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世紀の発見? ヒッグス粒子〔NHK news 12月13日〕
http://www3.nhk.or.jp/news/tokusetsu2011/1213.html
この宇宙のあらゆる物質に質量を与えているとされる「ヒッグス粒子」。
「神の粒子」とも呼ばれ、研究者によってその存在が予言されていながら見つかっていなかったこの素粒子を発見しようと、3年前からスイスで大規模な実験を行っていた研究者たちが、中間結果を日本時間の13日夜、発表することになりました。
ヒッグス粒子をとらえられれば「世紀の発見」と言われ、物の質量が生まれた仕組みや、宇宙の謎を解き明かすカギにもなるとみられています。
関係者が熱い期待を寄せるヒッグス粒子とは何か、どのような実験が行われてきたのか。
科学文化部の新本貴敏記者が解説します。
★すべてはビッグバンから生まれた
137億年前に起きたといわれる宇宙誕生の大爆発、ビッグバン。
今の宇宙のさまざまな物質を構成する最小単位の粒子「素粒子」も、ビッグバンの直後に生まれたと考えられています。
物理学の「標準理論」の中で、人類が唯一存在を確認できていない素粒子が「ヒッグス粒子」です。
「ヒッグス粒子」は、この世のあらゆる物質に「質量」を与えることに関係しているといいましたが、少し難しいですね。
言い換えますと、なぜ物質には「重さ」があるのか。
また、なぜ物質によって重さは異なるのか。
このことを説明しようとするなかで、1960年代に物理学者たちが考え出したのが「ヒッグス粒子」の存在なのです。
★質量とはなんだろう?
今から40年前、物理学者はこのように考えました。
宇宙空間はヒッグス粒子のもとになるもので満たされている、(これを「ヒッグス場」と呼びます)つまり私も、あなたのまわりにもヒッグスが充満しているというのです。
この「ヒッグス場」を電子などの物質が通過しようとすると、その物質にヒッグスがまとわりついて、動きづらくなります。
この動きづらさが、すなわち物の「質量」になると考えたのです。
この「まとわりつきかた」は物質によって異なり、例えば「電子」に比べて「クオーク」という素粒子には10倍近い量のヒッグスがまとわりつくため、その分だけ重くなるという考え方です。
★素粒子のパーティ?
この考え方について、科学者たちの間ではよくこんな例え話が用いられます。
「ヒッグス場」を「パーティー会場」だとする。
そこに大人気の歌手と、一般の参加者が入ってきたとします。
すると、人気歌手には多くの人が集まる、つまりまとわりつくため、歩きづらくなります。
これに対し、一般の人にはほとんどまとわりつかないため、さほどぶつからずに進むことができます。
これが「質量」の違いだというのです。
(・・かえってわかりにくいでしょうか?)。
ヒッグスにも例外があり、「光」、つまり「光子」だけにはヒッグスはまったくまとわりつきません。
そのため重さがまったくなく、スピードも最も早くなると考えられています。
★ヒッグス粒子発見のためにビッグバンを再現
「ヒッグス粒子」を見つけるためには、宇宙誕生の直後を再現する必要があります。
その壮大な実験が、世界中の研究者が集まってスイスのジュネーブ郊外にあるCERN(セルン)=ヨーロッパ合同原子核研究機関で3年前から行われています。
CERNの地下100メートルには、LHC=大型ハドロン衝突型加速器と呼ばれる実験施設があります。
リング状のトンネルに真空のパイプが通され、一周の全長は実に27キロ。
東京にお住まいの方でしたら、山手線の周囲に匹敵するぐらいと言えば規模の大きさがイメージできると思います。
実験ではこの加速器の中で、物質を構成する陽子と陽子をそれぞれ逆方向から飛ばして、光と同じくらいの速度で正面衝突させます。
すると極めて高いエネルギーが生み出され、ビッグバン直後に匹敵する超高温の状態が人工的に再現できるとされています。
このときに生まれるさまざまな粒子の中から「ヒッグス粒子」を検出器で探し出そうとしているのです。
★研究には日本人も多数参加
もともと素粒子物理学は1949年にノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士以来、日本の得意分野と言われてきました。
2008年にノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎さんは、ヒッグス粒子が出現する仕組みを解明するうえでの基礎研究を積み重ねたことが評価され、ノーベル賞に選ばれました。
今回の実験でも、CERNの加速器を建設するために日本政府はヨーロッパ以外では初めて、1995年に協力を表明し、総費用5000億円のうち138億円を拠出しています。
日本の大学や研究機関、メーカーなどから100人以上の研究者が参加し、粒子の検出装置は日本のメーカーがつくったものです。
日本の先人たちが貢献した、物理学の「標準理論」で唯一見つかっていない「ヒッグス粒子」の発見に向けて、この3年間、実験に取り組んできました。
★実験の中間結果を発表
2008年に始まった実験の中間結果が、日本時間の13日午後10時から、スイスのCERNで発表されることになりました。
もともとこの実験には2つの検出器が用いられ、日米欧の研究者が参加した「アトラス」と、欧米が中心の「CMS」の2つのグループがそれぞれの検出器での研究結果を報告します。
このうち、これまでの取材では、アトラスでことし10月までに行った実験で、想定されているヒッグス粒子の質量に相当する粒子が見つかった可能性があるということです。
ただし、一般に素粒子物理学の世界で「発見」のお墨付きを得るには100%に近い正確さが求められるため、13日夜の発表をもって「世紀の大発見」となるかどうかには、慎重な見方が必要です。
注目の記者会見は、日本時間の13日午後10時から行われ、CERNのホームページでは、会見の様子がインターネット中継される予定です。
会見の内容については、翌朝14日のニュースでさらに詳しくお伝えします。
(12月13日 19:40更新)
・「ヒッグス粒子探索に大きな進展」CERN統一見解(全文、邦訳)
http://sankei.jp.msn.com/science/news/111214/scn11121400270000-n1.htm
・ヒッグス粒子、発見の可能性高まる 国際2グループ、来年に結論 2011.12.13
http://sankei.jp.msn.com/science/news/111213/scn11121323300001-n1.htm
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