鉄道ファンが低年齢層や女性にも広がっているのでは」と分析する。
駅メロがCDとして大々的に売り出されたのは、「テイチクエンタテインメント」(東京)が2004年3月に発売した「JR東日本 駅発車メロディーオリジナル音源集」で、これまでに5万枚超を売り上げた。05年6月に発売した第2弾の駅メロCDの売り上げも、4万枚を超えた。CDを手がける同社の担当者は「普段聞き慣れている人が親近感を覚えて手にしてくれているのではないか」とみる。
駅メロは、視覚障害者の間でも根強い人気だ。
視覚障害を持つ約50人の高校生が通う都立文京盲学校の沢田晋校長によると、「駅メロに癒やされる生徒も多いようだ。駅メロを録音している生徒もいる」という。全盲の三段跳び選手で、バイオリニストとしてデビューを果たした白井崇陽さん(25)も駅メロファンの一人で、「駅や路線ごとに音楽が違うのはすごく役立つ」と話す。駅メロ制作を手がける音源制作会社「スイッチ」(東京)では、白井さんの演奏を生かした駅メロディーを新たに作曲することも検討している。
◆駅メロディー=電車の接近や、発車を知らせるベルの代わりに流している音楽。首都圏での広がりのきっかけは、JR東日本が1989年、国鉄民営化後のイメージ刷新のため、新宿駅と渋谷駅に導入した時とされる。同社の駅メロディーが流れる目覚まし時計といった関連商品も人気。