05. 2013年3月18日 18:26:45
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2013年 3月 18日 15:12 JST 春の到来を科学する─米国で始まった市民観察ネットワーク By ROBERT LEE HOTZ 春の到来をいち早く知るため、数千人ものナチュラリストたちはボランティアで、サクラやライラックの花が最初に咲いた日や、オオカバマダラやハチドリが北へ向けて飛んだ日、また昆虫が動き出し、コマツグミが巣作りをした日を記録している。 画像を拡大する Dominick Reuter for The Wall Street Journal ウィッチヘーズルの木を観察するボストン大学の植物学者リチャード・プリマック氏(16日) 米気候データセンターによると、こうした記録を総合すると、春の訪れがこの数十年間で早まっていることがわかった。記録データは、米国のほとんどの地域で1世紀前より約2週間、作物が最もよく育つ季節が長くなっていることを示している。 アリゾナ州ツーソンに拠点を置く全米フェノロジーネットワークの事務局長で、生態学者のジェイク・ウェルツィング氏は「(最も遅い霜である)終霜の時期がどんどん早まっている。(最も早い霜である)秋の初霜の時期はどんどん遅くなっている」と話した。フェノロジーとは、自然現象の時期を研究する生物季節学のことだ。 人工衛星は地球の半球全域にわたる季節の変化をとらえることができるが、環境汚染や都市部の発展、それにほとんどの科学者が気候の変化の一因として指摘する温室ガスによる影響を測るうえで、フィールドワークに代わるものはない。季節の変化をとらえた信頼できる技術的な日誌を作成し、研究者らがより効果的に作物の生育状況や季節的なアレルギーの発症時期を予測したり、また野生動物の管理ができるよう利用するというのがその目的だ。 自然の中で季節変化の最も敏感なセンサー役を果たしているのは花を咲かせる植物だ。この5年間、米国では異常に暖かい春が続いているが、長期的な植物の記録はこういった毎年の気象の変動ではわからない気候変化の傾向を示し得る。 NASAの新しい研究で、30年前より植物が生育できる北限が北上したことがわかった。北上した範囲の面積は合計で350万平方マイルに及び、これは米国とほぼ匹敵するくらいの大きさだ。 これまでのところ、将来的に植物が暖かい気温にどう反応するかを計測するための室内実験はうまくいっていない。また、米航空宇宙局(NASA)と大学の研究者らは最近、気候の変化に伴う地域的な影響を予測するためのコンピューターモデルがうまくいっていないと結論付けた。
研究者らは、初霜や雪解けといった年間の気温の変化に対する1種類ずつの動植物の反応に関する記録を、庭いじりが好きな人や農業従事者、バードウオッチングを趣味としている人といったアマチュアのナチュラリストに頼らざるを得ないのだ。 こういった観察者を登録しておくため、米地質調査所と米科学財団は2007年に市民による観察研究ネットワーク「ナショナル・フェノロジー・ネットワーク」を設立した。今年、ネットワークには2000人を超える人が登録しており、米国、カナダ、メキシコの600種に及ぶ動植物を観察している。これまでのところ、「ネイチャーズ・ノートブック」と呼ばれる公共のオンラインプログラムを通して200万件近いデータが記録された。今年はさらに100万件の観察データが追加されると期待されている。 科学者たちはこういった記録から変化の兆しを見つけている。サウスカロライナ州クレムゾン大学とインディアナ州テイラー大学の研究者らは今年、1880年までさかのぼって記録を分析し、ノドアカハチドリが数十年前より最大で18日早く、北米に渡ってきていることを発見した。 米東海岸ニューイングランド地域の季節的な変化を研究しているボストン大学の植物学者リチャード・プリマック氏は「全米で劇的な影響を観測し始めており、 ナショナル・フェノロジー・ネットワークはその記録に一役買っている」と話す。そして、「毎年、あまりに多くの変動がある」ことから、長期的かつ全国的な信頼できる記録が必要だと指摘した。 ただ全国的な取り組みは始まったばかりだ。モンタナ大学の地球エコロジスト、スティーブン・ランニング氏は「こういった(生物季節学の記録)に、どんなものであれ気候変動の傾向があるかという疑問に答えるためには、20年、30年、40年分のデータを待たなければならない」と述べた。 |