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「聞く力」はどこに? 入管難民法にマイナンバー法…噴出した問題点は棚上げ 国会の議論が形骸化の恐れ(東京新聞)
http://www.asyura2.com/09/news8/msg/1274.html
投稿者 蒲田の富士山 日時 2023 年 6 月 08 日 13:22:58: OoIP2Z8mrhxx6 ipeTY4LMlXiObY5S
 

2023年6月8日 12時00分

https://www.tokyo-np.co.jp/article/255322

 難民認定申請の回数を事実上2回に制限する入管難民法改正案の審理が大詰めだ。ここにきて改正の根拠となる事実に疑問が噴出し、入管施設での新たな不祥事も明るみに出ている。それでも政府は、野党が提出した斎藤健法相の問責決議案の否決を受け、週内に改正案を成立させる考えだ。先のマイナンバー法改正案然しかり、問題点を棚上げし、結論ありきでいいのだろうか。(山田祐一郎、大杉はるか)

◆「審議するほど大問題が噴出」
 「(法相は)国会答弁等で引用してきた政府案の根拠を自ら否定し、立法事実を崩壊させ、国会審議の前提条件を失わせた」
 7日の参議院本会議で審議された斎藤法相の問責決議案。提案趣旨説明で、立憲民主党の石橋通宏氏がこう訴えた。
 賛成討論に立った共産党の仁比聡平氏は「審議すればするほど大問題が噴出している。何の反省もなく審議を打ち切り、法案を押し通そうとする斎藤氏に大臣の資格はない」と断じた。

◆「崩壊した立法事実」とは
 石橋氏が指摘した「崩壊した立法事実」とは何か。
 入管難民法改正案は、難民認定申請中の外国人を強制送還しない現行の仕組みを変え、3回目以上の申請者は送還を可能にする。
 政府がこの改正が必要な根拠の一つとしたのが、2021年の衆院法務委員会で、参考人として出席した柳瀬房子難民審査参与員の発言だ。参与員は難民不認定になった外国人の不服申し立てに対応し、認定すべきかどうか意見を述べる役割を担う。
 柳瀬氏は「難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど見つけることができません」と発言したが、改正案の審議が始まった4月以降、この発言に対し、他の参与員たちからも異論が続出したのだ。
 柳瀬氏に審査が集中している事実も判明した。柳瀬氏が1年半で500人の面接をした計算になることについて、斎藤法相が会見で「可能」と述べた後、同じ日の夜に「『不可能』の言い間違えだった」と訂正する迷走もあった。
 さらに、同じタイミングで、大阪出入国在留管理局(大阪市)の常勤医師が今年1月に酒に酔った状態で収容者を診察していたことも発覚した。斎藤氏は2月下旬に事態を把握していたにもかかわらず、公表せずに3月に法案を提出していたことも分かった。
 ほかにも、同法改正案に対し、国際法などの研究者や国連人権理事会の特別報告者が「国際人権基準を満たしていない」などとして、懸念を表している。
 こうした状況で、立民は法改正を強行すべきではないとして、法相の問責決議案を参院に提出した。だが、7日の本会議で、冒頭のやりとりの後、自民、公明、日本維新などの反対多数で否決された。結果として、改正案は8日の参院法務委員会と9日の本会議での採決を経て、成立する公算が大きくなっている。

◆難民の支援者ら「全く納得できない」
 国会審議の中で膨らんだ疑問が解消されていないにもかかわらず、採決が迫る状況に、難民の支援者たちから批判の声が上がる。
 全国難民弁護団連絡会議代表の渡辺彰悟弁護士は「ゆがめられ、隠蔽いんぺいされた事実によって審議が進められることに全く納得できない。入管当局はなぜ改正にこだわるのか」と改正ありきで突き進む政府の一連の対応を批判する。
 国会軽視の強行採決で改正法が成立した後の難民政策をこう危ぶむ。「歯止めがない状態で強制送還が行われる恐れがある。本来、守られるべき人が守られないことになり大変危険だ」

