★阿修羅♪ > 環境・エネルギー・天文板4 > 304.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=73230554&expand
Anne Minard for National Geographic News January 22, 2009 最新の研究によると、気象観測所と人工衛星のデータを組み合わせた結果、特に冬と春の間に南極大陸全土で気温上昇が進行していることが明らかになったという。 今回の調査結果は、従来の研究で示されてきた「南極で温暖化しているのは半島部だけで、残りの大陸部は寒冷化している」という推測とは相いれないものだ。以前のデータは地球温暖化に対する懐疑論の根拠とされたこともある。 研究チームのリーダーで、アメリカのワシントン州シアトルにあるワシントン大学の気候学者エリック・スタイグ氏は、「今回の研究ではさらに、大陸西部が半島よりも温暖化の速度が速い可能性が示された。これは衝撃的な発見だ。大陸東部の温暖化を示唆するデータも存在している」と話す。 南極点から最も離れた南極半島は、過去50年の間、世界で最も温暖化が進行している場所であり、ある推測によれば2.5度も気温が上昇しているという。このような気温上昇により、大規模な棚氷の崩壊が発生している。 ただしスタイグ氏は、「南極大陸は広大で、その複雑な全体像は依然として解明されておらず、地形や季節によって温暖化または寒冷化の傾向が一定していない」という点も強調している。 スタイグ氏の率いる研究チームは、大陸西部の氷床コアを基に、必要とされる最新データと比較しながら気候の研究を行った。「大陸西部には常設の調査基地が存在しないため、信頼できる長期記録が入手できなかった。従来はほかの地域から集めた観測データに依拠する必要があった」とスタイグ氏は述べる。 過去の研究では、観測所のない地域については周囲の気温を基にした加重平均から推測されていた。「大陸各地の気象観測所のデータをつなぎ合わせるには、衛星データの利用が優れている事に気づいた」とスタイグ氏は話す。 今回の最新研究は、今週発行される「Nature」誌に掲載されている。 研究チームは、点在する気象観測所の記録と衛星データを組み合わせて、1957〜2006年にわたる気温変化を明らかにした。「いまから振り返ってみると、衛星データを無視したこれまでの研究は、明らかに“木を見て森を見ていなかった”と言えるだろう」とスタイグ氏は話す。 今回の研究により、大陸西部の気温が10年当たり摂氏0.17度、大陸全体では10年当たり0.1度上昇していることが判明した。 研究チームの一員でNASAゴダード宇宙飛行センターのドリュー・シンデル氏は、「世界全体の平均気温は過去50年の間に0.6度上昇している。南極大陸東部上空のオゾン層に開いた穴、いわゆる“オゾンホール”は、気温を下げる効果を持つ西風を引き起こす。しかし、オゾン層の回復が進めばこの効果は弱まると考えられ、温暖化がさらに加速する可能性がある」と話す。 2002年、アメリカにあるイリノイ大学シカゴ校の地球環境科学者ピーター・ドラン氏は、「南極大陸では大半の地域で寒冷化が進行している」とする研究結果を発表した。しかし2007年、ドラン氏は「New York Times」紙に寄稿した論説の中で、自分の2002年の論文が、例えば先日亡くなった作家マイケル・クライトンの著作『恐怖の存在(State Of Fear)』など、地球温暖化懐疑論者に引用されていることを嘆いた。 ドラン氏は今回の研究に対して、「第一級の専門家チームによる卓越した綿密な研究だ」と評価し次のように話す。「さまざまなデータ源を組み合わせるアイデアは素晴らしく、対象期間もこれまでの研究より15年拡張されている。“南極大陸西部で温暖化している領域は以前の推測よりも大きい”という主張はデータに基づいており十分妥当なものだ」。 研究を率いたスタイグ氏は、「南極大陸の気候の全体像を完成させるには、まだデータが不足している。衛星による観測を継続し、気象観測所を増設し、長期間の気温変動が記録された氷床コアサンプルをもっと集める必要がある」と話している。 Illustration courtesy NASA; E. J. Steig |