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国内初の氷河か…立山・雄山東側斜面に氷の塊【読売】
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20091121-OYT1T00074.htm?from=navlp
氷河の可能性がある御前沢カールの雪渓=立山カルデラ砂防博物館提供
御前沢カールの雪渓の位置を示す福井学芸員 立山の主峰・雄山(標高3003メートル)の東側斜面に、国内で初めて氷河と認定される可能性のある氷の塊「氷体」を、立山カルデラ砂防博物館(富山県立山町芦峅寺)が突き止めた。
「御前沢カール」と呼ばれる雪渓に広がる長さ700メートル、最大幅200メートル、厚さ30メートルで国内最大級。同博物館は実際に動いていることを確かめるため、10月から全地球測位システム(GPS)を使った測定を開始した。来年10月には氷河であるかどうか結果が分かるといい、新発見への期待が高まっている。
同博物館の福井幸太郎学芸員(36)が今年9月に北海道大で開かれた日本雪氷学会で発表した。
氷河は自重で斜面を滑り落ちるため、最低でも20メートルほどの厚さが必要だが、氷の厚さを電波で測る装置「アイスレーダー」で御前沢の雪渓を調べたところ、30メートルと十分な厚さがあった。
また、氷が動くことで発生する「ムートン」という穴が数多く見つかったほか、氷体内にも氷河特有の斜めの断層が確認できた。氷体表面の傾斜は20度で、計算上は1年間で1メートル弱の速さで下流方向に流れていると考えられるという。
ただ、ムートンなどは過去の動きの名残で、氷河の認定要件である「連続的な動き」が今は止まっている可能性もある。そのため、10月には氷体の表面に点在する20個余りの石塊にマーキングを施し、GPSで緯度・経度を確認。来年10月に再び位置を測定し、1年間の動きを割り出すことにした。
極東アジアではこれまで、カムチャツカ半島が氷河の南限とされてきた。氷体は御前沢の近くの内蔵助カールのほか、北海道や長野県など国内の約10か所で見つかっているが、「連続的な動き」は確認されていない。
御前沢は登山道から外れた急峻(きゅうしゅん)な地形で、調査のため現地入りすること自体が難しい。4月に国立極地研究所(東京)から同博物館に移った福井学芸員は9月中旬、山岳ガイドの協力を得て観測を決行した。
福井学芸員は「江戸時代を中心に1400〜1900年ごろまで続いた寒冷期に形成された氷河が、日本最北の3000メートル級山地で豪雪地帯という立山の好条件で残ったのではないか」と推測する。日本雪氷学会長の藤井理行・国立極地研究所長は「氷河と確認されれば、極東アジアの南限が書き換えられる。温暖化が進んで氷が縮小する前に、いろいろ調べてほしい」と話している。
(2009年11月21日16時11分 読売新聞)