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この冬、厳寒になった北極上空で、オゾンホールの規模が過去最大に広がった。その余韻ともいえるホールの破片が4月下旬に日本上空に飛来し、太陽から降り注ぐ有害な紫外線が例年より増えそうだ。オゾンホールは出現するたびに規模が大きくなると考えられており、皮膚がんをはじめとする肌などへの影響が懸念される。
■過去最大の破壊量
オゾンホールは紫外線を食い止める成層圏のオゾン層が破壊された領域だ。北極で観測されたのは2005年以来6年ぶり。冬の初めから3月下旬までのオゾン破壊量は40%に達し、過去最大だった05年の30%を超えた。気象庁の桜井敏之オゾン層情報センター解析係長は「2〜3月に成層圏の気温が例年より10度から20度も低く、非常に寒かったのでオゾン破壊量が増えた」と見ている。
規模の大きなオゾンホールは、寒さがゆるんだ後も形を保ち、その破片が2週間程度かけて低緯度に移動してくる。「破片の第1波はシベリア・中国北部を経由して4月20日ごろ、北海道付近にやってきた」と説明するのは、国立環境研究所の中島英彰地球環境データベース推進室長。「それより大きな第2波が30日にも日本列島を広く覆うと予想されている。これだけ大きな破片が来るのは初めてだろう」と指摘する。
オゾンホールやその破片の規模と紫外線増加との関係は単純ではないが、中島室長は「天気が良ければ、破片に覆われた地表では紫外線が10%以上増えることもありうる」と話す。
今ごろの季節はただでさえ紫外線が増えるので、肌のケアが必要とされる。東京慈恵会医科大学の上出良一教授(皮膚科)は「この規模の破片なら特別な対応は不要だろうが、念のため日光に当たると赤くなりやすい人は太陽が高いときの直射日光に当たるのは避け、日傘や帽子、長袖のシャツ、日焼け止めなどで防ぐとよい」と助言する。
オゾンの破壊は、セ氏零下78度以下で爆発的に進行するのが特徴だ。冬期に極寒になる南極ではオゾンホールが毎年出現するのに対して、それほど寒くはならない北極では数年に1度の出現にとどまり、規模も南極よりはずっと小さい。ただし、北半球は南半球より人口が多いので、紫外線の影響は無視できない。
■フロンは減っているが…
オゾン破壊の“犯人”は、冷蔵庫やエアコンの冷媒に使われていたフロン類の分解で生じる塩素化合物だ。1989年に発効したモントリオール議定書によってフロン類の利用は厳しく規制され、極域上空の塩素の総量は2000年以降減少に転じた。オゾンホールの規模は今や成層圏の気温に左右されることが知られている。
この冬になぜ北極の成層圏が寒くなったのか。詳細は不明だが、原因の1つと考えられているのが温暖化ガスの増加だ。温暖化ガスでもあるフロンは減っているが、それ以上に二酸化炭素などの温暖化ガスが増えている。地表から上空約1万メートルまでの対流圏で温暖化ガスの濃度が高まると、その上にある成層圏は逆に寒冷化する傾向があり、高層気象観測でもこの現象は確かめられている。
20世紀後半からの温暖化ガスの急増と歩調を合わせるように、北極のオゾンホールの規模は次第に大きくなっている。国環研の中島室長は「増減の周期は一定ではないが、何年後かに出現するオゾンホールは今年以上に広がり、この時期に破片が日本にもたらす影響も大きくなるだろう」と警戒している。
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