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nature climate change
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IPCCの体質改善
How to improve the IPCC
Hannah Hoag
Published online 16 June 2010 | English article
http://www.natureasia.com/japan/nclimate/articles.php
検証委員会での証言:行動規範と迅速なコミュニケーションが重要
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の前議長は、IPCCは行動規範を定め、誤りを迅速に訂正できるような仕組みを作るべきだと発言した。
6月15日に、1997年から2002年までIPCCの議長を務めたRobert Watsonは、IPCCへの信頼回復を託された独立検証委員会の前で証言を行った。
委員会は12名の科学者と経済学者で構成され、プリンストン大学(米国ニュージャージー州)の前学長Harold Shapiroが議長を務めている。IPCCはここ数か月間さまざまな批判にさらされており、IPCCと国連が、この委員会に検証を依頼したのだ('IPCC flooded by criticism'を参照)。特に、IPCCは2007年に公表した第四次評価報告書で、「ヒマラヤの氷河が2035年までに溶けてなくなる可能性がある」と述べた部分に誤りがあったことを認めている。
Watsonはマギル大学(カナダ、モントリオール)に集まった委員会に対し、「誤りが見つかったときの対応が非常にまずかったことに問題があると感じました」とテレビ電話で語った。彼は「IPCCは何らかの訂正が必要になった場合に、それを迅速に行えるような仕組みを取り入れなければなりません。この問題については、非常に慎重に検討する必要があるでしょう」と述べた。
ドイツの沿岸研究所(ゲーストアハト)で主席研究員を務める気象学者Hans von Storchは、IPCCの第二次評価報告書では執筆協力者を、第三次報告書では執筆者をそれぞれ務めた。彼は「IPCCは、一見信憑性のある批判にさらされるという状況に対して、準備ができていませんでした。この点で、IPCCの組織は非常に未熟なのです」とコメントした。
灰色論文の影響
IPCCの報告書で査読されていない、あるいは科学雑誌に発表されていない「灰色文献」を利用することについては、ヒマラヤの氷河に関する誤りの原因となったこともあって、特に詳しく検討されている。だが、灰色文献の中には重要なものもあると考える者は多い。スタンフォード大学カーネギー研究所(米国カリフォルニア州)の生態学者Chris Fieldは、「灰色文献は環境活動家や非政府組織の報告書くらいだと思われがちだ。実際には、各国の科学アカデミーや国際エネルギー機関の報告書も含まれている」と語る。彼はIPCCの次の第五次評価報告書で、第二作業部会(影響、適応、脆弱性)の副議長を務めている。Fieldも委員会で証言を行った。
「科学雑誌に発表された文献であろうとなかろうと、引用されたすべての情報の出典を慎重に評価するのはIPCCの査読者と執筆者の責任であり、非公刊の文献は特に厳しく精査すべきだ」とFieldは付け加えた。
ヒマラヤの氷河に関する誤りが明らかになったのと同じ時期に、IPCCのRajendra Pachauri議長は、自身が所長を務めるニューデリーのエネルギー資源研究所が気候政策によって得をする企業と提携していたため、自分の仕事で利益を得ているという告発を受けた。今後は利益相反と受け取られるような事態を避けるため、IPCCが当局者のはっきりした行動規範を定めることを勧める意見が多い。6月15日の会議もそれに同調していたため、こうした意見が委員会の勧告に盛り込まれる可能性は高いだろう。
Wikiが必要?
アラバマ大学ハンツビル校の大気科学者John Christyは以前からIPCCに批判的で、IPCCの報告書やプロセスは「政治問題になりやすく、偏っている傾向がある」と発言していた。2001年に発表された第三次評価報告書の代表執筆者だったChristyは、「代表執筆者は、学会で推薦された科学者の中から、漸次入れ替わるように選出するように」と忠告した。また、長い報告書を出版するより、「不確実性や不一致についてもすべて書き込んだ」climate Wikiを作ろうと提案している('IPCC: cherish it, tweak it or scrap it?'を参照)。
検証委員会は、英国王立協会カブリ国際センターで7月にもう一度会議を行った後で報告書を作成し、査読のためにインターアカデミーカウンシルに提出する予定だ。最終的な報告書は、8月末に国連に提出される。
既にIPCCはAR5とよばれる第五次評価報告書について、前回と同じ基本要綱に従った計画を立てているが、検証委員会の報告書に書かれた勧告の一部は、AR5の作成プロセスに取り入れられるかもしれない。韓国の釜山で10月に開催予定のIPCCの次回総会では、何らかの構造改革を承認する必要があるだろう。
Von Storchは、国連の依頼によるこうした検証は「固定化しつつある状況を打開するすばらしい機会だ」という。「これを警鐘としてきちんと受け止められれば、IPCCはより真摯に自らを省みることができるかもしれません」
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産経ニュース
【杉浦美香の環境白書】温暖化解決の根拠のはずが…揺らぐIPCCレポートの信用性
http://sankei.jp.msn.com/life/environment/100516/env1005161701002-n1.htm
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