http://www.asyura2.com/09/nature4/msg/639.html
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http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110615001&expand#title
太陽の内部、表面、上層大気を調べた3つの研究が、次の太陽周期は大幅に遅れるという予測を出した。さらに、まったく訪れない可能性もあるという。通常であれば、次の周期は2020年前後に始まる。
各研究のデータを総合すると、太陽活動が異常なほど低下する「極小期」に間もなく突入する可能性がある。1645〜1715年のマウンダー極小期以来の活動低下になるかもしれない。
◆黒点が力を失う
太陽の表面に見える暗い低温の点「黒点」は、磁場の活動が激しい領域を示している。地球がすっぽり入るほど大きな黒点も存在する。
何世紀も前から、太陽磁場の強弱の判断に利用されてきた。1800年代には、黒点が約11年で増減を繰り返す周期的変化が確認された。現在は24期にあたり、2013年ごろに太陽活動が最大になる見込みだ。
アメリカ国立太陽天文台(NSO)のマット・ペン氏らは最近、アリゾナ州キットピークにあるマクマス・ピアス望遠鏡で、13年以上続けられた黒点の観測データを分析した。その結果、右肩下がりで減少を続けている傾向が明らかになり、さらに続けば25期に入っても磁場活動は黒点を生み出すほど強くならないだろうとペン氏らは考えている。
「黒点はどんどん明るくなっている」とペン氏は述べる。「データから判断して、24期の太陽活動は23期の半分の強さになるだろう。次の周期では、黒点が姿を消すかもしれない」。
◆太陽の“ジェット気流”、コロナの磁気現象も不活発
同じくNSOのフランク・ヒル氏らは、日震学の手法で太陽周期を観測している。この手法では、太陽内部の音波が引き起こす表面の振動から内部構造を推測する。
ヒル氏らは特に、太陽の表面下に隠れた“ジェット気流”、いわゆるねじり振動を追跡している。この流れる物質の帯は両極付近で発生し、赤道に向かって移動する。磁場を生み出す役割の一端を担うと考えられている。
黒点は表面下の帯の進路に沿って発生する傾向があり、帯が赤道に近づくと太陽活動が激しくなることが多い。そのため、太陽周期の有効な指標となり得る。「24期のねじり振動は1997年に発生した」とヒル氏は話す。「よって、2008〜2009年には25期の流れが発生しているはずだが、いまだ確認されていない」。
ヒル氏によると、データを見る限り、25期の始まりは2年ほど遅れた2022年になる可能性があるという。さらに、25期が始まらない可能性さえある。
NSOで太陽の薄い上層大気「コロナ」の研究を率いるアメリカ空軍のリチャード・アルトロック氏も、コロナの磁気現象が明らかに変化していることを確認した。
コロナの磁場が両極に向かって急激に動く現象は黒点の増加と関係している。磁場が太陽の北緯・南緯で約76度に達するころ、太陽活動が最大になる。この動きは、太陽が磁場を“一掃する”現象とも関係している。新しい磁場が形成され、新たな太陽周期が始まる前兆だ。
ところが、現在の動きはスピードが遅く、2013年に最大を迎える太陽活動は非常に弱い可能性がある。新たな太陽周期の始まりも遅れ、場合によっては訪れないかもしれない。
これら3つの証拠は25期が不発に終わることを強力に示唆している。
3つの研究成果は、ニューメキシコ州ラスクルーセスで開催されているアメリカ天文学会の会合で6月14日に発表された。
Image courtesy STEREO/NASA
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この記事では、まもなく太陽活動が歴史的な極小期を迎えることは確実だとのトーンで書かれているが、記事にある研究内容からは、その可能性が比較的高いと受け止められる。実際には太陽活動が再び活発になる可能性も否定できない。
太陽活動の極小期は、過去に何度も繰り返し発生しており、直近の極小期は1645年から1715年にかけて発生し、太陽活動の記録を研究した科学者の名前をとって「マウンダー極小期」と呼ばれている。14世紀半ばから19世紀半ばにかけて続いた寒冷な期間を「小氷期」と呼ぶが、この小氷期の最中に発生したマウンダー極小期の間、地球気温の低下がさらに強まったと考えられている。実際に地球の平均気温がマウンダー極小期にどの程度低下したのかは分かっていないが、世界各地でそれまでにない寒冷化が起きた記録が残されている。
約500年に渡って続いた小氷期の原因としては、地球規模での火山活動の活発化が指摘されている。その他に太陽活動の低下が気温の低下をもたらすとの説がある。この説の概略はこうである。太陽活動が活発な時は、地球には太陽からの強い太陽風(磁気と電気を帯びたガス)が吹いている。太陽風は地球に降り注ぐ宇宙線を防ぐ働きをしている。太陽活動が低下すると太陽風が弱まり、地球に降り注ぐ宇宙線の量が増える。宇宙線は大気中にイオンを発生させ、このイオンの影響で厚い雲が形成される。雲は太陽光線を反射し、継続して雲量が多ければ地球気温を低下させる働きがある。
ただし、宇宙線の増加が雲量の増加をもたらすという説は、科学的に証明されている訳ではない(*1)。現実に2009年から太陽活動は異常な低下を続けているが、2010年の世界の年間平均気温は過去最高を記録しており、太陽活動の低下が宇宙線の増加をもたらし、それが雲量を増加させ、結果として地球気温の低下をもたらす、という説とは逆の現象が起きている。
仮にこの説が正しいとした場合、太陽活動が極小期を迎えると、地球気温の低下がもたらされることになる。地球温暖化による地球気温の変化は100年のスケールだが、極小期がもたらす気温変化はより短いスケールで起きると考えられる。この気温変化の程度(何度低下するか)と範囲(全球的か部分的か)が分かっていないので、その影響を予測することは難しい。しかし、不確実性はありながらも、太陽活動が極小期を迎えることになるかどうか、注目しておく必要があると思われる。
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