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失敗を乗り越える方法とは?
ケン・ベイン
2012年 7月 16日 11:27 JST
知能は変化しないものである、と多くの人は考えている。つまり、生まれながら知能が高い人、低い人、普通の人がいて、学業や人生でどの程度成
功できるかはその人の知能の高低によってほぼ決まる、と考えている。
「無力感」タイプの生徒たちは「知能は変わらない」という考え方をどこで身に付けたのだろう
天体物理学者のニール・ドグラース・タイソン氏はこの考え方が好きではない。「知能という言葉はほとんど使わない」とニューヨークのハイデン・プラネタリ
ウムのディレクターを務めるタイソン氏は言う。「人は学びたいと思っているか、学ぶことに対して気持ちが定まっていないか、学ぶことを拒否しているか、の
いずれかだと思う」とタイソン氏は話す。彼がこう言うのは実体験があるからだ。若い頃、タイソン氏はある博士課程から追い出されたが、なんとか別の博
士課程に入り、博士号を取得した。
成功した人々はどのようにして失敗を乗り越えたのか―。社会科学者は過去25年間でこのテーマについていくつかの重要な事実を解き明かし、学習
に対する態度が幼年期から大きな役割を果たしていることを突き止めた。
1978年の研究で、スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエック博士は1人の同僚とともに、10歳前後の子どもたちに複数の問題を出した。最
初の8問はある程度じっくり考える必要のあるものだったが、どれもそれほど難しくはなかった。しかし、次の4問は10歳の子どもが制限時間内に解くには
難し過ぎた。最初の8問は全員解くことができた。子どもたちは楽しんでいるようだった。しかし、次の4問になると様子は全く違った。
子どもたちの反応はさまざまだった。ある生徒たちは「こんな問題は解けない。頭がよくないから」などと言った。この生徒たちは失敗してがっかりしていた
。別の生徒たちの姿勢は違った。彼らはもっとがんばればこの難しい問題が解ける、と自分に言い聞かせ続けていたのだ。
ドゥエック博士ら心理学者はこの2つのタイプにそれぞれ名前を付けた。最初の生徒たちは「無力感」タイプと名付けられた。この生徒たちが自分にはで
きない、と考えたからだ。この生徒たちが今後も自分のことをまあまあ賢いと考えたとしても、この子どもたちが無力さを感じることは珍しいことではない。失
敗したら「優秀な人間の一人である」という自己イメージに傷がつくと思い、新しいことに挑戦することを嫌がるからだ。
一方、第2のグループの子どもたちには「熟達」や「成長」を志向する考え方が備わっているといわれている。このグループの子どもたちは、挑戦すれば自
分の能力を高めることができる、と考えている。失敗したら諦めずに新たな方法を探すのがこのグループだ。
第2のグループの子どもたちは「無力感」タイプの子どもたちよりも頭がいい、というだけのことなのか。ドゥエック博士によると、そうではない。ドゥエック博士
の調査で、どちらのグループの子どもたちも生まれつきの能力はほぼ同じであることがわかった。実際には、「無力感」タイプの子どもたちのほうが優れた能
力を見せることもあった。
「無力感」タイプの生徒たちは「知能は変わらない」という考え方をどこで身に付けたのだろう。原因の1つはわれわれの文化だ。生徒たちは、どのくらい
優秀かは知能テストで測れるという考え方を刷り込まれている。善意に満ちた親や教師でさえこの考え方を助長することもある。ドゥエック博士とともに研
究を行ったメリッサ・カミンズ氏は、努力したことをほめられるよりも、最初に「なんて頭がいいんでしょう」といったほめ言葉を直接かけられる子どもたちは知
能について固定観念を抱く可能性が高いことを突き止めた。
成長志向の考え方は身に付けることができる。コロンビア大学とスタンフォード大学の心理学者が2007年に行った研究では、100人近い7年生(その
ほとんどが数学が苦手だった)が勉強に関する8週間のワークショップに参加した。被験者には知らせないまま、全体を2つの大きなグループに分けた。2つ
のグループとも、勉強時間を最も効果的に使う方法や新しい学習内容を整理したり覚えたりする方法について指導を受けた。
ここから先はグループごとに違う指示が与えられた。片方のグループは「自分で知能を伸ばすことができる」というタイトルの記事を音読した。この記事は
、何か新しいことを学んだときに脳の神経細胞はどのようにつながりを強化するのかについての研究を紹介したものだった。もう片方のグループはその間、
記憶が働く仕組みについての記事を読んだり、学習内容を思い出すための新しい方法を学んだりした。
ワークショップが始まったとき、ほとんどの生徒は「知能は生涯変わらない」と考えていた。しかし、脳の成長についての記事を読んだグループの生徒たち
はワークショップ終了時には、努力すれば知能は高められることを強く意識するようになっていた。ワークショップが終了して数週から数カ月後には、このグ
ループの生徒たちの中で、数学でよい成績をとりたいという意識が強まっていた。
研究者が指摘したように、物事がうまくいっているときには、知能について誰がどう言おうと大した違いはないかもしれない。しかし、失敗が続いたときは
、基本的な能力は高められると考えている人間のほうが困難を切り抜ける可能性ははるかに高い。
(このエッセーは筆者のケン・ベイン博士の新著「What The Best College Students Do<最も優秀な大学生がしていること>」に基づく。同著はハ
ーバード・ユニバーシティ・プレスより刊行)
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