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江戸時代の生活は究極の再生利用社会(もったいない精神の真髄)
http://www.asyura2.com/09/nature4/msg/855.html
投稿者 矢津陌生 日時 2012 年 12 月 25 日 12:48:35: fqfGCq6zf5Uas
 

江戸の人口は、1800年120万人が暮らす世界一の大都市。ロンドンが90万人、パリが60万人、ニューヨーク6万人だった。すでに上水道の設備があり、時代劇で見る長屋の井戸は地下の木管の中を流れる水をくみあげる井戸だった。神田川、井の頭池、玉川などを水源に高低差を利用して木管の中を川のように流し、余った水は船で水の便の悪い地域に運んだ。1年中使える上水道設備を江戸の半分以上の人が使えたそうだ。

排泄物の処理はヨーロッパでは道路に投げ捨てていたのは有名な話。下水道にはき寄せて川に流していたので、河川は猛烈な異臭を放つ「どぶ川」だった。今でもこの施設は利用されている。一方日本では農村はもちろん、江戸でも明治の初め頃まで川から汲んだ水でお湯を沸かして飲んでいた。下水に流すものは、食事で必要な食べ物や食器を洗った水、衣服を洗った水なので、そのまま川に流しても自然の循環系の中で処理されてしまうものだった。きれいな水は大切に使いまわすので自然を汚すことはほとんどなかった。

消化されなかった排泄物は、汲み取り式の厠に溜めて、農家が対価を払って引き取った。この下肥は貴重な商品で、長屋の大家は住人の下肥を売って馬鹿にならない現金収入になり、専門の問屋や、小売まで出現したそうだ。農家は藁や落葉を下肥に混ぜ、堆肥にして収穫を増やした。出来たものは再び江戸で消費され、リサイクルがずっと行われた。近年まで日本全国でこれに近いことが行われていた。 江戸時代の基幹産業は稲作である。総人口3千万人のうち約8割が稲作に従事し、その収穫は年450万トンと推定されている。

江戸時代は太陽光を最大限に利用した。江戸時代は石炭や石油燃料に頼らない生活だった。生活に必要な燃料は雑木林から採れる照葉樹、薪や木炭として使われた。豊富な薪は製鉄にも利用された。朝鮮半島に比べると高温多湿で木の成長が早いことが、日本がはげ山になりにくかった一因でもある。古代には今の釜山あたりで、盛んに製鉄がおこなわれ、鉄の取引を中心に朝鮮半島や倭国からたくさん人の往来があったようである。

日本列島では特に8世紀以降、戦乱で追われた高句麗人が関東に入植(百済人は関西)し、原生林は放牧地や農地に変わっていった。関東平野が本格的に開発されたのは、徳川家康入植後であった。神田上水、玉川上水の開発によリ農業用水が確保されると、武蔵野原野は開発が進み、18世紀前半には原野はほぼ消滅し、防風林を作り、落ち葉を堆肥の材料にしたり、薪を確保したりするため、クヌギやコナラを植林した。この雑木林は江戸の燃料の供給源となった。

江戸時代には九州で石炭が掘られ、新潟でも石油や天然ガスが採掘され,燃料や照明として使われていたが、江戸町民の生活はもっぱら、薪と木炭、それに木炭の粉をふのりや海草で固めた豆炭を、煮炊き、火鉢やこたつによる暖房に使った。太陽エネルギーを20〜30年蓄えては使うことで、長期に継続可能なエネルギーリサイクルシステムとなった。石油が使われるようになるのは明治の1880年以降だった。

明かりはアブラナから採ったナタネ油が使われ。櫨(はぜ)の木を原料に蝋燭も作られたが、高価であった。綿、木綿、絹などの衣類も植物や蚕を利用した資源だった。生活用品の素材も、すぐに自然に戻る藁・竹・萱・和紙などだった。米を収穫すれば藁も採れるから、藁は最大の生活用品の素材であった(国民1人当たり150kgぐらいの消費)。和紙の原料の楮(こうぞ)で、1年間に使ったのは一部の皮だけで、楮の木は20~30年間は繰り返し使い続けることが出来た。和紙は程耐久性にすぐれていたので何度も繰り返し使われた。

