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昨年12月から1月にかけて、欧州やアジア、米東海岸などは記録的な寒波に見舞われた。南半球のオーストラリアなどでは大雨による大きな被害が出た。異常気象をもたらすとされるラニーニャ現象に加え、北極の寒気が大量に南下したことが原因だ。地球温暖化や太陽活動の低下で、こうした激しい気象は今後も続く恐れがある。
12月以降の異常気象は記録破りだった。欧州は100年ぶりの大寒波で、南欧のスペインでも航空機の欠航や幹線道路の閉鎖が相次いだ。日本では太平洋側の名古屋市や九州の平野部でも10センチ以上の積雪。インドでは寒さが原因で死ぬ住民が100人を超えた。
オーストラリア東部では12月の雨量が過去最高を記録。大雨は続いており、復興費用は最大で50億ドル(4100億円)にのぼるという。
南北で異常気象が相次いだのは、南米ペルー沖の海水温が低くなるラニーニャ現象の影響だ。ペルー沖の海水温が上昇するエルニーニョ現象と反対の状態でフィリピン付近の海水温が上昇し、活発な雨雲が発生。この雨雲により上空の偏西風が日本付近で南に蛇行、冬型の気圧配置が強まる。オーストラリア付近では雨雲が海からの季節風に運ばれて大雨を起こす。
北半球では、北極上空の寒気が放出と蓄積を繰り返す北極振動も重なった。昨冬に続き、今冬も12月以降は強い寒気放出モードになった。気象庁は「ラニーニャと北極振動が重なったことが影響した」と分析する。
気になるのは異常気象が頻発する恐れがあることだ。温暖化が進むとエルニーニョが頻発し長期化するとされる。エルニーニョとラニーニャは交互に起こることが多い。三重大学の立花義裕教授は「エルニーニョが長期化すれば、正常な気象状態の期間が短くなる」と危惧する。
昨春以降、エルニーニョからすぐにラニーニャに切り替わったことで、極端な異常気象になったとの見方もある。
筑波大学の田中博教授によると、北極振動には約40年の周期がある。2000年ごろに寒気を放出しやすい時期に入っており、05年、昨冬と北半球各地で大規模な寒気の南下が起きた。田中教授は「あと10年くらい続く公算が大きい」と話す。
温暖化によって北極振動の寒気の南下が強まるとの新説も出た。北極海の海氷が減り水温が上がると、低緯度地方との温度差が縮まって北極で高気圧が発達し、寒気を放出しやすくなるためだ。欧州では大寒波が頻発するとの予測もある。
太陽活動が不活発な状態が続いていることに注目する研究者もいる。エルニーニョとラニーニャの切り替わりが頻繁に起き、北極振動が寒気を放出する状態になりやすいからだ。東京大学の高橋正明教授は「原因は分からないが、統計的には傾向が出ている」と話す。米航空宇宙局(NASA)によると、太陽活動は100年ぶりの低水準だ。
異常気象が増えているかを見極めるのは難しい。ただこれだけは言える。私たちは大きく振れる気象の変化とつきあう覚悟が求められている。(編集委員 青木慎一)
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