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「泳ぐクラゲ」を生物工学的に製作−将来は心臓ペースメーカーにも
http://www.asyura2.com/09/nature4/msg/791.html
投稿者 MR 日時 2012 年 7 月 23 日 12:44:34: cT5Wxjlo3Xe3.
 

http://jp.wsj.com/Life-Style/node_482063?mod=WSJFeatures
「泳ぐクラゲ」を生物工学的に製作−将来は心臓ペースメーカーにも
2012年 7月 23日 10:11 JST
 
 米大学の研究者たちは、泳ぐことのできる生物工学的なクラゲを開発した。心臓疾患のある患者のために新鮮な組織を作製する方法をみつける第1歩だ。 

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Caltech and Harvard University
ロボットクラゲの「メデュソイド」

 このクラゲは、実験室でシリコンとネズミの心臓の細胞を使って作製された。生命体ではないが、この「ロボットクラゲ」の筋肉構造は本物のクラゲに酷似しており、水中を泳ぐことができる。研究者たちは、こうした技術開発の結果、ある生命体から細胞を取り出し、それを精巧な方法で再組織化してヒト用の生物工学的なシステム、例えばバッテリーの力を必要としない心臓ペースメーカーを作製できるようになると期待している。 

 実験の詳細は22日、科学誌ネーチャー・バイオテクノロジーに掲載された。

 米ハーバード大学の生物工学専門のケビン・キット・パーカー博士と共同執筆者は「われわれが現在やろうとしていることは、生物組織の作製に熟練することだ」と述べ、これは全器官をリバースエンジニア(分解や分析によって構造を明らかにすること)の「練習」に過ぎないと語った。 

 生体組織の生物工学的実験は、試行錯誤を繰り返しに頼ることが多い。だがパーカー博士は、橋を建設する際に土木工学専門家が使うのと同じ計量的な厳密さと正確さをこの分野に持ち込みたいと考えている。 

 パーカー博士は長年、ヒトの心臓の良いモデルを探求してきた。ボストンのニューイングランド水族館でクラゲを眺めている際に、同博士はクラゲが筋肉を使って水中を動く方法に着目した。それは心臓の鼓動と同じメカニズムだった。 

 同博士のハーバード大学チームはカリフォルニア工科大学(カルテック)の研究チームと提携し、クラゲの推進力の詳細な研究に乗り出した。例えば、筋肉の複雑な構造、体の収縮・巻き戻し動作、そして泳ぎの動作から生じる流体力学などだ。 

 研究チームは、シリコンポリマーを使って、1センチメートルのクラゲのような膜皮を作り、8本の足のようなものを付けた。そしてネズミの心臓から得た筋肉細胞をこの膜皮の上に貼った。パーカー博士は「それらを自己組織化させて、クラゲの(筋肉)構造に似たものにした」と述べた。 

 このロボットクラゲは「メデュソイド」と命名され、電流を通す塩分を含んだ液体の中に置かれた。この液体の中で電圧を規則的に変動させたところ、筋肉細胞をかぶせた膜皮がそれに合わせて収縮し始めた(一方、本物のクラゲは食物を食べることで栄養分を獲得し、それによって特殊な組織が電気的に筋肉の収縮を活性化する) 

 本物のクラゲの場合、筋肉の収縮は体の下部で渦(ドーナツ状の水の輪)を形成する。この渦がクラゲを前方に進ませる推進力となったり、食物を口に向けて押しやったりする。 

 本物のクラゲとロボットクラゲの違いは、「本物のクラゲが前に進んで栄養分を得られるのに対し、われわれのクラゲはそれができない点だ」と、共同執筆者でカルテックの生物工学専門家ジョン・ダビリ博士は言った。 

 研究チームは現在、自分で動いて食物を得られるクラゲを設計する計画を立てている。また特殊な組織を取り込んで、本物のクラゲのように筋肉の収縮を体内で活性化できるようにしたいと考えている。 

 現在のメデュソイドは、単純な仕組みで動くだけで、曲がったりあるいは機動的に動いたりすることができない。そうするためには、研究チームは複数のタイプの細胞を取り込むことが必要で、人工クラゲが外部環境を感知し、内的な「決定する回路」を使ってさまざまな行動をが可能なシステムを考案しなければならない。 

 こうした目標を実現するのは難しいが、もっと簡単に達成できる実利もありそうだ。製薬会社は心臓の新薬実験に心臓組織を使っている。そうした実験で、ヒトの心臓の鼓動に酷似したクラゲは代替モデルになり得る。パーカー博士は「心臓の新薬をクラゲに試して、それが効果あるかを報告できる」と語った。 

 渦の研究は既に、医学研究の新たな分野に光を当てている。例えば、血液が鼓動する心臓の左心室に入ると、それは遊泳するクラゲが作り出す渦のような液体の循環を形成する。心臓の中の渦は超音波を使って測定できる。

 2006年、ダビリ博士は120人の参加者を使った実験論文を共同で執筆した。それは渦と輪の形成が心臓の健康に関する重要なカギを提供することを示した。ダビリ博士は、渦を研究することで「健康でない心臓と健康な心臓の判別ができる」と述べている。

記者: Gautam Naik

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