http://www.asyura2.com/09/nature4/msg/800.html
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アメリカなど各地を襲っている最近の熱波で、山火事や干ばつが頻繁に発生、死傷者数が増加している。原因は地球温暖化の可能性が非常に高く、NASAの気候科学者ジェームズ・ハンセン(James Hansen)氏は、今後も相次ぐだろうと予想している。
60年分の地球全体の気温データを分析した最新研究では、夏の異常気象の発生確率が急激に高まっている原因は、人間が引き起こした地球温暖化以外に考えられないと結論付けられている。
「かつてないほど異常気象の確率が高まっている。温暖化が原因だ」と研究の共同責任者を務めたハンセン氏は話す。
異常気象は人為的な影響抜きでも自然発生する可能性があるので、多くの気候科学者は温暖化との関連付けに慎重な姿勢だった。このような旧来の考え方が支配的だった頃から同様の警告は絶えなかったが、ハンセン氏はさらに発展させた見解を示した。
温室効果ガスの排出による気候への影響は、細工が施されたサイコロに例えられる場合が多い。毎回6の目が出るわけではないが、その確率を高める仕掛けがある。
つまり、「温暖化イコール毎年の異常気象」ではなく、“発生する確率”の問題だった。しかし、ハンセン氏によると、もはやその比喩では状況を説明しきれないほど、影響は顕著になってきているという。
「慎重論を繰り返すだけでは不十分な段階に来ている。“地球温暖化によってやがて異常気象の発生確率が高まる”といった警告や、“異常気象と気候変動を関連付ける直接的な証拠はない”など、どれも実態とかけ離れてしまった」とハンセン氏は指摘する。「むしろ最近の酷暑の原因は気候変動以外にないと考えるべきだろう」。
この研究に先立って温暖化の実態を調査したバークレー地表温度プロジェクト(Berkeley Earth Surface Temperature)の共同設立者リチャード・ミュラー(Richard Muller)も、同様の結論に至っている。同氏は温暖化の影響について懐疑的だったが、7月後半に「New York Times」紙に掲載された論説欄で持論を転換、「気温の上昇はすべて温室効果ガスの排出に起因しているようだ」と述べている。
◆異常な熱波の発生確率が上昇
ハンセン氏のチームは60年分の地球全体の気温データを分析し、夏の異常気温の発生数が、「3シグマ」という標準分布を越えて増加していることを突き止めた。このレベルの異常は、温暖化がなければ、熱波1000回のうち2回ほどしか発生しないという。
しかしハンセン氏は、「オクラホマ州、テキサス州、メキシコ北部を襲った2011年の熱波と、2010年のモスクワ、そして現在のアメリカ中西部で発生している猛烈な熱波も、このレベルに該当する」と言う。
かつては非常に稀で、温暖化の兆候が現れる前の1951〜1980年の期間には、この種の異常高温に見舞われる地域は地球上の0.1%に留まっていた。ところが過去30年間で範囲は10%に広まっており、今後10年間で17%に拡大するとみられている。
「自然発生の可能性はきわめて低い。それでも温暖化とは関係がないと言い張るのは、仕事をやめて宝くじで生計を立てるのと同じくらい無謀だろう」とハンセン氏は話している。
◆クリーンエネルギーの必要性
「今回の研究が温暖化に歯止めをかけるきっかけとなり、各国政府が化石燃料関連の補助金を廃止し、石油会社から税金を徴収する取り組みを活発化させてほしい」とハンセン氏は述べる。
「生まれた予算は市民に分配し、経済を活性化させてクリーンエネルギーの開発を推進する。そのようなエネルギー政策をいち早く施行できた国が、インフラを最新化して他国にテクノロジーを輸出し、躍進を遂げることになるだろう」。
今回の研究は「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌で8月6日に発表された。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20120807002&expand#title
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