http://www.asyura2.com/09/nature4/msg/545.html
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asahi.com(朝日新聞社):クニマス絶滅してなかった! 生息確認、さかなクン一役 - サイエンス
http://www.asahi.com/science/update/1214/TKY201012140527.html
環境省のレッドリストで「絶滅」扱いになっている日本固有の魚クニマスが、山梨県内の湖で生き残っていたことが、京都大学の中坊徹次教授らのグループの調査で分かった。生息の確認は約70年ぶり。国のレッドリストで絶滅種に指定された魚が再発見されたのは初めて。環境省は今後、レッドリストの記述を見直す方針だ。クニマスはもともと、秋田県の田沢湖にのみ生息する固有種で、成長すると全長30センチほどになる淡水魚。食用魚として漁業の対象にもなっていた。だが、1940年以降、発電などのための導水工事で田沢湖に酸性の水が入り、まもなく死滅。地球上から姿を消したと考えられていた。
クニマスの生息が確認されたのは富士山に近い山梨県の富士五湖の一つ、西湖(さいこ)。今年3月から4月にかけて西湖で地元漁協が捕獲した通称「クロマス」と呼ばれる魚9匹を中坊教授らが分析した。
全体に黒っぽい体色だけでなく、エラの構造や消化器官の形などがいずれもクニマスと一致した。1〜3月に産卵するという生態も、過去に記録されていたクニマスの生態と同じだった。また、遺伝子解析の結果、西湖に生息するヒメマスと異なり、ヒメマスと交雑したものでないことが裏付けられた。近く、クニマスの生息確認を報告する論文が、学術専門誌に掲載される見通しだ。
中坊教授が今年2月、研究者としての好奇心もあり、旧知でテレビなどで活躍する東京海洋大学客員准教授のさかなクンに、生き生きとしたクニマスの姿を絵で再現するよう頼んだのがきっかけだった。さかなクンが絵の参考にと近縁種のヒメマスを西湖から取り寄せると、黒一色の魚が届いた。
田沢湖で絶滅する5年ほど前、放流用にクニマスの卵が10万粒、西湖に運ばれた記録がある。このとき放流されたものが繁殖を繰り返し、命をつないできたとみられる。
西湖では以前から、ヒメマスに似て体色が黒っぽい魚がおり、「クロマス」と呼ばれていたが、地元では「黒いヒメマス」と考えられていた。環境省のレッドリストによると、絶滅種に指定された日本の魚類はクニマス、ミナミトミヨ、スワモロコ、チョウザメの計4種。中坊教授は「西湖は水温が比較的低く、クニマスの生育に適していたのだろう」と話す。環境省は「絶滅種が再発見された例は植物や菌類などではあるが、魚では初めて」としている。
クニマスの標本は世界に約20点しかない。幻の魚として話題を集め、90年代には当時の田沢湖町観光協会が最高500万円の懸賞金をかけて捜したが、見つからなかった。(山本智之)
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〈レッドリストと絶滅種〉 環境省はレッドリストで、絶滅の恐れがある日本の動植物の一覧を示している。1991年からレッドデータブックを刊行する一方、最新情報を集計したレッドリストをネット上で公開。レッドリストには亜種を含む日本の絶滅種120種、絶滅危惧種3155種が掲載されている。野生生物の保全を進める上での基礎資料で、5年に1回程度、改定作業が行われている。
asahi.com(朝日新聞社):絵描こうと取り寄せたら絶滅魚…さかなクン「ひえーっ」 - サイエンス
http://www.asahi.com/science/update/1214/TKY201012140537.html
「絶滅」とされていた秋田県田沢湖のクニマスが、山梨県の西湖でみつかった。クニマスの絵を残したい――。そんな思いが、「奇跡」を引き寄せた。70年前に絶滅したと信じられていたクニマスの再発見の立役者は、さかなクン(東京海洋大客員准教授)だった。
漁師と船に乗り、珍しい魚を見つけると、京都大総合博物館の中坊徹次教授に教えを請うていた。その中坊教授の部屋を訪ねたのは今年3月。「どう見てもクニマスじゃないかと思うんです」と保冷箱から2匹を取り出した。
中坊教授の表情が一瞬にして変わった。「なんやこれは!」。20センチほどの黒ずんだ体がオリーブ色に輝いていた。
長年、クニマスを研究してきた中坊教授は旧知の仲であるさかなクンに「クニマスを描いてほしい」と頼んでいた。現存する標本は約20匹。白か茶色に変色している。田沢湖周辺でも、生きていたクニマスの姿を記憶する人は今や数人。できるだけ正確に再現したかった。
さかなクンはイラストレーターでもあり、ウロコやヒレの数までこだわり、正確に繊細なタッチで描くことでも知られる。日本魚類学会年会の要旨集の表紙も描いたことがある。京大にある標本を、前、後ろ、横、上、下の5方向から観察して詳細にスケッチした。だがホルマリン漬けでは、ひれやウロコがわかりにくい。「ヒメマスと比べたら」と中坊教授に言われ、知り合いの漁師に頼んで北海道の湖や富士五湖から送ってもらった。
西湖から届いた保冷箱を開けると、二十数センチの魚が4匹。ヒメマスなのに、「なんで黒いんだろう」。傷んでいるのかと思ったが、新鮮だ。そこで、京大へ持って行った。
中坊教授は仰天した。腹に卵を持つ個体もいる。ヒメマスの産卵は秋ごろで、体は銀色だ。「ヒメマスなら今の時期に産卵しない。これはクニマスだ!」
クニマスは田沢湖の固有種だが、かつて西湖に卵が送られたとの記録が残る。さかなクンと中坊教授は4月、一緒に出かけた。湖の中ほどで刺し網をあげると、最後に黒い魚が1匹あがった。「ひえーっ。クニマスだ!」とさかなクン。漁師は「前に釣りあげたことがあったが、ここでは『クロマス』って呼んでいる魚」と話した。(中山由美)◇
〈クニマスと田沢湖〉 田沢湖は面積26平方キロメートル、最深423メートルの日本一深い湖。かつては沢水以外に流れ込む川はなく、透明度は極めて高かった。
田沢湖の北には玉川温泉があり、湧き出す強酸性の水が玉川に流れ込んでいた。玉川の水を中和して農業用水を確保し、同時にダムにして電力供給するため、1940年に玉川の酸性水を田沢湖に導入。すると、湖に生息していたクニマスをはじめ、スナヤツメやイワナ、サクラマス、アユ、ウグイは、1年足らずで姿を消した。89年から玉川の酸性水の処理が始まり、田沢湖の水の酸性度は下がって、放流したウグイが生息している。
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2010年12月、田沢湖で絶滅したとみなされてきたクニマスが、
山梨県西湖に生息していることが確認されました。70年ぶりの「発見」です。
この報に接して、改めてこの巻を思い出し、読み返しています。
「キノシリマス」はクニマスの方言、この巻ではクニマスの紹介から、
田沢湖で絶滅するにいたる歴史的経緯が語られてるので、
今回のニュースがより詳しく理解できるのではないでしょうか。
(卵10万粒が本栖湖・西湖に放流されたことも書かれています)
せめて物語の中だけでも夢が叶ったら…という作者の祈りが込められた「クニマス再発見」が、
今回まさに現実のものとなって、あらためて事実は創作より奇なりだと実感しました。
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