植物が太陽エネルギーをいろいろなものに変換したものを、食糧、衣料、燃料など生活必需品として利用し、最終的には土に戻る。当時の江戸は世界最多の人口を擁す大都市にもかかわらず、人類の出現以来ずっと繰り返してきた再生利用で、社会生活は成り立っていた。江戸の食料は近郊で採れる米と大阪から運ばれた米(米相場は既に18世紀前半、大名の蔵屋敷が集中した大坂の堂島で開始)、野菜、川や海の魚介類を主食とした。

身の回りは藁を材料とする生活用品、笠・蓑、草履・わらじ、俵・こも、敷きもの、藁葺き屋根、縄、畳材、壁材、家畜用。使い終わればそのまま肥料、燃やした灰は、肥料などの材料になり、最後は土に戻って、リサイクルされる。農薬を使い続けて環境を汚してしまった現代に比べ、江戸時代は糞、落葉、ワラなどを材料に作った堆肥やワラを燃やした後の灰を混ぜた肥料に、豊かな森林の土壌から栄養やミネラルをたっぷり含んだ清浄な水は絶えず供給可能であった。

太陽の恵みを最大限利用して、環境的にもエネルギー効率的にも現代よりはるかに環境にやさしい(エコフレンドリー)生活を行っていた。当時の生活にそのまま戻ることは不可能としても、これからは原子力発電に頼らなくても生活ができる方法を考えなければならないと思う。

寺子屋などによる教育で識字率は、世界でも当時から群を抜いていた。19世紀の農村部を含む識字率は8割を超していたと言われる。ヨーロッパでは階級が固定されていて、貴族や承認などの富裕層は高い教養を誇ったが、一般庶民の識字率は1割以下であったと言われる。

高等教育に関しては、幕府の昌平黌を筆頭に大藩には藩校が設けられた。ある程度進むと優秀な生徒には個人指導だった。庶民の犯罪人を捕まえる与力と同心は人口100万超の江戸でも30人程度しか必要なかった。我々が歴史で学んだ五人組制度はあまり良く言われないが、互助組織であり、犯罪を未然に防止するのに非常に効果があった。

明治政府は徳川体制を意図的に否定する必要があったので、江戸時代は暗いイメージで教えられるが、生活様式としては二百年以上続けられてきた、今も学ぶべきことがたくさんある。無理やり開国されていなかったら、今でもこの究極の再生利用社会は続いていたのではないか。

矢津陌生ブログ http://yazumichio.blog.fc2.com/blog-category-19.html より転載  

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コメント
 
01. 2012年12月25日 16:12:48 : I0wUTwXRRk
江戸期は大飢饉の時代で幕末直前まで逃れる事は出来なかった。
悲惨な天災が起きても現在のような救助・支援は見込めない。
故にこの社会を現在でも持続させるのは限界があるが、
大地震の時に自動車・トラック・タンカーから流出した石油による火災・爆発の危険性はない社会で学ぶべきものは多い。

02. 矢津陌生 2012年12月25日 17:25:11 : fqfGCq6zf5Uas : GlxJVggAm6
江戸時代は、台風、大雨、地震などによる自然災害と飢饉(食料の確保)の恐怖がつきまとった。江戸時代のやり方では、現在の人口を維持するのはほとんど不可能である。明治以降に学んだ近代文明によって、居住可能な空間を飛躍的に広げ、多くの人間が生き残ることができるようになった。同時に、この文明は多数の人間を死傷させる人災の原因(大量殺傷兵器・原水爆・原子力発電など)を作った。

2011年の3月11日の大地震で、原子力発電が安全だという大嘘がばれてしまった。しかし、今まで推進してきたことを負の債務と認めた瞬間から、電力会社解体、電力事業の見直し、国の在り方、国民生活など、この国全体として社会を根本から変えなければならなくなる。国民の大多数にその勇気はない。我々日本人に江戸時代やそれ以前の生活を受容できる哲学があるなら、変更する勇気が湧いてくるだろうが。日本経済の復活を唱えることが第一の政治課題であれば、この国を原発のない国に戻すことは不可能であると思う。


