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ハワイ島形成の定説が覆る可能性も
Dave Mosher
for National Geographic News
May 27, 2011
ハワイ島が形成される仕組みは、地球のコアから垂直に流れ出るプルーム(溶岩の上昇流)によるという説が長年信じられてきたが、最新の研究によって、この定説が誤っている可能性が示唆された。
ハワイ島形成の定説が覆る可能性も
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この地域の海底の地下に巨大な熱い溶岩の塊が存在することの確たる証拠を見つけたと主張する研究チームが現れた。しかし、これは地球のコアからハワイ島の地表まで直接流れ出るプルームではなく、ハワイ諸島から最短で数百キロも西に離れていることが明らかになった。
これまでの定説では、プルームがベルトコンベアーのような働きをして、地球のコア近くの高温岩体を上昇させ、海底から溶岩として噴出して数千万年かけて冷やされて固まり、地殻が移動していく過程で、太平洋に全長5000キロにおよぶ列島と海底山脈を形成したとされる。
今回、地球物理学者らが20年分の地震のデータを分析したところ、ハワイ地域の海底に全長1300キロにわたって高温岩体が広がっていることが分かった。ただし従来の説では、列島のうち最も新しく形成されたハワイ島の真下に、プルームが存在するとされていたが、見つかった高温岩体はハワイ島の近くとは言えない場所にあった。
今回の発見は、巨大プルーム説と矛盾するものだが、「この島の下に狭いプルーム(の流れ)がある可能性は排除できない。しかしその主な出所は別のところにあり、直接真下とつながっていることはない」と、マサチューセッツ工科大学(MIT)の地球物理学者ロバート・バンデルヒルスト氏は話す。バンデルヒルスト氏は同じMITのチン・カオ氏を主著者とする今回の論文の共著者の1人で、論文は「Science」誌オンライン版に5月27日付けで掲載されている。
火山の形成は、地表から約2900キロの地下で始まる。これは、地球の内部で最も厚い岩石の層であるマントルが、その下の外核という液体の鉄の層と接触している箇所だ。外核の熱によって、マントルの最深部の岩体はパテ状になり、浮揚してその上の地殻の層へと向かう。この岩体は地殻から数キロのところで減圧されて溶け、地表に浸出したり、時には噴出したりする。
このようにプルームが吹き上がってくる箇所をホットスポットと呼ぶ。その調査には「地震波トモグラフィー」という、地震の音を利用する技術が用いられる。地震の音は遠くから伝わってきたものでも近くで発生したものでも利用可能だが、ハワイではこのようなデータは限られていた。
今回の研究では、20年分の活発な地震活動のデータを分析して、特に明瞭なシグナルのみに絞り込んだ、とバンデルヒルスト氏は話す。これらのシグナルは、地下約660キロの地点に大きな異常が見られることを示していた。周辺より高温の摂氏約300〜400度という岩体が、円盤に近い形で、ハワイ島の西600〜1600キロの地点に広がっていた。
研究チームは、プルームが上部マントルと下部マントルの境界にいったん蓄積され、そこから地殻へと抜け出す経路を見出してハワイ諸島に至り、火山活動の原動力をもたらしているのではないかと推測している。
この火山列島の頻繁な噴火の原動力を確定するには、もっと多くの証拠が必要だ。しかし今回の研究は少なくとも「地球が熱を失うプロセスは、考えていたよりも複雑だったことを示している」とバンデルヒルスト氏は言う。
Photograph by Patrick McFeeley, National Geographic
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