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「環話Q題
[究]地球温暖化の4割は自然変動がもたらした(09/12/03)
20世紀後半に起きた地球温暖化の地理的分布の4割は、温室効果ガスとは無関係な自然変動がもたらした――筑波大学計算科学研究センターの田中博教授らはこんな研究結果をまとめた。「20世紀後半に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性が非常に高い」というIPCC報告書の論旨とは異なっており、気象関係者の間で注目されている。
田中教授らが注目したのは、1998年に米ワシントン大学のマイク・ウォレス教授らが提唱した「北極振動」という現象。北緯60度付近の南北で、一方の気圧が平年より高いともう一方が低くなるというように、シーソーのように変動することを指す。偏りの程度を北極振動指数と呼び、南が高いとプラス、北が高いとマイナスになる。
北極振動は北半球の天候への影響が大きく、同指数がプラスだと例えば日本付近は暖冬になり、マイナスだとその逆になることが分かっている。さらに地球全体の平均気温も指数がプラスの時に上昇し、マイナスの時に下降する傾向がある。
最近の地球温暖化はシベリア付近で最も顕著で、カナダ北部でも気温上昇が著しいが、グリーンランド周辺の気温は低下したという特徴がある。ウォレス教授らはこの地理的な特徴と北極振動にともなう地上気温のパターンを50年間にわたって比較し、温暖化の4割は北極振動の変動で説明できると主張していた。
北極振動にともなう地上気温偏差の分布図。シベリアとカナダで高温になり、グリーンランドでは低温になっている(ウォレスとトンプソン、2002)
http://eco.nikkei.co.jp/column/kanwaqdai/article.aspx?id=MMECzh000003122009&page=2
地球温暖化にともなう地上気温偏差の分布図。シベリアとカナダで高温、グリーンランドでは低温、というパターンは北極振動のパターンと多くが重なる(ウォルシュとチャップマン、1995)
http://eco.nikkei.co.jp/column/kanwaqdai/article.aspx?id=MMECzh000003122009&page=3
田中教授らは気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2007年にまとめた第4次報告書のデータを解析し、「北極振動の10年スケールの長期変動が(温室効果ガスのような)外部強制応答によるものではなく、カオス的に変動する大気の純粋な内部変動として十分に説明できる」ことを明らかにしたという。
北極振動指数は1990年代を通じてプラスであり、この間の地球全般の気温上昇を反映している。21世紀になってからはマイナスに転じており、この10年間は温室効果ガスの増加にもかかわらず、気温上昇が止まっていることの説明にもなっている。
田中教授はまた、「大方の気象学者やシミュレーション研究者は、20世紀後半の温暖化の地理的分布には北極振動に代表される自然変動の影響があると考えているが、定量化には踏み込んでいなかった。IPCCは自然変動の割合を過小評価しているが、もっと大きいはずだ」と話している。
その一方で、国立環境研究所の江守正多温暖化リスク評価研究室長は「複数のシミュレーションモデルで20世紀末の北極振動の振る舞いがバラバラなのにもかかわらず、どのモデルも同じような地球平均気温の上昇を示すことを考えると、実際の気温上昇の大部分が北極振動という結論にはならないのではないか」と温暖化全般への影響には否定的な見方を示している。
北極振動がなぜ起きるかはまだ分かっていないが、太陽活動が影響するという説もある。今後、温室効果ガスの増加により北極振動はプラスに振れる見通しだ。北極振動と地球温暖化の関係を解明する研究の進展が待たれる。
[2009年12月3日/Ecolomy]
池辺豊(いけべ・ゆたか)
日本経済新聞編集局電子報道部解説委員。科学技術部、日経サイエンス、つくば支局などを経て09年から現職。気象予報士。「環話Q題」ではニュースから解説、薀蓄(うんちく)まで、硬軟交えた幅広い環境トピックを紹介する。Qは幅広く扱うテーマの総称。見出し冒頭の[究]は科学研究・技術開発、[急]は時事問題、[求]は提言などを表す。」
http://eco.nikkei.co.jp/column/kanwaqdai/article.aspx?id=MMECzh000003122009&page=1
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