03. 2013年1月07日 21:06:38 : Pj82T22SRI

江戸時代といえども、科学技術は進歩し、農耕で自然環境の悪化は進んでいた

しかし、それが未熟であったために、環境負荷自体は小さかった

現代は化石燃料の消費で文明が成立し、自然環境もほぼ回復不能のダメージを蓄積し続けているが、資源が枯渇すれば、文明は崩壊する

原発など核分裂技術の影響など、それに比べれば、長期的には、ほとんど大したことはない

現状であれば、いずれ人類文明は衰退に向かう

今後、人類が文明を維持し、地球の崩壊を超えて生き延びるためには、核融合技術など革新的な技術の実用化が避けて通れない壁になる


04. 矢津陌生 2013年1月08日 23:05:48 : fqfGCq6zf5Uas : 5tVnTJTB37
ぼんやりした情緒的な表現で内容がよくわかりません。
「原発など核分裂技術」や「核融合技術」を使うことがそのまま聞き捨てできないので反応します。
>江戸時代といえども、科学技術は進歩し、農耕で自然環境の悪化は進んでいた
>しかし、それが未熟であったために、環境負荷自体は小さかった
人力によるものであり、今の自然環境破壊に比べるとはるかに小さかった

>現代は化石燃料の消費で文明が成立し、自然環境もほぼ回復不能のダメージを
>蓄積し続けているが、資源が枯渇すれば、文明は崩壊する
ここでは文明とは何を意味しますか?具体的に書いてください。

>原発など核分裂技術の影響など、それに比べれば、長期的には、
>ほとんど大したことはない
何を言おうとしているのか具体的に書いてください

>現状であれば、いずれ人類文明は衰退に向かう
>今後、人類が文明を維持し、地球の崩壊を超えて生き延びるためには、
>核融合技術など革新的な技術の実用化が避けて通れない壁になる
ここでの「人類文明」「核融合技術など革新的な技術の実用化」とは何を意味しますか具体的に記述してください。


05. 2013年1月10日 01:11:54 : HA5wFzGxhY
>>03
> 資源が枯渇すれば、文明は崩壊する
> 現状であれば、いずれ人類文明は衰退に向かう

原発を維持しようが核融合が実現しようが、化石燃料が枯渇すれば現在の文明が維持できないことには変わりない。
現時点の消費量で推移してもウランはどの化石燃料よりも早く枯渇するし、人類のエネルギー源の大半は電力にしない化石燃料だし、化石燃料の用途は燃料だけではない。


06. 2013年1月13日 20:04:55 : YxpFguEt7k
山川建夫氏
「「いのちの党」をつくった菅原文太さんが川田龍平さんへの挨拶の中で「80近くになって東京を離れ農業を始めてみたら、人間以外の生き物が如何に危機的な状況なのかが分かった。そんな事も知らずに東京で呑んだくれていたのが本当に申し訳ないと思う」と仰っていた。その事に今こそ皆が気付く時なのだ」
https://twitter.com/yukioyamakawa/status/290095131128905729

自然の破壊は知らぬ間に進行するようです。意識して自然を守るようにしましょう。


07. 2013年1月16日 09:03:30 : EYHTwT0u8w
布切れは、米粒3粒包めたら、捨ててはいけないと言われたらしい。
自分で畑を耕して種をまいて水やって草とって収穫して、紡いで糸にして染めて、布に織って切って縫って服にしてたら、誰だって言われなくてもそうするかもな。
ファストファッションが当たり前になったことで、古紙回収やゴミに出される衣類はものすごく増えてるよね、きっと。

8. 2022年1月14日 09:55:06 : qxNlsUXK8U : Z1NyeW5ETTdLMlU=[-829] 報告
transimpex_ochd(スコットランド・ケール語で8です)で投稿しています。

江戸時代から学ぶ事は多い。

何せ 本当の日本人の知恵と生活が感じられるので。

明治の西欧文化への憧れは少しは解りますが、何故私が虞美人草に惹かれたのか

あれは3種類のご婦人の生き方というのが表現されているのですが。

一寸読んでみたら理解出来ると思いますよ。

私は藤尾さんには傾倒しなかった いとこうと呼ばれたいとこさん。

本当の日本女性の強さは彼女の様な人では?



[18初期非表示理由]:担当:混乱したコメント多数のため全部処理


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