◆マイナカードの問題続出でも
 マイナンバー法の改正についても似た状況だった。国会での審議が進む中で、マイナカードを巡る問題が続出した。
 マイナカードを使ってコンビニで住民票や戸籍の証明書を取得する際に別人の情報が交付されたり、「マイナ保険証」で別人の情報がひも付けられていたり。
 それでも政府は2日、健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化するマイナンバー法など関連法改正案を成立させた。
 成立後も、マイナンバーと公金受取口座のひも付けで、本人ではなく、家族や他人口座が登録されているケースが13万件に上ることが判明。制度への不信感は深まるばかりだ。

◆結論ありきで説明は後回しの姿勢
 岸田政権は、防衛費や子ども予算の「倍増」を打ち出す一方、時期を含めた安定財源確保策は先送りするなど、結論ありきで説明は後回しの姿勢が目立つ。入管難民法などの改正を巡る動きも、同じ流れの中の出来事のようにみえる。
 自民党職員は「マイナンバーはトラブルはあるが、進みながら直すしかない。入管難民法は以前から改正の必要があった。立民が一部の組織に押されて法案に反対しているだけだ」と主張するが、問題先送りの感は否めない。

◆専門家はどう見る?
 課題が放置されれば本末転倒だが、与党が突き詰めた議論より、法改正を急ぐ状況を専門家はどう見ているのか。
 明治大の井田正道教授(政治行動論)は「春の統一地方選で維新が躍進し、自信を深める一方で、立民との共闘態勢は終わった。野党はばらばらになった結果、国会は一強多弱状況になっている」と指摘。早期の衆院解散・総選挙の可能性が取り沙汰され、野党各党が独自候補擁立を進める中、「当分こんな状況が続くだろう」とみる。
 そうなると国会での議論が形骸化する恐れが膨らむ。
 議会制民主主義における国会の役割について、駒沢大の大山礼子教授(政治制度論)は「政府法案の修正と、論争の中で問題を指摘するという二つがある」と説明する。
 だが、日本の場合、与党が事前に法案審査をしていることもあり、国会での修正はなかなか行われない。論争についても、本会議で首相や閣僚の考えをただす「緊急質問」を与党が許可しないなど、低調だという。
 大山氏は「以前の自民党は、国会でも国民に説明する気構えがあったが、安倍政権からそうではなくなった」とも。「国会には野党の言い分を政府に聞かせる『装置』がない。国会改革や政治制度改革が下火になっていることが問題だ」と強調した。
 岸田内閣の支持率は昨年、旧統一教会問題などで低下したが、今年に入り、先進7カ国(G7)サミットなどの影響で回復した。防衛費倍増や原発運転期間延長など、国の形を変えるような重大な決定をしているが、説明が尽くされているとはいえない。
 政治アナリストの伊藤惇夫氏は「反発が強まらない一つには、イメージの薄い岸田首相のキャラクターがある」と分析。さらに「維新も国民民主も野党なのか与党なのか分かりづらく、野党らしい立民には勢いがないこと。野党が強ければ、法案審議でいったん立ち止まることもあるが、今はまとまりがない」
 与党が数の力に任せ、異論に耳を貸さずに突き進めば、政治への冷めた空気が広がりかねない。
 現在の政治情勢について伊藤氏は「一強多弱は大胆な政策転換が可能な半面、政治全体から緊張感が失われるデメリットも大きい」と警鐘を鳴らした。

◆デスクメモ
 難民認定を巡る疑問は解消されず、マイナンバーはトラブルが底無し。落ち着いて議論すべきなのに、そうならない。野党が弱いといえばそれまでだが、法案を通せば解決する類いの問題ではない。首相の「聞く力」はいまやどこに? 政治の劣化につながらないか心配だ。(北)

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